万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

関西の電力危機―優先順位付けが必要では

2012年04月30日 15時37分59秒 | その他
リンク: 夏の節電で「テレビ休止」論 放送界の反応は冷ややか - 速報:@niftyニュース.
 原発の稼働停止により、大飯原原発を再稼働させても、関西では、夏季には深刻な電力不足が発生するそうです。関電では、”計画停電”を検討しているとも報じられていますが、絶対量が不足している場合には、供給先の優先順位付けが必要なのではないかと思うのです。

 有事に際しては、資源は軍事部門に集中的に投じられますし、調達できる資源が限られている場合にも、かつては”傾斜生産”なる手法が採られ、生産性の高い分野に資源をつぎ込んだものです。供給量が充分な時には、こうした政策的な配分は必要はないのですが、不足するとなりますと、優先順位の問題が浮上してきます。夏の節電を前にして、「テレビ休止」論が提起されているそうですが、やはり、娯楽やレジャーが後回しになるのは、いた仕方がないことかもしれません。テレビのみならず、電力消費量が多いとされるパチンコ…なども優先度の低い分野であり、営業停止は、国民の多くも納得するはずです。

 電力危機に対しては、政府は無策を決め込んでおり、原発の再稼働問題も、敢えて混乱を広げることで、政治責任を回避しようとしています。現実を直視し、せめて、産業と国民生活を守るための策を講じませんと、日本国の損害は拡大するばかりとなるのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

簿氏失脚事件―歴史のループから抜けられない中国

2012年04月29日 16時00分39秒 | 国際政治
薄氏息子、米名門大揺るがす…習氏の娘も留学中(読売新聞) - goo ニュース
 ”事実は小説よりも奇なり”という言葉がありますが、先日、中国で発生した簿煕来氏失脚事件の経緯は、歴史小説を遥かに凌駕しています。4千年来変わらずに・・・。

 事件の舞台は21世紀でありながら、事件の内容は、さながら権力闘争に彩られた中国史を凝縮したかのようです。簿氏の家族だけを見ましても、密かに政権掌握を狙う野心家の男、美しく有能ではあるが悪女の雰囲気が漂うその妻、外国で贅沢に暮らしながらも最新の学問を学ぶその息子…と小説まがいの人物達が揃っています。この構図、司馬遷の『史記』に描かれている劉邦の一家に似ていなくもありません。しかも、革命の主張とは裏腹な蓄財、民衆の歓心を買うための富者からの財産没収、軍部の買収、軍事クーデタ計画、そして、その黒幕と協力者の存在…、となりますと、中国の王朝交代劇にしばしば登場するシナリオそのものです。つまり、急激な経済成長を遂げつつも、中国は、政治的には前近代の状況のままなのです。否、経済成長が、中国政治の前近代性をあぶり出してしまったかのようです。

 この事件は、同時に、中国という国の脆さをも露呈することになりました。指導部の危機感を現わすかのように、事件後、中国では、胡主席の下での団結が必死に叫ばれているそうです。近代化への転機が民主化であるとしますと、これを拒否する中国は、永遠に歴史のループから抜け出られないのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
 

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日銀の金融緩和―太陽光バブルの予感

2012年04月28日 13時42分00秒 | 日本経済
日銀、追加緩和5兆円 国債「3年以下」も購入(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、日銀の金融政策決定会合で、デフレからの脱却を目的に、追加の金融緩和が決定されたそうです。5兆円分の国債を購入し、”基金”に繰り入れることで、市中への貸し出しを増やす狙いなのですが、不安がないわけではありません。

 日銀内の「基金」とは、2010年に導入された新手法であり、民間金融機関を介して、日銀が設定した目的に合致する企画に対して、無担保・低金利で貸し出しをおこなうというものです。日銀が設定した18の融資対象事業の一つが環境・エネルギーであり、特にこの分野に力を入れている民間銀行も少なくありません。その一方で、先日、メガソーラ事業に証券ファンドが参入するとの記事がありましたし、また、再生エネの調達価格算定等委員会では、太陽光の買い取り価格を、高値の42円とする原案が決まったそうです。この流れから予測しますに、日本国でも、スペインのような太陽光バブルが発生する可能性は否定できないのではないかと思うのです。つまり、政策的な高値買い取りを当てにした太陽光発電事業への参入が急増し、金融機関もまた、積極的に太陽光発電事業に融資をした結果、バブルが発生するというものです。

 一足早くにバブルを経験したスペインでは、電力料金の値上がりに対する国民の不満から(産業にとっても高値の電力料金と電力の質の低下を蒙る…)、買い取り価格を下げたため、倒産する事業者も現れ、優先的に投資してきた金融機関の経営も悪化することになりました。現在、スペインは、国債の格付けが引き下げられるなど、財政的にも危機にありますが、景気の悪化の要因に、この太陽光発電の政策的な普及による産業競争力の低下とバブルの崩壊があります。日本国も同じ轍を踏まないよう、失敗の経験に学ぶべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新日鉄ポスコ訴訟―技術流出の阻止を

2012年04月27日 12時08分41秒 | 国際経済
技術流出 新日鉄がポスコ提訴 忠誠心低下で他業種も危機(産経新聞) - goo ニュース
 新日鉄は、韓国ポスコ社を相手取り、特殊鋼板の製造技術に関する特許侵害の訴訟を起こしたと報じられております。グローバル市場での日本企業の劣勢は、不利な為替相場のみならず、技術流出にも原因がありますので、官民ともに抜本的な対策が必要です。

 今回の事件は、中国企業への技術流出を訴えられたポスコ社員が、裁判所で韓国の”国家機密”ではなく、”日本の技術”を流したと証言したことから発覚したものです(韓国側の方が、技術流出に厳しいという皮肉…)。無罪を勝ち取るために、別の犯罪を認めざるを得なくなったのですから、いわば、韓国側が自らの墓穴を掘る形となりました。この点、新日鉄は、幸運にも韓国国内での訴訟により、技術流出の証拠を得ることができたのですが、退職者を含めた技術流出の監視は難しいとの指摘もあります。新技術の開発費に数百億単位の費用と膨大な時間が費やされるとなりますと、日本人技術者の引き抜きによる人件費は微々たるものです。僅かなコストで莫大な利益がもたらされるのですから、韓国企業にとりましては、楽をして富を得る有効な手段なのです。しかも、日本の技術を流用しながら、エルビータの運命が象徴するように、韓国企業は、市場から日本企業を蹴落とすことに躊躇いはありません(もちろん、市場の競争は過酷なのですが…)。

 日本企業は、巨額の研究・開発費を投じて技術的な優位を保ってきたものの、技術流出により短期間で中国や韓国企業に追いつかれ、価格競争に持ち込まれてしまいますと、日本勢の敗退は必至です。品質や性能が同程度であるならば、価格が安い方が有利であることは言うまでもないからです。新興国の成長により、日本経済の先行きに黄信号が点っていますが、戦略的に自国の技術を守り、育てませんと、近い将来、先進国から脱落する日が訪れるかもしれないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小沢氏無罪―政治資金規正法が悪法なのでは

2012年04月26日 15時26分11秒 | 日本政治
小沢元代表に無罪=秘書との共謀否定―「報告、了承」は認める・東京地裁(時事通信) - goo ニュース
 本日、第一審で小沢氏は、無罪判決を受けたそうです。本人や小沢チルドレン達は、ほっと胸をなでおろしたのかもしれませんが、国民の多くは、どこか釈然としない感情が残ったのではないでしょうか。

 無罪判決によって、小沢氏は、あたかも潔白であったかのように振舞っています。しかしながら、その行為は、明白に”現在”の政治資金規正法に違反していることは、忘れられてしまっているようです。政治資金規正法では、平成19年に改正され、かつ、罰則規定が設けられていないものの、第19条の2の2で”資金管理団体は、土地若しくは建物の所有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは土地の賃借権を取得し、又は保有してはならない。”と明記されているのです。問題の土地取得は、この改正以前であったとして、遡及効を認めないとする意見もありますが、法が改正された以上、資金管理団体が、土地を保有した状態であることは違法行為である可能性は高く、虚偽記載で争うよりも、検察は、この条文を根拠に起訴すべきではなかったのかと思うのです(今からでも遅くはない?)。購入した土地は、既に売却済みなのでしょうか、また、小沢氏個人の名義であれば、許されるのでしょうか?政治家の不動産購入が問題視され、曲がりなりにも法改正されたぐらいですから、小沢氏の行為は、政治倫理には反しています。

 政治家個人が、資金管理団体を介して不動産売買ができるとしますと、小沢氏に正義があるのではなく、政治資金規正法が、悪法なのではないでしょうか。これを機に、政治資金のあり方を抜本的に議論すべきですし、法の抜け穴を塞ぐためにも、政治資金規正法の改正こそ、急ぐべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

反脱原発は死亡する確率の高い心臓部の手術

2012年04月25日 15時27分22秒 | 日本政治
橋下市長は短絡的、専門家が安全宣言…官房長官(読売新聞) - goo ニュース
 ネット上では、大飯原原発の再稼働問題について、強行に反対する意見が散見されます。 大阪市なども反対運動の先頭に立っているようですが、反脱原発は、死亡する確率の高い心臓部の手術のようなものなのではないかと思うのです。

 電力は、人体に譬えれば血液のようなものであり、電力供給事業は、経済や国民生活を支える心臓部に当たります。突然に降りかかった災害により、この供給機能の約3分の1に事故リスクがあることが判明したところ、ある人々は、このリスク部分の切除手術を、激しく要求するようになりました。リスク部分を全面的に取り除けば、その後は、事故リスクを怖れることなく、安心して生活できるようになると…。しかしながら、その一方で、最も安定して電力を供給してきた3分の1を切り取りますと、代替機能も正常に働くかどうか分からず、生命を維持できるか危うくなります。また、残りの3分の2の供給力の増強では、負担がかかり過ぎて、激しい体力消耗に見舞われます。この弱った体力では、国際競争を走ることも苦しくなり、途中で落後するかもしれません。つまり、事故リスクは排除できても、さらに高いリスクを背負い込む可能性が高いのです。

 事故リスクの低減は、摘出以外の方法でも可能です。果たして、日本国は、この死亡確率の高い切除手術を受けるべきなのでしょうか。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

 

 
コメント (68)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スー・チー氏は憲法の枠内で改革を

2012年04月24日 17時43分43秒 | アジア
スー・チー氏ら登院見送り ミャンマー大統領「宣誓文修正せず」(産経新聞) - goo ニュース
 民主化の指導者として知られるスー・チー氏が、憲法遵守の宣誓を拒否して議会への登院を拒否しているそうです。このままでは、民主化の流れが停滞する怖れもあり、一刻も早く、膠着している事態を打開する必要があります。

 問題となっている2008年憲法には、憲法改正手続きが定められており、憲法改正への道が閉ざされているわけではありません。問題視されている(1)議会両院の軍部枠や(2)非常事態時における軍部の権限については、確かに、改正のハードルが高く設定されており、議会議員(下院)の75%以上によって承認され、国民投票に過半数以上の有権者から支持を得る必要があります。しかしながら、民主化は、国民多数の願いでもありますので、このハードルは、決して越えられないものでもありません。逆に、スー・チー氏が、合法的な憲法手続きを経ずして国政の改革を目指しているとしますと、ようやく根付きつつある立憲主義を根底から崩してしまうことにもなりかねません。また、たとえ憲法の枠を外れて改革を行ったとしても、違憲行為として、後々まで合法性が疑われることにもなります。議会に登院し、正々堂々と、国民の前で民主化に向けての憲法改正や、国民のための政策を議論すれば、世論も味方するはずです。自由な議論こそ民主主義の命なのですから。

 憲法がある限り、軍部もまた、それを順守する義務があります。報道されていない重大な理由がある場合は別としても、民主派は、国民の民主化の期待に応え、早期に憲法改正を実現するためにも、ここは、登院すべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高過ぎる太陽光の買い取り価格―事業者優遇か

2012年04月23日 15時23分40秒 | 国際経済
 7月に始まる再生エネ法の施行を前にして、再生エネの買い取り価格が、経産相の「調達価格等算定委員会」で検討されています。太陽光発電は、1キロワット時あたり税込みで42円を原案とするそうですが、買い取り価格の決め方も含めて、この価格決定は、疑問に満ちています。

 第1に、価格決定の任に当たる「調達価格等算定委員会」の委員会のメンバーはわずか5名であり、そのほとんどが、環境系の学者や活動団体の人々です。委員長の植田和弘氏に至っては、反・脱原発を掲げる大阪市の「エネルギー戦略会議」の座長をも務めており、再生エネ優先の基本姿勢は、この人選からも伺えます。植田氏は、以前にも、再生エネ普及のためなら高値買い取りも仕方がないと発言しており、一般の電力の利用者や消費者の利益は、無視を決め込んでいます。

 第2に、負担者が全国民であるにもかかわらず、”有識者会議”が価格を決定するとなりますと、国民の声は全く届きません。予算の決定権が議会にあるように、強制的に国民に負担を強いる価格決定は、本来、民主的な手続きを経るのが筋です。この価格、経産相の承認を以って決まるらしいのですが、ここでも、国民無視が見られます。価格決定の機関は、国会に設置した方が、まだましです。

 第3に、42円という高値設定は、安価な中国製のパネルを念頭に、日本製のパネルを設置する事業者でも、利益が上がるよう配慮したためと説明されています。しかしながら、法律において、国産パネルを条件としなければ、逆に、悪質な業者は、安く中国製パネルを購入して高い価格で電力を売り、利益を拡大させるはずです。また、法的に国産パネルに限定しますと、外国から市場開放を要求されるか、WTOへの提訴を示唆されるかもしれません。

 第4に、ドイツやスペインでは、既にこの制度は挫折しており、同じ失敗を繰り返さないための工夫は、どこにも見当たりません。失敗の責任は、全て国民に押し付けるのでしょうか。

 電力会社の電気料金については、反・脱原発派の人々が、総括原価方式を”ぽったくり”として批判していましたが、再生エネの価格決定もまた、この批判を免れることはできないのではないでしょうか。電力自由化とは180度逆方向に、高値固定化となる再生エネは、事業者優遇制度であると共に、国民の声の反映と国民負担の軽減という視点が抜け落ちていると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

経済産業省は正気なのか―1000万人の転職計画

2012年04月22日 16時07分53秒 | 日本経済
 本日の日経新聞の一面に、首を傾げたくなる記事が掲載されていました。それは、経産相の試算によれば、2020年までに、医療介護、ヘルスケア、新エネルギー産業などで、1000万人の雇用を生み出せるというものです。

 経産省では、これらの産業を新たな成長産業と位置付け、積極的に、製造業からの人材移転を推し進めるそうです。裏を返せば、製造業において、2020年までの間に、1000万人の雇用が失われることを暗に示唆しているとも考えられ(試算では、製造業の雇用は横ばいとしてはいますが…)、本気で産業の空洞化を推進しようとする経産省の恐るべき計略が伺えます。一方、医療介護で269万人、新エネで321万人、ヘルスケアなどで303万人としていますが、その大半は、公的制度に関連する職種であり、いわば、政府依存度の高い社会主義的な性格の強い事業分野です。医療介護の雇用が増加すれば、比例して社会保障費が増加しますし(あるいは保険料値上げ…)、新エネでも、再生エネ法の下での買い取り制度を前提としています。新成長産業の雇用が増えれば増えるほど、国家財政と国民生活を圧迫し、早晩、行き詰ってしまう公算が高いのです。また、産業の衰退により所得水準が低下すれば、ヘルスケアを利用できる国民の数も限られますので、わずか8年後に、303万人もの雇用が生まれるとは考えられません。しかも、製造業では、男性の働き手が多いにも拘わらず、成長産業は、女性向けの職種が大半を占めておりますので、スムースに転職が進むとも思えないのです。ここで意味する”成長”とは、産業の発展や所得水準の上昇を伴うものではなく、単に、政府主導で雇用数を増やすに過ぎないようなのです。

 結局、経済産業省は、産業空洞化政策への批判をかわすために、ひとまずは、非現実的な”ユートピア”を掲げて厳しい現実を糊塗し、国民の不安を誤魔化そうとしているようかのように見えます。日本国には、世界一のスーパーコンピュータがありますが、この計画をスパコンでシミュレーションさせれば、即座に、高い値の”失敗確率”を弾き出すのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
 

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発再稼働問題―”集団自殺説”を完全否定できない現実

2012年04月21日 15時01分49秒 | 日本政治
原発再稼働巡る「集団自殺」発言、仙谷氏が撤回(読売新聞) - goo ニュース
 仙谷氏と言えば、尖閣諸島事件において対中弱腰外交を陰で操ったことで、すっかり悪役のイメージが付き纏うようになったのですが、先日、原発を再稼働をさせないと”集団自殺”になると発言したことで、注目を集めることになりました。この発言、報道によれば、早々にトーンダウンしたようですが、仙谷氏の数ある発言の中では、最も問題の本質を言い当てていたのではないかと思うのです。

 発言者が仙谷氏であったことから、氏の不人気を利用した反・脱原発の高等戦術なのかとも疑ったのですが、”集団自殺”という表現には、現在、日本国で起きている現象の一面を抉り出しています。過去には、カルト教団の信者達が、教祖の命に従って死を選ぶという凄惨な集団自殺の事件もありましたが、仙谷氏は、ある一つの絶対的な信条に従った結果、それが自らの死を意味するという意味で、この表現を使ったのでしょう。本人も自戒しているように、確かに誇張した表現ではありますが、反・脱原発運動がイデオロギー性、あるいは、宗教性を帯びおり、かつ、結果として自国の産業の衰退と生活レベルの低下を招くことを考えますと、あながち、この表現が、的外れとも言えません。マスコミもまた、毎日のように不安を煽って国民を洗脳し、”集団自殺”に誘っているかのようです。

 そして、この思想の信奉者ではない人々もまた、”集団自殺”の巻き添えとなり、外部からは、日本という国が、あたかも自ら滅びの道を選んだように見えます。”集団自殺説”を完全に否定できないところに、日本国が置かれている悲劇的な現状があると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発ゼロで燃料処理費7兆円は安いのか―脱・反原発コストの計算を

2012年04月20日 11時03分00秒 | 日本経済
牧野副大臣を京都、滋賀に派遣=原発再稼働で23日にも―政府(時事通信) - goo ニュース
 核燃料の再処理については、昨日、原発ゼロの場合の試算が初めて公表されたそうです。マスコミ各社は、原発ゼロの場合が、最大で7.1兆円余りであり、最もコストが低いことを強調しています。しかしながら、この報道、あまりにも偏っていると思うのです。

 原発ゼロになれば、わずか7兆円で済む、という論調なのですが、これまでの核燃料リサイクル計画に基づく試算と比較しますと、その差は、およそ1兆から3兆円ほどです。つまり、原発がゼロになっても、1兆から3兆円の違いしか生じないのであり、この側面から見ますと、強調すべきは、原発がゼロでも、それほどのコスト削減にはならないということです。しかも、脱・反原発を実行しますと、年間で3兆円の火力の燃料費が嵩みますし、再生エネの買い取り制度は、普及のために高値に設定するとの情報もあり、さらにコストは上昇します。この額に比べますと、再処理の1兆から3兆円のコスト削減などは、吹き飛んでしまうのです。また、この試算では、仮に、高速増殖炉による核燃料サイクルに成功した場合のメリットについても触れていません(処理費を簡単に上回るかもしれない…)。

 政府もマスコミも、電力の需給問題に国民の関心を集めたいようですが、国民は、脱・反原発のコストにこそ、注目すべきです。何故ならば、それは、そのまま国民負担となるのですから。将来において、電力料金や物価の上昇が待っていることを(産業も衰退…)、政府もマスコミも、国民に正確に伝えるべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮の無駄な努力

2012年04月19日 15時34分20秒 | 国際政治
正恩氏、新設「ならず者」枠で「世界の百人」に(読売新聞) - goo ニュース
 NHKのニュースでは、最近、定番化したかのように、北朝鮮の現状を伝える映像を流しています。あたかも、平壌放送の支部のようで不気味でもあり、宣伝映像を無批判に流しているNHKの見識を疑うのですが、北朝鮮の体制維持にかける狂気と異常性だけは、視聴者に伝わってきます。

 先日のミサイル実験失敗後も、北朝鮮は、先軍政治の路線を改めようとはせず、自国の独立と主権を守るために、今後も、軍備拡充に邁進すると宣言しています。しかしながら、北朝鮮の経済力を考えますと、それは、無駄な努力というものなのではないかと思うのです。国民が飢餓に苦しんでいるにも拘わらず、一連の祝賀行事やミサイル実験には、数百億円の経費を費やしたとも指摘されております。北朝鮮は、自国を守るものは、軍事力しかないと信じていますが、北朝鮮が、アメリカや中国といった諸国に対抗し得る軍事力を備えるには、現在の数十倍、数百倍、あるいは、数千倍の軍事費を要します。軍事大国化を実現しようとしても、それを支える財源も技術力もないのですから、強行にこの路線を推し進めますと、国民をさらに苦しめることになります。もちろん、無慈悲な”ならず者”の独裁者は、それでも構わないのでしょうが…。

 どの国も、自国の防衛のために軍事力を備えるものですが、その一方で、各国を守っているのは、国際社会における”法”というものです。国際法を守っている限り、他国から一方的に攻撃を受ける可能性は、著しく低下するのです(100%ではありませんが…)。ところが、北朝鮮は、”法を守ることが、自らをも守ることである”という道理を理解していません。”ならず者”と呼ばれる所以は、法を知らない野蛮な世界の住民であることを、北朝鮮が、自らの行動で示しているからでもあります。果たして北朝鮮は、更生するのでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国は国内法では尖閣諸島を領有できない

2012年04月18日 15時21分15秒 | 国際政治
中国「いかなる措置も違法、無効」…石原発言に(読売新聞) - goo ニュース
 昨日、石原東京都知事が、都による尖閣諸島の土地購入の方針を示しました。この発言に対して、中国側は、”いかなる措置も違法であり、無効である”と息巻いております。

 中国側が主張する”違法”や”無効”は、あくまでも、中国の国内法に照らした場合のことです。中国は、一方的に法律を制定し、あたかも、尖閣諸島が自国の領土であるが如くに振舞っています。しかしながら、国家の領域というものは、国際法に照らして合法性が認められなくては、自国の領域として確立したことにはなりません。他国が領有してきた領土を、国内法によって自国の領土に組み入れても、その土地は、自動的に国内法を制定した国のものとはならないのです。もし、これが許されるならば、どの国も、勝手に国内法を制定して、他国の領土を編入できることになります(世界帝国も簡単にできてしまう…)。自国の法を根拠に、他国の領土に軍事侵攻しても、国際社会がこの行為を許すと、中国は、本気で考えているのでしょうか。

 中国政府は、なおも尖閣諸島の領有を主張し、日本国の領有に異議を唱えるならば、日本国政府に対して、国際司法裁判所への付託を提案すべきです。それができないとしますと、中国は、韓国が竹島について司法解決から逃げているのと同様に、尖閣諸島領有に対する国際法上の根拠がない、ということになるのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミサイル基地先制攻撃の容認を

2012年04月17日 17時52分55秒 | 国際政治
「衛星」、5年計画の初期段階=失敗正当化か―北朝鮮(時事通信) - goo ニュース
 先日、”衛星ロケット打ち上げ”の名を借りた北朝鮮のミサイル実験は、幸いにして、失敗に終わったようです。ミサイル攻撃の性格を考慮しますと、鷹派の発言に聞こえるかもしれませんが、正当防衛の観点から、ミサイル基地先制攻撃を容認すべきではないかとと思うのです。

 先日のブログ記事でも、ミサイルは、攻撃する側が著しく優位となる武器であると述べました。攻撃を受ける側には、ミサイル攻撃に対抗する手段が充分には備わっておらず、攻撃を確実に防ぐことができないからです。盾と矛は、相殺し合う能力があれば均衡しますが、ミサイル攻撃の場合は、明らかに、矛の攻撃性が盾を上回ります。この観点からしますと、防衛側に対して、ミサイル攻撃に対応する手段を認めませんと、不公平となります。ミサイル発射以前、あるいは、発射直後の段階にあり(熱感知の瞬間…)、ミサイルが未だ相手国の領域内にあったとしても、首尾よく破壊することができれば、自国への着弾による被害を防ぐことができます。しかも、ミサイルが着弾すれば、多数の民間人の命も奪われますが、ミサイル基地の攻撃であれば、軍事施設への攻撃ですので、相手国の民間人を犠牲にすることはありません。

 相手国のミサイル基地への先制攻撃が容認され、防衛方針に組み込まれれば、移動式のミサイル基地にも対応できるように、それに対応した戦闘機の能力向上や高性能の衛星監視技術などの開発に着手することも出ます(あるいは、レーザーによる破壊か…)。日本国政府は、北朝鮮の脅威を機に、国際社会に対して、ミサイル基地先制攻撃の必要性を提起すべきなのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

コメント (19)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本全土をカバーするミサイル防衛網を

2012年04月16日 15時05分37秒 | 日本政治
新型ミサイルが登場=「ICBM級」の見方も―北朝鮮(時事通信) - goo ニュース
 先日のミサイル発射実験の失敗にも懲りず、北朝鮮は、軍事大国化に向けてさらに邁進するようです。昨日の軍事パレードでは、ICBMらしきミサイル?も登場したそうですが、中国からのミサイル攻撃の可能性も含めて、全国的なミサイル防衛網を整備する必要があるのではないかと思うのです。

 現在の軍事技術では、ミサイルを大量に保有している側が圧倒的に有利な立場となります。何故ならば、防衛側には、有効な防御技術が確立していないからです。これまで、日本国は、専守防衛を基本として防衛力を高めてきましたが、ミサイル攻撃に対して確実に防衛できるほどのミサイル防衛技術はまだ持ち合わせてはいません。今回の発射実験は、北朝鮮側からの予告により、着弾までのルートが予め分かっていましたので、PAC3やイージス艦を配備することで対応しましたが(結局、失敗により無意味となりましたが…)、ミサイルが、日本全土に、同時、かつ、大量に飛来する場合の対応をも急ぐべきです。

 しきりに日中友好を演出しながらも、中国のミサイルは(おそらく北朝鮮も…)、現在でも日本国の主要都市に照準を合わせていると伝わります。両国とも、国際法を遵守するつもりはないのですから、日本国政府は、最悪のシナリオに備えるべきなのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする