世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
大統領、対話指示=エルバラダイ氏中心に野党結集も―「新しい時代」宣言・エジプト(時事通信) - goo ニュース
チュニジアの「ジャスミン革命」に端を発した反体制デモは、エジプトをはじめ、中東諸国へと広がりを見せています。この運動の成否を決するのは、イスラム民主主義のモデルの構築ではないかと思うのです。
ヨーロッパには、キリスト教民主主義という政治思想があり、ドイツのCDUなどがこの考えに基づいて結党されている代表的な政党です。これらの政党は、カトリックやプロテスタントといった教会の下部組織ではなく(組織的には政教分離…)、キリスト教の倫理観や道徳観を政治に生かすことを目的としており、特定の宗派性はありません。人格の尊重、家族などの自然な共同体の保護、人道主義…といった価値観を、政策や立法の基盤に据えようというものです。もちろん、現在の中東諸国の若者の間では、イスラム教の影響が弱まっており、民主主義への別のアプローチの仕方があるかもしれません。しかしながら、イスラム教でも、宗派を越えて、イスラム教が説く倫理観を民主的制度において実現する試みがあってもよいと思うのです。
民主主義とは、西欧諸国のみならず、人類すべての望みを背負った価値でもあります。独裁や権力の私物化、政府の腐敗、国民を無視した政治を歓迎する人は、ほとんどいないのですから。中東諸国にも、自らに適した方法で民主主義にアプローチし、上手にそれを制度化することで、国民が幸福を手にするチャンスはあるのです。そうして、それは、案外、普遍的な価値へと至る道なのかもしれません。
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デモ参加者への暴力回避を=エジプト大統領に訴え―英仏独首脳(時事通信) - goo ニュース
大規模な反体制デモの発生により、退陣を迫られているムバラク大統領。ここにきて、アメリカ政府と英仏独首脳が、相次いで国民の要求に理解を示したことは、中東情勢の転機となる可能性を秘めています。
これまで、ムバラク政権は親米政権として知られており、欧米諸国もまた、中東の安定を理由に当政権を支持してきました。しかしながら、その陰で、エジプトの政権腐敗と独裁化が進行し、国民の激しい怒りを買うことになったのです。これまでのスタンスから予測しますと、欧米諸国が、ムバラク政権の負の部分に目をつむり、擁護を表明することもあり得たのですが、今度ばかりは違うようです。むしろ、エジプト国民の側に立ち、その要求を受け入れるように、ムバラク大統領に迫ったのですから。当然に、大統領がこの要求をはねつければ、政権崩壊と新政権の樹立は、俄然、現実味を帯びてきます。
エジプト情勢における欧米諸国の方針転換は、イスラム教徒の西欧に対する敵意を緩和し、あるいは、両者の歩み寄りを促すことになるかもしれません。2011年は、歴史を画くする年となるかもしれないのです。
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エジプトのデモ収まらず 大統領、全閣僚の更迭を表明(朝日新聞) - goo ニュース
エジプトでは、1981年に副大統領から昇格して以来、ムバラク大統領が、長期にわたって事実上の独裁体制を敷いてきました。”権力は腐敗する”との格言通り、ムバラク政権もまた、強権体制が国民からの厳しい批判を浴びるに至り、ついに、大規模な反体制デモへが発生することになりました。
反政府デモの糾弾の矛先は、(1)不正選挙の横行、(2)大統領権力の私物化、(3)汚職の蔓延、(4)不公正な裁判…などに向けられており、その背景には、深刻な若者の失業問題があります。この機に及んで、ムバラク大統領は、自らの辞任は否定する一方で、全閣僚の更迭を表明しましたが、首のすげ替えでは、事態が収拾するとは思えないのです。もし、反政府運動を鎮静化することを望むならば、エジプトの制度改革に踏み込む必要があります。先の要求に対処するためには、(1)国際選挙監視団の受け入れ、(2)大統領職の見直し(再選回数の制限…)(3)政治・行政監視システムの整備、(4)司法の独立の強化…といった改革は、避けて通れないと考えられるのです。
以上の改革が約束されれば、反体制側も、今年9月の大統領選挙にエルバラダイ氏を擁立できますので、平和裏での政権交代の道が開けます。もっとも、反体制側も、将来のエジプトについてヴィジョンを示す必要はあり、特に、テロの取り締まりを明言しませんと、国内外からの批判を受けると共に、エジプト経済の振興は遠のきます。何れの勢力が国政を担うにしても、エジプトは、国民とともに、安全で豊かな国づくりを目指すべきと思うのです。
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「情報ないという意味」 菅首相「疎いので」発言で説明(朝日新聞) - goo ニュース
菅首相が、日本国債格下げの情報について記者団から質問を受けた際に、”疎いので”という言い訳けでその場を逃れたことが問題視されています。この危機に対する疎さこそ、最大の問題であると思うのです。
ある試算によりますと、長期金利が1%上昇すると、国債の利払いが1.6兆円増加するそうです。現実に、S&Pの格下げ発表後、日本国債の利回りが上昇し、一週間ぶりの高水準にあるそうです。財政危機にあるギリシャ国債の金利は、10%越えておりますので、上昇したとはいえ日本国債の利回りは低水準にはあるものの、金利の急上昇は、財政危機をさらに深刻化します。格下げ情報は、国庫を直撃しかねない重大な情報なのです。
本来、政治の専門家であるならば、まず、長期金利の上昇を招くような”ばらまき型”の予算を編成せず、国債発行額を抑え込むべきでした。格下げの責任は、放漫財政を続けた政府にあるのですから、首相は、率先して、この危機を乗り越えるための対策を講じるべきと思うのです。
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国際関係を健全に?=ウィキリークスを評価―ロ大統領(時事通信) - goo ニュース
ウィキリークスの暴露には賛否両論があり、知る権利という観点からは評価されるのでしょうし、また、外交の透明性を高めるという効果もあるかもしれません。しかしながら、その一方で、自由主義国だけを苦しめるという問題点もあります。
ウィキリークスの情報源が、アメリカ政府の内部の人物であるためか、暴露される情報のほとんどは、アメリカ外交に関連するものです。自由主義国では、現場での情報の共有が重視されており、幅広い範囲の職員が、政府の情報にアクセスすることが比較的容易だからです。このため、情報が外部に漏洩しやすいのですが、中国やロシアといった情報統制が厳格な国では、まず、こうした情報の流出はあり得ません。つまり、ウィキリークスの暴露は、否が応でも自由主義国に偏ってしまうのです。
この結果、アメリカ政府がイメージ悪化に苦慮する一方で、情報統制の厳しい国は、涼しい顔をして高みの見物を決め込むことになりました。ロシアのメドヴェージェフ大統領は、ウィキリークスを評価したそうですが、ロシア外交や中国外交の機密情報が白日のもとに晒されれば、その衝撃はウィキリークスどころではないと思うのです。
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中国批判「世界全体が臆病に」=「国連総長は特に消極的」―人権団体報告書(時事通信) - goo ニュース
国際社会では、パワー・バランスを考慮して、国連総長を先進国から選出することを、意図的に避けてきました。しかしながら、この選出方法にも、重大な問題があると思うのです。
先進国からの総長選出を嫌う理由は、国連の政治的な中立性を損なう恐れがあるからです。仮に、総長の出身国が大国であるとしますと、出身国の意向が国連の運営にも反映され、特定の国の”代理機関”となるかもしれません。そこで、敢えて中小国から総長を選ぶという慣行が成立したのです(もっとも、この点に関しても、藩総長は、出身国の韓国への利益誘導が非難されている・・・)。現総長の藩総長の選出に際しても、その選出理由は、”温厚で国際感覚に優れている”、というものであったと記憶しています。反面、この長所は、”従順な日和見主義”という短所ともなり、特に、人権弾圧が続く中国に対する低姿勢として表面化しています。
国連は、その憲章にも人権の尊重を謳っているのですから、総長が、臆病では、国連本来の仕事ができなくなります。今後の国連総長の選出には、この点を充分考慮して、中小国に拘ることなく、適任者を選ぶべきなのではないでしょうか。
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チュニジアの革命、我が国でも 中東圏相次ぐ反政府デモ(朝日新聞) - goo ニュース
1989年は、中東欧諸国において、ドミノ倒しの如く、社会・共産主義体制が崩壊した”東欧革命”の年として知られています。東欧革命から20余年を経た2011年は、後世にあって、”中東革命”の年として記憶されることになるのでしょうか。
チュニジアで発生した革命は、独裁と政治腐敗に国民が長年苦しんできた他の中東諸国にも拡大する様相を呈しているようです。隣国のアルジェリアを始め、モーリタニア、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、イエメンなどでも、抗議運動を促すための焼身自殺や民衆によるデモが相次いで発生していると報じられています。一つの国家における成功例が、同様の政治体制を敷いてきた諸国に飛び火する現象は、東欧革命に際しても見られました。果たして、押し寄せる変革の波は、中東諸国を飲み込むのでしょうか。
中東諸国の政治状況については、これまで、アラブ主義やイスラム原理主義組織の活動に注目が集まってきましたが、より深いところで、民主化への胎動が始まっていたのかもしれません。それが、若者の経済的な不満に始まるものであっても。独裁の打倒と政治腐敗の除去は、何れの国にあっても国民が望むところであり、中東諸国もまた、正面からこれらの問題に取り組む次期に差しかかっているのかもしれません。
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海賊退治で名誉挽回 韓国“アデン湾の快挙”にわく (産経新聞) - goo ニュース
韓国軍によるアデン湾での海賊退治の一件は、韓国国内では、あたかも北朝鮮との代理戦争に勝利したかのように、国民こぞって歓喜に沸いているそうです。海賊退治はお手柄なのでしょうが、海賊8人射殺という情報を聞いて思い浮かんだことは、全面的な死刑廃止はあり得ない、ということです。
死刑廃止問題と海賊退治は、一見、全く無縁なように見えますが、現代の海賊が強力な重火器などを携えているとはいえ、国際協力による海賊退治は戦争ではなく、海上保安の任務であることを考えますと、海賊の射殺は、裁判前の死刑執行を意味します。たとえ死刑を廃止している国であっても、人質立て篭もり事件やハイジャック事件などでは、人質や乗客の身の安全を確保するために、警察や特殊部隊が犯人を射殺することがあるのです(韓国でも、死刑執行は停止されているらしい…)。つまり、ある種の犯罪については、即刻の死刑執行があり得るのです。
このように考えますと、死刑廃止とは、厳密に言えば、裁判所の判決による死刑の廃止ということになります。凶悪事件を起こしながら、生きて逮捕された犯人だけは、死刑を逃れることができるのです。我が国でも、死刑廃止論が唱えられていますが、犯人射殺という死刑もあることに留意すべきと思うのです。
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イタリアで婚外子が急増 20年には50%に(産経新聞) - goo ニュース
欧州諸国では、キリスト教の影響力低下と個人主義の浸透のためか、婚外子が急増しているそうです。個人のレベルからみますと、面倒な家族関係からの解放を意味するかもしれませんが、婚外子が大半を占める社会もまた、人間関係が複雑になりそうです。
おそらく、婚外子の増加傾向は、離婚数の増加とも比例しており、法律手続きを要する離婚結婚を繰り返すよりも、事実婚の方が気楽であることは確かです。正式な婚姻ともなりますと、配偶者に対して様々な法律上の義務を負いますし、離婚に際しても、慰謝料などの法律上の負担が生じます。親の代は、自由を謳歌できるものの、子供たちにとりましては、幸福な子供時代が約束されるわけではありません。何故ならば、実の父母の他に、ステップ・ファーザーやステップ・マザーが複数出現する可能性があるからです。このことは、実の父母のどちらかとは、必ず別れなければならない運命を意味しています。また、『白雪姫』や『シンデレラ』のお話は、継母による”いじめ”がテーマであり、血縁関係のない親子関係は、虐待の原因にもしばしば挙げられています。つまり、子供たちは、常に、日常的な”いじめ”の恐怖にさらされることになるのです。また、連れ子となる子供たち同士の関係も複雑になります。
もちろん、人格に優れたステップ・ファーザーやステップ・マザーであれば、全ての子供たちを慈しんで育てることでしょう。しかしながら、現実には、虐待問題がありますので、安心はできないのです。日本国でも、少子化を防ぐために、婚外子の増加を奨励する意見も聞かれますが、その行く先は、必ずしもバラ色ではないように思えるのです。
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NHK画面また真っ黒…胡主席会見を中国規制か(読売新聞) - goo ニュース
胡主席が訪米中の記者会見において、人権問題への質問に”聞く耳”をもたなかったことは、国際社会の失望を買うことになりました。この問題に関連して、ふと、疑問に感じることは、中国の国民意識です。
ノーベル賞受賞者である劉暁波氏の処遇に象徴されるような、言論統制や思想弾圧に賛成する国民は、共産党員を除いてはほとんどいないはずです。また、政府による土地の強制収用が、各地でデモを引き起こしているように、国民の権利の保護が不十分であることに対しても、相当の不満があるはずです。しかしながら、その一方で、チベットや東トルキスタンで行われている中国の”植民地”政策に対する中国の国民、特に漢人の意識は、必ずしも政府に対して批判的とは限らない、という危惧があるのです。このため、たとえ中国の体制が民主化され、国民の基本的な自由や権利が保障されるようになっても、後者の問題が取り残される可能性があるのです。
このように考えますと、中国の人権問題の解決には、(1)国民一般の自由と権利の保障を強化する、(2)中国の支配下にある民族の政治的な権利を認める、という二つの方向からのアプローチが必要なようです(民主政体における連邦国家化か分離・独立か…)。この二つの問題を解決しませんと、中国は、永遠に国際社会から非難を浴び続けることになるのではないでしょうか。
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米中首脳会談 「国民を冷遇」胡氏に“洗礼”(産経新聞) - goo ニュース
中国の胡主席は、米中首脳会談後の共同記者会見において、記者からの人権問題に対する質問を無視した挙句、その責任を、通訳の技術的問題に押し付けてしまったようです。
米中2Gが囁かれるほど中国が大国化する一方で、中国の統治体制は、未だに旧態依然としており、一党独裁の非民主体制に加えて、共産党幹部の責任回避も常套化しているようです。国賓待遇での訪米ともなれば、トップクラスの能力をもつ通訳を同伴しているはずですので、胡主席が質問に答えなかった理由は、”通訳の技術的問題”のはずはありません。一般の諸国では、政治家が、誰からも分かるような責任逃れや弁明をすれば、マスコミや世論の袋叩きにあいますが、主席ともなれば、誰も非難できないのが中国の怖いところです(NHKの画面が真っ黒になり、放送規制もかけたらしい…)。
責任転嫁という方法は、中国では通用しても、国際社会では、信頼を落とす原因となります。今回の中国主席の訪中は、中国という国の体質を、図らずも明らかにすることなったのではないかと思うのです。
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オバマ大統領「人民元、いまだに過小評価」(読売新聞) - goo ニュース
アメリカの対中貿易赤字は改善されない中、昨日訪米した中国の胡主席は、ボーイング社から200機の航空機を購入することを約したと報じられています。総額3兆円(約450億ドル)を越える大型商談が米中間で成立したそうですが、こうした方法が、貿易収支の不均衡問題を根本的に解決するとは思えないのです。
一般の自由主義国では、民間航空会社が航空機の乗客数の増加や買い替え需要に応える形で、航空機の購入を検討するものです。一方、中国の場合には、こうした民間の経営者の判断ではなく、政府が、政策的な意図から航空機の大量購入を決定しています。つまり、元安政策や対米貿易黒字に対する非難をかわすための政策手段に過ぎないのです。このため、継続的で恒常的なな貿易収支の改善は、全く望めません。政府が輸入の拡大を止めると決めれば、結局、元の状態に戻ってしまうのです。また、商談の総額は、450億ドルほどのようですが、去年8月に記録した単月の対中貿易赤字は280億ドルとのことですので、焼け石に水のようなものです。
ここはやはり、国際的な貿易収支の不均衡問題を解決するためには、傷の表面に絆創膏を貼る方法ではなく、元安政策の是正といった根本的な治療が必要なようです。絆創膏を貼るだけでは、病の進行を止めることはできないのですから。
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「中国の人権改善を」胡主席訪米に合わせ、亡命者ら集会(朝日新聞) - goo ニュース
中国の歴代王朝が、周辺部に領域を拡大するに際して用いた方法に、屯田制というものがあります。屯田制は、軍事力で制圧した地域に移住民を送り込んで、辺境の防衛に当たらせると共に、農地を与えて定住させるというものです。
古代ローマ帝国にも同様の制度がありましたが、チベットや東トルキスタンに対する現代中国の支配手段は、まさにこの屯田制の現代版です。中国では、国内における国民の自由移動さえ認められておらず、チベットや東トルキスタンへの漢人の移住は、いわば、”国策”による半ば強制的なものです(異郷に移住を強いられる漢人にとっても苦痛であるかもしれない…)。この政策の結果、現在では、チベットや東トルキスタンでも、漢人の人口が増加しており、人口比の逆転は、独立を求める両地域の住民にとりましては死活的な問題となります。また、中国政府による同化政策は、チベットやウイグルの人々に、長い歳月をかけて培ってきた独自の文化や伝統の放棄を迫る行為に他なりません。
中国の人権問題は、実のところ、個人の自由や権利の侵害問題に留まらず、国家独立に際して正当な根拠となり得る民族の枠組みに対する侵害問題でもあります。いわば、ジェノサイドが問われる問題でもあるのです。アメリカ政府には、訪米している胡主席に対して、チベットや東トルキスタンには、自らの運命を決定する権利があることを、説得していただきたいと思うのです。
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川崎市長、地方負担拒否正式表明…子ども手当(読売新聞) - goo ニュース
子供手当は、社会全体で子供を育てるべし、とする社会主義思想に基づいて、民主党政権の下で始まりました。このため、所得制限も設けていないのですが、子供手当は、本当に子供たちのためになるのでしょうか。
近年、我が国の競争力低下の原因として、豊かな時代における若者のハングリー精神の欠如や安定志向が指摘されてきました。アジアをはじめ、新興国がエネルギッシュな活力の下で急激な成長を遂げる一方で、日本国は、ぬるま湯につかった状況にあります。これ以上、”ぬるく”しては、この傾向に拍車をかけることになりますし、気骨の喪失は、就職に際して国際競争に負けることを意味します(最近は、企業は、外国人雇用を増やしている…)。また、厳しい環境の中で育つ方が、子供の人格や創造力を育むにはプラスになるという考え方もあります。たとえ富裕者であっても、敢えて子弟に贅沢を許さず、貧しい環境に置くという教育方法は珍しいものではありません。子供達をスポイルしないための、経験知に基づく工夫なのでしょう。
財政的な支援を行うことが、子育ての支援になるとは限らず、子育てというものが、心を備えた人を育てる行為であれば、なおさらのことです。教育論なき安易な”ばらまき”政策は、結局、子供たちをだめにしてしまうかもしれないと思うのです。
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前大統領派と治安部隊が銃撃戦=きょう挙国一致政権発表―チュニジア(時事通信) - goo ニュース
チュニジアでは、各地で反大統領のデモが起き、ついにベンアリ政権は崩壊するに至りました。この政変に際して、大統領の”親衛隊”と治安部隊との銃撃戦があったそうなのですが、チュニジアでの成功の鍵は、軍が国民に味方したことにあったのではないかと思うのです。
この点から見ますと、中国の民主化は、チュニジアよりも遥かに難しいことが予測されます。何故ならば、国民が団結して政府に異議を唱え、抗議行動に訴えますと、人民解放軍が国民に銃を向けることが、天安門事件で明らかになったからです。しかも、人民解放軍とは、形式としては共産党の軍隊ですので、国民との繋がりが薄く、国民感情に疎いという特徴もあります。今後も、共産党による一党独裁体制が危機に瀕すれば、人民解放軍は、共産党を守るために、国民を躊躇なく戦車で踏みにじることでしょう。”人民の敵”の名の下で。
このことは、中国の一党独裁体制は、人民解放軍によって守護されており、それ故に、政府に対する軍の発言力が強い現状をも説明しています。中国では、昨今、国民の不満を抑えるために言論統制が強化されているそうですが、政府と軍が結託し、国民を武力で抑圧する中国は、未来を自らの手で掴み取ることができたチュニジアよりも、はるかに不幸な国なのではないかと思うのです。
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