万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

トランプ大統領まさかの日韓核武装容認論へ回帰か?

2017年04月30日 13時37分07秒 | 国際政治
北朝鮮核実験なら「心外」=軍事行動否定せず―米大統領
 アメリカのトランプ大統領は、緊迫の度を強める朝鮮半島情勢について、北朝鮮が核実験に及んだならば”心外”と述べたと報じられています。軍事行動を否定はしないものの、即時空爆とは断言しておらず、アメリカは、核実験再開をデッドラインに引くのを躊躇している様子が窺えます。

 仮に、アメリカが北朝鮮に対して何らの核の強制排除措置を採らないとなりますと、アメリカは、事実上、二つのデッドラインを設定したこととなります。その第一は、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの保有です。このデッドラインは、自国が北朝鮮の核搭載ミサイルの射程に入らない限り、アメリカが、50発程度とされる北朝鮮による核保有の現状を認めることを意味します。そして、第二のデッドラインは、中距離ミサイルによる同盟国への核攻撃です。第二のデッドラインで窮地に陥るのは北朝鮮の中距離ミサイルの射程範囲に入る日本国、並びに、周辺諸国です。アメリカから核の傘を提供されつつも、常に、北朝鮮から核の先制を受けるリスクに晒され続けるからです。

 しかも、対話路線への回帰によって北朝鮮が時間稼ぎに成功し、極秘開発によって長距離弾道ミサイルを保有するとなれば、第一のデッドラインも第二のデッドラインも無効となります。北朝鮮全土の無条件査察を可能としない限り、北朝鮮が長距離ミサイル開発、あるいは、対空母ミサイルシステム等を手にするのは時間の問題であり、何れの時点でも、北朝鮮に対して手も足も出なくなるのです。たとえ対話路線に戻ったとしても、北朝鮮が、全土の無条件査察を受け入れるとは思えません。

 国連憲章やNPTに違反してまで北朝鮮が核・ミサイルの開発に奔走し、核保有を確かにした時点で強気でアメリカを挑発し始めた理由として、しばしば、”北朝鮮は、核を保有している国は決して攻撃を受けないと信じているから”と説明されています。この主張が正しければ、対話路線への復帰と、日本国を含む周辺諸国の核保有の承認との何れがよりリスクが低いのかを比較検討する必要が生じます。前者では、北朝鮮に”飴”を与えかねませんが、後者では、周辺諸国が核武装すれば、北朝鮮もまた、核を保有する周辺諸国を攻撃できなくなります。最も危険な国が核を保有してしまうNPT体制は欠陥に満ちていますので、この体制の見直しも急務となりましょう(国際法を誠実に順守した国が不利益を被るシステム…)。

 大統領選挙において、トランプ大統領は、日韓核武装論を展開したことを思い起こしますと、今般の朝鮮半島問題を切っ掛けとして、まさかの日韓核武装容認論への回帰もあり得ない展開ではありません。NPT体制において核保有国が核の不拡散に失敗した時点で、NPTは、道義的、並びに、合理的根拠を失ってしまうのですから。

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いよいよ怪しい皇室ー皇室性善説が崩壊する日

2017年04月29日 15時17分10秒 | 日本政治
退位法案、名称に「陛下」記さず=政府が与野党に骨子提示
 本日の産経新聞朝刊の一面に掲載された皇室関連の記事を読んで、唖然とした国民も多かったのではないかと思います。高齢じよる体力の衰えを理由に譲位(退位)するものとされながら、譲位(退位)後の上皇の私的活動は、逆に増えるというのですから。

 そもそも、退位(譲位)後の私的活動が何を意味するのか、はっきりとしていません。譲位(退位)表明に当たっては、寄る年波に勝てず、象徴天皇としての務めが十分に果たせなくなったことが理由として説明されていました。仮に、記事で示唆されているように、被災地との繋がり等に関する私的活動、即ち被災地訪問等を意味するならば、マスメディア等が説明している”象徴天皇の活動”そのものであり、敢えて譲位(退位)する必要はないこととなります。一方、私的活動が、音楽会や絵画鑑賞などの老後の趣味的な活動であるならば、80人もの侍従職は多すぎます。

 また、国家祭祀については、現憲法下では天皇の私的行為とされていますが、譲位(退位)後にあって、この役割が上皇と天皇のどちらが担うのかも不明です。日本国の伝統からしますと、当然に天皇の役割なのですが、創価学会の影響が指摘されている東宮家については祭祀に対して消極的であるとされており、最悪の場合には、国家祭祀が上皇と天皇の間で宙に浮いてしまう可能性もあります。

 しかも、この案通りに法案が可決されるとしますと、国民の負担は倍増します。何故ならば、”上皇”の私的活動を支えるために宮内庁の侍従職職員の人員はこれまで通りの80人とする一方で、新天皇の侍従職が増員されると共に(50人から80人へ?)、事実上の東宮家となる秋篠宮家の”皇嗣職”の増員も検討されているからです(20人から50人へ?)。国民の側からしますと、新旧二つの天皇に要する費用を負担させられるのですから、この一事を以っても、国民を慮っての譲位(退位)であったのか、疑わざるを得ないのです。あるいは、パーキンソンの法則よろしく、退位(譲位)問題をチャンスと見た宮内庁の自己増殖計画なのでしょうか。

 ネット上では、皇室について様々なマイナス情報が飛び交っており、今や、多くの国民が皇室の存在を怪しんでします。常識ではあり得ず、理性に照らせば何らかの謀略を確信せざるを得ない出来事ばかりが続いているのですから、”疑うな”という方に無理があります。全ての事実が明らかにされ、古来、日本人が懐いてきた善良なる皇室像が崩壊する日を迎えるとしましても、日本一国の問題ではなく国際レベルでの謀略である以上、それも歴史の宿命であり、来るべき時が来たと言うべきなのかもしれません。

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中国の対北制裁デットラインこそ警戒すべきでは

2017年04月28日 09時50分13秒 | アジア
核実験なら独自制裁=中国が北朝鮮に警告
 北朝鮮が狂気に駆られた暴力主義国家であるとしますと、その後ろ盾である中国は、したたかな無法国家と表現すべきなのかもしれません。緊迫する朝鮮半島情勢を前に、その中国は、制裁に関するデッドラインを北朝鮮に伝達したそうです。

 中国が示したデッドラインとは、”北朝鮮が、再度、核実験を実施したならば独自制裁を科す”というものです。この意味するところを読み解きますと、中国は、自国、並びに、北朝鮮のために姑息な逃げ道を造っているとしか考えられないのです。

 第1に、中国は、対北制裁の条件として核実験の実施を一方的に設けております。北朝鮮に対して独自制裁を宣言しているのですから、この条件付けは、中国が北朝鮮に対して厳しい態度で臨むと共に、アメリカの要請にも応えているように聞こえます。しかしながら、中国側のデッドラインは核実験の再開ですので、北朝鮮が何もしない限り、中国も何もしないことを意味します。つまり、このデッドラインは、中国による対北支援に逃げ道を与え、アメリカから要求されている制裁強化を体よく回避しているのです。中国が、注目されている石油輸出の完全停止に踏み切るとも思えません。

 第2に、年当初の核実験は水爆実験とされていますが、今後に計画されいる核実験とは、核兵器の破壊力の増大を目的としたものと推測されます。現状として北朝鮮が、水爆より威力は劣るものの、各方面から指摘されているように数十発程度の通常の核兵器を既に保有しているならば、結局、北朝鮮の核保有は既成事実化されます。中国のデッドラインは、北朝鮮による核保有の容認を意味しかねないのです。

 第3に、中国からの”警告”は、北朝鮮にとっては”渡りに船”であり、核実験を停止している間は、準備期間となり得ます。ロシアやその他友好諸国との関係を強化し、国際的制裁網からの抜け道を確保すると共に、生物化学兵器、大型潜水艦、長距離弾道ミサイル技術など、核以外の分野における軍事力増強に専念する時間的猶予が生まれます。中国のデッドラインは、北朝鮮の軍事的脅威を逆に高める結果も予測されるのです(*29日に北朝鮮は、中距離ミサイルの発射に失敗しましたが、核実験再開でなければ制裁を免れると判断したのでは…)。

 第4に、中国のデッドラインは、アメリカの先制空爆を牽制する意図も隠されているかもしれません。国際社会に対して、中国が対北制裁に積極的な姿勢で臨み、かつ、北朝鮮が核実験を実施していないにも拘わらず、単独で対北空爆に踏み切ったとして、アメリカを非難するための布石を置いているとも考えられるのです。もっとも、中国の批判に同調するよりも、北朝鮮が独裁体制の下で核を保有しているという現実を直視すれば、アメリカの空爆を支持する諸国の方が数において優るものと予測されます。

 第5として、北朝鮮は、核実験を経ずして、他国を核ミサイルで攻撃する可能性も否定はできません。つまり、制裁を受ける前に、北朝鮮は、甚大な被害を他国へ与えるかもしれないのです。実際に北朝鮮は、中距離ミサイルによる核攻撃を示唆することで、日本国を含む周辺諸国を威嚇しています。”遅きに失する”ということにもなりかねないのです。

 以上から、米軍による空爆を含めた北朝鮮問題のデッドラインを核実験の再開に定めたい中国の思惑が浮き上がってきます。果たして、国際社会は、中国が暗に設定したデッドラインにに追随するのでしょうか。中国の思惑通りにデッドラインが定まれば、朝鮮半島情勢は膠着状態に陥り、米軍は、朝鮮半島に釘付けとなりましょう。時間の経過が北朝鮮優位に情勢を傾かせるとしますと、アメリカのトランプ政権が、中国の対応に満足するとは思えないのです。

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米長官の声明は対北最後通牒では?

2017年04月27日 15時07分15秒 | アメリカ
制裁と外交手段で圧力=対北朝鮮、平和的非核化目指す―米長官
 昨日26日、アメリカのティラーソン務長官とマティス国防長官は、対北政策の見直しを纏めた共同声明を発表しました。同声明において”平和的非核化”が強調されたことから、メディア等ではアメリカが対話路線に回帰するとの見方も聞かれます。

 しかしながら、同声明は、あくまでも対北朝鮮政策の”見直し”をテーマとしており、過去に二度も騙された以上、アメリカが易々と”戦略的忍耐”路線に戻るとは思えません。北朝鮮は、1994年の米朝合意でも核放棄を約束しながら抜け道を造り、六か国協議では、表向きは交渉に応じる姿勢を見せつつ、秘密裏に核・ミサイル開発を継続しました。二度も国際社会の信頼を裏切ったのですから、北朝鮮が三度目の交渉の席で核放棄を約束したとしても、もはや誰も北朝鮮の言葉を信じないことでしょう。強制手段を以って核を放棄させられる状況に自らを追い込んだのは、北朝鮮自身なのです。

 同声明が単純な対話路線への回帰を述べたのではないとしますと、その意味するところは、北朝鮮に対する最後通牒です。検証可能な方法、即ち、アメリカの監視下、あるいは、米軍による核施設の完全破壊や、核・ミサイルのみならず、生物化学兵器といった大量破壊兵器を対象とした全土の無条件査察の受入等の条件を飲まない限り(推測ですが…)、アメリカは武力行使も辞さないとする、YesかNoかの選択を北朝鮮に突き付けているのです。

 NPTには明文の規定はないものの(当条約の欠陥…)、核保有国としてアメリカには核拡散を防止する義務があり、かつ、北朝鮮が既に大量破壊兵器を保有している以上、アメリカには先制攻撃の資格があると解されます。北朝鮮がさらなる核実験等の何らの動きをとらなくとも、アメリカは北朝鮮を空爆できるのです。北朝鮮は同声明の重みを理解し、早々に白旗を揚げるべきではないかと思うのです。

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追い詰められる不幸なフランス国民

2017年04月26日 15時20分11秒 | ヨーロッパ
【仏大統領選】マクロン氏が大はしゃぎ? 決選投票決定後に有名店で宴会 「成金候補」と批判
 フランスの大統領選挙では、第1回目の投票の結果、エマニュエル・マクロン氏とマリーヌ・ルペン氏が決選投票に残こり、5月7日の第2回目の投票により、いよいよ次期フランス大統領が選出されます。世論調査によりますと、60%以上の支持を集めてマクロン氏がリードしているとされていますが、この選挙、フランス国民を追い詰めているように思えます。

 当選挙は、巷では、”フランス・ファースト”と”グローバリズム・ファースト”の真っからの対立とも称されています。この対立軸での選挙は既にイギリスとアメリカを舞台に実施されていますが、メディアの予想が外れる現象がフランスでも繰り返されない限り、フランス国民は両国とは逆の選択をするものと予想されているのです。”極右よりはまし”というフランス国民の消去法的な選択と説明されているものの、この選択は、フランス国民にとりましては相当に酷です。何故ならば、マクロン氏の政策を見る限り、フランスを葬り去る可能性すらあるからです。”国民の選択”の名の下で…。

 投資銀行であるロスチャイルド銀行出身のマクロン氏の政策方針を見ますと、経済相時代に「マクロン法」と呼ばれた民営化や自由化政策を実現しており、自由主義、否、”新自由主義”に軸足を置いているようです。”グローバリズム・ファースト”のみならず、親EUの立場にもあり、優先順位としては、グローバリズム、EU、そしてフランスの順なのでしょう。当然に、移民受入にも積極的であり、多様性を尊重する立場から、移民を含む貧困層に予算を振り向け、社会統合の促進を目指すとされています。財政再建策としては、公務員の12万人削減を約束はしていますが(12万人の失業者はどうなるのでしょうか…)、移民対策に加えて、所得税や法人税の減税、500億ユーロの投資(再生可能エネルギーの促進、農業改革、医療介護分野でのイノヴェーション…)、警官の1万人増員やテロ対策強化…を計画しており、財政削減一辺倒ではないようです(新自由主義政策促進のためには予算は割く…)。

 マクロン氏の人物評としてはバランス重視ともされていますが、これらの政策は何れも極めて”新自由主義的”であり、バランスどころか極端な偏りが目立ちます。むしろ、国際経済勢力が計画し、日本国政府も導入を進めている新自由主義の政策綱領の”いろは”と言っても過言ではありません。氏が大統領に当選すれば、フランスは古来のフランス人の国では最早なくなり、”ミニ・世界市民社会”が出現することでしょう。しかも、今般、問題視されている行き過ぎたグローバリズムの欠陥や欠点は是正されず、ブレーキではなくアクセルが踏まれることで、さらにマイナス方向への拍車がかかるのです。もちろん、”ミニ・世界市民社会化”を支持する国民もありましょうが、少なくない一般フランス国民は、中間層からの脱落のみならず、かつてない程のアイデンティティーの危機と喪失感に苦しむのではないでしょうか。

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北朝鮮の”戦後処理”はどうなるのか?

2017年04月25日 18時32分15秒 | 国際政治
【北朝鮮情勢】朝鮮人民軍創建85年記念日、南東部で過去最大規模の砲撃訓練 韓国メディア報道 日米韓は核実験など警戒
 米軍と一戦を交えるか否かは別としても、北朝鮮の運命は風前の灯です。ここ数日の動きを観察していますと、米軍による対北空爆については中国は容認し、ロシアも積極的な介入は控える様子が窺えます。
 
 近い将来における北朝鮮の敗北が確実であるとしますと、今から準備すべきは、北朝鮮の”戦後処理”です。米中ロ共に永続的に北朝鮮領を合法的に軍事占領下に置くことができないとなりますと、朝鮮半島北部には空白地帯が生じることになります。朝鮮半島とは、近代以降、列強のパワーがせめぎ合う地域として知られていますが、今般も、国際社会は、同様の問題に直面しています。20世紀初頭にあっては、日本国が朝鮮半島を併合することで一定の地域的安定を得ましたが、今日においては、別の方法を模索する必要があります。想定される”戦後処理”とは、(1)北朝鮮の枠組みを維持した上での”金王朝”の排除と新体制の樹立、(2)韓国への併合、(3)国際共同管理、(4)国際分割管理、(5)国連における信託統治…などです。あるいは、軍事分野だけを切り離して国際管理下に置き、主たる内政権限は韓国に統合するといったコンビネーションもあり得ます。

 最も望ましいのシナリオは、東欧革命時のような国民による民主的選挙による体制移行、あるいは、韓国への併合ですが、中国による強固な反対が予測されると共に、洗脳状態にあった北朝鮮国民は民主主義に対する理解が乏しく、政治的混乱に陥る可能性もあります(今般の弾劾から大統領選の様子では、韓国の民主主義でさえ怪しい…)。イラク戦争では、”アメリカは、戦争には勝利しても”戦後処理”には失敗した”とする批判もあり、また、”中東の春”でも、独裁者の追放には成功したものの、安定した民主的体制を構築するには至っていません(難民の大量発生の原因にも…)。こうした前例に鑑みますと、当面は軍事占領下においたとしても、アメリカ、関係国、そして、国際社会は、今度こそ北朝鮮の”その後”を見据えた上で、北朝鮮問題に臨むべきと思うのです。

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米軍による対北空爆を中国が承認する論理

2017年04月24日 15時04分24秒 | 国際政治
中国主席「緊張回避」呼び掛け=北朝鮮めぐり米大統領と協議
 朝鮮半島では、各国とも、相手国に対して自制を呼びかける一触即発の状態が続いております。さながら何れもが銃に手をかけている決闘場面のような緊迫した状況ですが、明日25日には、朝鮮人民軍創設から85年を迎える記念日に当たるため、北朝鮮が核実験を敢行するのではないかとする憶測も流れています。

 あくまでも北朝鮮を擁護すると見られてきた中国でも、いささか風向きが変わってきており、アメリカの対北空爆を容認する見解も聞かれるそうです。米軍が北朝鮮の核施設等を標的としたピンポイント式の空爆を実施した場合には中国は介入しないが、仮に、米軍が、38度線を越えて北朝鮮領内に進軍した場合には、中国は北朝鮮の同盟国として闘う、というものです。この主張の論理構成を分析してみますと、中国の認識の変化について興味深い点が見えてきます。

 中国と北朝鮮との間には、1961年以来、中朝友好協力相互援助条約が締結されており、参戦条項と称される第2条では、「第二条  両締約国は,共同ですべての措置を執りいずれの一方の締約国に対するいかなる国の侵略をも防止する。いずれか一方の締約国がいずれかの国又は同盟国家群から武力攻撃を受けて,それによって戦争状態に陥つたときは他方の締約国は,直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える。」とあります。この条項に従えば、アメリカが北朝鮮を先制攻撃した場合、中国は、集団的自衛権を発動して北朝鮮側で闘う義務を負うのです。

 同条文を読む限り、中国の参戦条項が発動されない条件とは、北朝鮮側が侵略する、即ち、先制攻撃を行うケースに限られますが、もう一つ、中国が参戦義務を負わないケースがあります。それは、国連憲章やNPTといった国際法に違反する行為に対する”制裁”の場合です。武力の行使という意味では表面的には同じでも、その根拠は国際法に求められるのであり、この場合におけるアメリカの軍事行動は、休戦協定違反による朝鮮戦争の再開とは別次元となるのです。

 以上に述べたように、この説では、中国は、国際法違反行為に対する”制裁”と朝鮮戦争の延長としての”戦争”とを区別しています。即ち、中国は、南シナ海問題では仲裁裁定を無視したものの、北朝鮮問題に直面するに及んで、対米全面戦争を回避する論法として国際法秩序の維持を持ち出さざるを得なくなっているのです。尤も、中国の認識の変化は当面の危機を脱するための方便に過ぎず、危機が去った後には、再び以前の状態に戻るかもしれません。とは言うものの、中国の対北空爆容認論によって、北朝鮮は、中国の参戦を期待できなくなりますので、何れにしても、”制裁”と”戦争”の区別は、北朝鮮に”投降”、あるいは、”降伏”を迫る強力な圧力となると思うのです。

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皇族減少より日本国の国制の議論を先に

2017年04月23日 13時40分29秒 | 日本政治
皇族減少への対応「退位前に検討を」…御厨氏
 先日、政府に提出された天皇譲位(退位)問題に関する有識者会議の報告書は、法的にも、その内容においても疑問に満ちております。当有識者会議のメンバーの一人であった御厨貴東京大学名誉教授は、メディアとのインタヴューの席で、将来予測される皇族減少への対応に言及しています。

 皇族減少への対応は民進党も提言しており、御厨氏のみの個人的な見解ではないようです。しかしながら、皇室が将来においても存続するとの前提に立ち、その存続を検討する姿勢には疑問があります。何故ならば、日本国の将来における統治機構のあり方や皇室の著しい変質等の問題を全く考慮していないからです。

 統治機構のあり方については、未来永劫にわたって立憲君主制の形骸を残すべきか否かは、重要な論点となります。現在の日本国憲法では、第1条から第8条に至るまで天皇に関する条文を置いており、政治的権能を有さないものの、形式として天皇の国事行為を定めています。しかしながら、国民主権の下で民主主義体制を確立した今日、少なくとも統治機構の内部に天皇を位置づける必要は最早ありません。今般の退位(譲位)問題や東宮問題においても垣間見えるように、天皇の政治利用、もしくは、むしろ、天皇による国家権力の掌握の危険性は増すばかりであり、むしろ、国事行為を廃止する方向での議論は至極当然の方向性です。

 皇室の著しい変質も、もしくは、現在の’皇室’そのものへの疑問も看過できないレベルに達しています。ネット上では、カルト教団である創価学会との密接な関係は、公然に等しいことの他にも、皇室の隠し財産、犯罪を含む不良行為、明治維新の際の乗っ取り説、傀儡説、外国人説、すり替え説、ダミー説、肖像写真の相違からの複数存在説…など、皇室をめぐる様々なマイナス情報で溢れています。何れもがフェークニューズとは言い難い高い信憑性があり、国民の多くも皇室に対して不信感を懐いています。

 真偽不明の情報のみならず、事実としても二代続けての民間出身妃ですので、国民との間に皇統の濃さの違いは薄らいでいます(東宮家のように姻族が北朝鮮出身者となれば、致命的なマイナス要因となる…)。しかも、地位に相応しい品位や祭祀に付随すべき神聖性さえ自ら破壊していますので、将来においては、皇室に対する国民の崇敬の念はさらに薄らいでゆくことでしょう。皇族減少への対処の根拠として、様々な行事への出席への対応等が挙げられていますが、皇族が臨席しても、国民の誰もが”怖れ多くあり難い”とは思わず、むしろ’不快である’、もしくは、’鬱陶しい’と感じるようではその意義も消滅します。こうした状態では、到底、統合の象徴ともなり得ないのです。

 天皇を中心とした国家体制は、西欧の立憲君主制をモデルに明治以降に登場したものであり、長きに亘る日本の歴史に鑑みれば、外的な体制でもあります。そして何よりも、世襲の君主制は過去のものとなり、民主主義的制度の下で、国家を安定的に運営できる時代を迎えています。こうした時代の変化を考えれば、国制に関する議論こそ、皇族減少問題に先んじて議論すべきと思うのです。

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ユダヤ教に従えば北朝鮮問題は”話し合い”で解決してはならない

2017年04月22日 13時55分57秒 | 国際政治
安保理、北朝鮮を非難=米ロ一転合意、追加制裁警告
 今月20日に国連安保理で成立した対北朝鮮非難声明では、ロシア側の文言修正要求を受け入れて、”対話を通じた(解決)”のフレーズが追加されたそうです。近年、他国の声に耳を貸さず、単独主義で勢力圏を広げてきたロシアが”対話”を求めたのですから、その形振り構わないダブル・スタンダードぶりには驚きを越えて呆れるばかりです。

 ところで、北朝鮮問題の解決方針は、ロシアが主張するように対話路線に回帰するのでしょうか。ロシアのみならず、日本国内でも、北朝鮮が核を保有している以上、空爆に及ぶことなくアメリカも、程なく北朝鮮との交渉を模索するとの見解が見られます。しかしながら、1994年の米朝合意も、六か国協議による話し合いも、全てが北朝鮮を利するのみとなり、話し合い路線の行き着く先に今日の政策転換があったのですから、その路線への回帰は、失敗の繰り返しを意味しかねません。三度も同じ手法で騙されるとなりますと、学習能力が欠如しているか、あるいは、故意に騙されたふりをしているのかの何れかとなりますし、核搭載可能な長距離弾道弾の保有が目前ともなれば、時間的な猶予もないはずです。こうした現実を直視すれば、”対話”が”話し合い”という名の北朝鮮の全面降伏と戦後処理を意味しない限り、単純な同路線への逆戻りはあり得なませんし、また、むしろ、極めて危険な状況へと向かうことになると考えられるのです。

 確かに、紛争の解決方法において、話し合いは、平和的な手段ではあります。しかしながら、時と場合によっては、この方法を採ることができない場合もあるのも現実です。近現代の国際社会では、所謂’ユダヤ人’が一定の影響力を保持しているとされていますが、ユダヤ教でも、こうした問題を扱っていることは注目されます。タルムードと言えば、兎角に”悪魔の書”のようなイメージがありますが、現在の’ユダヤ人’の一部を構成している古来のユダヤ人(ヘブライ12支族)は、世界最古の法典を有するシュメール文明を継承する人々ですので、法に関しては、ローマ法と同様に”書かれた理性”とも称すべき公平な側面があります。そのタルムードには、”妥協(compromise)”に関する記述があり、それによれば、裁定者が仲裁してはならない例外として、”どちらか一方の当事者が明らかに悪い時(in the wrong)”を挙げています(Rabbi Adin Steinsaltz,The Essential Talnud,Magiid Books, 2010, p. 237)。今般の北朝鮮問題は、北朝鮮が、NPTに反して核開発を行ったところにありますので、明らかに北朝鮮に非があり、タルムードの解決原則に従えば、妥協を模索してはならないケースとなります。

 ”悪事を働いた者に対して妥協してはならない”とする原則は、ユダヤ教のみならず、一般社会においても当然の対応でもあります。安易な妥協によって北朝鮮を増長させた挙句、全人類が核によって北朝鮮から脅迫を受ける事態は、何としても避けなければならないと思うのです。

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中国が対北禁油に踏み込まない理由とは?

2017年04月21日 08時51分04秒 | 国際政治
安保理、北朝鮮を非難=米ロ一転合意、追加制裁警告
 朝鮮半島情勢は一触即発の状況にありながら、関係各国の思惑が入り乱れ、混迷の度を増しております。対北空爆も辞さない構えの米トランプ大統領も、拳を振り上げた格好で、一先ずは、中国の対応を注視しているようです。

 一連の動きの中で注目されるのは、中国と北朝鮮との関係です。アメリカ政府は、北朝鮮に対する中国の影響力に期待し、より強硬な経済制裁を求めており、中国もアメリカの要請に応える形で石炭の輸入を止めています。ただし、北朝鮮に対する石油の輸出は継続しており、禁油措置なき制裁では、核・ミサイル開発阻止への効果は期待薄です。中国が禁油に踏み込めない背景には、幾つかの理由が推測されます。

 第1の推測は、北朝鮮の金正恩を背後から操っているのは中国自身であり、本気で北朝鮮に核・ミサイル開発を阻止する意思がないとするものです。表面上はアメリカの要望に応えるように見せながら、その実、石油供給を継続することで、中国の傀儡、並びに、”秘密兵器”として北朝鮮を温存させたいのかもしれません。中国にとりまして、石油供給のルートこそ、北朝鮮を操る重要な”糸”なのですから。

 第2に、中国は、自らの体制維持のために、北朝鮮に対して禁油措置を採ることができないとも推測されます。何故ならば、北朝鮮の軍部と元瀋陽軍との間には密接な連携関係があり、対北朝鮮の制裁レベルを上げれば、”瀋陽軍閥”が北京政府に反旗を翻さないとも限らないからです。この推測は、内乱を誘発しかねないために習政権が対北禁輸を躊躇っているとの見立てです。

 そして第3の推測は、中国が、北朝鮮から核で威嚇されている可能性です。長距離弾道ミサイルが開発途上にありながら、太平洋を隔てたアメリカを核で威嚇するぐらいですから、隣国である中国に対する脅迫効果はさらに高いと北朝鮮は見るはずです。既に、中距離ミサイルを保有していますので、北部に位置する首都北京は日本国よりも近距離にあり、余裕で核ミサイルの射程内に入るからです。

 それとも、先の北朝鮮のミサイル発射に際して指摘があったように、アメリカによるサイバー攻撃やEMP爆弾の使用等により、北朝鮮のミサイルシステムは破壊されており、北朝鮮問題は、既に”戦後処理”の段階に入っているのでしょうか。この最後のシナリオは確かに望ましいのですが、仮に事実であれば、敢えて事実を伏せる理由を探す必要があります(安全保障上の軍事機密、あるいは、極秘戦略?)。

 最後の憶測を除いては、何れの推測であっても、中国が対北禁輸を決断するには高いハードルがあり、高度、かつ、複雑な”読み”やリスクを覚悟した”賭け”を要します。8世紀、唐の時代には、皇帝の命を受けて中国北東部に派遣された安禄山軍が、突如、首都長安に向けて踵を返して進軍したため、皇帝玄宗が帝都からほうほうの体で逃げ出すに至った歴史的事件-安禄山の乱-もありました。古来、極東地域は、中国にとりまして”鬼門”でもあります。結局、中国は、”動かない”、あるいは、”動けない”公算も高く、アメリカによる空爆が、俄然、現実味を帯びてきます。ロシアの動きも活発化しており、中国による対北禁油措置の行方は、北朝鮮問題の一つの山場となるのではないかと思うのです。

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フェイスブックは邪悪?ー”思考読み取り”技術の開発

2017年04月20日 15時32分43秒 | 社会
フェイスブック、「思い浮かべた文字」をタイプできる技術開発へ
 収益の多様化を目指すフェースブックが新たに開発を急いでいるのは、脳内にチップを埋め込むことで、頭の中で思い描いた文字をタイプできるという技術なそうです。開発者は、障害者の助けになると共に、将来的には、通信機器なしても友人にメッセージを送ることができるなど、メリット面を強調していますが、この技術、使い方次第では、邪悪な技術となるのではないでしょうか。

 そもそも、メリット面があったとしても、脳内にチップを受け込むには、失敗すれば命や人格にも関わる外科手術を要しますので、普通の感覚の人であれば二の足を踏むはずです。この技術は、現状では”脳内タイプ”の段階であるかもしれませんが、開発が進むにつれて、以下のような問題が発生します。

 第1に、脳内にチップを埋め込まれますと、意識の座でもある脳内に外部と繋がる他者が入り込むことを意味します。そのチップは、24時間脳内に居座って、その人の脳波を、逐次、読み取っているのです。脳内にチップが常駐している状態は、人々に耐えがたいストレスと苦痛を与えることでしょう。チップ埋め込みが原因で、精神に異常をきたす人も現れるかもしれません。この技術は、憲法で保障されている内面の自由やプライバシーを侵害しかねないのです。

 第2に、脳内チップが思考を読み取ることができるとしますと、それは、一種の”盗み”となります。盗聴や盗撮ならぬ、”盗思”とも表現すべきでしょうか。脳内チップによって、他者の思考が読み取れるならば、知的財産権や著作権は、いとも簡単に外部者に盗まれてしまいます。また、インサイダー情報や企業秘密を含めて、あらゆる秘密事項は、それを知る人が脳内で思い浮かべただけで、他者に漏れることでしょう。結果として、秘密を知った者から、脅迫のブラックメールも届くかもしれません。また、逆に、脳内チップを埋め込まれた人物が、これを悪用して、偽情報等を読み取らせることもできます。つまり、この技術は、犯罪の道具ともなり得るのです。

 そして、第2の問題と関連して第3に、チップによって収集された情報は、それを管理する者が、今日の如何なる情報機関よりも、正確、広範、かつ、膨大な個人情報を手にすることができることを意味します。フェイスブックが開発するとすれば、おそらく、同社は、これらの情報を全て自社で掌握できるようにシステム設計することでしょう。

 また、第4として、チップは、意思伝達や情報収集のみならず、人間の精神活動のコントロールや破壊装置としの機能も備えるているかもしれません。魂や精神性の領域に踏み込み、人類を思考面でも支配する、あるいは、家畜化する手段にもなり得るのですから、空恐ろしいお話です。

 以上に主要な問題点を挙げてみましたが、思考読み取り技術は、人々を精神的に圧迫こそすれ、人類の幸せに貢献するとは思えません。法的にも倫理的にも問題が山積していますので、今後は、開発規制も検討課題となりましょう。フェースブックが、当技術に対する一般の人々の警戒感に気が付いていないとしますと、真に人の心を読むことができないのは、同社ではないかと思うのです。

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半島有事難民対策は韓国政府の責務では?

2017年04月19日 15時42分20秒 | 国際政治
米、5月に新型迎撃ミサイル発射実験…CNN
 報道によりますと、日本国政府が、朝鮮半島有事に際して想定される難民流入に対する対処策を検討していることについて、韓国政府は、どうした訳か、反発しているそうです。”仮想の状況を前提とし、誤解を招き、平和と安定に不定的な影響を及ぼし得る言及は自制すべきだ”と…。

 同発言は、韓国メディアからの質問への同国外務省報道官の回答としてなされたものですが、この発言は理解に苦しみます。同国では、近年、北朝鮮の強い影響力が観察されており、メディア側の質問も、”全て日本が悪い”という方向への誘導質問であったのでしょう。とは言いますものの、報道官の見解は、あまりにも無責任過ぎる韓国政府の実態を露呈しております。

 そもそも、政府には、国民保護の責任があります。当然に、韓国政府にも、有事に際して最善を尽くして国民を守るの責任があるはずです。ところが、報道官の発言を聞きますと、”仮想の状況を前提とした対策は、危機を煽るので準備してはならない”となり、有事に至って初めて政府は動き出すこととなります。しかしながら、北朝鮮から首都を砲撃される恐れがあるのですから、韓国政府が、即時に国民保護の対策を立案して実行するのは殆ど不可能です。韓国政府が報道官のスタンスと同様に、国民の難民化を防ぐ対策を講じていないとすれば、戦火が広がる中で国民の多くは逃げ惑い、政府から保護措置を受けることなく難民化した韓国民が、大挙して無秩序に日本国に流入するかもしれません。過去の朝鮮戦争でも、韓国政府は、国民保護責任意識と事前の対策の欠落によって、日本国に多大な負担と迷惑をかけております。韓国が事前に対策を講じていれば、日本国は、大量の密入国者という難民問題を抱えなくても済んだはずなのです。

 韓国政府は、日本国政府を批判するよりも、有事に際して自国民が難民化する事態を想定し、難民対策に万全を期すべきではないでしょうか。済州島などに難民避難地区を設けたり、予め、戦火の及ばない遠方の友好国と協定を締結し、難民を一時的に預ける交渉を試みるのも一案です。シリア難民にも言えることですが、難民発生の第一義的原因は、難民の送出し国の無責任さにあると思うのです。

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対北政策における日米の温度差ー奇妙な安倍首相の発言

2017年04月18日 16時48分35秒 | 国際政治
米副大統領、対北朝鮮「力で平和達成」=安倍首相、トランプ政権の姿勢評価
 本日午後、日本国の安倍首相は、アメリカのペンス副大統領と会談し、北朝鮮問題に対して意見交換を行ったそうです。マスメディアの報道ですと、方向性について意見が一致したような印象を受けるのですが、両者の主張を聞いてみますと、相当の温度差があるように思えます。

 報道によれば、アメリカのペンス副大統領が”力での平和達成”を主張したのに対して、”安倍首相も、北朝鮮が真剣に対話に応じるよう圧力をかけていくことが必要だ”と述べたとしています。この文章構成ですと、ペンス副大統領の意見に対して安倍首相も同調したと読めます。しかしながら、両者の意見は、天と地ほどの違いがあります。何故ならば、安倍首相は、アメリカがあらゆる手段を用意していることを評価しながらも、対話路線への回帰を暗に勧めているからです。”北朝鮮が真剣に対話に応じる”ことが、軍事的圧力の目的と述べているのですから。

 これでは、安倍首相は、対話に持ち込みたい北朝鮮のためにアメリカを説得しているようなものです。しかも、対話に持ち込んだとしても、北朝鮮に、核・ミサイル開発の放棄を期待することはできません。1994年の米朝合意でも、六か国協議でも、北朝鮮は、表向きでは放棄を約束し、その素振りを見せながらも、結局は、アメリカをはじめ国際社会を欺き、密かに開発を継続していました。その結果が今日の危機であるとしますと、対話路線への回帰は、もう一度、この誤りを繰り返すことになります。それとも、首相が語る”対話”の意味するところは、北朝鮮による全面的な”降伏”なのでしょうか。

 安倍首相をはじめ、政界の一部の人々には、カルトを疑うほどの”対話”への拘り、即ち、”対話信仰”が見受けられます。対話路線の結果として引き起こされた危機的事態に対して対話に戻れと説くのはあまりにも非論理的ですし、北朝鮮に有利な状況をももたらしかねないと思うのです。

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東宮家と北朝鮮ー懸念される二重外交

2017年04月17日 14時50分29秒 | 日本政治
退位特例法案、5月19日に閣議決定へ
 本日の日経新聞のダイジェスト欄に、奇妙な記事が掲載されているのを発見しました。マレーシアの国営ベルナマ通信が伝えた記事であり、クアラルンプール発です。

 その記事の内容とは、、”ナジブ首相が暗殺された北朝鮮の金正男の遺体返還と引き換えに、マレーシアが、出国禁止とされたマレーシア人9人を帰国させた交渉を、日本側が称賛した”というものなのです。しかしながら、日本国政府は、これまで、金正男氏の指紋をマレーシア政府に提供しこそすれ、この交渉について称賛するような声明を公表してはいなかったはずです。実際に、外務省のホームページにも、この一件については情報がありません。ここ数日の間に岸田外務大臣が会談した東南アジア諸国の要人は、スシ・インドネシア海洋水産大臣、並びに、ズン・ベトナム計画投資大臣のみです。当交渉は、北朝鮮がマレーシア人9名を人質に取るという前近代的な手法に訴えた上での交渉であり、”人質作戦”が成功した悪しき事例です。日本国のマスコミでさえ、この交渉を手放しに評価した論調は殆ど皆無でした。日本国民の多くも、北朝鮮の狡猾、かつ、手荒な手法には眉を顰めたことでしょう。

 記事では、”日本側”と表現されていましたが、それでは、一体、誰がマレーシアと北朝鮮の交渉を称賛したのでしょうか。そこで、最も可能性の高い発言の主を推測してみますと、日本国の皇太子である可能性が浮上してきます。何故ならば、現在、皇太子はマレーシアを訪問しており、ムハマド国王のみならず、ナジブ首相とも会談の場を設けているからです。

 万が一にも皇太子が称賛の言葉を伝えたとしますと、この一件は、極めて深刻な問題を日本国民に投げかけることとなります。それは、東宮家が北朝鮮のシンパであり、しかも、外交上の活動にまで踏み込もうとしている問題です。東宮家については、姻族を介しての北朝鮮との繋がりが指摘されており、即位後には、”象徴天皇”としての役割から逸脱し、憲法違反でありながら”皇室外交”を行う可能性も否定はできません。しかも、”皇室外交”によって生じる日本国の二重外交は、日本国と北朝鮮という信じがたい二重構造となるかもしれないのです。東宮側は、”国民の共感”の一言で憲法を越える前例を造っておけば、憲法の壁など怖くないと考えているのかもしれません。

 現状では、皇太子即位の日は2、3年後に迫っていますが、東宮家と北朝鮮との関係については、国家存亡の危機ともなりかねないのですから、隠蔽してきた情報を全て国民に開示すべきです。特例法案の国会での成立に際しは全会一致を目指すともされ、一切の反対を許さないこの採択方針にも、北朝鮮の体質が見え隠れするのです。

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北朝鮮のミサイル発射失敗とは?

2017年04月16日 12時54分25秒 | 国際政治
【北ミサイル】米当局者「ICBMではない」 
 本日午前6時20分頃(日本時間)、北朝鮮は、東部咸鏡南道新浦からミサイルを発射したものの、発射直後に爆発したと報じられております。朝鮮半島情勢が緊迫している中での出来事であり、北朝鮮側の意図を読み解くための分析が急がれています。

 第一の推測は、既に報じられているように、ペンス副大統領の訪韓を牽制するために、ミサイル発射で威嚇したというものです。言い換えますと、ペンス副大統領、否、アメリカに対する脅迫であり、訪韓時において副大統領の命を狙える立場にあることを誇示するためのミサイル発射となります。

 発射されたミサイルの種類は未だ判明していませんが、第二の推測は、中距離弾道ミサイルのノドンは既に完成しているとされているため、ノドンであれば日本国、長距離弾道ミサイルであればアメリカを狙った先制攻撃であった可能性です。韓国が標的であれば日本海に面した新浦ではなく、内陸部のミサイル基地を使用するはずだからです。当ミサイルは中距離弾道ミサイルとする見方が有力ですので、失敗したとすれば、日本国にとりましては不幸中の幸いとなります。

 第三に、前日の15日に華々しく故金日成主席生誕105周年を祝賀する軍事パレードを催し、アメリカに対して一歩も引かぬ強気の姿勢を表明した手前、一先ずは、本気度を示すために”ミサイル実験もどき”を演じたとも推測できます。発射実験が失敗したとなれば、アメリカは即時に軍事行動を起こすはずはない、と計算した演出です。ただし、ミサイルは軌道に乗せる前に爆発させたものの、長距離弾道弾ミサイルの完成に必要なデータは計測しており、失敗に見せかけた長距離弾道ミサイル開発プロセスの一環であった可能性もあります。

 第四の憶測は、長距離弾道ミサイルの開発成功、あるいは、核兵器量産体制の確立までの時間稼ぎのために、北朝鮮が、敢えて自国の技術力を低く見せるようと偽装したというものです。この機に至って、アメリカのメディアは、トランプ政権には対北政策の方針として北朝鮮と交渉する用意があるとも伝えています。核・ミサイルを放棄さえすれば、体制については転換を求めない、とするニュアンスで報じていますが、過去においても、北朝鮮は、核開発放棄を約束しながら、決してこの合意を守ることはありませんでした。仮に、現時点での攻撃さえ回避できれば、核搭載の長距離弾道ミサイルを保有できると見込んだとすれば、北朝鮮は、自国がさし当たってのアメリカに対する脅威ではないことを、低レベルの実験失敗で示そうとしたのかもしれないのです。アメリカに時間的余裕があることを仄めかし、”得意の交渉”に持ち込もうとする作戦です。

 仮に第四のケースであるとしますと、北朝鮮は、法も合意も順守せず、目的のためには手段を択ばない国ですので、アメリカ政府の交渉路線への回帰は、逆に危機を増大させた過去の失敗の繰り返しとなるリスクがあります。北朝鮮のミサイル発射の意図は現時点では特定できませんが、北朝鮮が、狡猾さや騙しにかけては右に出る者がいない国ですので、楽観的、あるいは、迂闊な対応は、人類を不幸の淵に引き摺り込むことになりかねないと思うのです。 

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