今般の新型コロナウイルス対策の反省点を踏まえ、日本国政府は、「健康危機管理庁」なる行政機関を創設する方針のようです。来年の通常国会での法案提出を目指しているそうですが、この案、空恐ろしい気がいたします。
政府による表向きの説明は、新たに出現する感染症に迅速に対応するための司令塔の設置です。現行の組織では、内閣官房の「新型コロナ感染症対策推進室」と厚生労働省の「対策推進本部」に分かれており、両者を統合すれば、指揮命令系統が一本化されるというものです。政府は、デジタル庁の創設時に際しても全く同様の説明をしておりますので、‘統合による迅速化’は、新たな中央集権的な組織改革を実行する際の常套句なのでしょう(独裁体制化?)。しかも、‘司令塔’という呼称からも伺えるように、政府は、感染症を戦争に匹敵する‘有事’と見なしています。確かに、有事に際しては、指揮命令系統の一本化は迅速性において優るものの、中央集権体制の構築が真の狙いであって、感染症対策は口実であるという疑いが、どうしても拭い去れないのです。
国民が気が付かぬうちに日本国の国制が独裁体制に近づいてしまうというリスクの他にも、「健康危機管理庁」には、幾つかの疑問点があります。第1に、何故、常設の機関とするのか、その必要性に関する説明が不十分です。新型コロナウイルス以前にあって地球規模でパンデミックが起きたのは、スペイン風邪です。凡そ100年ほど前の出来事なのですが、過去の歴史を振り返りますと、パンデミックはおよそ一世紀に一回ほどしか起きてきませんでした。しかも、今般の新型コロナウイルスはスペイン風邪よりも軽度です。仮に、近い将来、新たな脅威となる感染症が出現しなかった場合、同庁は、暇を持て余すことになりかねません。この点、急速に陰謀論が信憑性を増しているのも、サル痘といった不自然な感染症の流行が報告されているからなのでしょう。
そして、第1の疑問点に関連して第2に疑問となるのは、「健康危機管理庁」が常設機関として構想されているならば、その真の姿は、’ワクチン庁’なのではないか、というものです。同庁創設の目的には、ワクチン接種体制の構築もあるのでしょうが、この作業自体は、必ずしも常設機関を要するわけではありません。となりますと、常設機関とした背景には、ワクチン接種の恒常化とそのデジタル管理が推測されるのです。近年、日本国政府はデジタル化に向けて邁進してきましたが、新型コロナウイルスワクチンのみならず、様々な感染症のワクチン接種状況がデータとして収集され、近い将来、政府によるワクチン管理社会が出現するかもしれません。政府にとりまして不都合な国民に対しては、ワクチンの接種が強制されるという忌まわしい光景も頭をよぎります。
第3に、同庁の設置が恒常的なワクチン接種体制を前提としているならば、国民にとりましては、命に係わる危険性を有するものとなりましょう。当初の政府説明とは異なり、今般の新型コロナウイルスワクチンには期待されるほどの感染予防の効果はなく(時間の経過とともに激減…)、接種者でも死亡例がありますので、必ずしも重症化を防ぐわけでもありません。否、接種後の死亡例の報告は1500件を超えると共に、ワクチン後遺症に苦しむ国民も少なくないのです。mRNAワクチンは、十分な安全性の確認作業を経ずして緊急承認されましたが、今後とも、政府によって、安全性が十分に確立されていないワクチン接種の誘導または強要される可能性があります。ワクチンに対する風向きが変わり、世論も批判的な傾向が強まる中、同庁の設立案について国民の多くが不安を覚えることでしょう(政府に殺されてしまう、あるいは、生殺与奪の権を握られてしまうかもしれない…)。
そして、第4に指摘できるのは、この動きは、世界戦略の一環である可能性です。アメリカのバイデン大統領は、5月23日に訪日した際に、日米首脳会談後の記者会見の席で、日本版CDCの設立を表明しています。唐突に公表された「健康危機管理庁」とは、実のところ、アメリカの要請に応じたものであり、それは、おそらく、アメリカ、否、その背後に同国のCDCをもコントロールする超国家権力体の意向に沿うものなのでしょう。つまり、日本国の統治機構は、世界支配のためのグローバル機構に密かに組み込まれる、あるいは、’統合’される寸前であるのかもしれません。
以上に述べた疑問点からしますと、「健康危機管理庁」の創設案については、再検討を要するのではないでしょうか。「健康危機管理庁」の出現こそ、国民にとりましての最大の危機なのかもしれないのですから。