万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国管理下の統一容認路線―習近平は踏襲するのか

2010年11月30日 15時42分02秒 | アジア
「中国は韓国管理下の半島再統一を容認」? アジア報道は北朝鮮を中心に(gooニュース・JAPANなニュース) - goo ニュース
 漏れ伝えられるところによりますと、中国共産党内部の権力闘争は凄まじく、長らく胡錦濤・温家宝派と江沢民派とが、激しい主導権争いを演じてきたそうです。この争いも今年の全人代で決着がつき、次期主席には、江派の習近平氏の就任がほぼ確実視されています。

 ウィキリークスの暴露により、対中関係の文書も流出したわけですが、この中に、伝聞としながらも、中国が、韓国管理下の朝鮮半島統一を容認しているとする情報があるそうです。改革開放路線以来、中国は、胡主席の下で、自由主義諸国との経済関係の強化を通して、経済成長優先の現実路線を追求してきましたので、緩衝地帯としての北朝鮮の価値が著しく低下したことは確かなことです。むしろ、地域の緊張を高め、経済にマイナス影響を与える北朝鮮の存在を、中国が疎ましく感じても不思議ではないのです。

 しかしながら、中国は、今後とも、胡路線を歩み続けるのでしょうか。習氏への権力移行が明確化した以降、尖閣諸島での事件を始めとして、中国は、アジアの安定を揺るがす行為に積極的に出るようになりました。習氏が、人民解放軍と共産党の世襲特権を権力基盤としているとしますと、近い将来、中国が、経済優先から政治優先への方向を転換し、イデオロギーの強化と軍事重視へと向かう可能性は必ずしも低くはないのです。つまり、北朝鮮の体制に近づくことになります。

 このように考えますと、北朝鮮の体制を崩壊させ、朝鮮半島を統一するならば、習氏が中国の最高権力者となる2012年より前であるほうが、望ましいことになります。残された時間はわずかしかなく、北朝鮮問題の解決を急ぐべきと思うのです。

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アイルランド支援―金融破綻型の財政支援は巨額に

2010年11月29日 16時56分57秒 | 国際経済
アイルランド支援に850億ユーロ EUとIMF合意(朝日新聞) - goo ニュース
 ギリシャに引き続きアイルランドもまた、財政危機を乗り越えるために、EUとIMFから融資を受けるそうです。両国とも、直面している問題が財政危機ということで一致していますが、危機に陥った原因は違っています。

 ギリシャの場合は、慢性的な税収不足によるプライマリー・バランスの悪化と経済と行政の両面における構造的な問題が、財政危機に繋がりました。一方、アイルランドの財政危機は、金融危機による銀行の抱える不良債権や大量の政府保証に起因するものであり、日本国のバブル崩壊後の財政悪化と共通してます。日本国もまた、銀行救済のために、多額の資本注入を行ったのですから。

 ギリシャ支援の総額は、3年間で13.7兆円ほどですが、アイルランドが受ける今回の緊急融資は、9.5兆円に上るそうです。金融危機を原因とする財政支援は、巨額の資金を要することになりますので、今後は、救済基金の整備とともに、バブル防止の仕組みが必要なのではないかと思うのです。

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アメリカが北朝鮮の要求を飲めない理由

2010年11月28日 15時33分03秒 | 国際政治
北は要求つり上げ、国内には反対論 直接交渉、米の苦慮(産経新聞) - goo ニュース
 延坪島砲撃を受けて、中国政府は、南北間の緊張を緩和するために、米朝の直接対話を求めていると報じられています。しかしながら、北朝鮮の要求を全て飲む形での事態の打開はあり得ないと思うのです。

 最近の北朝鮮の要求は、(1)米国の核の脅威の除去(2)核放棄前の米朝国交正常化(3)在韓米軍の撤退(4)韓国への核の傘の放棄まで、エスカレートしているそうです。もし、カーター元大統領が勧めるように、米朝合意が成立したとしても、それで完全に北朝鮮問題が解決するとは思えません。何故ならば、この要求が全て実現しますと、韓国に、軍事的な空白が生じることは必至であるからです。この状態では、北朝鮮が、たとえ核を放棄したとしても、通常兵力で韓国を制圧することは難しくはなさそうです。また、ウラン濃縮方式の核を放棄しても、今度は、水爆や生物化学兵器を製造するかもしれません。しかも、北朝鮮の過去の行動を見れば、合意通りに核を放棄するとは考えられず、最悪の場合には、朝鮮半島一帯に、核武装した軍事独裁国家が出現するかもしれないのです。背後で中国が北朝鮮を支援すれば、その可能性は、さらに高まります。

 こうした安全保障上のリスクがある限り、米朝直接交渉が首尾よく合意に漕ぎ着けるとは思えません。むしろ北朝鮮は、実現不可能なほどに要求を吊り上げることで、米朝直接交渉をアメリカ側から断念するよう仕向けているとする見方もできます。北朝鮮問題の解決は、米朝直接交渉路線では無理なように思うのです。

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アジアの危機―中国は二正面戦争を戦えるか

2010年11月27日 16時31分50秒 | 国際政治
中国、米韓軍事演習に反対…米空母接近を警戒(読売新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島沖での中国の身勝手な行動や北朝鮮の暴挙は、アジアを一気に19世紀の世界に引き戻したかのようです。無法国家に対しては、法や倫理に基づいた現代的な手法でアプローチしても、残念ながら、その効果は期待薄です。対応する側も、軍事戦略的な発想が必要なのではないかと思うのです。

 軍事戦略の基本中の基本は、相手の兵力を割くことです。一説によりますと、中国は、朝鮮半島と尖閣諸島で同時に軍事行動を起こし、米軍を二分割することことを狙っているそうです(しかも、アフガニスタンでの戦闘も続いている…)。同時であれば、さしもの強大な軍事力を誇る米軍も対応できないと踏んでいるのでしょう。その一方で、中国もまた、二正面戦争を怖れているはずです。中国の弱点、それは、背後のインドからの攻撃なのではないかと思うのです。インドは、チベットや東トルキスタンとも国境を接しており、中印国境戦争も、非交戦状態ではありますが、終結してはいません。近年、インドもまた経済成長を遂げたことを背景に、中国に照準を合わせた中距離弾道ミサイルの配備を進めております(インドは核保有国でもある)。

 日米両国は、インドと安全保障上の連携を強め、いざという時には、中国を二正面戦争に引き込む体制を、急ぎ、構築すべきなのではないでしょうか。領土を拡大した帝国の弱点とは、常に、延々と続く辺境の防備にあるのですから。

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北朝鮮問題―話し合い路線も行き詰まりという現実

2010年11月26日 12時02分28秒 | 国際政治
ならず者国家をどう止める――フィナンシャル・タイムズ社説(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 北朝鮮が問題を起こすたびに、国際社会は中国のコントロールに期待し、一方の中国も、延坪島事件の発生を受けて、南北での話し合いを提唱しています。しかしながら、みな、話し合い路線の行く先が、行き止まりになっている現実を無視しているように思えるのです。

 識者や専門家たちは、北朝鮮を話し合いのテーブルに着かせることこそが解決の鍵と、大合唱しています。席に着くだけで、半ば、問題は解決したかのように。1994年の危機の時も、特使として派遣されたカーター元大統領は、平和的解決を掲げて話し合いを進め、北朝鮮との間で合意を成立させました。しかしながら、その結末は、どうであったでしょうか。その後も、北朝鮮は、合意したと見せかけては時間を稼ぎ、自らの真の目的を放棄することは、決してありませんでした。安易な”話し合い路線”の結果こそが、外部に対しては核保有を宣言して周辺国を脅し、内部では過酷な恐怖政治を敷く、今日の北朝鮮なのです。

 人は歴史や経験から学ぶものですので、今後、北朝鮮との間にいかなる合意が成立したとしても、それが誠実に守られることを期待することはできません。むしろ、北朝鮮は、話し合いによって、核も水爆も保有し、その上、独裁体制をも維持することになるかもしれないのです。我々は、話し合い路線を唯一の道として追求するよりも、この隘路ともいえる現実にこそ、真剣に向き合うべきと思うのです。

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第二次朝鮮戦争は避けるべきなのか

2010年11月25日 15時23分12秒 | 国際政治
北朝鮮「2次、3次の打撃加える」米軍に通知文(読売新聞) - goo ニュース
 先日発生した北朝鮮による延坪島への砲撃は、民間人に対する無差別攻撃として国際的な非難を浴びています。その一方で、今回の砲撃事件が第二次朝鮮戦争に発展しないよう、事態の鎮静化を求める声も強まっています。

 戦争が起きますと、甚大な被害が発生しますので、誰もが、戦争だけは回避するよう望むものです。しかしながら、時間の経過に比例して、将来の戦争の被害が大きくなるとしますと、現在の戦争反対ばかりが正論とは言えないようにも思えるのです。特に、北朝鮮は、通常の核兵器のみならず、水爆の開発にも着手していると報じられています。このまま、北朝鮮の大量破壊兵器の保有の既成事実化を許すとしますと、周辺諸国は、将来、さらなる脅威に晒されます。北朝鮮が大量破壊兵器を実戦に使った場合、その被害は、自国民の大半に及ぶことが予想されるのです。今回の砲撃事件で、北朝鮮の無慈悲さと無法ぶりは、充分に証明されています。たとえ、実戦に使わないとしても、大量破壊兵器を背景に、脅迫を受けることは目に見えているのです。

 第二次朝鮮戦争を支持すると言えば、平和主義者から袋叩きにあいそうですが、これを機会に、北朝鮮の核関連施設を徹底的に破壊し、首尾よく金独裁体制を崩壊に導くことができれば、国際社会の脅威の一つを完全に取り除くことができます。必ずしも戦争はいけない、とは言い切れない事態に、我々は直面していると思うのです。
 
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海上保安官へのもう一つのお願い

2010年11月24日 15時42分47秒 | 国際政治
映像流出の保安官、陸上勤務に 乗船勤務不可の診断書(共同通信) - goo ニュース
 尖閣ビデオのネットを通して公開。この行為により、日本国は、国際社会における信頼性を取り戻すと共に、一部ではあれ、国民の多くが尖閣沖で起きた事件の一端を知ることができました。如何に情報公開が大事であるのかを学んだのですが、海上保安官の方には、もう一つ、お願いがあるのです。

 そのお願いとは、ビデオ公開に至った経緯や背景について、ご自身の情報を公開していただきたいのです。海上保安官の方の実像については、週刊誌に記事が掲載されて以来、さまざまな憶測を生んでいます。実のところ、海上保安官の方の組織的な背景や意図について、国民は、さらなる謎にぶつかることになったのです。sengoku38とは、一体、何を意味していたのでしょうか。朝鮮半島では、38度線を挟んで緊張が高まっておりますので、38という数字やSGKという創価学会を想起させる略称との関連性は、気になるところです(配偶者の方は韓国籍とも…)。

 この謎は、海上保安官の方が自らの情報を公開しない限り、解くことはできません。尖閣ビデオの公開の際に示した勇気を、自らの情報公開にも示していただきたいと思うのです。

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中国包囲網―バランス・オブ・パワーを学んだアジア諸国

2010年11月23日 15時32分24秒 | 国際政治
強硬な中国を懸念する会話があちこちで(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 先日、中国の共産党系機関紙の雑誌『環球時報』に、冷戦時代のように共産主義勢力、つまり、中国に対抗するために、アメリカと同盟を組むような国はアジアにはない、という内容の記事が掲載されたそうです。その一方で、現実には、アジア諸国は、中国の覇権主義を抑えるために、アメリカとの協力を強化する方向に動いています。

 中国の行動パターンが、確固とした安全保障の枠組みが存在していなかった、19世紀末のヨーロッパに類似しているとしますと、今日のアジア諸国もまた、当時のヨーロッパ諸国の経験を参考に、バランス・オブ・パワーを考慮して行動することは当然のことです。ヨーロッパでは、一国が支配的な地位を確立しないように、常に近隣の諸国が団結し、対抗勢力や包囲網を形成しきました。中国は、歴代王朝が周辺諸国を冊封体制に組み入れたときのように、今日でも、アジア諸国を容易に従属させていくことができると踏んでいるのかもしれません。しかしながら、先例から学ぶことができる現代のアジア諸国には、中国の覇権主義を抑止するための知恵と知識があるのです。

 アジア諸国が、中国の領土的野心を押さえ込むために、巨大な軍事力を要するアメリカを核とした対中包囲網を形成するのは、極めて合理的な政策判断なのではないかと思うのです。中国は、ここでも、時代錯誤の認識に捕われているのではないでしょうか。

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海上保安官―謎が謎を呼ぶ展開に

2010年11月22日 17時25分13秒 | 日本政治
「流出」保安官、陸上勤務に 海保「持病悪化」と説明(朝日新聞) - goo ニュース
 海上保安官の尖閣ビデオの公開により、日本国の主張の正しさが証明され、国民の多くが直に情報に接し、また、我が国の信頼が回復されたことは、国益に適うことでした。その一方で、週刊誌が報じた保安官に関する情報が事実であるならば、公開した目的は、謎として残ることになります。

 以前、このブログでも、保安官の動機を国益のためと信じて書いた記事を掲載したのですが、正直なところ、いささかその確信は揺らいでしまいました。何故ならば、本人の意思以外にも、ビデオ公開の決断を左右する何らかの意思が介在する可能性があるからです。週刊誌では、配偶者の方が外国籍であったと伝えておりますので、外国政府、あるいは、諜報機関の関与を推測することができます。また、海保や保安官に対する政府の批判が、急速にトーン・ダウンしたことも、何らかの背景を疑わせます。今に至って、謎が謎を呼ぶ展開になってしまったのです。

 もちろん、保安官が、救国の英雄である可能性はありますし、疑うことは、自己犠牲を省みなかった行為に対して失礼であるかもしれません。しかしながら、国政を揺るがす大事件であったがゆえに、うやむやにすることなく、真相は明らかにすべきと思うのです。

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ゆとり教育は”下放”であったのか

2010年11月21日 16時09分45秒 | 日本政治
中国で新卒争奪戦 日本企業、「負けず嫌い」求める(朝日新聞) - goo ニュース
 今年の新卒大学生の内定率は、就職氷河期を下回る低水準で推移しているそうです。その一方で、企業は、外国人の採用には積極的であり、その理由として、草食系とされる日本人大卒者の競争心の欠如と学力の低さを挙げているそうです。

 日本人学生のマイナス点ばかりが強調されていますが、それというのも、最近の日本人学生の低評価は、政府と日教組の責任でもあります。何故ならば、文部科学省がゆとり教育の旗振りをして学力を低下させる一方で、日教組は悪平等を徹底し、競争させないことに闘志を燃やしてきたのですから。今になって、企業から日本人学生には人材がいない、と言われても、本人達に責任を押し付けるのは酷というものです。一方、平等主義の本家本元の共産主義体制下で育った中国の学生は、”負けず嫌いで、競争意識が強い”ことが評価されているというのですから、言葉もありません。

 中国でも、文化大革命の時代には学業が疎かにされ、その時代の人々には失業者が多いそうです。ゆとり教育とは、いわば日本版の”下放”であり、この時代に教育を受けた世代の人々は、政府の失政の犠牲者でもあるのです。民主党政権では、輪をかけて平等志向であることを考えますと、我が国の人材育成は大丈夫なのでしょうか。

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中国は「つぶやき」も許さない相互恐怖の国

2010年11月20日 15時54分17秒 | 国際政治
中国、「つぶやき」も抑圧 漁船衝突の反日デモ皮肉り拘束(共同通信) - goo ニュース
 中国では、尖閣諸島事件を口実に発生した反日デモを皮肉った「つぶやき」を投稿した女性が、当局によって拘束されたそうです。「つぶやき」の内容さえ、具体的には説明されていませんので、中国国民は、言いしれぬ恐怖を感じているはずです。

 ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏は、「08憲章」を堂々と公表して、新しい中国像を提起したことで投獄されてしまいましたが、この女性の場合には、「つぶやき」が、当局から政府批判と”解釈”されたから拘束されたようです。このことは、取締側の当局の解釈次第で、国民の個人的な発言を咎めて、無制限に国民を拘束できることを意味しています。猜疑心に駆られた当局は、何らの基準もなく、一方的な解釈で、国民を次から次へと留置所に引きたててゆくかもしれないのです。これでは、中国国民は、何もしゃべれなくなります。

 「つぶやき」にまで言論統制の対象を広げているとしますと、これは、政府の危機感の表れであるのかもしれません。急速な経済成長の陰で、国民の政府に対する不満は、高まるばかりなのですから。国民が、政府当局を怖れているように、政府当局もまた、国民に対して恐怖心を抱いているのです。政府と国民が、相互に相手に対する恐怖心に慄く国は、暗黒国家なのではないかと思うのです。

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ノーベル平和賞授賞式欠席―中国の逆踏み絵

2010年11月19日 11時29分40秒 | 国際政治
ロシアなど5カ国も欠席=平和賞授賞式―ノーベル賞委(時事通信) - goo ニュース
 ”踏み絵”とは、他者の思想をチェックする手段であり、支配者側の思想統制と検閲を含意した究極の脅しでもありました。全体主義国家では、現代でもこうした脅迫的な手法が採られており、権力者側は、自国民の内面にまで踏み込み、完全に支配できる権利が政府にあると信じています。

 ノーベル平和賞授賞式の欠席を要求する中国の行為もまた、自国民のみならず、他国にも踏み絵を踏むように迫るようなものです。踏み絵を踏んで、民主主義や自由を否定した国は、”体制側”として厚遇し、拒否した諸国は”反体制側”と見なして懲罰を与えるべきであると。授賞式の出欠は、中国による思想チェックの場と化してしまったかのようです。

 もっとも、国際社会の圧倒的多数が、民主主義と自由を擁護するに至った現実は、中国にとっては、誤算であったかもしれません。他国に踏み絵を踏ませているようで、逆に、自国が非民主的であることを証明する踏み絵を、踏せてしまったのですから。中国の強引な手法は、警戒すべき危険な非民主国家を炙り出すことになったのではないでしょうか。

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仙谷発言―中国の暴力は良い暴力?

2010年11月18日 15時18分33秒 | 国際政治
仙谷氏「自衛隊は暴力装置」 参院予算委で発言、撤回(朝日新聞) - goo ニュース
 我が国の左翼活動家には、不可解な習性があります。それは、自らが悪として糾弾している行為であっても、それが、社会・共産主義国家がするとなれば、良いこととして称賛することです。仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」という発言にも、この特徴がよく現れています。

 核兵器廃絶運動でも、左翼活動家達は、アメリカの核は悪い核であり、ソ連や中国の核は良い核とする論を張ってきました。正常な思考回路の持ち主であれば、この主張が矛盾に満ちていることは、すぐに分かるはずです。国民の多くが平和運動に疑問を持つようになったのも、左翼運動家の論理矛盾と欺瞞を見抜いたからに他なりません。仙谷官房長官もまた、尖閣沖で中国漁船から海保の巡視艇に対して暴力をふるわれたにも拘わらず、中国側の”暴力”を厳しく非難する言葉はありませんでした。その一方で、自衛隊に対しては、平気で”暴力装置”という言葉を使うのですから、左翼活動家としての思考パターンが染みついてしまっているようです。

 国家を破壊することを目的に生きてきた人物が、ひょんなことから国家を守る立場に置かれると、解き難い自己矛盾による混乱が、国家をも巻き込むことになります。仙谷官房長官は、一刻も早く、政治の舞台から退場すべきではないかと思うのです。

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NHKは放送法改正で自由契約に

2010年11月17日 15時50分01秒 | 日本政治
NHK、一般世帯の提訴も視野に 受信契約拒否で初(朝日新聞) - goo ニュース
 最近のNHKは、受信契約を拒否した人には提訴で迫り、受信料を滞納している人に対しては強制執行に訴えたりと、強硬な態度が目立ちます。それというのも、国民のNHKに対する信頼低下が原因なのですが、元はといえば、放送法の規定に問題があるのではないかと思うのです。

 市場経済では、契約自由が原則であり、一方が、もう一方に対して契約を強制することはできません。しかしながら、放送法では、テレビを購入した消費者は、NHKとの受信契約が義務付られているのです。この法的な義務付けゆえに、NHKは、法的な手段に訴える、ということになるのですが、これでは”押し売り”と同じになり、消費者の自由の侵害になります。しかも、NHKの報道の偏向は甚だしく、どこの国の放送局なのか疑いたくなる番組も少なくありません。年間、地上契約だけでも14.910円も払いながら、見るべき番組もなく(不愉快になることも・・・)、視聴者の意見や批判にNHKが耳を塞ぐとなりますと、国民のNHKに対する不満は高まるばかりです。

 NHKと国民との間の歪だ関係が、受信料の支払いを義務付けている放送法にあるならば、視聴者に契約の自由を認めることで、両者の関係をフェアなものに是正すべきと思うのです。

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国家のために自己を捨てた海上保安官

2010年11月16日 15時23分15秒 | 国際政治
「私利私欲ではない」=海上保安官がコメント―ビデオ流出(時事通信) - goo ニュース
 世の中には、究極の選択というものがあるものです。”苦渋の選択”という言葉は、海上保安官の尖閣ビデオ公開にこそ相応しいと思うのです。

 もし、ビデオが公開されないままであったとしますと、我が国の巡視船と中国の漁船の、どちらが”犯罪者”であったのか、判然としない状況が続いていたはずです。実際に、ビデオが公開されないのをこれ幸いと、中国政府は、巡視船が漁船に衝突してきたと中国国民に説明し、日本国政府に対しては、謝罪と賠償を求めるありさまでした。いわば、中国政府から、海保は”犯罪者”と名指しで非難されていたのであり、日本国は、無実の罪で訴えられていたのです。国際社会の反応も、事実関係が分からないのでで、日本国政府が海保側の行為の正当性を主張しても、疑心暗鬼といったところでした。

 無実を罪を晴らすためには、ビデオ公開しかないとしますと、ここに究極の選択が付きつけられることになります。職務規定に違反しても、国家の名誉と正義のために無実の罪を晴らすのか、それとも、罪人呼ばわりを受入れて、政府の命じるままに沈黙するのか。

 自らを捨てても、正邪を明らかにし、国家の名誉を守ろうとした海上保安官の選択を、誰が責めることができるのでしょうか。政府から罵倒され、海保の内部からも冷たく突き放されている海上保安官の痛々しい姿は、どこか重い十字架を背負っているように見えるのです。

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