世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
中国、日米欧などで「新幹線」技術の特許乱発(読売新聞) - goo ニュース
日本やドイツから僅かな数の車両を輸入し、これらの技術を利用して車両生産しながら”国産”を謳って開業した中国の”新幹線”。日中特許紛争に発展する模様ですが、中国側には、思わぬ誤算があったと思うのです。
中国が”国産”を強調する背景には、当然に、外国への売り込みを容易にする狙いもあったようです。川崎重工は、中国への車両輸出に際して、外国への輸出はしないとの約束を取り付けていますが、”国産”ということにすれば、この約束を反故にできると考えたのでしょう。加えて、実験では時速400キロを記録したそうですので、”世界最速”をアピールすれば、国威高揚の絶好の機会になると踏んだのかもしれません。中国は、高速鉄道の分野でも、世界一に躍り出たと。
しかしながら、蓋を開けてみますと、中国の高速鉄道の利用者数は、それほど伸びてはおらず、政府の期待を大きく下回るようです。その理由の一つは、国民の多くが、安全性を疑っているからです。電化製品でも、中国国民の自国製品に対する信頼は低いそうですので、”国産”を銘打ったことが、営業の足を引っ張ることになったと考えられるのです。そのうちに、政府が、安全性を無視し、国民に対して”新幹線乗車”の動員をかけるのではと、心配するばかりです。
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首相が辞任3条件明言 具体的な辞任時期は示さず(朝日新聞) - goo ニュース
マスコミなどでは、菅首相は、退陣三条件の一つに再生エネ法の成立を挙げ、脱原発解散まで目論んでいるとする憶測が流れています。民主党の有力な支持基盤は労組のはずなのですが、これらの政策が実現した場合、最も手痛い打撃を受けるのは、一般の労働者の人々なのではないかと思うのです。
何故ならば、再生エネ法案も脱原発も、共に、電力料金の大幅値上げと電力供給の不足を引き起こしますので、国外から製造拠点が流出する可能性が高まるからです。実際に、こうした状況を嫌って、既に海外への生産移転を決定した企業も出現しており、産業の空洞化に伴う雇用の流出は、絵空事ではなく、現実の問題です。にもかかわらず、政府は、この危機をさらにエスカレートさせる方針を示しているのですから、労組が民主党を支持することは、自らの利益に相反する、不可思議な現象と言わざるを得ないのです。
震災による失業に加えて、過激なエネルギー政策の転換による失業も増加するとしますと、我が国の雇用状況は一気に悪化し、国民の生活も苦しくなります。家庭内での節電は許容範囲であっても、所得の源である職を失うとなりますと、深刻さの次元も違ってきます。首相の自己保身のための政策を無条件に支持する必要はなく、労組こそ、こうした政策には反対すべきではないかと思うのです。
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退陣条件「2次補正・2法案成立がメド」首相(読売新聞) - goo ニュース
首相の退陣問題は、懸念された通り、条件闘争に持ち込まれてしまったようです。これで、菅首相は、震災対応時の重大な失政を誤魔化すことができたのですが、首相の政治手法の狡猾さには驚くばかりです。
結局、菅首相は、退陣に条件を付けることで、どちらに転んでも自らの地位を安泰な立場に置くことに成功しています。2次補正、特例公債法、再生エネ法の三法案が可決されれば、退陣しても莫大な再生エネ利権が転がり込みますし、可決できなければできないで、首相を続投することができるのですから。そもそも、一国の首相が、自らの退陣に条件を付けること自体が間違っています。議院内閣制では、首相は議会に責任を負っているのですから、首相の進退問題は、あくまでも、国会における内閣不信任案の決議によるべきです。一時不再議の原則は慣例に過ぎませんし、両院における同一議案の審議を禁じた国会法第56条4の規定も、内閣不信任決議は衆議院に専属した権限ですので、当てはまりません。首相に対する不信任の提起の必要性は、時間の経過により変化しやすい性格がありますので、提出回数を一回に限定することにも合理性はありませんし、何もよりも、”慣例破り”を武器にしてきた首相を、律儀に”慣例”で守るべきではないと思うのです。
首相は、どちらでもよいのですから、今後は、のらりくらりと、国民を生殺しにするような政治を続けてゆくことでしょう。そうして、再生エネ法が可決しますと、産業も国民生活も窮地に陥るのですから、国民は、どちらに転んでも不幸なのです。
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自民福島県連、方針大転換「原発推進しない」(読売新聞) - goo ニュース
福島第一原発の事故以降、内外において脱原発・反原発の声が強まったせいか、政治家や市民団体の一部は、脱原発を政治イシューとして国民に判断を迫ろうとしているようです。しかしながら、この問題、政治判断には馴染まないと思うのです。
福島第一原発で事故を起こした原子炉は何れも旧式であり、1号機から4号機まで、全て70年代に運転を開始していますので、既に30年以上が経過しています。大規模な発電施設は、短期間で新式に建て替えることはできませんので、旧式の設備を長期にわたって使用しなければならない、という欠点があります(この点は、発電効率の低い段階で太陽光発電を普及させる問題点でもある・・・)。つまり、脱原発の問いかけは、30年から40年も前の技術が引き起こした事故に基づいて、現在の国民が、原子力の将来について判断することになるのです。今日では、冷却装置を喪失しても、自然に冷温状態に至る技術も開発されているとのことですし、30年間において、安全技術は長足の進歩を遂げています。そうして、こうした原子力の技術的な発展は、今なお続いているのです。
原子力が技術と密接に結びついているとしますと、そもそも政治判断は極めて難しく、国民全員が、半ば原子力や災害の専門家とならなければ、適切な判断はできません(技術的な判断なので・・・)。現状の技術レベルから予測しても、将来において、ブレークスルーとなるような技術革新があるかもしれないのですから、判断すること自体が間違っているかもしれないのです。世論を煽るような脱原発の政治イシュー化は、むしろ、将来の選択肢を狭め、自国を自らの手で衰退に追い込むことになるのではないかと心配になるのです。
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再生エネ法案、審議入りメド立たず 首相の肝いり、袋小路(産経新聞) - goo ニュース
再生エネ法案は、電力会社の”独占”問題と絡めて、電力自由化の文脈で語られる傾向にあります。昨日の本ブログの記事でも、つい”市場開放か”という書き方をしてしまったのですが、本日は、再生エネ法は、市場経済の原則に反していることを指摘したいと思います。
まず、最初に確認すべきことは、この制度は、自由で開かれた市場における、公正で公平な競争を前提としたものではないことです。市場経済では、民間企業に対する買い取りの義務付けや固定料金の設定はあり得ないことです。こうした統制的な制度を容認される理由は、”自然エネルギーのため”、という目的に尽きます。この目的のために、首相を始めとした政治家は、国民に対して、市場経済からの逸脱を強要しようとしているのです。しかしながら、現段階での自然エネルギーの普及は、電力料金を押し上げるため、産業を衰退させ、国民生活を圧迫することは各方面から指摘されていますし、昨日の記事で述べたように、安価な中国製発電設備が大量に輸入され、事業も合弁事業などによって請け負われるとなりますと、国内の自然エネルギー産業も育ちません。しかも、中国では、エネルギー市場は外国企業に開放されてはいないのです(相互主義でもない…)。もちろん、コスト高の改善や技術のレベル・アップには繋がりませんし、事業者の参入や事業者の許認可のプロセスが不透明な状況にあっては、新設される”自然エネルギー庁”なる役所に巨大な”利権”が発生する可能性が高いのです。つまり、汚職や腐敗の温床になると言うことです。
この利権に多くの事業者が群がれば群がるほど、産業と国民の負担は重くなります。政治家と事業者の結託により、コストだけが産業と国民に転嫁される法案は、決して成立させてはならないと思うのです。
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8月に脱原発解散?政権の延命材料に使われる 再生エネ法の失われゆく大義とそもそもの問題点【岸博幸コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
菅首相とソフトバンクの孫氏との私的な癒着が明るみになるにつれて、再生エネ法に対する国民の警戒心が強まっているようです。権力の私物化と利益誘導の問題に加えて、本法案には、さらなる問題点があると思うのです。
本日の日経新聞の記事に、中国の風力発電会社の近況に関する記事が掲載されていました。電力事業の拡大を予測してメーカーが大幅な増産をした結果、供給過剰となり、外国に販路を求めているという内容です。もちろん、我が国への売り込みも既に始まっており、中国企業が国内の小型風力発電メーカーと組んで、北海道の石狩市で風力発電所を建設する計画もあるそうです。発電電力は、北海道電力に売却するとのことですが、ここから読み取れる展開は、再生エネ法案が成立した途端に、全国に風力や大規模太陽光といった発電設備が乱立し、しかも、それは、日本製品ではなく、価格の安い外国製品であるということです。現状では、風力発電の設備の日中間の価格差は二倍ほどもあり、日本企業が、価格競争に打ち勝つことは難しそうです。
この計画では、日中共同出資の事業会社を新たに設立するとのことですが、結局、再生エネ法案は、外国への電力事業の開放を促進する、という結果となるのではないでしょうか。しかも、自国の産業と日本国民の負担の下で。加えて、自国の自然エネルギー産業や技術を育てることにもならないのですから、再生エネ法案は、デメリットばかりなのではないかと思うのです。
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四電、東電への電力融通中止へ 伊方原発再開めど立たず(朝日新聞) - goo ニュース
ドイツは、6月6日に、2022年までに、現在国内に設置されている17の原子力発電所を全廃するとの閣議決定が行われました。10年をかけて、段階的に廃炉するという案のようですが、我が国で密かに進行している隠れた”脱原発政策”は、このドイツの政策より、はるかに過激で危険であると思うのです。
何故ならば、定期検査で稼働停止状態の原子炉が、再稼働されないとすると、来年の夏までに、全国の全原子炉が停止してしまうからです。現在、全電力供給量に占める原子力発電の割合は、沖縄電力の0%から関西電力の48%までと開きはありますが、平均して3分の1程度は、原子力で賄われています。それが、来年の夏、つまり、1年足らずでストップするのです。海江田経済産業省は、原発が設置されている地元に対して再稼働を要請していますが、菅首相は、”脱原発解散”を目論んでいるとも指摘されており、枝野官房長官も再稼働には否定的な見解を示しています。つまり、菅政権が、本気で再稼働に取り組むとは思えず、停止状態に対して”何もしない”という戦略をもって(”未必の故意”のようなもの・・・)、”脱原発政策”を既成事実として実現しようとしているように見えるのです。
20年どころか、1年で事実上の”脱原発”となりますと、代替エネルギーを充分に準備できるわけもなく、日本経済は壊滅的な打撃を受けますし、国民の生活水準も低下します(大量の失業も発生・・・)。本日の新聞では、原油価格の上昇を抑えるために、IEAが、備蓄の放出を決定したする情報が報じられていますが、我が国が火力に走るとなれば、さらにエネルギー資源の国際市場価格も上昇します。自己の権力維持のためには手段を選ばない首相は、日本国民のみならず、全世界の人々の生活も生命も危うくしていると思うのです。
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菅首相が素直に辞めない3つの理由【週刊・上杉隆】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
国民の多くが、菅首相に退陣を求めている理由は、震災への対応の不手際であり、首相自身の失政に他なりません。当然に、ペテン師と評されただけあって、巧妙に論点をすり替えることで、辞任圧力をかわそうとしているようです。
論点のすり替え、それは、国民の関心を、震災時の事故の失政から再生エネルギーや脱原発といった別の問題に向けることです。つまり、将来の政策論争を持ち出すことで、過去の失政を誤魔化し、なかったことにしようとしているのです。退陣の理由が失政なのですから、本来は、有無も言わずに、首相は、潔く統治責任をとって退陣すべきです。過去の失政を考えれば、首相から退陣の時期や条件を付すことなど、もっての他なのですが、条件闘争に持ち込むという首相の作戦によって、政界も国民も、まんまと騙されてしまったのです。何も、首相の退陣条件など認める必要はないのですが・・・。こうした作戦を政治家の方々も見抜けなかったとしますと、いささか情けないお話となります。
首相の狡猾な策略は明らかになのですから、震災対応の責任を問うという本筋に帰り、無条件退陣の要求こそ、菅首相に突きつけるべきです。それにしましても、震災からの復興に注がれるべき政治活動が、こうした権力闘争によって消耗されてしまうとしますと、我が国の損失は計り知れないと思うのです。
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「原発推進へ路線回帰ではない」首相ブログで強調(朝日新聞) - goo ニュース
自然エネルギーによる電力を全量買い取りを電力会社に義務付け、電力会社には、電力料金への上乗せを認める自然エネルギー法案。菅首相は、進退問題と絡めてこの法案の成立に拘っているようですが、とんでもない天下の悪法なのではないかと思うのです。
自然エネルギーや再生可能エネルギーという言葉には、つい賛成したくなるような、うつくしい響きがあります。しかも、原発事故が終息しない現状では、殊更国民は、自然エネルギーに期待しているかもしれません。しかしながら、首相はペテン師ですので、国民は、ここは警戒しなければならないところです。この法案、そもそも、民主党のマニフェストには載せられていなかったものです(訂正:6月23日の新聞記事によりますと、民主党は、この政策をマニフェストに載せていたそうです。誤った情報を記載しまして、お詫び申し上げます。)。国民生活に、直接に影響を及ぶすにも拘わらずです。ところが、震災前にこの法案は、閣議決定されていたそうであり、もし、震災がなければ、国民が気付かぬうちに、いつの間にか成立していたかもしれないのです(むしろ、震災が発生したことで、国民が知ることになった・・・)。こうした経緯を見れば、やはりペテンである可能性が高いのですが、以前のブログ記事でも指摘しましたように、この法案が可決されると、電力料金の値上げ、製造拠点の海外移転、失業の増加、生活水準の低下、産業の衰退、国際競争力の低下・・・という負スパイラルが待っています。しかも、高値買い取りが保障される制度では、自然エネルギーの技術発展を促す効果も低下するのです(企業に対して研究・技術開発支援制度や優遇措置を設けた方が、まだ”まし”・・・)。
ネット上では、首相に背後から囁いているのが、ソフト・バンクの孫氏と太陽光パネルを生産している韓国大手企業とも指摘されており、外国人献金を受けていることを考慮しますと、菅首相は、外国の利益のために、必死になって悪法を国民に押し付けようとしているように見えます。自国の産業と国民が苦しみ、利益と恩恵を受けるのが外国だけとなりますと、悪法どころか、売国法案です。これ以上、ペテン師に騙されてはならないと思うのです。
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「私は賄賂を贈りました」告白サイト 中国、商品券渡して有利な判決(産経新聞) - goo ニュース
公務員の汚職が蔓延している中国では、告白サイトが国民の人気を集めているそうです。当局は、閲覧の制限に乗り出すとのことですが、この対応、どう考えましても、おかしいと思うのです。
何故ならば、普通の国では、公務員の腐敗が明らかとなった場合、政府は、公務員の綱紀粛正を強化し、汚職の根絶に取り組むものだからです。中国の対応は、悪事をそのまま放置しながら、その悪事を見ないように、国民に目隠すをするようなものです。国民にさえ知られなければ、それで問題なし、と言わんばかりに。
その一方で、こうした告白サイトは、公務員への上手な賄賂の渡し方を伝授する情報源にもなりかねません。何れにしても、告白サイトは、権力を私物化する公務員、拝金主義の事業者、そうして、怒れる国民という、中国の体制が抱えている深刻な内部問題を明るみにしていると思うのです。
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知られざる オバマ氏と菅首相のトモダチ作戦~外伝(産経新聞) - goo ニュース
就任当初、菅首相とアメリカとの関係は、それほど良好というわけではなく、国民の多くも、首相の過去の言動から反米政治家と見なしていました。ところが今や、菅首相は、親米政治家に変貌したようなのです。
もちろん、首相は、本心から親米派に”転向”したのではなく、国内の政治基盤が危ういことを敏感に察知して、外部に強力な後ろ盾を求めたと憶測することができます。自己保身にかけては、右に出る者はいないくらい、首相は、狡猾であり用意周到です。国内からの如何なる辞任圧力を受けても、アメリカの支持さえ取り付けていれば延命できると踏んでいるのでしょう。つまり、菅首相は、事大主義なのです。
アメリカも、得てして、国内では国民から評判の悪い政治家でも、親米路線でさえあれば寛大なところがありました。このことが、国民から不評を買う一因ともなってきたのですが、菅首相の事大主義とアメリカの親米派擁護が、”ねじれ現象”を起こしながら結びついているとしますと、我が国の政局は、さらに混迷を深めそうなのです。
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南シナ海、神経戦 中国がシンガポールに巡視船、比は反発(産経新聞) - goo ニュース
*本記事は、情報不足の段階で書かれたため、幾つかの点で誤りを含んでいます。(2016年7月8日)
南沙諸島の領有をめぐる紛争は、今や、”火薬庫”となりそうな様相を呈しています。この問題、蓋を開けてみますと、実に様々な問題が飛び出してきそうなのです。
(1)南沙諸島の最初の領有国は日本国
驚くべきことに、南沙諸島の領有を最初に宣言したのは、日本国でした。これは、1938年のことです。領有に際して、日本国は、南沙諸島を台湾の高雄市に編入しています。
(2)サンフランシスコ講和条約での放棄
日本国は、サンフランシスコ講和条約第2条に基づいて、下関条約の結果として併合していた台湾と澎湖諸島、並びに、新南群島として南沙諸島を放棄します。ここで二つの立場が発生しました。その一つは、台湾が、南沙諸島の領有権を引き継いだとするものであり、もうひとつは、帰属先が未定のまま放棄された、というものです。当然に、台湾は、前者の立場ですが、他の東南アジア諸国は、後者の立場に立ち、相次いで、領有を主張し、実効支配することになります(フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ)。
(3)中国による領有権主張
さらにこの問題を複雑にしているのは、中華人民共和国による領有権主張です。中国は、尖閣諸島と同様に、1970年代に至り、南沙諸島に天然資源が埋蔵されている可能性が公表されると、領有権を主張し、人民解放軍を派遣して建造物を建てるなど、実効支配を始めました。
(4)二つの中国対一つの中国
中国は、南沙諸島の領有権を主張するに際して、”一つの中国”つまり台湾は自国の一部であるとする主張に基ついて、その行為を正当化しようとしました。現実には、台湾は、国際法上における独立国の要件を満たしていますので、中国の主張には無理があります。しかしながら、ここで、この問題は、台湾の地位をめぐる対立とリンケージすることになったのです。
以上に述べてきたように、南沙諸島の問題は、様々な見解の対立が絡み合っています。ギリシャ神話では、パンドラの箱を開けると、最後に希望が残りますが、関係各国は、平和的な解決という希望を、決して閉じ込めてはならないと思うのです。
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明 卓袱台返して菅笠ひとり旅 (日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
薬害エイズで名が知られるようになった菅首相は、悪役を仕立て、自らをこの悪役と闘う正義の味方であると演出することで、世論の支持を集める戦略には長けているようです。辞任の瀬戸際まで追いつめられている菅首相は、今度は、原発に、この悪役の役回りをさせたいようです。
脱原発路線に疑問を呈してきた筆者もまた、菅首相から見ますと、”悪役”となるのでしょうが、果たして、脱原発を主張する人々は、本当に正義の味方なのでしょうか。脱原発を主張する人々は、原発利権を悪の権化のように糾弾しますが、脱原発派にも、何らかの背景や利権がある可能性があります。例えば、我が国の脱原発は、中国や韓国にとって、願ってもない政策です。電気料金が値上がれば、日本企業の製造拠点を誘致できますし、我が国で蓄積されてきた原発技術をそっくり手にするチャンスともなります。同時に、潜在的な核武装の芽を摘むこともできると考えているかもしれません(もちろん、TPP体制にありますので、我が国は核武装はしていませんが・・・)。あるいは、孫氏のように、太陽光発電利権を目論む人々のために、国民世論を煽動している可能性も否定できないのです。
脱原発派の”胡散臭さ”を含めて、原発問題は、あらゆるメリットとデメリットを比較考量した慎重な検討と議論が必要であり、簡単に廃止の結論を出せるほど単純な問題でもありません(筆者は、原子力の可能性を放棄すべきではないし、産業への打撃は回避すべきと考えている・・・)。にもかかわらず、菅首相は、この問題を正義対悪の単純な構図に当て嵌めることで、反原発の世論を煽り、延命を図ろうとしているようなのです。
こうした場合には、菅首相の提案には、最初から疑ってかかったほうがよさそうです。先日、鳩山前首相は、菅首相をペテン師と評しましたが、蓋を開けてみますと、正義の味方が、悪党に変身するという”どんでん返し”が待っているかもしれないのですから。
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南シナ海、強まる対決姿勢…中国は資源確保へ妨害強化も(産経新聞) - goo ニュース
中国市場の成長につれて、かの地で業績を伸ばしている企業からは、中国の発展は我が国にとっても望ましいとする評価の声が聞かれます。しかしながら、経済分野と政治分野では、全く評価が逆になると思うのです。
昨年は、東シナ海や尖閣諸島をめぐって日中間の緊張が高まりましたが、現在、南シナ海では、中国とベトナムを始めとした東南諸国の間で対立が激化し、一発触発の状態が続いているようです。軍事力に物を言わせる中国側の強引な行動の背景には、経済成長を支えるための資源の獲得があり、中国との紛争地帯は、こうした天然資源が埋蔵されている可能性のある地域でもあります。つまり、中国の経済成長は、さらなる資源への渇望を生み出し、それが、軍事力の増強と比例して拡大するがために、平和とは反比例するのです。しかも、東南アジア諸国側も、政経両面において新興国として実力を付けてきており、やすやすと中国の圧力に屈するわけではありません。
経済的な視点からしか中国との関係を見ませんと、政治的なリスクを見過ごし、気付いた時には、自国の資源や領土を奪われることになりかねません。世界第二位の経済大国の地位についた中国を手放しに礼賛するよりも、国際法も国際秩序も破壊しながら突き進む覇権主義の行く末が、アジアに戦禍をもたらす可能性をも直視すべきと思うのです。
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「安全と節電は別の話」「国は早急に基準示せ」 原発再開問題で西川・福井知事(産経新聞) - goo ニュース
原発再開問題について、特に地方自治体の知事レベルでは、反対の声が強いようです。福井県知事も、国が具体的な安全基準を示さない限り、再開を認めないと発言しています。
この問題については、国(政府や議員)、地方自治体(県と原発地元)、電力会社、産業界・・・は、それぞれ個別に自らの見解を表明しており、これらの当事者たちが、話し合いの場を持ったという報道はありません。このままでは、各々が、自己主張するだけで平行線を辿り、徒に時間が浪費されてゆくだけとなります。そこで、利害関係にある当事者たちを一堂に集めた、合同対策会議を開いてはどうかと思うのです。この会議では、それぞれが、原発停止による影響や不安について説明し、合意を目指して議論したうえで、再開の条件、具体的な安全基準の作成期限、再開予定日・・・などを決めるのです。
最近の政治を見ておりますと、一方通行、あるいは、上意下達型が目立ち、交渉や取引といったバーゲニングが疎かにされているようです。政治には、調整を要する事案もあるのですから、合意形成の場を早急に準備すべきと思うのです。
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