万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ミサイル実験は中東に飛び火する?

2009年03月31日 15時16分31秒 | 国際政治
北朝鮮の発射台にミサイル 米研究機関、衛星写真で確認(共同通信) - goo ニュース
 伝えられるところによりますと、今回の北朝鮮のミサイル実験には、イランからの視察団が臨席するそうです。単なる人工衛星の発射であるならば、イランからはるばる視察団が訪問するわけはありませんので、どう見ましても、これは、ミサイルの売り込みのためのショーと言えそうです。北朝鮮は、我が国への脅迫と武器輸出という二つの目的をもってこの実験を強行しようとしているようなのです。

 もし、北朝鮮がミサイル実験に成功するとしますと、イランはさらに軍事大国と化し、さらに、ミサイル搭載可能な小型核兵器を手にするとしますと、中東の情勢は一気に流動化します。イランという輸出先を確保した北朝鮮が、核開発の放棄を迫る六カ国協議に熱心に応じるわけもありませんし、最悪の場合には、核弾頭そのものがイランの手に渡る可能性も否定できません。この実験に対して、日米を含めた国際社会が融和的な態度をとるとしますと、その結果は、重大なことになりそうなのです。

 日本国は、北朝鮮がミサイル実験を行った場合には、単独でも経済制裁を強め、最大限、核やミサイルの拡散を防ぐべきと思うのです。第一次世界大戦がサラエボでの一発の銃声から始まったように、この事件は、極東のみならず、世界情勢を揺るがすことになるかもしれないのですから。

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ウォール街は”おもいやりの心”を

2009年03月30日 15時20分59秒 | 国際経済
ボーナスという責任 憤る世論を前に金融業界は――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 金融と他の産業との大きな違いは、金融の方が、失敗の連鎖性が極めて高いことにあります。一般の企業が倒産たり、経営が傾いても、その影響は限定されていますし、自己責任と見なされますが、金融の場合には、失敗すると一般の人々の生活まで巻き添えにしてしまうのです。

 金融危機の発生以来、金融業界は、世論の激しい批判を浴びているようです。前もって、この連鎖性をよく理解していれば、あるいは、投機的なマネー・ゲームに奔走することもなかったかもしれません。ウォール街の人々は、自分ひとりでゲームをしていたつもりが、実のところ、その後ろには、世界中の人々が連なっていたのですから、負けた時の責任は重大です。誰ひとり顔見知りではなくとも、ゲームに興じる人々は、他の人々の生活をも背負っていたのです。

 ウォール街の人々は、世論の怒りを受け止め、今後は、他の人々のことを考え、責任感をもって行動すべきと言うことになりましょう。ほんの少しでも他者に対する”おもいやりの心”があれば、金融危機は防げたかもしれないのですから。

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世襲リスクへの対応が先では

2009年03月29日 13時22分43秒 | 社会
英王室、男女問わない「長子継承」への変更検討を開始(読売新聞) - goo ニュース
 イギリスのみならず、日本国でもつい数年前に皇室典範の改正が検討されたことがありました。王室や皇室というと、すぐに継承順位が問題として挙げられるのですが、現代という時代における世襲には、以下のような問題点があるようです。

(1)君主の資質・能力
 世襲となりますと、必ずしも君主としての資質や能力を備えた人がその位に就くとは限りません。そこで、君主には資質や能力が必要か否かの議論と、もし、資質や能力が必要でありながらそれを欠く場合、継承順位を変える仕組みを設けるか否かの問題が提起されることになります。

(2)君主の婚姻
 世襲制であっても、継承者の婚姻によって、半分は別の家の血統が加わることになります。現在では、継承者の自由結婚が認められるようになりましたが、古来、婚姻は、国家権力の乗っ取りや、内乱の原因ともなってきました。現在にあっても、東宮家では婚姻による混乱が起きており、この問題が過去のものではないことを物語っています。このことから、継承者の婚姻の自由は、どこまで許されるのか、外戚には権利があるのか、あるいは、配偶者の義務不履行を認めるべきか、という問題が提起されます。もし、何の制約もかけないとしますと、君主は数代で一般国民と同列になり、存在意義が薄れてしまうことになりましょう。

(3)継承権の放棄の自由
 君主の家に生まれた場合、自動的に将来の地位が定まるわけですが、これには、本人の意思が介在していません。もし、君主に婚姻ほどの自由を認めるならば、自発的な継承権の放棄もゆるすべきとなります。ここにも、君主の継承権放棄の自由を許すか、否かという自由の問題が見えます。

(4)国民の拒否権
 世襲制と民主主義との関係で問題となるのは、国民が、君主を選べないことです。厳格に継承法を規定すればするほど、国民の選ぶ余地は失われてゆくことになります。身勝手で、特権ばかりを主張する君主が登場した場合、国民に拒否権を認めるか否かも議論の課題となりましょう。

 問題点はこれだけではありませんが、現代という時代は、君主と国民とのそれぞれに、世襲にまつわる重大問題を投げかけています。こうした基本的な議論を経ずして継承法を改正しても、混乱要因はそのまま残ることになりましょう。まずは、制度の根本問題から議論を始めるべきではないか、と思うのです。

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時効は撤廃できるのでは?

2009年03月28日 12時44分09秒 | 日本政治
殺人の時効40~50年に延長案…法務省中間報告(読売新聞) - goo ニュース
 世論調査でも殺人時効撤廃の賛成派は多数を占めており、多くの人々が、人の命を奪った罪は、時が経過しても消えることはないと考えているようです。その一方で、法務省の側は、時効の延期で対処する方針らしく、40年から50年の延長案が提案されていると報じられています。

 延長案が提案された理由は、捜査当局が、永久に事件の記録や証拠品を保管することは、困難であるということらしいのですが、この問題は、現在の記録保存システムを用いれば、いとも簡単に解決すると思うのです。何故ならば、現在では、文章は、昔のように書類の束をファイルして保存する必要はなく、わずか数ミリの記憶媒体で膨大な量の文章を保存できるからです。また、DNA鑑定の結果も、同様の方法でデータとして保存することができます。さらに、物証にしても、デジタル写真として保存すれば、永遠に記録として残すことができましょう(もちろん、後に改竄されないための措置が必要ですが・・・)。残る捜査の継続については、義務的な捜査期間にのみ期限を設けるという方法で対処することもできます。

 そもそも、時効の制度とは、所有権などの権利関係の安定のために設けられた制度であることを考えますと、殺人のみならず、刑法全般において時効は撤廃しても構わないのではないかと思うのです。

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北朝鮮の”衛星打ち上げ”―隠すより現る

2009年03月27日 15時49分41秒 | 国際政治
「衛星打ち上げ」でも安保理決議違反…英も日米韓に同調(読売新聞) - goo ニュース
 ”隠すより現る”ということわざがあります。これは、秘密や隠し事とは、隠そうとすればするほどに周囲から怪しまれて、かえって真実を現わしてしまう、という意味です。北朝鮮の様子を見てみますと、このことわざが思い起こされるのです。

 北朝鮮は、ミサイル実験を強行するらしく、既に、発射台には「テポドン2号」が設置されていると報じられています。しかも、ミサイルの先端はカーテンのような覆いで隠されており、北朝鮮が主張するように、実際に人工衛星が搭載されているのか、視覚で確認することができないそうです。ここから、少なくとも一つの事実を読み取ることができます。それは、北朝鮮は、国際社会を欺く意図をもっていることです。もし、人工衛星を打ち上げるつもりであるならば、ミサイルの先端を隠す必要は全くないからです。たとえ本当に衛星を搭載していたとしても、この行為は極めて不自然であり、北朝鮮は、自らが国際社会を騙す国家であることを証明したようなものです。

 北朝鮮は、隠せば隠すほど、自らの信頼性が失われてゆくことに気付いていないようです。 

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ミサイルはピストルの弾より撃ち落としやすい

2009年03月26日 15時42分07秒 | 国際政治
「ピストルの弾同士、難しい」 鴻池氏、迎撃困難の認識(朝日新聞) - goo ニュース
 ミサイル迎撃が難しいことの喩として、しばしば、ピストルの弾が引き合いに出されます。しかしながら、ミサイルとピストルの弾とは、随分と違うと思うのです。

 第一に、ピストルは、一瞬のうちに相手方に到達しますが、ミサイルには、数分であれ、飛行時間があります。つまり、この飛行時間は、迎撃のチャンスが数分の間であれ、確保できることを意味しています。

 第二に、私は、軍事の専門家ではありませんが、ミサイルには、軌道制御が加えられていると考えられます。イージス艦のレーダーは、このミサイルの軌道を読むことで迎撃目標を捉えることができるのです。ピストルの弾には、こうした制御された軌道はありません。

 第三に、迎撃ミサイルには、相手ミサイルの熱放射に反応するシステムが備えられていることです。つまり、迎撃目標のミサイルを追いかけることができると考えられるのです。ピストルの弾にはこうした装置はありません。

 以上の点から考えますと、ミサイル迎撃は、ピストルの弾を当てるよりも容易なのではないか、と思われるのです。

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そら恐ろしい中国空母「日本平定」の登場

2009年03月25日 15時29分30秒 | アジア
空母の名称は「日本平定」?=ネットで提案相次ぐ-中国(時事通信) - goo ニュース
 チベット弾圧、長野の聖火リレー、毒入り餃子事件など、中国が当事者となる深刻な事件が相次ぎ、日本国においても、中国に対する非難と不信感が高まり、対中感情は必ずしも良好とは言えません。とはいえ、中国の行為を厳しく咎めても、日本国内には”中国を平定しよう”いった主張は皆無です。

 その理由は言うまでもなく、現代という時代にあって、中国を平定することは侵略行為であり、もし実際にこれを実行すれば、国際社会から”侵略国家”の烙印を押されてしまうからです。そもそも”平定”は禁止行為なのですから、口にするのも憚られるのです。これは、突然に、”これからあの家を占領するぞ”、と言ったら、名指しされた家の人々が、驚くのと同じです。一般社会にあっても、軽々しく犯罪を宣言すれば、当然に警戒され、要注意人物と見なされることになりましょう。

 実際に、中国の空母の名に「日本平定」が採用されるとは思いませんが、平気でこの言葉を口にする感覚が、何とも空恐ろしさを感じさせます。中国の人々は、この名の提案によって、日本国民がどのように感じるのかを考えもせず、つい本音の野望を顕わにしたのかもしれません。日中友好のスローガンは、空しく響くのみです。

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ミサイル迎撃技術―技術者魂を燃やしてほしい

2009年03月24日 15時59分40秒 | 国際政治
ミサイル迎撃、外相「難しい」政府筋「当たらない」(朝日新聞) - goo ニュース
 確かに、ミサイルの迎撃は、簡単なことではないかもしれません。しかしながら、悲観ばかりもしていられません。技術の確立が困難な道であればある程、研究・開発に携わる方々には、ぜひ、技術者魂を燃やしていただきたいと思うのです。

 現在、この世に存在している技術の殆どは、昔の人々にとっては、不可能とされてきたものばかりです。 音速を超すような空飛ぶ機械が登場しようとは、つい百年前の人々は、思いもつかなかったはずです。しかしながら、人間は、限界という立ちはだかる壁を技術力によって乗り越えてきました。否、限界があるからこそ、それに挑もうとするのかもしれません。ミサイル防衛技術もまた、技術者たちの忍耐強い努力によって、いつかは、ミサイル攻撃を無力化する力を発揮するかもしれないのです(レーザー光線による迎撃技術も含めて・・・)。

 北朝鮮が発射するミサイルを100%の確率で迎撃できるとは、現時点では、言いきれないかもしれません。しかしながら、たとえ今回は迎撃に失敗したとしても、それを糧として、一歩でも研究を前に進めていっていただきたいと思うのです。国際の平和は、実に、ミサイル防衛技術の確立にかかっているといっても過言ではないのですから。

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BIS規制は平時の規制

2009年03月23日 14時52分41秒 | 国際経済
優良企業からも貸しはがし 資本が毀損した大手行の綱渡り(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 BIS規制の目的とは、銀行の過剰貸し出しによるリスクを低減させ、健全な融資状況を維持することにありました。このため、特に国際業務を行う金融機関は、8%という高い自己資本比率が設定されています。しかしながら、金融の安定化を狙った規制でありながら、金融危機という非常事態にあっては、BIS規制は、むしろ、リスク増幅の逆機能として働いているようなのです。

 それは、株式市場も低迷し、金融秩序が不安定化すればするほど、自己資本比率を維持することが困難となり、銀行は、自己保身のために、不良債権化の心配のない優良企業に対してまで貸しはがしを行うようになるからです。この行為は、当然に企業の資金調達を難しくし、景気の足を引っ張る結果を招きます。BIS規制は、金融の安定化どころか、不安定化要因となってしまうのです。

 金融市場における規制を考える場合には、もしかしますと、”平時”と”危機”とに分けるべきなのかもしれません。危機的な状況にあって、平時の規制をそのまま課しますと、さらに状況を悪化させることもあります。BIS規制については、緊急避難措置を認めるなど、内容を再考してみる必要があると思うのです。

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外国人排斥―人を物扱いした結果

2009年03月22日 12時54分41秒 | 国際経済
雇用に保護主義台頭、英・米・豪・アジアで「外国人排除を」(読売新聞) - goo ニュース
 金融危機が発生するつい半年前までは、イギリスなどの積極的な移民受け入れ政策は、先進国のモデルの如くに持て囃されたものです。しかしながら、不況が蔓延する今となっては、このモデルも、”あだ花”であったのかもしれません。

 移民促進政策が失敗したそもそもの原因は、”人が人である”という当然の事実を忘れていたからのように思います。この政策を支持する人々は、労働力としての人を、まるで、財や資本と同じように、足りなければ外国から調達すればよい、と安易に考がえていた節があります。”新自由主義”と呼ばれた政治家が、「1000万人移民計画」といった亡国の政策を平気で口にするのも、その根底には、人を物扱いする思想があったからに他なりません。それが、政治的、あるいは、社会的に何を意味し、どのようなマイナス影響があるのかについては思い至っていないのです。

 外国人が、自国民の職を奪う存在として意識されるようになりますと、国民の多くが、自己防衛の本能から雇用の保護を訴えるようになることは、当然、予測され得る成り行きと言えます。政治家は、不況時を見越し、長期的な視点から政策を立案しませんと、自国民と外国人の両者を不幸にしてしまう結果を招きかねないのです。人はあくまでも政治性や社会性を背負った人であり、物扱いしてはならないと思うのです。

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誰が中国のミサイルを抑えるのか

2009年03月21日 12時38分05秒 | 日本政治
北ミサイルで「冷静対応を」=中国国防相、日本にも懸念(時事通信) - goo ニュース
 北朝鮮のミサイル発射予告について、中国は、日本国に対しても暗にミサイル迎撃を自粛するように求めたと言います。北朝鮮のミサイルもさることながら、実のことろ、我が国の最大の脅威とは、中国のミサイルであることも忘れてはならないと思うのです。

 アメリカのオバマ政権は、ロシアとの間では、核やミサイルの削減交渉に入るつもりであると報じられています。しかしながら、中国との間で同様の交渉がもたれるというお話は聞こえてきません。アメリカにとっても、中国が保有する核弾頭搭載可能な大量の弾道弾ミサイルは、本土防衛の文脈においても最大の脅威なはずにもかかわらず・・・。

 日本国政府は、中国に対しても、ミサイル削減を強く要求すべきでしょうし、また、あらゆる角度からの迎撃体制の構築とより高い精度を持つ技術開発を急ぐべきでもありましょう。北朝鮮のミサイル実験は、一過性の事件ではなく、我が国の防衛体制そのものの問題であると思うのです。

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国民にも悪法に対する拒否権を

2009年03月20日 15時16分09秒 | 日本政治
「悪法」推進議員は誰だ!(1)  八木秀次(高崎経済大学教授)、花岡信昭(ジャーナリスト)、百地 章(日本大学教授)(Voice) - goo ニュース
 国会議員も法案の内容がよくわからず、国民の多くも反対する法案が通過するということは、民主主義を蔑にした暴挙なのかもしれません。議会を舞台に立法の仕組みができた背景には、”このような法律があればよいのに・・・”という国民の側からの立法要請がありました。議会立法の原点に返ってみれば、日本国で見られる立法の風景は、上から悪法を押しつけであって、一部の人々しか望んでいない法案がいとも簡単に制定されてしまうのです。

 それでは、この悪弊は、どのようにしたら防ぐことができるのでしょうか。最も効果的な方法は、やはり、国民投票や国民発案の導入ではないかと思うのです。国民投票の場合には、国民の権利や義務、あるいは、国籍や家族といった国民に直接かかわる法案については、国民多数の承認がなくては法案が成立しないようにするのです。また、国民発案の場合には、国民の○○%以上の賛成がなくては、法案を国会に提出できないとすれば、国民多数が反対する法案は制定できなくなります。

 国会議員や官僚の方々が、議会制民主主義を履き違えていることが最大の原因なのですが、現状のままでは、民主主義や人権尊重の名の下で、国家の破壊による混乱や国民監視体制が成立しそうで心配な限りです。悪法に対しては、国民も、拒否権を持つべきと思うのです。

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伴大納言絵巻が語る激動の政治史

2009年03月19日 12時09分31秒 | 日本政治
 『伴大納言絵巻』という平安時代末期、後白河法皇のサロンで制作された一本の傑作絵巻があります。この絵巻は、貞観八年(866年)閏三月十日に大内裏の正門、応天門が焼けた事件を発端として、その年の八月に、あろうことか当時、大納言という高位にあった伴善男が放火犯として逮捕されるという、平安政界の一大疑獄事件を扱ったものです。
 ところで、この絵巻には、大きな謎があるとされてきました。清涼殿の東庭に一人佇む衣冠束帯の後姿の人物が、誰であるのかわからなかったのです。また、絵巻の主人公である伴大納言の姿が、何故か不思議なことに描かれていません。
 私の姉は、絵巻の謎解きを試み、昨今、『古代史から解く 伴大納言絵巻の謎』(勉誠出版 2009年)を出版いたしました。応天門の変を契機に、当時太政大臣であった藤原良房が摂政に就任し、時代は、摂関政治の成立へと進んでゆきます。この書は、絵巻の謎解きのみならず、日本の政治史上における重大事件、すなわち摂関政治の成立についても新たな説を提示しており、政治好きの方々にも、興味深く読んでいただけるものと思います。姉の研究の紹介となり、心苦しい限りですが、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。

古代史から解く伴大納言絵巻の謎
倉西 裕子
勉誠出版

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国債を流通させるというアイディアは?

2009年03月18日 16時24分47秒 | 日本政治
政府通貨は見事な政策:若田部昌澄(早稲田大学教授)(Voice) - goo ニュース
 金融危機と財政危機の両面から、政府紙幣や無利子国債などのアイディアが、非常手段として提案されているようです。ところで、奇策を競うならば、国債を流通させるという案はいかがでしょうか。

 もとより、紙幣誕生の過程にあって、商人たちによって支払いを保証された債権や手形が、半ば”紙幣”として使用されていたという歴史があります。この方法は、金貨や銀貨の不足が、取引の減少を招来することを避けるための苦肉の策でもありました。しかしながら、この方法が用いられるようになると、市場における債権や手形の流通が、商人間の取引の拡大に大きく貢献することになったのです。国債とは、政府の償還と利払いが約束された債券であって、極めて高い信用力を持ちます。国債の信用度を考えますと、何の保証もなく発行される政府紙幣よりも、はるかに安全に”紙幣”の役割を果たす可能性を秘めているのではないでしょうか。

 国債の流通化を図るには、法整備が必要なのかもしれませんし、流通するとなりますと、利払いの問題が煩雑になります。しかしながら、奇策ではありますが、検討にあたいするアイディアかもしれないと思うのです。

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”神の見えざる手”は強欲な者を見放した?

2009年03月17日 15時53分40秒 | 国際経済
オバマ大統領、AIGの高額ボーナス支給撤回求める(朝日新聞) - goo ニュース
 アダム・スミスの言葉として知られる”神の見えざる手”は、自由放任主義を擁護する言葉として理解される傾向にあります。しかしながら、スミス自身は、『道徳感情論』を執筆するほど、モラルには人一倍敏感な人物であり、『国富論』も重商主義への批判が中心テーマとなっています。

 こうしたスミスの思考的背景を考えますと、”神の見えざる手”が働くには、モラルという前提があったのかもしれません。実際に、今回の金融危機は、金融の世界におけるルールやモラルなき”レッセ・フェール”が行き着いた先とも言えます。人々が欲に任せて行動した結果、そこには、地獄への入口が、ぽっかりと口を開けて待っていたのですから、神の計らいで天国に行けると信じてきた人々は、さぞや驚いたことでしょう。

 モラルを持たない人を神を信じない人と言い換えるならば、神は、神を否定した強欲な人々に、救いの手を差し伸べなかったのかもしれません。

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