万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ケネディ大統領暗殺事件と陰謀論作戦

2025年01月23日 11時44分24秒 | アメリカ
 2025年1月20日、アメリカではドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、第二次トランプ政権が発足しました。その一方で、就任式に先立つ19日に、過去の三つの暗殺事件に関する機密文書を‘数日以内’に‘全て公開する’と同大統領が述べたことから、この日を待ち望んでいた人々には朗報ともなりました。三つの暗殺事件とは、1963年に発生し、全世界に衝撃が走ったジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を含む、68年のロバート・ケネディ元司法長官並びにマーチン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件の三件です。

 ケネディ大統領暗殺事件については、当初からオズワルド単独犯説は疑われており、ウォーレン委員会が提出した最終報告書にも現場の状況や目撃証言との食い違いや矛盾点があったことから、アメリカ国民のみならず多くの人々が陰謀の存在を疑うこととなりました。誰もが、‘政府は嘘を吐いている’、あるいは、‘政府は何かを隠している’として、アメリカ政府に対して疑いの目を向けたのです。

 仮に、事件の経緯が政府の説明通りに、‘一匹オオカミ’による個人的な犯行であれば、如何なる情報であれ、国民に隠しておく必要はないはずです。また、CIAや国防総省が機密としてきた理由は「情報提供者の保護」とされていますが、何らの組織的な背景がないならば、この説明も説得力を欠きます。何故ならば、この説が正しければ、一体、誰が‘情報的強者’を狙うのか、という疑問が生じるからです(オズワルドも既に暗殺されている・・・)。加えて、犯人のオズワルドが事件直後にジャック・ルビーなる人物に、これもまた‘個人的な理由’によって暗殺されてしまったことにも、事件の背景に巨大な組織が潜んでいる可能性を強く示唆しているのです。

 真犯人、あるいは、黒幕については、オズワルドは過去にあってソ連邦に亡命した経歴があることから、先ずは、黒幕としてソ連邦やキューバの名が挙がることにもなりました。しかしながら、スパイや工作員が蠢く国際社会の裏側では、偽旗作戦や偽装作戦は日常茶飯事ですので、‘容疑者’は冷戦時代の共産主義国のみではありません。CIAや当時副大統領であったジョンソン大統領の名も挙がると共に、オズワルドやルビーには反社会組織との繋がりもあることから、マフィア犯行説も唱えられたのです。

 かくして、ケネディ大統領暗殺は、何らかの背景を持つ陰謀であった可能性が極めて高いのですが、CIAや国防総省が機密解除を阻止してきた様子からしますと、これらの組織が関与していた可能性も否定はできなくなります。隠蔽する強い動機を持つからです。あるいは、真犯人を知るが故に、情報公開により、それが鋭い国家間対立や戦争へと向かうことを恐れたとも考えられます。超大国間で一触即発の状態が続いた米ソ冷戦時代の暗殺事件であればこそ、戦争回避のための隠蔽説もあり得るのですが、既にソ連邦が消滅し、キューバにあってフィデル・カストロ議長が鬼籍に入った今日、仮に両国、あるいは、いずれかの国が暗殺に関与していたとしても、機密解除をもって米ロや米・キューバ間の対立が激化するとも思えません。

 アメリカでは、一定の期間が経過すると機密文書が解除される仕組みが設けられていますので、国民は、何れであれ、陰謀が囁かれる事件であっても真相を知ることができるとされます。しかしながら、歴代大統領が情報の開示を要求しても、CIA並びに国防総省が拒絶してきたとされますので、両機関には、大統領の要請をも拒否できる情報に関する絶大な権限があることになります。第一次トランプ政権での同事件の情報公開は、両機関に阻止されて一部に留まりました。

 ‘陰謀論作戦’、すなわち、政府が発信する情報や説明に対して異議を唱え、これとは違う真相を追求しようとする人々を‘陰謀論者’として揶揄する作戦は、CIAが、ケネディ大統領暗殺事件に対する国民の詮索を阻止するために考案されたとする説がありますが、今日の状況を見ますと、この説も、俄然、信憑性を帯びてきます(CIAが‘アメリカの機関’であるかどうかも疑わしい・・・)。そして、日本国において2023年に発生した安部元首相暗殺事件に際しても、疑いを提起しようものなら陰謀論者のレッテルが貼られるという、同様の現象が見られるのです(トランプ大統領の就任式に安部元首相の昭恵夫人が招待されたことにも、何らかの意味があるのかも知れない・・・)。

 民主主義国家であっても国家の情報に国民が知り得ない現状こそ、陰謀の実在性を半ば証明しているとも言えましょう。仮に、今般も、トランプ大統領による機密解除の要請がCIAや国防総省によって拒否されるとしますと、背後の闇の深さが際立つこととなります。そして、この由々しき現状は、国家の情報に関する権限や権利は、一体、誰が持つのか、という重要なる問題をも問いかけていると思うのです。

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政府効率化省の目的はアメリカ連邦政府の電子政府化?

2024年11月14日 11時40分07秒 | アメリカ
 今月11月12日、アメリカ大統領選挙で勝利を収めたドナルド・トランプ次期大統領は、選挙戦での献身的な貢献を認めて、実業家にして大富豪でもあるイーロン・マスク氏を「政府効率化省」のトップに任命したと報じられています。もっとも、新設される同組織は、マスク氏一人ではなく、共和党の候補者でもあったビベック・ラマスワミ氏とのトップ二人体制として発足する模様です。

 とかくに知名度に優るマスク氏に人々の視線が集まりがちですが、ラマスワミ氏もまた、共和党の候補者指名レースに名乗りを上げただけあって、決して無名の人物ではありません。インド・タミル系である同氏は、若くしてロイバンドサイエンシズという社名の製薬スタートアップを創設し、金融事業等も手がけることで築いた個人資産は9.5億ドルにも及ぶとされます(ソフト・バンクからも11億ドルを調達したとも・・・)。マスク氏もラマスワミ氏も共にテック産業界の‘申し子’であり、その思想も最大限に個人の自由を認めるという意味において共通しているのです(あらゆる制約や規制を否定する自由原理主義、あるいは、リバタリアン・・・)。因みに、ラマスワミ氏の両親の出身地はインドのケララ州であり、同州は歴史的にマルクス主義者の多い地域でもあります(現職の州首相もインド共産党マルクス主義派・・・)。

 両者ともに異例の事業拡大並びに集金力を見せたところに、投資者あるいは支援者としての世界権力の影が見え隠れするのですが、異例の二人体制となる「政府効率化省」のトップの人事は、あるいは、世界権力によるものであったのかもしれません。何れにしましても、政府予算の3割削減を目指すとされる同機関は、トランプ政権の発足と同時に任務を開始することとなるのです(世界権力は、自らの構想を実現すればよく、その実行者は共和党でも民主党でも構わない・・・)。

 両氏の任命に際してトランプ次期大統領は、同機関を「現代のマンハッタン計画」とし、「官僚主義を壊し、過剰な規制をなくし、無駄な支出を削減し、連邦政府のリストラを進める。ホワイトハウスなどと連携し、政府の外から助言や指針を与える」と説明しています。凄まじい破壊力を‘マンハッタン計画’に喩えたのでしょうが、リストラされる連邦職員の数は凡そ100万人ともされ、大量失業者の発生と行政サービスの著しい低下が懸念されるほどの大規模な数字です。アメリカ政府の雇用システムには猟官制の側面がありますので、リストラの主たる対象は、前政権、すなわち民主党系公務員であるのかもしれませんが、ポストの入れ替えではなく、ポストそのものがなくなることを意味しますので、‘小さな政府’への改革として理解されましょう。

 もちろん、アメリカ国民の多くも、非効率な政府の運営や無駄遣い等はなくしてゆくべきことに異論はないことでしょう。しかしながら、この大量リストラを伴う‘合理化計画’、マスク氏とラマスワミ氏の背景を考えますと、別の目的があるようにも思えます。つまり、アメリカ連邦政府のデジタル化、すなわち、電子政府化となる可能性が高いように思えるのです。

 実際に、ラマスワミ氏と縁の深いインドのケララ州では、電子政府化が積極的に進められており、2015年には、同州の知事がインドで最初の完全なるデジタル州であると宣言しています(complete digital state)。また、古来、香辛料貿易で栄えた国際的な港湾都市であり、植民地時代には英国領となっていた同州のコチ(旧コーチン)には、今日、アラブ首長国連邦のドバイとの共同出資プロジェクトとしてスマートシティーも建設されています(Smart City Kochi)。グローバルな繋がりからしますと、同氏は、デジタル行政やそれに要する技術もノウハウを自らが属するグローバルなネットワークから取り入れようとするかもしれません(なお、コチにはソロモンの時代からユダヤ人が居住していた・・・)。なお、同州はインドの宇宙開発の発祥の地ともされ、宇宙開発事業に邁進しているマスク氏との繋がりも伺えます。

 およそ100万人の公務員を削減しつつ、行政上の事務作業や公的サービスのレベルを維持しようとすれば、何らかのフォローや代替措置を要することは確かなことです。となりますと、アメリカ連符政府は、結局は、今般‘外部機関’として設置された政府効率化省の提言を受ける形で、AIの大規模な導入を含むデジタル化を進めざるを得なくなるのではないでしょうか(日本国ではデジタル庁?)。大規模なシステム導入を伴い、しかも、技術的進歩の速度が速いデジタル化にも相当の予算を要しますので、連邦予算の3割削減に繋がるかどうかは不明なところであるものの、近い将来、アメリカが電子国家化するとしますと、それは今般の大統領選挙でアメリカ国民の多くが期待した中間層の復活ではなく、同国民の目の前には全く別の世界が広がるのではないかと思うのです(つづく)。

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トランプ次期大統領はマスク氏に恩義はないのでは?

2024年11月13日 11時30分54秒 | アメリカ
 アメリカの大統領選挙の経緯を振り返ってみますと、ドナルド・トランプ候補暗殺未遂事件が発生したり、民主党の統一候補がバイデン現職大統領からカマラ・ハリス副大統領に差し替えられるなど、紆余曲折がありました。暗殺未遂事件直後におけるイーロン・マスク氏の‘鞍替え’も、確かに同選挙戦に強いインパクトを与えました。しかしながら、トランプ陣営勝利の最大の要因を同氏の貢献に求めるとする解釈は、アメリカの民主主義を歪めてしまう怖れがありましょう。

 トランプ氏の勝利がおよそ確定した直後の報道では、その勝因を同氏が掲げてきた移民規制の強化や物価高対策等に求める見解が多数を占めていました。移民による治安の悪化や雇用の不安定化、並びに、高率のインフレに日々苦しむ国民の多くが、トランプ氏を支持したというものです。いわば、トランプ氏が大統領選挙に初めて勝利した前々回の選挙戦と同様に、アメリカ国民を優先し、国内産業を重視すると共にグローバリズムとは一線を画する姿勢が国民からの期待を集めたと言うことになりましょう。

 その一方で、理想主義的なリベラルをもって国民に支持を訴えてきた民主党は、これまでの政策や活動が悉く裏目に出ることとなりました。パリオリンピックの開会式で見せたような、行き過ぎたLGBTQ運動やポリティカルコレクトネス、あるいは、急進的な環境政策等は、国民が違和感や抵抗感を覚えさせるほどに過激化していましたし、何よりも、平等や公平を重んじ、クリーンなイメージを振りまいてきた民主党が、バイデンファミリーをはじめ、利権、しかも、グローバルな利権まみれである実態が明らかとなったことも痛手となったはずです(ウクライナ利権や中国利権・・・)。日本国では、保守政党の‘化けの皮’が剥がれた観がありますが、アメリカでは、リベラル政党の‘化けの皮’が剥がれてしまった観があるのです。しかも、シリコンバレーを中心としたテック産業は、民主党の伝統的な支持基盤でもありますので、民主党は、一般国民とはかけ離れた華麗な生活を送っている人々、つまり、今や富を独占しているグローバリストの政党とするイメージも定着してしまっていたのです(このため、ハリス候補支援でのセレブ起用には逆効果説も・・・)。

 民主主義国家では、基本的には国民多数の意向に沿った政治が行なわれますので、マジョリティーを構成してきた中間層の人々が、かつては中間層に属していた人々を含めて共和党を支持者が多数となるのは当然の流れとなります。前回の大統領選挙では、不正選挙問題が持ち上がりましたが、今般の選挙では、前回を教訓として不正選挙に対して厳しい対策やチェックが行なわれたともされます。言い換えますと、このことは、マスメディアが両陣営の伯仲状態を演出しても無意味となったことを意味します。なお、民主党陣営は、前回の選挙から不正の存在を否定してきましたので、今般の選挙結果を偽りのない民意として真摯に受け止めるべきと言えましょう。

 世論のトランプ支持の流れが抗いがたいとなりますと、計算高い合理主義者であるマスク氏が、民主党への支持継続で敗者側となるよりも、トランプ氏の勝利に便乗する作戦に変更したことは想像に難くありません。しかも、戦略に長けている同氏のことですから、可能な限り、トランプ陣営に恩を売ろうとしたのかも知れません(多額の資金提供や抽選100万ドルキャンペーンなど・・・)。自らの勝利への貢献度が高く評価されればされるほど、トランプ政権発足後にあって‘見返り’を得ることができるからです。

 アメリカ国民の多くがトランプ氏を大統領に選んだ理由がその掲げる政策にあったとしますと、トランプ氏は、便乗者であるマスク氏に恩義を感じる必要はないこととなりましょう。そしてこのことは、政策こそ、国民が政治的な判断を行なう祭にして最も重要な判断基準とするものであることをも示しています。この点、マスク氏を‘真の勝利者’とする見解は、移民規制や物価対策等を求めるアメリカの民意を過小に評価し、論功行賞として今後の政策運営をマスク氏、あるいは、その背後にあって同氏を操る世界権力の意向に添った方向にねじ曲げかねない懸念がありましょう(マスク氏は、世界権力の露骨な支配欲を隠すために‘道化役’を演じているようにも見える・・・)。

 もっとも、世界権力は二頭作戦や多頭作戦を得意としていますので、次期トランプ政権にも‘どんでん返し’の可能性がないわけではありません。この点、さらなる警戒も要するのですが、少なくともマスク氏が求める‘見返り’は、過大要求に留まらず、アメリカ国民にとりましては民主主義の危機となるのではないかと思うのです。

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マスク氏のトランプ政権参加には警戒が必要なのでは

2024年11月12日 11時52分34秒 | アメリカ
 アメリカ大統領選挙におけるイーロン・マスク氏の突然の登場は、同選挙結果を分析、あるいは、解釈するに際しての攪乱要因となっているように思えます。昨今のウェブ記事を見ましても、トランプ陣営の勝利は、マスク氏の多大なる貢献によるものとする見解も多々見受けられます。あたかもハリス候補からマスク氏に乗り換えたかのように、マスク氏にスポットライトを当てた報道が目立っているのです。もちろん、自らの存在感を高めたい同氏による、潤沢な資金を投じたマスコミ戦略であるかも知れないのですが・・・。

 大統領選挙が実業家や富裕層にとりまして有望かつ最高の投資先であることは、国家権力の絶大さに思い至れば容易に理解されます。随意契約などであれば、政府調達は自らのビジネスチャンスとなりますし、何と申しましても、自らのプランを政府に実行させることができるからです。例えば、インフラ事業など公共性の高い事業分野への参入を計画した場合、それが公営事業であれば、政府に民営化政策を実行させればよいこととなります。再生エネ、とりわけメガソーラ等の建設を伴う太陽光発電事業が政治家の利権がらみとして批判を浴びたのも、エネルギー政策が特定の事業者を潤すからなのでしょう。

 また、事業資金が不足しそうな場合にも、公的に支援すべき‘成長産業’に政府に指定してもらえば、産業政策上の補助金や助成金という形で調達することもできます。しかも、グローバル化した今日では、これらの政策で利益を得るのは国内企業とは限らず、国民が海外事業者やステークホルダーのために税金を納める事態にも至っているのが現実です。そして、巨額の献金など、マネー・パワーによって政治家を外から動かすよりも、自らが政府の内部に入り込み、そのメンバーともなれば、まさに‘鬼に金棒’なのです。

 マスク氏の場合も、次期トランプ政権において、自らのプランや未来構想が実現することを目的としているのでしょう。宇宙開発には莫大な予算を要しますが、その事業コストを、自らが全て負担するのではなく、国庫から支出させることができます。国家レベルで開発した先端技術や高レベルの施設等、さらには研究員等を含めた公務員という人材をも使用することも夢ではなくなります。国家に‘寄生’すれば、国民が納めた税金も、自らの事業資金として使うことができるのですから、その利益は莫大です。投資の収益率としては、これに優るものはほとんど存在しないかも知れません。

 目下、新自由主義の権化ともされるマスク氏は、‘政府効率化省’を設立して国家予算の3割削減を目指すとされています(会計検査院とは別組織?)。マスメディアは好意的に報じていますが、この案が実現しますと、マスク氏は、アメリカ財政全般に口出しできる立場を得ることになります。それが表向きは‘予算の効率化’を目的とし、削減権限に限定されたものではあれ、猟官政治の果てに一私人によって、国家の財政権限、すなわち予算編成の権限が握られることとなりましょう。

 あたかも大統領選挙の‘真の勝者’がマスク氏であるかのような報道ぶりには驚かされるのですが、同氏が、以前にあっては熱心な民主党支持者であった点を考慮しましても、今後の動向につきましては十分な警戒が必要なように思えます。宇宙開発につきましても、政府効率化省につきましても、どこかに世界権力の影が見え隠れしているからです。仮に、マスク氏が‘トロイの木馬’であるとしますと、この敵陣営に味方を装って侵入するという手法は、18世紀にキリスト教への見せかけの改宗を奨励したユダヤ教の一派であるフランキストを彷彿とさせます。いわば、‘隠れディープ・ステート’ということにもなるのですが、人類史、とりわけ近代以降の歴史を振り返りますと、目的地と到着地が逆転してしまうという奇妙な現象がしばしば起きています(メビウスの輪の如くであり、アメリカ独立後の国旗が、独立反対派の東インド会社のデザインを取り入れたものであったり、日本国でも尊皇攘夷が開国を結果したように・・・)。現代にありましても、‘隠れ’を特徴とする同思想の流れは、世界権力にあって脈々と受け継がれているように見えるのです。

 トロイの木馬の故事が伝えるように、敵陣営に対して味方を偽装した仲間を送り込む手法は、フランキストに限ったことではないのかも知れません。しかしながら、新自由主義者であるマスク氏が描くアメリカの未来像が、トランプ次期大統領が訴え、アメリカ国民の多くが望むような中間層の復活であり、‘古き善き市民社会’であるとは思えないのです。政府効率化省のトップの椅子に座った時、果たしてマスク氏は、如何なる予算を削減しようとするのでしょうか(つづく)。

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アメリカの大統領選挙はマスク氏の投資事業?

2024年11月11日 12時28分57秒 | アメリカ
 アメリカ大統領選挙では、大手マスメディアが両陣営の伯仲状態を盛んに報じながら、大差によるドナルド・トランプ共和党候補の勝利という結末で幕を閉じました。前々回の選挙あたりからマスメディアによる作為的な‘接戦演出’が露わになってきてはいたのですが、今般の選挙では、マスメディアの信頼性がより一層低下すると共に、同作戦が既に効果を失いつつある現実をも示しています。接戦作戦に隠された意図が、世論誘導や不正選挙のための環境作りであったとしますと、トランプ候補の当選は、アメリカ政治に変化が生じていることを示唆しているとも言えましょう。

 それでは、何故、トランプ大統領は、かくも大差をつけてカマラ・ハリス候補に対して勝利したのでしょうか。アメリカ大統領選挙は、かつては羨望の的であった‘草の根民主主義’とはほど遠く、今ではマネー・パワーが物を言う世界に成り果てています。一種の‘政治ショー’と化していますので、4年に一度の大イベントといっても過言ではありません。このため、候補者の‘売り出し’に要される費用は莫大です。古典的な宣伝手段であるパンフレットやポスター等の作成のみならず、メディア時代の今日では、知名度を上げたり、広く国民にアピールするには、プロモーションビデオを作成したり、マスメディアへの出演機会を確保するなど、‘工作資金’も用立てる必要があります。また、全国各地で開催される選挙集会では、候補者を引き立てる舞台装置等も準備せねばならず、聴衆の‘動員’を含めて多額の資金が費やされているのです。

 そして、大統領選挙に不可欠となる甚大なる費用は、今日、民主主義の危機をももたらしています。その一つとして挙げられるのが、金融・経済パワーとの癒着です。民主主義国家の建前では、為政者とは、公正・公平な選挙を介して国民から国民のために選ばれる存在です。ところが、現実には、大統領選挙には、一般市民では到底準備できないような費用がかかりますので、トランプ氏のような実業家にして富裕者であっても、自己の資金だけで選挙戦を闘うことは最早できません。もちろん、各候補者とも所属政党を組織的なバックとしていますので、党の資金のみならず、党員や支持者からの寄付に期待することができましょう。しかしながら、小口の寄付では全ての選挙資金を賄うことは難しく、結局は、金融・経済パワーからの纏まった資金提供に頼らざるを得なくなるのです。かくして、ここにおいて、アメリカ国民は、民主主義国家の最大の弊害ともされる政財癒着の構図を見せつけられているのです(「プルートクラシー」と称されている・・・)。

 グローバル時代を迎えた今日、グローバル企業でもある米IT大手の大半がリベラルな価値観を共有する民主党に巨額の資金を提供してきましたが、トランプ陣営も献金問題とは無縁ではありません。トランプ候補暗殺未遂事件の直後にあって、‘勝ち馬に乗る’かの如く、逸早く巨額資金の提供を表明し、政治の舞台に躍り出たのが、かのイーロン・マスク氏であったからです。選挙資金の提供のみならず、自ら積極的に支援活動に乗り出し、激戦が予測されていた7州を対象として、「100万ドルの小切手が毎日一人に当たる!」とする請願制度を利用したキャンペーンまで展開したのですから(ペンシルバニア州では州法違反として提訴されたものの、マスク氏の勝訴に・・・)。

 かくも露骨にトランプ陣営に肩入れをしたマスク氏は、次期トランプ政権にあって‘見返り’を求めているともされます。自らが構想する火星移住計画を国家プロジェクトに昇格させようとするかも知れませんし、政府効率化省(The Department of Government Efficiency)を創設し、そのトップのポストを要求しているとも報じられています。来るトランプ政権は、マスク氏の‘傀儡政権’とする見方もあり、しかも、マスク氏のその背後には、トランプ氏自身が‘敵’と見なすディープ・ステート、すなわち世界権力が潜んでいるリスク―‘トロイの木馬リスク’―もないわけではありません(このリスクは、トランプ次期大統領についても認められる・・・)。二頭作戦の現れである懸念も燻るのですが、それでは、トランプ候補は、マスク氏の支援なくしては当選できなかったのでしょうか。

 グローバル企業からの巨額献金や資金提供については、民主党の方がむしろシリコンバレーのリベラル系企業を中心に集金力に長けています。仮に、マスク氏の献身的な支援の結果であれば、氏一人で並み居るIT大手を押しのけるほどの資金力と影響力を示したことになりましょう。こうした資金額に関する疑問に加え、選挙結果を見ますと、538人の選挙人の内、トランプ候補が312人、ハリス候補が226人を獲得しており、両候補の間には86もの開きがあります。また、獲得票数も、トランプ候補7460万票、ハリス候補7090万票と370万票の差がつく結果となりました。前回の選挙では、バイデン大統領は8100万票を獲得したとされていますので、ハリス候補の陣営は1000万票を失ったことになるのです。この数字は、‘マスク効果’としては、大きすぎるように思えます(上述したキャンペーンの参加者はこの数字を大幅に下回るのでは・・・)。否、仮に、凡そ500万票がマスク氏の資金力のみで動いたとしますと、アメリカの選挙は、収益を計算に入れたグローバリストの‘投資事業’に過ぎない言うことにもなりましょう(つづく)。

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目的はアメリカの混乱と破壊?

2024年11月06日 12時04分06秒 | アメリカ
アメリカの二大政党制は、現状を見る限り既に限界に達しているかのようです。とりわけ、昨日の記事で述べたように、両陣営の拮抗状態は人為的な操作が加わった可能性が極めて高く、外部からのコントロ-ルを疑って然るべき状況にあります。同コントロールの最大の目的は、二頭作戦、即ち、国民がどちらを選んでも行き着く先が同じ、というものであり、有権者の自由意志による選択を大義名分とした巧妙な作戦としましょう。もっとも、近年のアメリカ大統領選挙には、二頭作戦のみならず、もう一つの目的が潜んでいるように思えます。

現職のジョー・バイデン大統領が選出された前回の大統領選挙では、不正選挙疑惑をめぐる大混乱が生じています。この時も、トランプ候補の優勢が報じられながらも、今般の大統領選挙と同様に両者の支持率は凡そ拮抗していました。そして、事前の世論調査において両陣営の支持率が僅差であったことが、民主党陣営による不正選挙を可能とした、あるいは逆に、共和党陣営が不正選挙を訴えるだけの根拠を与えたとも言えましょう。国民からしますと、マスメディアが両者拮抗を報じている状態であれば、実際に不正選挙が行なわれたとしても分かりづらく、逆に仮に不正が行なわれなかったとしても、国民が不正選挙を疑うに十分な状況にあったことになります。

また、大手マスメディアの報道姿勢が民主党寄りに大きく偏向していることも、不正選挙疑惑を強める要因でもあります。マスメディアの報道の極端な偏りと事実の歪曲さについては、前々回の大統領選挙において、常時優勢が伝えられたヒラリー・クリントン候補の敗北によって既に明らかにされています。マスメディアの報道と有権者の意識との間に著しい開きがある場合、少なくない国民が、マスメディアが推す候補が選挙戦で勝利を納めたとしても、その結果に対して懐疑的となるからです。身近では評判が芳しくなく、支持者もそれ程多いとも思えない候補者が当選したのは、裏にあって不正がおこなわれたからなのではないか、という・・・。

 近年、アメリカでは選挙に際して不正が行なわれやすい郵送による投票や期日前投票等のみならず、電子投票や開票システムが広く導入されており(前回選挙のドミニオン疑惑・・・)、デジタル上の数字の改竄によって結果を変えることが技術的には可能な段階に至っています。悪意と専門知識を有する集団があれば、組織的に不正を実行しようとすればできないわけではありません(投開票に際してのチェックの甘さも指摘されている・・・)。むしろ、不正がなかったことを立証する方が難しいとも言えましょう。

 アメリカの選挙を取り巻く不透明で混沌とした状況は、国民を選挙結果に対して疑心暗鬼にさせ、自国の民主的選挙制度に対する信頼を喪失させるに余りあります。そして、民主主義に対する国民の深い絶望と諦観を伴う政治の混乱、並びに、双方の不信感に起因するアメリカ国内の社会的対立の激化こそ、外部の介入者がその実現を狙う第二の目的であるのかも知れないのです。

 実際に、前回の大統領選挙では、トランプ元大統領が不正選挙による敗北を主張したため、国会議事堂への乱入騒ぎも起きています。同事件については、民主党側による自作自演説もあり、事の真相は定かではありませんが、民主主義国家にあって暴力沙汰が起きたことだけは確かなことです。また、今般の大統領選挙にあっても、仮に再びトランプ元大統領が不正選挙によって敗北する事態ともなれば、アメリカは内戦になるのではないか、とする憶測も流されています。そして、報道によれば、大統領選挙をめぐる混乱は人々に強いストレスを与えており、かつては国を挙げての一種の‘お祭り騒ぎ’であった大統領選挙は、今日では全くもって様変わりしているのです。

 4年ごとの大統領選挙の度に、アメリカという民主主義国家が崩壊してゆくようにも見えるのですが、同国も、根本的な統治制度の見直しを必要としているのかも知れません。世界権力からの不当な介入を排し、民主主義をどのように制度化してゆくのか、この問題は、全ての諸国に共通する重要課題であると思うのです。

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アメリカ大統領選挙に見る奇妙な伯仲状態

2024年11月05日 12時35分28秒 | アメリカ
 二大政党制は、国民に選択の自由を与えている点において、その機会さえ与えられていない一党独裁制よりは‘まし’ではあります。近代議会制民主主義の発祥の地であるイギリスが長きにわたって二大政党制を維持し、‘自由で民主的な国’を自認するアメリカも二大政党制の国であるためか、二つの大政党が競う二大政党制は、民主主義国家のモデルの如くに見なされてきました。日本国でも、1996年の小選挙区制の導入の裏には米英に倣った二大政党制への転換の思惑があったとされています。しかしながら、現代という時代を考慮しますと、この二者択一の政党政治のモデルは、様々なリスクも抱え込んでいるように思えます。

 そもそも、今日という時代にあっては、全ての政策領域における利害や見解を対立する二つに分けて括ることは凡そ不可能です。このことは公約一括選択方式に無理が生じたり、選挙の争点が限定されてしまう理由でもあるのですが、二大政党制では、これらの問題がより顕著に顕われます。現実でも論理的にも無理なことを、無理を推しても貫いているのが二大政党制とも言えましょう。19世紀にあって産業革命を背景に登場してきた‘階級対立’や、これに起因する冷戦期のイデオロギー対立といった、世界観や基本的な価値観をめぐる対立があった時代には、有権者も、自らの漠然とした思考傾向や親近感から二つの政党の内から一つを選ぶことが出来たのでしょうが、今日のように政策ごとに利害や見解が政党のみならず個人の間でも広く分散する時代には、既に時代遅れとなっているのかも知れません。

 かくして時代に取り残されながらも、二大政党制がかつては民主主義先進国であった諸国に残っている理由は、一度、二大政党制の枠にはめられてしまいますと、この枠から抜け出すことが難しくなるからなのでしょう。二大政党の何れもが同制度の受益者ですので(第三政党が出現しても小選挙区制が阻害要因となる・・・)、同枠組みの否定は自己の存立基盤を崩しかねず、改革には消極的とならざるを得ないからです。奇妙なことに、アメリカでは、選挙の度に両政党ともに‘アメリカ社会の分断を乗り越える’と訴えていますが、自ら立脚している二大政党制こそ分断を促進する要因であることに気がついていない、あるいは、気がついていてもそれに触れようとはしないのです。そして、グローバル時代を迎えた今日、同制度は、グローバルな利権団体である世界権力が外部から諸国の政治をコントロールするに際しても‘隙’を与えているように思えます。

 外部コントロールの視点から本日11月5日に投開票が実施されるアメリカの大統領選挙を見ましても、不審な点が少なくありません。先ずもって指摘し得るのは、共和民主両党の候補者の支持率が常に拮抗してしまうという現象です。この現象、不自然と言えば不自然なのです。トランプ前大統領暗殺未遂事件のように一方の候補者が圧倒的に有利となるような事態が発生したとしても、その後に必ずと言ってもよいほどに‘揺り戻し’が生じます。事件後の経過を見ますと、民主党側が自陣営の候補者を現職のバイデン大統領から副大統領のカマラ・ハリス氏への候補者入れ替えで対処する一方で、共和党陣営でもイーロン・マスク氏が露骨なほどの資金提供を申し出て、有権者が困惑する事態も生じています。先日も、失言や失態が相次いだことからハリス候補の落選見通しが報じられた途端、共和党の常勝州であったアイオワ州での世論調査の結果として逆転が報じられ、ハリス候補の‘巻き返し’が伝えられています。

 仮に、この両候補伯仲状態がアメリカ国民の世論を正確に映しているとすれば、浮動票の数%が大統領選挙のキャスティンボートを握っているということにもなりましょう。この数%の人々が、両候補の言動に一喜一憂して支持先を‘コロコロ’変えている、あるいは、支持を取りやめて棄権者となる人数がより多い側の支持率が低下したということなのかもしれません(もしくは、両党とも従来の固定的な支持層が崩壊し、全有権者の票が浮動票化?)。メディアは、パーセンテージをもって世論調査の結果を報じ、全アメリカ国民が二分化しているようなイメージを与えていますが、支持率の変動に関する実態は詳らかではないのです。

 何れにしましても、かくも大統領選挙の度にきれいに支持率が二分される状況の出現には、作為性を疑われるだけの不自然さがあります。如何なる事態や事件が発生しても、いつの間にか拮抗状態に戻ってしまうのですから。天秤の微調整のごとく、アメリカ大統領選挙は、外部から巧妙にコントロールされているようにも見えてくるのです(つづく)。

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トランプ前大統領暗殺未遂事件の目的は内乱誘発?

2024年07月16日 10時26分03秒 | アメリカ
 ドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件は、政治の場に暴力を持ち込んだとする批判を巻き起こしています。次期大統領選挙にあって最大のライバルにして、同事件のバックとして最も疑われる立場に置かれてしまった民主党のジョー・バイデン大統領も、翌14日には、ホワイトハウスの執務室から演説し、政治的暴力を強い口調で批判しました。「このような暴力はアメリカにあってはならならない。どのような暴力も絶対にあってはならない」と・・・。

 暴力が支配する時代は、既に過去のものとなったように見なされがちですが、現代という時代に生きる人類は、整えられた制度をもって暴力を上手に封じ込めているのでしょうか。過去の出来事であると信じているからこそ、人々は、謀略や陰謀などもあり得ないと思い込むのでしょう。しかしながら、グローバリズムの浸透による国家の統治システムが揺らぐ今日は、むしろ、謀略や陰謀を含めた政治的暴力の脅威が増しているようにも思えます。アメリカにおける政治的暴力は、リンカーン大統領やケネディー大統領の暗殺事件に見られるように今に始まったことではないのですが、今般のトランプ前大統領暗殺未遂事件は、第三次世界大戦の足音とも言える不穏な空気が流れている時期だけに、同事件の背景には、政治的意図を想定せざるを得ないのです。

 第一次世界大戦は、サラエボでの一発の銃声が引き起こした惨事でしたし、第二次世界大戦前夜あってヒトラーが政権を掌握する過程でも、陰謀めいた国会議事堂放火事件や水晶の夜などが発生しています。何らかの事件をきっかけに世界大戦に発展したり、国家体制が一変した事例は歴史に散見され、それは、偶然の出来事とは思えなないものばかりです。それでは、今般の暗殺未遂事件には、どのような政治的な意図があったのでしょうか。

 目下、ネットなどでは様々な憶測が飛び交っていますが、最も可能性の高い有力説は、民主党陣営によるトランプ前大統領の暗殺となりましょう。トランプ前大統領とバイデン現職大統領が一つしかない大統領の椅子を争っているですから、誰もが、自ずと民主党陣営による犯行を疑ってしまいます。しかも、バイデン大統領は、同事件に先立つ8日に、大口献金者との電話にて「トランプに照準を合わせる時だ」と発言したと報じられたため、共和党のマイク・コリンズ下院議員に至っては、ソーシャルメディアに「ジョー・バイデンが命令した」と書き込んだそうです。その一方で、共和党陣営による自作自演説もないわけではありませんが、演説会場で撮影された動画を見る限り、少なくともトランプ前大統領自身は、事前に銃撃が知らされていたとは考えられない反応を見せています。

 共和党対民主党の対立構図からすれば、民主党陣営が‘第一容疑者’となるのですが、もう一つ、政治的意図を推測するとすれば、それは、世界権力によるアメリカにおける内乱の誘発であるかもしれません。このように推測する理由は、事件発生後、先ずもってトランプ前大統領が訴えたのは、‘国民の団結’であった点です。この発言の背景には、同事件を切っ掛けとした国家分裂に対する危機意識があったことを示しています。また、バイデン大統領も、同発言に呼応するかのように「われわれは一つの国家として団結しなければならない」と述べて‘団結’を促す方向に転換しています。両者とも、対立のエスカレーションを避けるべく、事態の沈静化に動いているのです。

 以前より、アメリカは内戦の危機が指摘されていましたが、同事件は、内戦を誘発したい勢力にとりましてはまたとないチャンスとなったはずです。実際に、ネット上の掲示板等では、過激なトランプ支持者による「今こそ戦争だ」、「共存したくないのは向こうの方だ」といった報復を煽る投稿が相次いだそうです。今般の事件では、右耳の負傷に留まったのですが、仮にトランプ大統領が命を失う文字通りの暗殺事件となった場合には、仇打ちあるいは復讐戦としての内戦が引き起こされないとも限りません。一方、冤罪を主張する民主党陣営も、事件発生以前から‘闘争モード’でしたので、暴力の応酬となったことでしょう。南北戦争以来の内戦ともなれば、アメリカ国民は引き裂かれ、国民同士が武器を手に殺戮し合う地獄絵となります。そして、戦争ビジネスが繁盛する一方で、国土を更地にし、統治機構をも破壊してしまう内戦は、全世界を根底からリセットしたい世界権力が望むところなのでしょう(第三次世界大戦計画が頓挫しそうなので、アメリカ内戦計画に切り替えたのかも知れない・・・)。

 果たして、同事件に隠された政治的意図を内戦誘発とする憶測は、真相を言い当てているのでしょうか。もちろん、見当外れも甚だしいとする反論もありましょうが、グローバルレベルで不可解な事件が頻発している現状からしますと、安易には捨てられない説のように思えます。仮に、トランプ前大統領暗殺未遂事件の意図が内戦誘発であるとしますと、それが未遂に終わったことは、トランプ前大統領の命のみならず、アメリカ国民をも内戦の危機から救うことになったのではないかと思うのです。

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アメリカのユダヤ人支配はグローバリズムの縮図

2024年05月09日 12時53分11秒 | アメリカ
 アメリカの真の支配者はユダヤ人である、とする見方は、今日のイスラエル・ハマス戦争をめぐるアメリカ政府の対応を見ておりますと、強ち間違ってはいないように思えます。マネー・パワーの絶大なる力を見せつけているのですが、その支配力は、大学などの教育・研究機関を含め、社会の隅々にまで行き渡っているようです。しかも、退学、停学、不採用、解雇などの脅し、即ち、恐怖心も手段として使われているのですから、フランス革命後の恐怖政治さえ彷彿とさせます(脅迫はテロの一種・・・)。全世界から多くの移民を惹き寄せてきた‘自由の国アメリカ’は、ユダヤ人のみが好き放題が出来る‘自由の国’であったのかもしれません。あたかも、‘ユダヤ人にあらずんば人にあらず’のごときです。

 ユダヤ人と申しますと、ナチスによる‘ホロコースト’の被害者としてのイメージが強く、とりわけ第二次世界大戦後は、迫害を受けた同情すべき哀れな人々とする見方が支配的でした。否、この同情的な接し方は、全世界を‘監視’するシオニストやサイモン・ウィーゼンタール・センター等の活動による半ば強制であったとも言えるかもしれません。キリスト教世界にあって異教徒故に差別を受け、辛酸を嘗めてきた民族というイメージは、ホロコーストのイメージをもって人々の心に刻み込まれてきたのです。


 しかしながら、マイノリティーは必ずしも弱者というわけではありません。古今東西を問わず、征服者が少数者であった事例は枚挙に暇がなく、かの大清帝国も、満州を故地とする女真族が打ち立てた征服王朝です。弁髪の強制を含め、少数の遊牧系の部族が多数の漢民族を支配したのであり、少数者支配は決して珍しい出来事ではないのです。否、近代のナショナリズム、並びに、その後における民族自決の原則の成立とは、少数者支配となる異民族支配から脱却し、自らの国を取り戻す運動であったと言えましょう。歴史的に見れば、少数者は弱者にもなり得ますし、また、強者ともなり得るのです。

 ユダヤ人の歴史を見ますと、同民族は、全くもって極端なぐらいに強者と弱者の両面性をもっていたと言っても過言ではありません。そして、ここで強調すべきは、キリスト教徒やイスラム教徒が忌み嫌った高利貸しを生業とすることができたため、ユダヤ人は、マネー・パワーを握ってきたことです。マネー・パワーとは、使い方によっては‘権力’の隠れた掌握手段ともなり得ます。この側面は既に中世から見られ、イギリスでは、歴代国王とユダヤ人との間には‘持ちつ持たれつの関係’が成立するケースもありました(もっとも、しばしばユダヤ人は、財産没収を目的としたと推測される弾圧も受けている・・・)。前者が富裕な後者の自らの‘お財布’にした故に、一般国民から保護すると共に、後者は財政難にある前者の資金源となることで、自己の財産と身の安全を計ったのです。


 一般国民に対する国王とユダヤ人との‘共闘’関係は、今日の各国政府と世界権力との関係にもリフレインされるのですが、ユダヤ人のマネー・パワーが政府そのものを動かすに至るのも、今日に始まったことではありません。かのカール・マルクスは、1844年に「独仏年誌」に発表した論文にて、ユダヤ人は政治的権利が著しく制限されているにも拘わらず、政治力を発揮している当時の状況に触れ、「理念的には政治は金力に優越しているが、事実上では政治は金力の奴隷となっている」と記しています(『ユダヤ人問題によせて』)。その解決方法としての共産主義は誤っているとしても、19世紀にあって既にユダヤ人がマネー・パワーをもって政治力を十二分に発揮していた様子が窺えるのです(イギリスでは、大英帝国の全盛期に当たる1868年にベンジャミン・ディズレーリ内閣が誕生・・・)。


 近代にあってユダヤ人がマネー・パワーを効果的に駆使できたのも、ディアスポラ以来、全世界に張り巡らされたビジネス網としてのユダヤ・ネットワークがあってのことなのでしょう。そして、特定の国家に属する‘国民’には持ち得ななかったこれらの優位性は、現代のグローバリズムにあっても失われてはいません。グローバリズムが全世界を覆うとすれば、同環境に慣れ親しんできたユダヤ人が、水を得た魚のように全世界にその政治力を及ぼすことは、容易に予測される未来なのです。このとき、ユダヤ人のもう一つの反面、つまり、迫害されてきた弱者としてのユダヤ人のイメージは、もはや何処にも見出せなくなることでしょう。


 このように考えますと、グローバリズムを歓迎している人々は、囲いの柵を取り払えばオオカミが自由に牧場に入ってくるにも拘わらず、自分たちもオオカミの生息地に出入りして、対等に渡り合える、とばかりに喜ぶ羊たちのように見えてきます。無制限な絶対的な自由は暴虐を許しますので、マネー・パワーと一体化したユダヤ人の政治力の問題は深刻です。この危険性を直視しない限り、アメリカの現状、並びに、グローバリズムがもたらす諸問題の解決に取り組むことは難しいと言えましょう。世界権力の暴走を制御する、あるいは、その支配の魔の手から自国を防御するための手段や仕組みを考案することこそ、人類にとりましては真のグローバルな課題なのではないかと思うのです。


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アメリカ大学の抗議デモを考える-真のアメリカのヒーロー達

2024年05月07日 10時10分09秒 | アメリカ
 アメリカでは、コロンビア大学に始まる対イスラエル抗議デモが全国的な広がりを見せております。同抗議デモを前にして大学当局は厳しい取締を開始し、警察に出動を要請したことから2000人を超える学生が逮捕される事態に発展しました。デモに参加した学生達に対する退学処分をも辞さない構えも崩しておらず、コロンビア大学では、今月15日に予定されていた卒業式も中止されると報じられております。

 デモが混乱をもたらした原因は、学生側による大学建物の占拠ともされ、この行動が大学側に警察介入の口実を与えることとなりました。このため、学生活動組織の中には、デモの過激化を企む外部者が混じっているとの指摘があり(大学側も同見解・・・)、仮に外部からの扇動工作であれば、‘同工作員’の正体については、凡そ二つの見方ができます。

 第一の推測は、イスラエル対パレスチナ、あるいは、ユダヤ教徒対イスラム教徒の対立構図にあって、後者側が学生デモを組織もしくは支援したとする見方です。昨今、アメリカでもイスラム教徒の人口が増えると共に、多様性の尊重方針から全学生数に占めるイスラム系学生数も割合も高まっています。このため、イスラム系の学生が率先してデモをリードした可能性もないわけではありません。もっとも、報じられている学生デモの動画や画像を見る限り非イスラム系の学生も多く、かつ、‘外部者’とする大学側の説明とも一致しません。あるいは、さらにその背後にロシアや中国といった反米とされる勢力が潜んでいる可能性もありましょう。ベトナム戦争時において米国内で激化した反戦運動も、ソ連邦による支援があったとされています。

 第二の推測は、イスラエル側に与する大学側、アメリカ政府(CIA)、もしくは、ユダヤ系団体が工作員を送り込んだとするものです。実のところ、この手法は古典的なものであり、弾圧したい側が相手側に‘悪手’を打たせるという方法です。例えば、天安門事件や香港の雨傘運動等などでは、学生民主化運動を脅威と見なした当局が、弾圧の口実を得るために、組織内部に扇動役の工作者を潜入さえたとする疑いがあります。今般のイスラエルによるガザ地区に対する蛮行も、イスラエル側が育てたともされるハマスによるテロ行為が引き金となっており、いわば、‘偽旗作戦’の一種であるのかもしれません。結果として、過激化=非合法行為を理由として抗議活動が潰されてしまうのです。

 外部者による支援や誘導があったとすれば、以上のような推測が成り立ち、慎重に事実を見極めるべき必要がありましょう。しばしば若者達の純粋な正義感は、政治的に利用されてきたからです。戦争にあって愛国心から死地に向かうのは若者でしたし、民主化運動のみならず、戦前の日本国において起きた二・二六事件も、農村部の貧困を憂う青年将校達の義憤があったとされています。利用されるリスクを考慮し、抗議活動とは距離を置きつつも、別の方法でイスラエルを批判したり、直接には同活動に参加しないまでも、陰ながら支持する学生も少なくないのかも知れません。

 ただし、今般の学生運動にあっても、一つだけ確かなことは、それが扇動されたものであれ、自然発生的なものであれ、多くの学生達がイスラエルのガザ地区住民に対する行為に憤慨し、それを直接並びに間接的に支援している全ての人々に対して反対を表明していることです。批判の矛先は、戦争当事国としてのイスラエルのみならず、アメリカ政府やイスラエル企業と連携する大学にも及んでいるのです。そしてそれは、イスラエル批判を権力や権威をもって‘上’から封じ込めとするユダヤ系勢力がコントロールするアメリカの現状であるのかも知れません。言い換えますと、重要なのは、ジェノサイドともされる非人道的な行為、そして、それを黙認するアメリカの現状に対して、若者達が自らの良心に照らして声を上げているという事実なのです。学生の多くは、パレスチナの支持者でもイスラム教徒でもなく、ましてや‘偽旗’組織の可能性が濃厚なハマスの味方でもないはずです。イスラエルの行為が、人類に対する普遍的な罪であるからこそ、抗議活動に参加したのでしょう。

 人種差別やユダヤ人迫害、そしてSGDsやLGBTQといった運動に対しては声高に他者を批判し、執拗に断罪しながら、イスラエルの非人道行為に対する批判に対しては言論を封じようとするリベラルの態度は間違っていると言わざるを得ません。イスラエルに対する抗議運動はアメリカの良心の現れであり、純粋な正義感や人類愛から活動に参加した学生達を、世代の違いに拘わらず、心ある人々はサポートすべきように思えます。退学処分という大学側からの脅しもあり、自らが不利な立場に置かれることを覚悟しながらも、見て見ぬ振りをする自分を許さず、抗議活動に参加した学生達こそ、真のアメリカのヒーロー達なのですから。

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アメリカの独立性とディープ・ステート論-内部化した東インド会社?

2024年03月05日 11時47分30秒 | アメリカ
 政治家であるトランプ前大統領が‘ディープ・ステート’という言葉を使うようになって以来、ライバル政党である民主党を中心に、その実在を‘陰謀論’として否定する動きも強まるようになりました。しかしながら、次期大統領選挙戦において同前大統への支持がバイデン現大統領を引き離しているように、アメリカ国民の多くはディープ・ステート論に対して一定の理解を示しています。

 アメリカにおける陰謀実在論が受け入れられる歴史的な拝啓としては、イギリスからの独立戦争があります。世界史の教科書には、1775年4月19日に始まり、1783年9月3日のパリ条約の成立によって終結したアメリカ独立戦争によって、アメリカはイギリスから正式に独立したと記述されています。その一方で、独立を果たしたとはいえ、裏ではイギリスが手綱をしっかりと握り、水面下でアメリカをコントロールしているのではないか、とする疑いがアメリカ国民の間で燻り続けてきたからです。これは、アメリカ国民の被害妄想であるとする指摘がある一方で、アメリカが外部から操られているとする説は、強ち否定できないようにも思えます。

 アメリカ独立の実態を考える上でのヒントとなるのでは、アメリカ合衆国の国旗です。赤い横縞が下地となり、その左上のカントン(canton)と呼ばれる部分に青地に白い星が配されているかの星条旗です。白い星の数は州の数が増えるに従い増えてゆきましたが、赤い横柄のストライプには変化はありません。それでは、何故、この星条旗がヒントとなるのかと申しますと、アメリカの星条旗には、前身と推定されるデザインの旗が存在しているからです。その旗とは、英東インド会社の社旗なのです。

 それでは、イギリス東インド会社の社旗はどのようなデザインなのでしょうか。同社は、1600年に英国王の勅許をもって設立された民間の貿易独占会社です。基本となるのが、赤い横縞です(ただし、ストライプの数は変化している・・・)。その一方で、左上のカントン部分は、イギリスの歴史に沿って変化を見せています。最初に登場する旗には、イングランドの国旗、即ち、白地に赤い十字の聖ゲオルギウスの十字架が描かれています(セント・ジョージズ・クロス)。その後、スコットランドとの合邦によりイギリスの国旗が凡そ今日のユニオンジャックに代わると、英東インド会社の社旗も左上の部分も同デザインとなるのです。そして、独立戦争の後にアメリカ合衆国の国旗として登場してくるのが、ユニオンジャックを今日の星柄に代えたものなのです。

 この奇妙な出来事については、ベンジャミン・フランクリンなどのアメリカ建国の父達が、アメリカ合衆国の国旗として英東インド会社の社旗を採用するようにと訴えていたとされます。また、当時にあって、英東インド会社も英国王の課税政策に反対しており、両者は共闘関係にあったからとする説明もあります。詳細は不明なものの、現在の星条旗が東インド会社の社旗を一部変更したものであることは一目瞭然であり、このことは、国家としてのイギリスからは独立したとしても、独立後のアメリカが、なおも英東インド会社のコントロール下にあった可能性を強く示唆しているのです(統治機構にあって内部に浸透・・・)。

 ここに、アメリカの独立性に関する疑いが生じてくるのですが、グローバリストの先駆けであった東インド会社を温存させる形で、アメリカがその国家としての歴史を歩み始めたことが、その後のアメリカ、並びに、人類史に多大なる影響を与えてきたように思えます。アメリカ合衆国という国が、人々に夢と希望を与える自由で民主的な国としてアピールされながら、その実態において理想と現実とがかけ離れ、マネー・パワーが民主主義をねじ曲げてしまう理由も自ずと理解されてくるのです。そして、ソ連邦のKGと同様にCIAの活動も国民には秘され、それが極めて謀略的であることも、アメリカ国民の多くがディープ・ステートの実在を信じる要因となっているのではないかと思うのです。

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アメリカン・ドリームのパラドクスーグローバル・ドリームの問題

2023年12月01日 09時45分29秒 | アメリカ
 アメリカン・ドリームという言葉は、全世界の人々をアメリカという国に引きつけてきました。生まれた国にあって貧困や圧政などに苦しむ人々は、自由と民主主義を謳歌できる新天地で新たに事業や商売を始め、自らの才覚で億万長者になるという夢を抱いて、アメリカに渡ったのです。誰もが自由の国で大金持ちになるチャンスがあるのですから、アメリカは、まさに夢の国であったと言えましょう。かくして、アメリカの人口はヨーロッパ諸国をはじめ全世界からの移民で急速に増加し、開拓を伴う経済発展と相まって20世紀初頭には押しも押されぬ大国へと成長することとなりました。

 しかしながら、かつて輝いていたアメリカン・ドリームは、過去のものとなり、今や色褪せて見えます。アメリカの現状を見る限り、もはやアメリカン・ドリームは、‘誰もが実現できない夢’として消え入りそうなのです。人々がアメリカン・ドリームから覚めてしまった理由は、もちろん、現実が夢とは余りにもかけ離れていることに気がついたからに他なりません。それでは、何故、アメリカン・ドリームは、覚めれば消えてしまう夢になってしまったのでしょうか。

 第一は、自ら貧困から身を起こして大富豪となったとしても、その人物は、必ずしも、アメリカン・ドリームに対して好意的ではなくなるという、人間の利己心を挙げることができます。全員が同一のスタートラインにおり、凡そ等しい競争条件の下にある場合には、確かに誰にも平等に勝利者となるチャンスがあります。ところが、いざ競争が始まりますと、当然にゴールラインにあって勝利者が決まるのですが、この勝利者は、競争のやり直しを許そうとはしないことでしょう。ここに、勝者による独占願望の問題を見出すことができます。言い換えますと、富豪達は、自らの夢を実現した途端、自らはその恩恵を受けながらも、アメリカン・ドリームを壊す側に回ってしまうのです。

 第二に、競争のプロセスにあっては、ライバルとの熾烈な潰し合いが生じます。先頭を走る者は、後から追ってくる者を妨害しようとそうとしますし、後から追う者も、あらゆる手段を駆使して先頭を走る者を引きずり下ろそうとするかもしれません。‘自由な国’では、欲望のままに人々が無制限なままに自由に行動しがちであり、‘万人の万人に対する闘争’に近い状態になりかねないのです(自由の最大化はリスクの最大化・・・)。この場合、アメリカン・ドリームは、現実が地獄であることを隠すための、お飾りの言葉に過ぎなくなるのです。

 第三に、チャンスは全ての人に公平に開かれているとしても、勝者は一人、あるいは、少数に過ぎないという否定しがたい現実があります。全ての人々が億万長者になれるわけではありませんので、少数の勝者の陰には、その凡そ数万倍以上の敗者が存在しているのです。確率論からすれば、アメリカン・ドリームは、ロシアン・ルーレットとは言わないまでも、極めてリスクの高い‘賭け’と言えましょう。夢が叶うのは、全体からしますと圧倒的に少数であり、ほんの僅かな人たちなのですから。

 第4に指摘すべきアメリカン・ドリームの現実とは、そもそも全ての人々が同じスタートラインにあり、かつ、同一の競争条件の下にあるのではないのではないか、という疑いです。つまり、個人的な属性や血脈によって既に運命が半ば定まるようになっており、多くの人々にとって夢を追うことは、無駄な行為となりかねないのです。

 例えば、日露戦争において日本国債を引き受けたことで知られるジェイコブ・シフは、無一文でアメリカに渡りながら、一代で億万長者にのし上がります。まさしくアメリカン・ドリームの体現者であったのですが、本当のところは、シフ家は、ドイツのフランクフルトのゲットーにあって、ロスチャイルド家と緑の館で過ごしていたユダヤ系の一族です。このことは、ユダヤ人脈がアメリカでの成功の、必要不可欠とまで言わないまでも、重要な条件であったことを示唆しています。

 実際に、アメリカの富裕層あるいはセレブはユダヤ系で占められており、この結果、金融や産業界のみならず、マスメディアや様々な分野においてもユダヤ系の人々が地位を得ています。ユダヤ系のマネー・パワーは政界にまで及んでおり、アメリカの‘陰の支配者’とも称されるのは、その絶大なるマネー・パワーに求めることができましょう。

 以上に簡単に主たるアメリカン・ドリームの問題点を述べてきましたが、その理想と現実との違いは明白です。自由は勝者となった少数の大富豪のみが享受し、その大富豪も、血脈によって優位性を約束された特定のユダヤ人グループに凡そ限定され、そのマネー・パワーによってアメリカが牛耳られているのが現実なのです。そして、民主主義も、マネー・パワーによって歪められてしまうのです。おそらく、このパラドクスの根本的な原因は、アメリカン・ドリームの基本的なメカニズムの発動が、個々の心に潜む利己心や欲望の解放にあったからなのでしょう(自らが勝者になればそれでよく、他者の幸せを考えない・・・)。しかしながら、そろそろアメリカも、この利己的ドリームから目を覚ますべき時が訪れているように思えます。そして、グローバリズムがアメリカン・ドリームの拡大版であるとしますとーグローバル・ドリームー、目を覚ますべきは、アメリカ国民のみならず、日本国民を含めた全人類であるのではないかと思うのです。

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アメリカの政治に見る献金問題-恐るべきユダヤ系のマネー・パワー

2023年11月30日 11時33分47秒 | アメリカ
 日本国内では、ビル・アッカマン氏の名は、それ程には知られていないかも知れません。しかしながらここ数ヶ月の間に、同氏の名前を続けて二度目にすることとなりました。一度目は、イスラエル・ハマス戦争に際してハーバード大学に圧力をかけた人物として、そして、二度目は、時期アメリカ大統領選挙において現職のバイデン大統領を見限った人物として。それでは、ビル・アッカマン氏とは、どのような人物なのでしょうか。そして、同人物は、アメリカの政治における寄付問題を象徴しているようにも思えるのです。

 ビル・アッカマン氏、正式にはウィリアム・アルバート・アッカマン氏は、アメリカの運用会社であるパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であり、保有する純資産は3000億円を超えるとされています。もっとも、ビル氏一代で財を築いたわけではないようです。

 アメリカにおけるアッカマン家の始まりは、1887年の祖父のアブラハム・アッカマン氏のロシアからの移住に求めることができます。同氏はアシュケナージ系ユダヤ人ですので、当時、ロシア国内で吹き荒れていた‘ポグロム’から逃れるための移住であったのでしょう。次いで祖父のヘルマン氏の代になると、1926年に兄弟と共にアッカマン・ブラザーズという名の不動産投資会社を設立しています。同社が、今日のアッカマン・ツィフ不動産グループの母体となるのですが(サイモン・ツィフが同社に加わることで、1995年に社名を改名・・・)、三代目となる父親であるローレンス・D.・アッカマン氏は、長らく同グループトップの座にあって、不動産関係の金融商品の開発や住宅ローンの仲介業などを手広く手がけるのです。そして、ビル・アッカマン氏こそ、アメリカン・ドリームを体現し、億万長者への道を歩んできたアッカマン家の四代目と言うことになります。

 かくして、ビル・アッカマン氏は、巨額の資金をバックとして‘アクティビスト’として活動することとなります。‘アクティビスト’と申しますと、日本語ではしばしば‘物言う投資家’と訳されるため、企業の経営に積極的に口出しをする大株主という印象があります。しかしながら、アッカマン氏が‘物言う’のは、自らの投資先のみではありません。上述したように、同氏は、寄付や献金等を手段とするマネー・パワーを活用して、先述したように教育界にも口を出しますし、政界にも多大な影響力を発揮するのです。

 こうしたマネー・パワーを有する‘アクティビスト’の活動が、アメリカの民主主義を著しく歪めてしまう、あるいは、内部から破壊してしまうことは、言うまでもありません。何故ならば、マネー・パワーは、あくまでもその保有者の私的なものであって、民主主義と凡そ同義とも言える国民自治の精神に基づく公共性や公益性が欠けているからです。アッカマン氏を見ましても、その言動の根底には、自らがユダヤ人であり、イスラエル支持という同氏の属性に関わる個人的な信条があります。同氏が物を言う時には、自分あるいは自分たち以外の他の国民の考え、即ち、国民世論の動向などは全く頭にはなく、ひたすら自ら、あるいは、自らが属する集団の私的な意向や思惑を、他の国民全員に押しつけようとしているのです。そして、その最も簡単で効果的な方法が政治家を自らのコントロール下に置くことであるのでしょう。かくしてアッカマン氏は、寄付や献金等を手段として、アメリカ大統領の椅子にさえ、自らの都合の良い人物を座らせようとしているように見えるのです。

 同氏は、民主党のディーン・フィリップス候補のみならず、「共和党候補指名をトランプ前大統領と争うニッキー・ヘイリー元国連米大使、クリス・クリスティー前ニュージャージー州知事」をも支持していると述べていますので、民主党のみならず共和党にも‘保険をかけている’ことが分かります。言い換えますと、当選後に自らの意向を忠実に実行する候補者であれば、政党やイデオロギーには関係なく、誰でもよいのです。この両天秤は、二頭作戦の現れでもあります。

 加えて、選挙に際して候補者には莫大な費用が準備する必要がある現状が、‘アクティビスト’の発言力をより一層高める方向に作用しています。寄付や献金がなければ選挙に勝利できないのであれば、寄付者や献金者の要望を断れないからです。共和党の有力候補者であるトランプ前大統領も、イスラエル支持の立場を表明していますので、アメリカの政界は、アッカマン氏のみならず他のユダヤ系勢力のメンバーからの寄付や献金によって身動きがとれず、がんじがらめにされているのかもしれません。つまり、アメリカの政界は、今やユダヤ系のマネー・パワーに支配されていると言っても過言ではないのです(なお、この問題は、アメリカに限ったことでもない・・・)。

 アメリカ政治の現状は、‘自由で民主的な国’というアメリカのイメージが幻想に過ぎないことを示しています。そして、今日、理想と現実との乖離を目の当たりにして、アメリカ国民は、建国以来はじめて、真に自由で民主的な国の再構築という、構造的な改革を要する重大な課題に直面しているのかもしれません。そしてこの問題は、アメリカ国民の一員として、ユダヤ系の人々も共に考えるべきことではないかと思うのです。

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アメリカの大学に見る寄付問題-ユダヤ脅威論の自己証明?

2023年11月29日 11時42分40秒 | アメリカ
 寄付という行為は、一般的には、特定の活動をしている団体や個人への資金的なサポートを意味します。活動の理念や基本方針、並びに、具体的な活動内容に賛同し、善意で自らの資金を提供するというものです。慈善的なニュアンスが強いため、寄付に対しては多くの人々が好意的な印象を持つことでしょう。しかしながら、イスラエル・ハマス戦争を機に、寄付に対するイメージは脆くも崩れつつあります。

 事の発端は、アメリカの東部名門大学であるハーバード大学における、30ほどの学生団体によるイスラエルのパレスチナガザ地区に対する攻撃に対する非難声明の発表にあります。同非難声明については、アメリカ国内におけるイスラム系学生の増加に伴う親パレスチナ派の抗議活動とする見方もありますが、むしろ、大学生としてパレスチナ紛争の歴史的経緯を詳しく知るからこそ、イスラエルを非難したという側面がありました。「何もない状態で突如起きたわけではない」とした上で、「イスラエルによる暴力は75年間にわたり、パレスチナ人の存在に関わる全ての側面において構造化されてきた」と述べているのですから。学生達の非難には正当な根拠が認められるため、抗議活動は同大学を超えてコロンビア大学、スタンフォード大学、エール大学、並びにペンシルバニア大学など、他の大学のキャンパスにまで広がっていったのです。

 学生達の間からイスラエル批難の声が上がる一方で、大学側は、これに対して厳しい態度で臨みます。ユダヤ系学生に対するヘイトクライムに対する対応を根拠としながらも、ハーバード大学創立以来、初めて黒人系にして女性の学長に就任したクローディン・ゲイ学長は、ハマスによるテロの非人道性を強調し、イスラエルへの批判を封じ込めようとしたのです。ゲイ学長の声明には、元米国務長官にして元学長のローレンス・サマーズ氏、同校出身のマサチューセッツ州選出の民主党議員ジェイク・オーキンクロス氏、及び、ドナルド・トランプ前大統領からの、同学長の対応の緩さへの批判とイスラエル支持への圧力があったとされます。

 こうした政治家による大学への‘政治介入’も大問題なのですが、大学当局並びに学生達をより震撼させたのは、寄付者達からの‘脅迫’であったようです。各大学の高額寄付者には、ユダヤ系の富裕層や大企業のCEO等が名を連ねています。こうした人々の中には、イスラエル批判の声明に署名した学生の採用を拒否する方針を示す者が現れると共に、寄付の中止をも示唆したからです。ユダヤ系の人々からの寄付が途絶えれば大学の経営も傾きかねません。そこで、大学側も、こうした寄付者達の要求、すなわち、学生によるイスラエル批判の封じ込め要求を、大学側も無視するわけにはいかなかったのでしょう。

 
 そして、ここで問題になるのは、仮に寄付を受ける側が寄付者の意向に沿った行動を取らなければならないとすれば、それは、合法的な賄賂や買収、あるいは、公共物の私物化を意味するのではないか、と疑問です。アメリカの大学では、高額寄付者の子弟に対して特別入学枠を設けている点が、公平性を損なうとして批判されてきましたが、学長が、寄付者の要求に応じざるを得ない状況を齎すとしますと、大学の存在意義さえ失われかねないからです。

 寄付とは、冒頭で述べたように寄付者が寄付先を無条件で支援するという構図でこそ慈善行為となります。しかしながら、マネー・パワーによって主客が逆転し、寄付を受ける側が、寄付者の意向を忠実に実現する機関に出してしまいますと、大学の目的まで歪められてしまいます。そして、自由であるべき学究の場の私的利用や私物化が、学問の自由のみならず、言論の自由や表現の自由等を著しく損ねることは言うまでもありません。しかも、今般の介入は、国際紛争にあって、寄付先に所属するメンバー、この場合には自由意志で入学して学んでいる学生に対して、事実上、一方の側の立場のみの支持、あるいは、沈黙を強要しています。寄付者によるこの行為は、個人の政治的自由をも束縛することとなり、民主主義の危機をも招きかねないのです。さらに宗教対立が絡むとなりますと、信教の自由の保障も怪しくなります。また、ゲイ学長の就任にも、寄付者達の意向が働いたのではないか、とする私的人事介入の疑いも生じます。多くの人々は、大学は、マネー・パワーによって腐敗したと言うことでしょう。

 今般の事件が、ユダヤ系の富裕層のマネー・パワーとそのパワーの‘使い道’を人々にまざまざと見せつけたとしますと、ユダヤ脅威論を自ら証明するようなものです。陰謀論も絵空事ではなく、イスラエルによる国際法違反の行為さえ反ユダヤ主義の名の下で封じられるならば、その国の国民は、決して自由で民主的な国家で生きているとは言えないと思うのです。

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ロバート・ケネディJr候補の米軍撤退発言を推理する

2023年05月17日 13時17分44秒 | アメリカ
 2024年に予定されている次期大統領選虚を前にして、アメリカでは、既に熾烈な候補者争いが始まっているようです。現職が有利とは言え、バイデン大統領は高齢に加え、その政策運営にも党内での批判があり、必ずしもその立場が盤石にあるとは言い難い状況にあります。米NBCが公表した世論調査の結果では、回答者の70%がバイデン大統領の再選に対して否定的であったとされます。こうした中、民主党内で注目を集めているのは、ロバート・ケネディJr候補です。

 その名が示すように、ロバート・ケネディJr氏は、かの政治家一族ケネディ家に生まれ、暗殺に斃れたジョン・F・ケネディ氏の甥にしてロバート・ケネディ元司法長官の次男です。同氏が関心を集めている理由は、ケネディ家からの出馬というニュース性のみではありません。同氏への注目度の上昇は、同氏は、伝統的な民主党の基本方針、並びに、それを踏襲するバイデン政権とは真逆とも言うべき政策方針を示したことに依ります。例えば、半ば強制的なワクチン接種やワクチン後遺症についてもナチス的手法として批判しており、バイデン政権とは一線を画しているのです。そして、自らが大統領選挙に当選したならば、全世界から米軍基地を撤退させると言うのですから、驚かされます。

 この主張、共和党のドナルド・トランプ前大統領のものと見紛うばかりです。実際に、スティーブン・バノン氏はケネディ氏を共和党候補者として立候補すべきと主張していますし、同前大統領の政治顧問を務めたロジャー・ストーン氏も、トランプを大統領に、ロバート・ケネディJr氏を副大統領に据える正副大統領構想を明かしています。

米軍については、ロバート・ケネディJr氏は、「軍隊は国を守るという本来の役割に戻るべき。代理戦争をはじめとして、他国を空爆したり秘密工作をすることがあまりにも普通になってしまっている」とする踏み込んだ発言もしています。同発言からしますと、戦争を誘導するための‘秘密工作’がアメリカの手によって頻繁に行なわれていることとなり、いわば陰謀の実在性を認めたことになります。トランプ大統領の口から同様の発言があっても、多くの人々は話半分に聞いたかもしれませんが、政治の世界に精通している政治家一族、しかも、民主党員からの発言ともなりますと、その信憑性は否が応でも高まります。これまでトランプ前大統領を批判していた民主党員も立場がなくなってしまうことでしょう。それでは、何故、民主党員であるロバート・ケネディJr氏は、真っ向からバイデン政権と対峙したのでしょうか。

先ず考えられるのは、アメリカの世論が圧倒的にトランプ前大統領の方針を支持しており、ライバル政党から票を奪うために敢えて類似した政策を打ち出している、というものです。言い換えますと、民主党が自らの政権を維持するための偽装作戦と言うことになりましょう。現行のバイデン路線では次期大統領選挙には勝てないとする判断が、同氏をしてトランプ前大統領の持論とも言える米軍撤退を主張させたこととなりましょう。

第2の推測は、米軍撤退論は、ロバート・ケネディJr氏自身が自らの良心に誠実に従ってアメリカ国民の意を汲む、あるいは、米国民の世論を独自に分析した結果であった、というものです。同氏は、アメリカが超大国として牽引してきた戦後の国際体制の変換を目指し、アメリカ国民の負担を軽減すると共に、同国も他の諸国と同列となる新たな国際秩序を提案したのかもしれません。叔父のジョン・F・ケネディー大統領も父親のロバート・ケネディ元司法長官も凶弾に斃れており、命の危険を顧みずに自らの信じる道を貫こうとするのが、ケネディ家の人々の特徴であるのかもしれません。

そして、第3に推測されるのは、ロバート・ケネディJr氏の真の目的は、アメリカ国民ではなく、むしろディープ・ステート(世界権力)を護ることにあるというものです。何故ならば、同氏は、‘秘密工作’を実行している主体は、アメリカという国家であるとしているからです。この点については、ディープ・ステート論を唱えたトランプ前大統領とはいささかスタンスが違っているように思えます。ロバート・ケネディJr氏は、‘奥の院’とも表現されるディープ・ステート(世界権力)まで追及の手が及ばないように、アメリカに陰謀の罪を着せようとしているとも推測されます。

なお、この点に関連して注目されるのが、ロバート・ケネディJr氏のウクライナ紛争解決策です。同氏は、国境付近のロシア軍並びに核を搭載したミサイルを撤退させ、ウクライナの自由と独立を確保した後、同地帯には国連の平和維持軍をもって平和を保障すべきと述べています。トランプ前大統領は、国連をはじめとした国際機関については否定的な見解の持ち主でしたので、米ロによる首脳会談と言った国家間の外交を舞台とした解決を主張することでしょう。仮にロバート・ケネディJr氏が善意からウクライナ紛争からの撤退を主張しているならば、国際主義者としての民主党のポリシーを継承していることになりますし、ディープ・ステート(世界権力)の利益を慮っているならば、同勢力にコントロール下にあるとされる国連の権威や権限の強化に貢献しようとしているのかもしれません。

また、さらに穿った見方をすれば、同氏は、アメリカを超大国の座から降ろすことで、ロシア、あるいは、中国の優位性を高めようとしているとも考えられます。‘キング・メーカー’を自認するディープ・ステート(世界権力)は、未来の世界をロシアや中国に仕切らせ、自由や民主義といった価値観を葬り去りたいのかもしれないのです。

仮に、同氏が共和党に引き抜かれることなく民主党の候補のままに次期大統領選挙に臨むならば、トランプ候補対ロバート・ケネディJr氏の対決は、米軍撤退後の‘世界構想’をめぐる国家主義対国連主義の構図となる事態もあり得ましょう。何れにしましても、ロバート・ケネディJr氏の米軍撤退発言は、アメリカのみならず、国際社会が重大な転換点に差し掛かっていることを示しているように思えるのです(つづく)。

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