世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
「民族政策は正しい」と総括=敵対勢力の浸透に警戒も―中国(時事通信) - goo ニュース
香港で民主派デモが発生している中、中国の習近平主席は、建国以来の共産党による「民族政策は正しかった」と総括した報じられています。この総括に同意する国は、中国以外は殆ど存在しないのではないでしょうか。
中国が65年間にわたって遂行してきた”民族政策”なるものが、今日、国際条約で禁じられている”民族浄化政策”であったことは疑いなきことです。中国政府の武力弾圧を受けて犠牲となったチベット人やウイグル人等の数知れず、現在では、一部、漢民族との婚姻奨励政策といったソフト路線が見られるものの、これもまた巧妙な”民族浄化政策”であることには変わりはありません。中国国内では、情報統制が徹底されていますので、苛烈を極めた異民族弾圧の実態を知る国民も限られているのでしょうが、少なくとも、中国共産党の幹部は、この事実を知りすぎるほど知っているはずです。胡錦濤前主席はチベット、そして、習近平現主席はウイグルに対する弾圧政策の張本人であると共に、その功績が認められて主席の座に上り詰めたのですから…。「民族政策は正しかった」とする発言は、100%の自己評価でしかないのです。そしてそれは、”邪魔者や抵抗する者を暴力で排除することは正しい”とする中国共産党の価値観を表してもいます。中国にとって、”正しさの基準”とは、マキャベリズム以上に徹底した合目的性にあり、共産党支配の徹底のためには、道徳も倫理も合法性も問われないのです。
習主席の自己礼賛は、人類の未来に対する暴慢な”宣戦布告”でもあります。香港では、将来を憂いた多数の若者達が民主派デモに参加しておりますが、中国の台頭による民族浄化の是認、法を無視した暴力主義の蔓延、そして経済力にものを言わせた賄賂による内政干渉は、全ての諸国から未来を奪います。香港での抵抗運動は、我々一人一人にとっても、決して他人事ではないと思うのです。
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民主派、繁華街も占拠=街頭行動が拡大―香港(時事通信) - goo ニュース
香港において参加者8万人にまで拡大してきた選挙制度改悪に反対する民主派デモは、本日未明、香港警察による催涙ガスの使用により、強制排除を試みたと報じられております。当局は否定しているものの、現地では、香港駐留人民解放軍の投入の噂も広がっているそうです。
抗議デモの発端となった行政長官選挙制度の改革は、北京政府によって、香港の民主主義を葬り去る意図を以って決定されたことは確かなことです。中国では、民主化が進展するどころか今や風前の灯であり、冷戦時代に譬えれば、東側にあって唯一、民主主義と自由の砦であった西ベルリンが陥落し、東側に吸収されてしまうようなものです。中国大陸から民主主義と自由の灯が今まさに消えようとしているにも拘わらず、国際社会の反応は冷淡すぎます。
日本国では、本日、臨時国会が召集されましたが、安倍首相は、所信表明演説において「安定的な日中関係の築いていく」と述べ、早期の日中首脳会談にも意欲を示したそうです。しかしながら、香港の惨状を見ますに、香港返還時の約束を反故にし、民主主義を否定する国と安定的な友好関係など構築できるはずもありません。中国に対して、香港での民主派デモに対する暴力による弾圧を止め、香港の人々の声に耳を傾けるよう訴えることこそ、アジアにおける日本国の役割なのではないかと思うのです。
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中国外相が国連で安倍政権批判「歴史は作り替えられない」「日本の侵略で死傷者3500万人超」(産経新聞) - goo ニュース
国連総会の壇上で、中国の王毅外相は、過去の歴史に関して日本国の”侵略”を批判すると共に、「テロとの戦いに二重基準があってはならない」と述べ、ウイグル人の抵抗運動をテロとして弾圧する方針への理解を求めたと報じられております。
ところで、先日のブログでも指摘したのですが、共産党の”暴力装置”であった人民解放軍こそ、王外相がテロ組織として批判したISISに近似しております。上記の演説で王外相は、第二次世界大戦において、「日本の軍国主義者による侵略で、中国の軍人や民間人に3500万人以上の死傷者が出た」と訴えておりますが、3500万といった数字を”事実”と断言する態度には驚くばかりです。国共内戦にあっては、両軍による死傷者の数は日中戦争を上回ったと指摘されており、1995年に江沢民氏によって発表された中国側の数字は、日中戦争と内戦とを区別していないとされています。1946年の時点では、国民革命軍に限定した数字であれ、中国側の被害は凡そ132万人と発表していましたので、犠牲者が3500万人という数に膨れ上がった理由は、内戦による被害者を加算したからではないか、と推測されています。そして、この内戦にあって、共産党の私兵に過ぎなかった人民解放軍は、革命の理想を実現するために、民間人、特に”人民の敵”の烙印を押した人々をも暴力で一掃したのです。イスラムの理想を掲げてテロを繰り返しているISISと大差はなく、”二重基準があってはならない”ならば、自らもテロリストであった歴史を反省すべきなのではないでしょうか。
国共内戦の混乱に乗じて、中国が、東トルキスタンを謀略を以って不法に併合したことも歴史の事実です。王外相は、日中戦争に関して”「何が善で何が悪か」の審判も出ていると言明した”とも報じられていますが、今後、真の歴史の審判を受けるのは、中国なのではないでしょうか。
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中国主席、台湾の野党党首に「一国二制度」提起(産経新聞) - goo ニュース
中国の習近平主席は、台湾の野党党首等との会談において、就任以来、初めて「一国二制度」を提案したと報じられております。この提案、時期を考えれば、悪い冗談としか思えません。
台湾の総統府は、報道官を通して即座に拒絶するコメントを公表したそうですが、それもそのはずです。何故ならば、「一国二制度」の下で民主的な政治制度の維持が約束されていた香港では、今この時、返還以来、最大の危機を迎えているからです。非民主的な方向への改悪を狙った選挙制度改革法案に対して、香港の学生達は、「僕たちの未来は僕たちが奪い返す」をスローガンに抗議運動を展開しております。本日のニュースによれば、大学生のみならず、中高生も授業ボイコットに参加したものの、警察との衝突によって負傷者や逮捕者も出たと報じられており、学生達の身が案じられます。習主席は、「十分に台湾の現実を考慮する」と述べた上で「一国二制度」に言及していますが、考慮すべき現実とは、香港におい、目下、民主的選挙制度を護るために大規模な学生運動が発生し、台湾にあっても、貿易・サービス協定の締結に反対した学生による激しい抵抗があったことではないでしょうか。どちらも表面的には学生による運動ですが、香港の、そして、台湾の人々の民主主義の堅持を望む願いが込められています。この現実を直視すれば、「一国二制度」など、到底、言い出せないはずです。既に、この言葉が、耳触りの良い甘言であることが”ばれ”ているのですから。
中国は、香港において「一国二制度」の正体を顕してしまいました。中国の最終的な目標が、中国共産党による一党独裁の拡大であることが判明した以上、誰もこの提案には耳を貸さなくなるのではないかと思うのです。
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橋下市長がヘイトスピーチ批判「ひきょうで格好悪い」(朝日新聞) - goo ニュース
近年、日本国では、”ヘイトスピーチ問題”が議論されるようになりました。”ヘイトスピーチ問題”とは、狭義には在日韓国・朝鮮人に対する”抗議デモ”や批判的発言を意味しています。
日本の立場を擁護する側は、これらの活動は単なる民族差別ではなく、戦後、在日韓国・朝鮮人に与えてきた様々な特権、犯罪率の高さ(一般日本人に対する加害行為…)、拉致事件を含む反日活動を背景にしており、これらの抜本的な見直しと是正を求める政治的要求であると主張しています。その一方で、在日韓国・朝鮮人、並びに、その支援者である左翼言論界の人々は、デモを含めた批判者の言行が、国際人権条約等で云う特定の民族に対する民族差別やヘイト・クライムに当たるとして法規制を求めてきました。活動の本質において、双方の理解がは異なっているのです(政治的要求vs.民族差別)。こうした中、大阪市長の橋下氏は、記者会見の席で「公権力を持たない人たち(在日韓国・朝鮮人)を攻撃するのは、ひきょうで格好悪い」と述べ、抗議の先は日本政府であるべきと述べたと報じられています。この発言、表面的には在日韓国・朝鮮人側に寄っているように聞こえるのですが、実際には、”ヘイトスピーチ”なるものが、民族差別ではなく、政治的要求であることを認めたことになります。つまり、政治的要求vs.民族差別の論争では、前者であるとの判断を示しているのです。先日、CNNでもこの問題が報じられたそうですが、抗議デモの要求は”国交断絶”と説明していました。
暴力団の組員の多くが在日韓国・朝鮮人であり(本国の犯罪組織とも連携…)、また、マスコミをはじめ陰に日向に日本国の政治、経済、社会等に反日勢力として影響を及ぼしている現状を見ますと、直接に訴える必要性がないとは言い切れませんが、少なくとも、正当なる政治的要求である限り、批判を法的に封じることは憲法上の許されないはずです(従来は暴力と脅迫によって封じられてきた…)。今後は、法規制とは逆に、政治問題として、オープンに議論してゆくべきではないでしょうか。
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中国への返還以来、一国二制度を採用してきた香港。ところが、中国の北京政府側が、行政長官選挙において候補者を制限し、事実上、民主派勢力からの立候補者を締め出す制度改革を押し付けようとしたことから、香港では、学生らによる抗議運動が続いています。
天安門事件以来、初めて発生した民主化を求める学生運動でありながら、日本国のメディアの多くは、この運動を比較的小さくしか扱っていません。しかしながら、香港の学生運動は、中国の将来をも左右しかねない重大な事件です。何故ならば、北京政府は、学生の要求受け入れるにせよ、弾圧するにせよ、どちらをとりましても苦境に陥るからです。仮に、中国側が学生の抗議運動に理解を示す形で選挙制度改革を諦めるとしますと、学生による民主化運動は、中国全土に波及する可能性があります(少なくとも、民主化への希望を与える…)。このシナリオは、日本国を含む国際社会にとりましては望まし展開ですし、中国は、イギリスからの返還時の約束を順守し、香港の民主的な制度を維持するべきです。その一方で、中国の北京政府にとりましては、”目の上のたんこぶ”である香港の民主的制度が存続するのみならず、保守派からの批判を受けて習政権の基盤を揺るがすことになるかもしれません。また、中国政府が香港の学生運動を暴力で押しつぶそうとしますと、これは、天安門事件の再来となります。仮に、学生達に死傷者が発生する事態ともなれば、国際社会が黙っているわけはありません。厳しい経済制裁が課せられることで、中国経済は、一気に失速してゆくことでしょう。
マスコミ各社が香港の学生運動を積極的に報じることは、民主主義を守るために命がけで抗議を続けている香港の学生達を護ることでもあります。国際社会が注目していれば、さすがの北京政府も、無防備な学生達に危害を加えることはできないことでしょう。国際社会、並びに、国際世論は、間接的な手段であれ、香港の学生達をサポートすべきではないかと思うのです。
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シリア空爆最大規模、「世界が結束」米強調(読売新聞) - goo ニュース
古今東西の歴史書の多くは、武装した一団が暴力で勢力範囲を広げ、やがて国家を建設するというストーリーを語っています。近現代においても、武力による建国は過去に葬り去れてはおらず、今なおも国際社会を揺るがしています。
昨日、アメリカのオバマ大統領は、イスラム原理主義武装勢力であるISISを壊滅に追い込むために、シリア空爆の実施を表明しました。中東では、ISISに占領された地域が広がっており、ISISは、支配地域の住民に対してあたかも”国家”の如くに振る舞っています。現代における武装勢力の存在を考えるとき、看過できないのは共産軍の存在です。共産軍とは、共産主義を信奉する人々が結集し、武力を手に共産国家建設のために闘った武装勢力です。ISISはイスラム原理主義の組織ですが、宗教とイデオロギーの違いはあるものの、両者とも、特定の思想を紐帯として暴力を手段に国家権力を掌握しようとしたことにおいて共通しています。どちらも、正規の軍隊ではないにも拘わらず…。中華人民共和国は、1949年10月に、共産軍である人民解放軍が、中華民国軍との内戦に勝利して建国した国です。共産軍との共通性を考えますと、ISISは、決して侮れない存在なのではないかと思うのです。アメリカと共に中東諸国が結束してISISとの戦いを表明しているのも、おそらく、歴史上の前例を怖れてのことかもしれません。
武装勢力による国家建設の問題は、古くて新しい問題です。現在、ISISに対しては武力制圧が選択されましたが、今後とも、国際社会は、こうした問題にどのように対処すべきか、知恵を絞ってゆく必要があるのではないかと思うのです。
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バドミントン日韓戦で疑惑の向かい風…4強逃す(読売新聞) - goo ニュース
韓国の仁川で開催されているアジア大会。昨日、バトミントンの日韓戦で、疑惑の向かい風が吹いたとして、ネット上では韓国批判の声が上がっていました。
バトミントンは、極めて軽いシャトルを使用するため、通常、試合会場では無風状態となるよう細心の注意が払われている競技です。疑惑の向かい風とは、この常識から著しく逸脱しており、日本選手がプレーする側のコートにだけ(世界ランキング第3位の選手とのこと)、不可解な強い向かい風が吹いたというものです(コート・チェンジしても、日本選手側に向かい風が吹く…)。原因は、手動による空調操作なそうですが、韓国側は、先だって発生した停電への対処のために、操作を手動にせざるを得なかったと説明しています。風向きを人がコントロールしているのですから、”不正操作”を行った可能性は濃厚です。大会運営の杜撰さを含めて、日本国側は、スポーツマンシップに悖る韓国側の行為に抗議し、然るべき組織に訴えるべきなのですが、驚くべきは、この事件を報じたNHKの態度です。早稲田大学のスポーツ倫理学の専門家にインタヴューを行い、”この事件に関して日本国側は”目くじらを立てず”に、”成熟した大人の態度を示すべき”とする発言を報じたからです。不正に見て見ぬふりをし、スポーツマン・シップの否定を黙認し、被害者は泣き寝入りせよ、というのでは、スポーツ倫理の逆としか言いようがありません。これでは、”成熟した大人”どころか、善悪の判断もできず、不正行為に毅然とした対応もできない”未熟な大人”の対応と言うものです(日本国を含む4カ国が、大会の組織委員会に抗議文を提出するらしい…)。
韓国という国は、勝つためには手段を選ばないと指摘されてきましたが、こうした行為を放置すれば、平昌オリンピックにおいても主催国による不正行為が横行することでしょう。昨日の試合では、日本選手に向い風が吹きましたが、今後は、スポーツマン・シップを理解していない韓国に対して厳しい逆風が吹くのではないかと思うのです。
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新自由主義と申しますと、今日では、レッセフェール経済の如く、あらゆる分野で自由化や規制緩和を求める一方で、政府に対しては民営化を勧める一連の経済政策群と見なされております。成長力を失い、硬直化してしまった経済構造を改革することで市場の活性化を図る、とする基本方針においては、首肯すべき点も多いのですが、国内産業の空洞化、金融・サービス業への傾斜、雇用の不安定化、所得格差の拡大、移民労働力の大量受け入れ…といった経済・社会問題をも惹起したため、最近に至り、警戒感も漂うようになりました。
ところで、新自由主義は、民営化を推進するぐらいですから、反国家的な思想と見られがちです。本日の日経新聞では、サッチャー政権以降のイギリス経済について、産業から金融に軸足が移り、ロンドンへの極度な一極集中が進行しつつも、外国からの直接投資が大幅に伸び、外国人移住者も増大したことから活力を維持していると、概ねプラスに評価しています。遂に、ロンドンの外国人人口が半数を超えたそうですので、ロンドンは、イギリスの首都というよりも、世界の富裕層が住まう金融センター化しているのかもしれません。その一方で、日経新聞の記事でも、もはやロンドンには住めなくなった一般イギリス人の嘆きの声も取り上げていました。スコットランドでの独立運動の原因も、ロンドン一極集中を招いた経済政策にあるとする指摘もあります。新自由主義者は、ロンドンに全世界から資金も人も集まるのだから、イギリスを豊かにしたと胸を張るのでしょうが、この政策によって、国民が幸せになったのかと言いますと、そうではないように思えるのです。国家としては栄えても、国民は、移民社会に生きることを強いられ、自国の首都にさえ住めなくなったのですから…。新自由主義は、国民の幸せなど眼中にないことにおいて、国家中心主義と共通しているのです。
日本国でも、政府が設置した有識者会議では、新自由主義者の発言力は高く、日本国の経済発展のための最善の処方箋であると主張しております。舛添東京都知事に至っては、”外国の銀行が儲かる仕組み”が必要と発言していますが、日本国が栄えても、日本国の企業も国民も衰え、かつ、自国でありながら肩身の狭い思いをするのでは、本末転倒なのではないでしょうか。
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スコットランド分権拡大、英首相の公約早くも壁(読売新聞) - goo ニュース
七つの海を支配した大英帝国の歴史を背景に、グローバリズムの発祥地ともされるイギリスにおいて、ナショナリズムの高まりから独立運動が発生したことは、極めて興味深い現象でもあります。イギリスは歴史的にはロスチャイルド家といったユダヤ財閥との関係が深いのですが、今や、グローバリズムの先鋒は、多数の”グローバル企業”を抱えるアメリカのユダヤ人に移っているのかもしれません。
ところで、グローバリストの中核をなすユダヤの人々のナショナリズムに対する敵意や嫌悪感は並々ならず、ユダヤ系のマスコミ機関の報道も、スコットランドの住民投票に際してさえ、明白なナショナリズムの運動であるにも拘わらず、”ナショナリズム臭”を消去することに腐心していました。ナチスによるユダヤ人迫害の記憶が、ユダヤ人にナショナリズムの最大の被害者とする意識を植え付けているのかもしれません。”危険なナショナリズムなど、なくしてしまえ”と…。しかしながら、その反面、ユダヤ人は、ナショナリズムの最大の受益者でもあります。何故ならば、2000年近くにわたって故地を離れて放浪しながら、第二次世界大戦後、民族自決の原則の下で、イスラエルという自らの国家を建設することができたからです。仮に、ナショナリズムに基づく民族自決の原則が、国際社会において確立することがなければ、ユダヤ人は、今なお流浪の民であったことでしょう。一般の国家にとって、民族自決の原則は定住地に対する領域としての既得権の保障を意味したとしますと、ユダヤ人は、定住に基づく既得権なくして新たに国土を手にしたのですから、最も優遇された民族と言うことができます。全世界に居住するユダヤ人の人々が、イスラエル防衛に心血を注ぐのも、ようやく手に入れた国を失うことを怖れてのことなのでしょう。しばしば、理性的とは思えない強引さと、国際法違反をものともしない態度で…。
ユダヤ人の人々もまた、”イスラエルは、ユダヤ人だけのものではない”と言われたり、グローバル化の時代なのだから”イスラエルは移民を大量に受け入れるべき”と主張された場合、憤慨するか、言いようのない不安に陥るはずです。ユダヤ人は、ナショナリズムの犠牲者ではありますが、ナショナリズムの最大の受益者なのですから、無碍にナショナリズムの存在を無視したり、他の諸民族のナショナリズムを潰そうとすべきではないと思うのです。
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スコットランド首相辞意「前進している」 サモンド流、他国にも波(産経新聞) - goo ニュース
スコットランドで実施された独立を問う住民投票は、反対多数による英国残留という結果を以って幕を閉じました。チベットやウイグルなど、国内に分離・独立問題を抱える中国は、独立否定の結果に安堵しているのではないか、との見解もありますが、そうとも言えないのではないかと思うのです。
分離・独立問題に対してイギリスが選択した方法は、住民に独立の是非を問うという最も民主的に正当な方法でした。スコットランドで多数を以って独立が否定されたことは、イギリスとの連合をスコットランド人自らが選択したことを意味しています。そして、イギリスがこの方法を選択したことは、今日にあって、異民族から武力で主権を奪い、強制的に支配下に置く覇権主義的な手法が、正当性を失っていることを示しています。スコットランドで試みられた民主的な手法は、たとえ独立が実現しなかったとしても、イギリスの手法と比較されることで、中国のチベット、並びに、ウイグルに対する弾圧の不当性が際立つことになります。中国も、民族自決の原則を尊重し、チベット人やウイグル人に対して自己決定の自由を認めるべき、とする批判の声は、中国政府にとりましては相当に耳痛いはずです。残酷極まりない手法で異民族を従属させ、縛り付けている国は、たとえ経済大国となっても、国際社会どころか、アジアのリーダーにさえなれないと…。
民主的な住民投票によって独立できる可能性が見えてきたことは、チベットやウイグルにとりましては、希望の光となりましょう。国際社会は、国際法で禁じられている民族浄化を現実に実行している中国に対して、民主的住民投票の早期実施を求めてゆくべきではないかと思うのです。
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独立賛否、開票始まる=大勢、きょう午後判明―スコットランド住民投票(時事通信) - goo ニュース
当初の予想に反して、スコットランドの独立を問う住民投票の事前調査では賛否が拮抗し、スコットランド独立も視野に入ってきたため、イギリス国内のみならず、全世界に衝撃が広がっています。他の諸国においても、分離・独立運動が活発化する動きも見られ、今後とも、同様の問題表面化することが予想されます。
こうした中、スコットランドにおける住民投票を認めたイギリス政府に対する批判の声も聞かれるようになりました。このような危険な賭けはすべきではなかったと…。責任者であるキャメロン首相に対する辞任圧力も強まっているようですが、それでは、住民投票を実施しない方が望ましかったのか、と申しますと、そうとばかりは言えないのではないかと思うのです。産経新聞社は、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのトニー・トラバース学長の談として、「キャメロン氏は近い将来、不信任投票を突きつけられる可能性がある。だが、彼は限られた選択肢の中で、民主主義のために正しい選択をしている」とする見解を紹介しておりした。現代という時代では、脅迫や強制は忌み嫌われており、況してや、長い年月にわたって抑圧されている場合、あるいは、相互に関係が険悪である場合には、住民の間で独立や自由を求める心情が高まることは、否定のしようもない自然な心理です(誰もが、こうした不遇な状況に置かれれば、反発を感じるはず…)。住民の多数が独立を求める場合、力や硬直的な制度で抑え込むことは、表面的には統一を維持してはいても、民心が離反しているのですから、実際には脆いものとならざるを得ません。イングランドとの歴史的な確執を当事者以外の者が推し量ることは難しいものの、スコットランドのケースでは、イギリス政府が住民投票を認めたことは、(1)双方の自由、かつ、自発的意思を連合の基礎に据えたこと、(2)スコットランド人の民族自決権を尊重したこと、(3)住民投票の採用により住民個人の政治的自由と民主的権利を制度的に保障したこと、(4)権限の配分を含む将来的な国政改革の道を示したこと、そして(5)暴力的手段を用いなかったこと…において評価されるべきものです。チベットやウイグルにあっては、選択のチャンスさえ与えられていないのですから。
このように考えますと、住民投票の実施は、21世紀という時代にあって、分離・独立問題への最も正当アプローチではなかったかと思うのです。この意味において、スコットランドの住民投票は、たとえ大英帝国の最後の幻影が消える瞬間となろうとも、人類に対して一つの道しるべを示しているのではないでしょうか。
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「独立は永遠の別れになる」 英首相(NHKニュース&スポーツ) - goo ニュース
本日、いよいよスコットランドでは、独立の是非を問う運命の住民投票が実施されます。投票を前にして、イギリス政府も、独立を思い止まらせるための説得活動に余念がないようです。
当初、イギリス政府側は、どちらかと言うと”圧力”や”不利益”を以ってこの問題に対処しようとしたようです。しかしながら、この圧力型の対応は、スコットランド側の反発を招き、結果としては独立賛成派を勢いづかせてしまいました。この様子では、仮に、スコットランドが独立を選択した場合、イギリスが失意を表明し、スコットランドへの何らかの”制裁”等に言及したとしますと、両国の関係には決定的な亀裂が生じ、修復が困難となることが予測されます。双方の足の引っ張り合いは、両国の共倒れを意味するのみならず、イギリスの国際社会におけるプレゼンスの低下が、国際社会における不安定要因ともなりかねません。こうした最悪の事態の回避には、独立後における両国の協力関係の維持が鍵となるのですが、そのためには、たとえスコットランドが独立を選択したとしても、イギリスは、スコットランドの独立に祝意を示した上で、両国の友好な関係の構築を呼びかけるべきではないかと思うのです。独立が決定されれば、両国政府間で交渉が始まりますが、その際、協力の基盤があれば、安全保障分野をはじめ、最も悪影響の少ない方法を両国で模索することができます。
イギリスが、主権国家同士の対等な関係を以って両国間の友好関係を構築する準備があることを示せば、スコットランドもまた、この申し出をにべもなく断ることはないでしょう。そして、もちろん、スコットランドが独立を否定した場合には、心からの祝意と歓迎の意を伝えるべきではないかと思うのです。
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スコットランドの独立が決まれば何が起こる?英国の国力低下だけでは済まない世界への影響(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
ここ数年来、特に、グローバリズムの時代の到来が叫ばれて以来、国際社会やマスコミは、ナショナリズムを”日陰”の存在として扱ってきました。コソボ独立の時でさえ、出来る限り民族性を表に出さないよう細心の注意が払われていたものです。
グローバリズムのおひざ元とも言えるイギリスでは、現在、スコットランドの独立問題で大きく揺れています。世論調査では賛否が拮抗し、明日に予定されている住民投票の結果は全く予想できない状況にありますが、マスコミの論調は、相も変わらずナショナリズムに対して冷淡です。例えば、元外交官の田中均氏は、雑誌記事においてスコットランドの独立について様々な側面におけるデメリットを論じ、その非合理性を強調しています。住民投票と言う民主的な手段は、ナショナリズムに流されやすく、非合理的な結果を招くリスクが高い、と言うことのようです。そして、最後は、「日本でもナショナリズムが排他的になり、世論迎合的雰囲気の中で非理性的な選択がなされないよう、目を光らせる必要があろう」という一文で結んでいます。”目を光らせる”という表現に、国民監視を宣言しているようで、どこか空恐ろしささえ感じさせるのですが(親北の田中氏ならではの発言?)、ナショナリズムを頭から非合理的な感情と決めつけ、見下す姿勢こそ、実のところ、こうした問題を拗らせているのではないでしょうか。そして、ナショナリズムと住民投票を結びつけることで民主主義批判まで展開する田中氏の主張は、一般の国民からしますと、民族自決権を非合理性の名の下で否定しているようにも聞こえます。
実のところ、ナショナリズムとは人類に伴う極めて自然な感情であり、かつ、民族自決の原則は、国際社会において多くの民族に独立を与えてきたのですから、その存在を無視できるはずもありません。ナショナリズムを合理的に理解し、尊重することこそ、双方、否、人類が納得しうる状況に到達する道なのではないかと思うのです。
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日本国政府が、河野談話作成過程の再検証において、元慰安婦のプライバシーに配慮して公開を見送った韓国人元慰安婦の証言。ところが、信じ難いことに、昨日、韓国の「太平洋戦争犠牲者遺族会」が、日本国政府の調査団が15人の元慰安婦から証言を聴取している映像を自ら公開したというのです。
このビデオ公開により、元慰安婦の氏名等も明らかにされましたので、日本国政府がプライバシー保護を理由に証言の裏付け作業を控える理由はなくなったのですが、このビデオの音声として伝わる証言内容には、この一連の事件の背景を示唆するヒントが含まれおります。特に注目すべきはユンスンマン証言であり、”13歳の時、従軍慰安婦に忠清北道永同から釜山、日本の下関を経て大阪へ行き”、”大阪山里深くに行ったら軍隊式の従軍慰安婦が”おり、”訪問の前に赤色(当時、軍服の色)の服を着た軍人が並んでいて、特にガス部隊の軍人たちが多かった”と述べています。この証言には、明らかに虚偽が含まれています。第一に、釜山には慰安所は開設されておらず、第二に、大阪は日本国内にあり戦場への強制連行のはずはなく、第三に、日本軍の軍服の色は赤ではなく(陸軍はカーキ色、海軍はネービーブルー)、そして第四に、ガス部隊という奇妙な部隊名が見られることです。”ガス部隊”が何故奇妙であるかと申しますと、1925年の「ジュネーブ議定書」によって毒ガスの使用は禁じられており、当時の日本軍が、”ガス部隊”なる組織を設置するはずはないからです。存在しているとすれば、生物化学兵器の研究機関とされており(使用は禁じられたが、研究・保有は禁止対象ではなかった…)、満州の関東軍に所属していた731部隊なのでしょうが、少なくとも、ユン元慰安婦が供述した移動場所には該当する組織は存在していません。そして、この唐突な”ガス部隊”の名の登場にこそ、731部隊を糾弾し続けてきた中国の影も垣間見えるのです。
韓国政府も、元慰安婦証言を以って日本軍による強制連行の”証拠”と見なしていますが、以上に指摘したように、元慰安婦証言は事実認定の検証に耐えるものではありません。むしろ、今回の元慰安婦証言ビデオの公開は、”慰安婦偽造事件”の全体像や背景を明らかにするという別な文脈で、”証拠”となるのではないかと思うのです。
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