万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

生活保護はゼロ・サム問題である―削減反対論者の死角

2012年11月30日 11時03分21秒 | 日本政治
私たちの雇用はどうなる?生活保護制度の行方は? 拡大する貧困問題解決に向けた各党の公約を徹底検証(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 生活保護をめぐっては、不正受給、貧困ビジネス、医療制度の悪用、最低賃金を上回る給付額など、様々な問題点が渦巻いています。このため、生活保護費の削減案も提起されるようになりましたが、削減案に対しては、生活保護受給者の消費減少による経済へのマイナス影響を根拠に、異論を唱える方もおられるようです。生活保護は、地域経済をも支えていると。

 しかしながら、この反論は、正しいのでしょうか。生活保護費の財源とは、言わずもがな、国民や企業などが納めた税金です。このことは、生活保護費の増加=他者の負担の増加、または、他の予算の削減を意味しています。つまり、生活保護の受給者と他の国民との間には、ゼロ・サム関係が成立しているのです。生活保護の予算の拡大は、増税や予算削減による他の国民の購買力の低下や公共投資の減少、すなわち、消費や需要の縮小を招くことになるのですから、経済への影響としては、生活保護の削減だけが特別にマイナス効果を生むわけではありません。しかも、生活保護者の受給者増加そのものは、雇用=納税者の減少を意味しますので、この傾向が続きますと、いわば、納税者よりも給付者の数が増えてゆく負のスパイラルに陥りますので(法人税も企業が赤字となれば減少)、財政はひっ迫し、生活保護制度の維持そのものが困難となります。もっとも、こうした危機的状態を避けるためには、国債を発行して生活保護費を工面するという方法もありますが(現在でも実際に行われている…)、生活保護は、収益性の全くない非生産的な分野ですので、利払いや償還が重く政府と国民にのしかかると共に、国債の信用不安に繋がれば、財政のみならず、金融にもダメージを与えることにもなりかねません。

 このように考えますと、生活保護問題の究極の解決策は、企業業績の回復による雇用の改善なのですが、生活保護費の削減反対を唱える人々に限って、原発の再稼働に反対であったり、円高容認であったりと、”反産業”の姿勢が強いのです。生活保護がゼロ・サム問題な以上、過度な生活保護擁護は、他者に負担を押し付け、経済破綻の道連れにするという意味において、モラルにも反します。反対論者の人々は、自己正当化に躍起になるよりも、他者の立場をも考慮した、より経済全体を見通した現実的な対応こそ真剣に考えるべきと思うのです。生活保護受給者も、納税者である国民や企業も、両者とも不幸になるのですから。

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異質なグローバリズム―20世紀と21世紀は同質ではない

2012年11月29日 15時31分20秒 | 国際経済
 1980年代とは、まさに新自由主義の黄金時代であり、イギリスのサッチャリズムやアメリカのレーガノミクスが脚光を浴び、その手法は、今日まで経済政策のお手本とされてきました。20世紀のグローバリズムは、新自由主義と一体となることで、構造改革の成功体験として語り伝えられることになったのです。

 20世紀のグローバリズムは、先進諸国の経済成長率を押し上げ、国民が豊かさを実感するところとなったのですが、21世紀のグローバリズムとは、20世紀のものとは、異質なのではないかと思うのです。前者は、経済レベルに著しい差がなく、しかも、自由主義国である先進国間で起きた現象です。一方、後者は、89年以降に冷戦構造が崩壊したこともあり、体制の異なる諸国も参加するようになりました。特に、共産主義体制を維持したままWTOに参加した中国の影響は大きく、圧倒的に廉価な労働力と通貨安を武器に、一気に輸出を拡大させ、今日では、「世界の工場」のみならず、「世界の銀行」に成長するまでになったのです。著しい経済格差ある状態でのグローバル化は、先進国にとっても初めて経験であったのですが、その結果は、先進国側の衰退であり、雇用の崩壊であったことは、アメリカやヨーロッパ、そして、日本国の現状を見れば否定のしようがありません。先進国では、雇用喪失を伴う産業の空洞化が進行するとともに、国内市場もまた、安価な新興国の製品で溢れることになったのですから。しかも、この状態から脱却すべく、80年代の成功例に倣って、さらなる自由化を進めますと、一層、新興国が有利な状況となるのです(一方、新興国の側は、自由化しない…)。全世界が参加することにおいて、後者のグローバリズムこそ本物なのですが、少なくとも、先進国にとりましては、それは、豊かさを意味しなかったのです。

 20世紀と21世紀のグローバリズム。この両者、異質な現象なのですから、対処方法もまた違うはずです。症状が違うにも拘わらず、同一の解決方法を用いますと、症状がむしろ悪化する可能性さえあります。21世紀のグローバリズムに対しては、徒に自由化を急ぐよりも、公平性を重視し、特定の国の為替操作や労働力を含めたダンピングなど…に対しては対抗措置や防衛措置を認めるべきではないでしょうか。21世紀には、公平なルールに基づく、より調和のとれた経済発展が望ましいと思うのです。

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インフレ率より国民所得の増加率を目標に

2012年11月28日 15時47分28秒 | 日本政治
日本の成長率、下方修正 OECD「中国に影響受ける」(朝日新聞) - goo ニュース
 年率2%のインフレ目標を選挙公約として掲げた自民党に対して、日銀は、当面は1%で良いとする見解を示し、金融緩和策をめぐる攻防戦が続いています。ところで、政治が目指すべきは、インフレ率ではなく、国民所得増加率の上昇ではないかと思うのです。

 かつて、池田隼人政権では、所得倍増計画を打ち上げ、高度成長へと日本経済を邁進させました。低成長時代に入った今日では、”倍増”とまでは行かないまでも、いつの世でも、国民は、生活の糧である所得に関心があるはずです。インフレーションとは、語源からしますと、量的膨張を意味しますが、経済現象としては、物価上昇率や通貨価値の下落を意味します(対外的には自国通貨安…)。単なる物価上昇を目的としたのでは、むしろ、国民所得や預貯金の実質的な目減りとなり、国民へのアピール度が低下します。一方、経済政策として、産業の空洞化を抑えると同時、企業競争力の強化を図り、かつ、国内投資も増加するように努めれば、悪性のインフレを回避することができます。この結果、企業の業績が改善されれば、雇用の拡大、並びに、給与や配当の上昇を通して国民所得が増え、自ずと国内消費も拡大します。国民の可処分所得の増加は、個人投資や金融商品の購入、さらには保険加入にも向かいますので、消費拡大の恩恵を受ける製造業やサービス業のみならず、金融業にとりましても、決してマイナスではないはずです。日本国は、共産党幹部に富が集中する中国や、大企業だけに利益が集まる韓国のような格差国(搾取国家?)になってはならず、良き先進国として、国民生活の豊かさこそ追求すべきなのではないでしょうか。

 経済のメカニズムは複雑ではあるものの、政府は、量的緩和による経済効果が、国民所得の増加に繋がる政策を心がけるべきです。民主党政権は、国民負担を増やすことに躍起になってきましたが、次期政権には、国民の所得増加政策を期待したいと思うのです。

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安倍自民総裁の金融緩和策―円安による輸出回復が鍵

2012年11月27日 15時49分37秒 | 国際経済
為替変動、「量的緩和が原因」=貿易への打撃で米批判―中国(時事通信) - goo ニュース
 長引くデフレと円安が、日本経済を苦境に陥れた原因として、安倍自民党総裁は、金融緩和策を打ち出しました。この政策方針に対しては、白川日銀総裁をはじめ、副作用を根拠として難色が示されてもいますが、金融緩和の成否は、円安による輸出回復が鍵を握っているのではないかと思うのです。

 WTOの会合で、ブラジルが中国の輸出志向の元安為替政策を批判したことに対して、中国側は、為替の変動は、アメリカの金融緩和が原因であると反論したそうです。この反論は、ブラジルに対しては全く説得力がないのですが、ある国が、戦略的に為替操作を実行した場合、他の国に、防衛手段や対抗手段が認められないとなりますと、一方的に輸出において不利な状況に置かれます(片方にだけ攻撃の権利を与え、他方には防衛の権利さえ認めないようなもの…)。レアル高に苦しむブラジルの提案も、”対抗措置を認めよ”というものなそうです(対外通貨政策についてのルール造りは、今後の重要な課題…)。どの国にとりましても、他国のアグレッシブな為替政策は、重大な危機なのです。この点を踏まえますと、日本国もまた、中国や韓国の自国通貨安政策によって貿易上、不利な立場に置かれていたのですから、為替操作に対して金融緩和等の対抗措置を採ることは、防御手段として当然に認められるべきものです(金融政策の他にも、中国製品に高率関税といった方法もありますが…)。金融緩和には、インフレといった副作用が伴いますが、日本国の場合は、円安によって輸出が回復しますと、企業の為替欠損が緩和されると共に、産業が活気づくことが期待できます。設備投資や研究・技術開発への投資が増加し、海外での売上増加が所得の上昇…に向かうとしますと、国内消費も伸び、雇用状況も改善されるかもしれません(悪性のインフレやスタグフレーションにはならない…)。

 為替市場における円安に反応するかのように、株式市場では、輸出関連株の上昇が目立っているそうですので、市場もまた、日本企業の輸出回復を予測しているのでしょう。国内物価の安定を根拠とした中央銀行の独立性は、外国政府による戦略的な為替操作や金融緩和に対しては無力なのですから、危機からの脱却には、政治的な判断を要するのではないかと思うのです。

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莫言氏の受賞―ノーベル賞が失ったもの

2012年11月26日 15時44分18秒 | 国際政治
莫言氏へのノーベル賞、「大失敗」と独女性作家(読売新聞) - goo ニュース
 今年ほど、ノーベル文学賞が、スキャンダルまみれになった年はなかったかもしれません。中国の賄賂文化が、遂にノーベル賞まで汚染してしまったのですから。

 一説によると、中国側は、中国人の受賞をさすがに直接には要求しなかったものの、スウェーデン政府に対して1000億円もの投資を申し出たとも、選考委員が買収されていたともされております。理系の分野ですと、受賞者の実績がガラス張りで検証されますので、不正な受賞は難しいのですが、文系の文学賞や平和賞では、選考委員のさじ加減で特定の人物を選ぶことは比較的容易です。この文系の選考手続きのルーズさに目を付けたのが、籠絡に長けた中国、ということのようです。こうして選ばれた莫言氏は、中国政府の検閲に協力的とされ、中国政府にとっては、受賞者として願ってもない人物です。ノーベル賞の権威をかざして、莫言氏に検閲の正当性を中国国民に宣伝してもらえれば、賄賂の経費も安いものであったかもしれません。同時に、国際社会においては、中国の文化的地位が向上することになるのですから、莫言氏のノーベル賞は、中国にとっては一石二鳥であったのです。

 劉暁波氏が、2010年にノーベル平和賞を受賞した時、ノルウェー政府は、中国の恫喝や経済制裁に耐え、全世界に向けて、劉氏の功績を守り抜きました。この不屈の姿勢に心を動かされた人々も、数多くいたはずです。しかしながら、今回の受賞は前回の真逆となり、ノーベル賞に対する失望は、全世界に広がっています。お金では買えないもの、それこそが、ノーベル賞であったはずなのですから…。結局、莫言氏の受賞によってノーベル賞が失ったものの方が、遥かに大きかったのではないかと思うのです。

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韓国の対日要求―”戦後補償”はドイツへの便乗?

2012年11月25日 15時34分56秒 | 国際政治
韓国大統領選、公示 野党統一候補は「超反日」(産経新聞) - goo ニュース
 大統領選挙を来月に控え、韓国では、対日強行姿勢も有権者に対する重要なアピール要素となっているようです。与党も野党も、反日政策には大きな隔たりはないようですが、日本国もまた、韓国の対日要求に対しては、反撃のための理論武装する必要がありそうです。

 第一次世界大戦までは、講和条約において、戦勝国が敗戦国に対して賠償を請求することはあっても、個人の戦争被害が問題となることはありませんでした。それもそのはず、敗戦国に請求される賠償額は、戦勝国の国民の被害をも合算して算定されたからです。この点、第二次世界大戦では、ドイツに課せられた賠償義務が過酷であったことに対する反省から、サンフランシスコ講和条約第14条において、連合国は、日本国に対する賠償を放棄しています。ましてや、連合国の一員ではない韓国が、この条約を根拠に日本国に賠償を求めることは不可能です。しかしながら、1965年に締結された日韓請求権協定においては、日本国は、国際法上の義務がないにも拘わらず、朝鮮半島に残した莫大な資産(個人も含む…)の請求権を放棄し、経済協力資金を提供すると同時、韓国側も日本国に対する請求権を放棄しました。戦時中、朝鮮半島は戦場にはならず、日本軍が、攻撃を加えることもありませんでしたので、実質的には、被害はゼロに等しく、韓国側の主張する”強制連行”も、日本人が等しく課せられた戦時徴用であり、特別に朝鮮籍の人々に被害を与えたわけでもないのです(むしろ、朝鮮半島での徴用実施期間は短い…)。この条約が、極めて韓国に有利であったされる理由は、日本国が、韓国に対して法的義務以上に寛大な措置をとったため、日韓双方の賠償請求権が不釣り合いだったからです。しかも、日韓交渉に際しては、韓国側は、個人を含めた被害額を日本国政府に提示したはずなのです。

 韓国側は、”慰安婦問題”は人道上の問題であって、日韓請求権協定の枠外と主張していますが、そもそも、個人に対する”戦後補償”なるものは、国際法上において存在していないのではないでしょうか(全ての国が、戦争の勝敗に関係なく、人道上の罪を根拠として過去の戦争における個人補償を言い出したら、収拾が付かなくなり、また、韓国の場合は、根拠となる事実そのものが捏造…)。あるいは、新たに韓国が、こうしたジャンルを、自らの利益のために、造り出そうとしているのではないでしょうか。とかくに日本はドイツと比較されますが、自国民でありながら迫害されたユダヤ人と迫害の事実のない韓国・朝鮮人とは全く状況が異なっております(ドイツの戦後賠償が個人が対象なのは、ユダヤ人が国を持たなかったことにもよる…)。韓国は、ドイツのユダヤ人に対する戦後補償に、狡猾にも便乗しているのではないかと思うのです。

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中国が尖閣諸島を狙うのは蓄財のため?

2012年11月24日 16時23分54秒 | アジア
中国新旅券に広がる警戒感(産経新聞) - goo ニュース
 中国が発行した新旅券の地図を見ると、驚くことに、台湾や南シナ海など、周辺諸国の領域までもが中国領として描かれているそうです。中国の野望は、留まるところを知らないのですが、その背景には、中国高官の資源利権獲得の狙いがあるのではないかと思うのです。

 尖閣諸島の国有化を口実にして、中国では激しい反日暴動が発生しましたが、政府当局は、愛国無罪とばかりに、この暴挙を黙認してしまいました。尖閣諸島が中国の領土であると主張する行動は、それが犯罪でも許されると…。暴徒をあたかも愛国者のように褒め称え、反日デモや不買運動を愛国的な行動として奨励したのですが、本当のところは、尖閣諸島を奪取することで、最も利益を得るのは、政府高官となりそうです。実際に、発足したばかりの習近平政権には、シノペックに関連する資源関係の有力者も参画しているそうです(習政権の対日強硬姿勢の背景として指摘されている…)。中国の周辺諸国に対する侵略的な行動の裏側には、国民には愛国心を訴えながら、蓄財のチャンスを掴もうとしている政府高官たちの野望が透けて見えるのです。軍事行動を起こしても、それは、愛国心のための言い訳することができれば、国民から批判を受けることなく、膨大な資源利権を手にすることができるのですから(日本との友好関係よりも私益を優先…)。

 中国の高官は、日本人が想像する以上に貪欲であり、また、狡猾なのではないでしょうか(日本国もまた、他国を批判はできませんが…)。中国国民には、政府の情報統制や煽りに騙されることなく、一党独裁体制を利用して、権力や利権の私物化にいそしむ自らの国の高官達の醜い実態を、ぜひとも、見抜いていただきたいと思うのです。

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歴史の反省なき暴力主義―国際法を遵守しない中国と韓国

2012年11月23日 15時58分46秒 | 国際政治
日本は歴史反省を=自民党公約に反発―中国(時事通信) - goo ニュース
 中国や韓国は、次期総選挙における自民党の政権奪回に危機感を感じてか、両国とも、しきりに、”歴史の反省”を口にして牽制するようになりました。しかしながら、歴史の反省を怠っているのは、中国や韓国など、国際法を遵守しない国なのではないかと思うのです。

 歴史上の経験は、必ずしも、当事国のみに教訓を与えるものではありません。両陣営に甚大な被害をもたらした第二次世界大戦に対する深い反省は、戦後、国際社会において、国際法の整備と、国家間の紛争を平和的に解決するための司法制度構築に向かう原動力となってきました。戦争の終結を待たずして、1945年6月には、国連の組織としてICJ(国際司法裁判所)が設立されています。日本国もまた、戦後にあっては、平和主義を掲げると共に、紛争解決手段として司法解決重視の姿勢を打ち出してきました(二国間条約にも明記…)。竹島問題では、サンフランシスコ講和条約締結後の1954年に、既に、ICJでの解決付託を韓国政府に提案しています。また、1958年には、日本国は、ICJの強制管轄受託を宣言しております。尖閣諸島についても、中国側が、ICJへの共同付託を提案するならば、日本国政府は、迷わずに応訴することでしょう(中国は、強制管轄の受託を宣言していないので、応訴の義務はないのですが…)。一方、中国や韓国はどうでしょうか。中国は、戦後にあっても、第二次世界大戦を反省することなく、チベットや東トルキスタンを軍事力を以って併合し、韓国もまた、竹島を暴力を以って不法に占拠しました(義勇兵を竹島に送ると共に、日本人漁民を殺害…)。中国も韓国も、人類の悲劇としての第二次世界大戦を反省するどころか、国際社会の努力を無視して、暴力主義に走ってきたのです。しかも、司法解決にも後ろ向きであり、アジアを無法地帯と化そうとしていかのようです。一体、どちらが、歴史を反省していないのでしょうか。

 隣国が、国際法を無視する暴力主義の国なのですから(法による抑止力が効かない…)、日本国も無防備ではいられません。中国も韓国も、日本国の防衛力や日米同盟強化が、自らの暴力主義に対する、日本側の当然のリアクションであることを、理解すべきではないかと思うのです。

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中国高官の桁外れの蓄財―中国進出企業は鵜飼の鵜?

2012年11月22日 15時53分46秒 | 国際経済
トヨタ、対中輸出再開 レクサス中心、従来計画より少数(朝日新聞) - goo ニュース
 2000億円ともされる温家方一族の蓄財報道からも分かるように、中国の高官とその一族による蓄財の額は桁外れです。一体、どのようにすれば、このような莫大な蓄財が可能となるのでしょうか。

 中国の体制を見ておりますと、中国の高官には、様々な集金ルートがあるようです(あくまでも、憶測ですが…)。その第1は、いわゆる賄賂というものであり、企業や事業者に許認可などを与える見返りに、多額の礼金を手にする古典的な手法です。中国に外国企業が進出するに際しても、賄賂が支払われるのですから、外資誘致は、指導者層にとっては蓄財の重要な財源です。第2のルートは、企業や事業者に対して、土地取引など、何らかの斡旋を行うに当たって、マージンを取ることです。契約が成立すれば、その代金の○○%かは、政府高官の懐に入るのかもしれません。第3のルートは、ため込んだ資金を元手にして投資会社を設立し、自ら金融業を営むことです。政府高官ともなれば、特権的な情報入手も、情報操作も容易にできますので、インサイダー取引さえも思いのままかもしれません。第4のルートは、公有財産を、密かに私物化してしまうことです。建前では、土地などの生産手段は公有なのですが…。これらの他にも、非合法的で阿漕な様々な集金手段があるのかもしれません。

 中国高官の蓄財が桁外れ額である理由は、拝金主義に徹してあらゆる権限を利権化し、鵜飼の如くに、複数の集金ルートを巧みに駆使しているからなのでないでしょうか。つまり、自国民を低賃金で働かせつつ、同時に、自国企業のみならず、進出した外国企業をも鵜にして、資金を吸い取っているのです。”中国の成長を取り込め”とばかりに進出したものの、進出企業の業績が、いまひとつ伸びない理由も、中国高官による集金マシーンが、強力に働いているからなのではないかと思うのです。

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日銀の責任―円高危機における”通貨の番人”の出番

2012年11月21日 16時23分29秒 | 日本経済
安倍氏主張のインフレ目標導入に否定的…日銀総裁(読売新聞) - goo ニュース
 本日、NHKのお昼のニュースを見ておりましたところ、驚くべき数値が報じられていました。生活保護世帯の数が、ひと月の間に5000世帯も増えたというのです。僅か、ひと月で。

 この数値は、日本経済の現状が、大失業時代に突入しつつあることを示しています。また、貿易統計でも、貿易赤字の額は予想を上回る数値となり、日本経済は、実のところ、危機的な状況にあるのです。日本経済の衰退要因は、経済の6重苦にあるのですが、中でも円高の影響は、ここ数年にわたって深刻な懸念材料となってきました。一方、日銀の白川総裁は、中央銀行の独立性を盾に、円高に対する対応には否定的な姿勢を頑なに貫いてます。インフレ・ファイターとしては、立派に仕事を成し遂げたことになるのですが(本ブログでも、2008年の日銀総裁の人選には、インフレ・ファイターを求めていました…)、先日の本ブログの記事でも述べたように、通貨価値には、国内的な価値と国際的な価値の二つの側面があります。国内的な通貨価値の維持については、マネー・サプライの調整で済みますが、諸外国が戦略的に対外通貨政策を展開し、民間の投機筋も活発に動いている国際経済の場では、国内優先で何も政策をとりませんと、あっという間に、外部環境の変化や他国の通貨戦略により、自国の輸出産業が潰されるほどの為替変動に襲われてしまいます。中央銀行の独立性は、インフレに悩まされてきた歴史的な経験に基づき、国内的な金融政策の文脈から確立されてはいますが、それ自体が、外的な危機対応に対する免責を意味しないと思うのです。かつては、外国為替市場における政府の直接的な市場介入によって、円安誘導を行うことができましたが、今日では、この方法は、国際ルールに反するとして批判されています(実施するには、相当の根拠と国際的な理解が必要…)。政府介入の場合には、不胎化すれば国内のマネー供給量に影響を与えず、国内の金融政策とは分離した形で対外通貨政策を実施することができたのです。この方法が難しいとなりますと、残る政策手段は限られており、日銀の金融緩和は極めて有効な手段の一つです。今日では、中央銀行の金融政策は、対外通貨政策の役割をも背負わされていっても過言ではないのです。この状況下では、独立性を保障された中央銀行が、政治とは無関係とばかりに”我関せず”の態度を採りますと、輸出競争力の喪失による経済の疲弊を止めることができなくなります。

 国際社会の動向や悲惨な現実を見ることなく、特定の主義主張に固執しますと、国民を見殺しに、救えるものも救えなくなる可能性があります。これ以上失業者を増やさないためにも、日銀には、為替相場の変動に起因する経済危機への対応もまた、”通貨の番人”の役割であることを、深く認識していただきたいと思うのです。

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日銀の独立性問題―金融政策と対外通貨政策のジレンマ

2012年11月20日 15時46分46秒 | 日本経済
日銀、金融政策を現状維持 追加金融緩和の効果見極め(朝日新聞) - goo ニュース
 日銀の白川総裁は、本日、追加金融緩和の効果を見極めるために、金融政策の現状維持を決定したと報じられています。しかしながら、金融緩和は、アナウンス効果だけでも、既に円安と株価上昇という目に見える効果をもたらしており、これ以上の見極めが必要なのか、疑問なところでもあります。

 ところで、アナウンス効果の発信源となった安倍自民党総裁の金融緩和発言に対しては、日銀の独立性を脅かすとして批判の声も上がっているそうです。日銀の役割は、確かに、通貨価値の維持にありますので、国内の金融政策だけを見れば、中央銀行の独立性の保障には、正当な根拠があります。ところが、通貨に関する政策には、国内向けの金融政策だけではなく、自国通貨の国際的な価値に関わる対外通貨政策もあります。日銀は、国内の金融政策を優先し(デフレ放置はこの点でも問題が…)、アンチ・インフレ政策の観点から通貨の番人に徹していますが、その一方で、対外通貨政策の分野では、日本経済は、異常な円高という大変動に見舞われてきたのです。外国為替市場では、中国や韓国などが、戦略的に自国通貨安に誘導しており、また、アメリカのFRBやEUのECBも、リーマンショック以来、量的緩和政策を実施しておりますので、相対的に日本の円だけが上昇する傾向にあります(投機筋による円買いにも晒されている…)。今日では、外国為替市場に直接に政府介入することは、国際的に戒められていますので、中央銀行による量的緩和が、対外通貨政策においても、主たる政策手段となりつつあるのです。

 対外通貨政策のような戦略性の高い政策領域では、政府にも政策権限がありますので、ここは、政府と日銀が協力して、円高対策を行うべきなのではないでしょうか。安倍総裁の主張する3%インフレターゲット論にも、首を傾げるところはあるのですが、国内の金融政策と対外通貨政策の間にはジレンマがありますので、国内のみを基準として金融政策を実施していますと、対外的な通貨政策が蔑にされ、甚大な損害が発生しかねないと思うのです。

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TPPの隠れた論点―決定手続きの問題

2012年11月19日 15時54分53秒 | 国際経済
TPP交渉へ参加意思表明 タイ首相、米との首脳会談(朝日新聞) - goo ニュース
 日本国内でも賛否が分かれるTPP問題。タイを訪問中のオバマ大統領との会談で、インラック首相も、TPP参加に前向きな姿勢を示したと報じられています。

 TPPへの参加を希望する国は、タイが加わるとさらに数が増えるのですが、複数の国が集まって経済圏を形成するとなりますと、協定の内容に加えて、もう一つ、隠れた重要な論点があると思うのです。爆弾発言になるかもしれませんが、それは、TPP条約の内容を決定するに際して、どのような手続きで決めるのか、という決定手続きの問題です。実は、この問題、最も根本的な問題なのではないかと思うのです。TPPに対する批判の多くは、”アメリカ押しつけ論”にあり、協定の内容も、最初からアメリカ有利に出来ているというものです。つまり、TPP反対論の核心は、他の参加国が、アメリカの要求を一方的に飲むという構図にあるのです。そこで、TPPが、より公平な機構であることを示すためには、決定の手続きを明確にするとともに、透明化する必要があるのではないかと思うのです(現状では、アメリカ一国のみが拒否権を持つ?)。決定に際しては、全会一致制を採るのか、多数決制を採るのか(一国一票?)、オプト・アウト(部分的不参加)を認めるのか、交渉途中の加盟断念を認めるのか、それとも、論点や項目ごとに手続きを変えるのか…、といったことは、予め合意を形成しておいたに越したことはありません。決定に関する手続きを決めてから交渉に入りませんと、交渉参加に二の足を踏む国が現れるか、交渉しても議論が紛糾して何も決まらないか、決定されても、一部の参加国に不満が残る結果となる…のではないかと思うのです。

 条約の内容を固めるに際しては、全ての加盟予定国が参加して、議論を尽くす必要がありますが、その前に、決定手続きの問題は、解決しておくべきことかもしれません。とは言うものの、”決定手続きの合意”もまた簡単なことではありませんので、アメリカ、あるいは、他の何れかの国に、中立・公平な立場から、纏め役を引き受けてもらうという方法もあります。TPPが、21世紀に相応しい、共存共栄を実現する地域経済圏となるためには、決定手続きもまた、全ての参加国が納得するものであるべきと思うのです。

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日中韓FTA交渉―日本政府は暴動被害の損害賠償制度の提案を

2012年11月18日 15時56分35秒 | アジア
日中韓FTA、年内交渉へ 中国、尖閣問題と切り離し(朝日新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島問題をめぐって発生した反日暴動によって、中国に進出した日本国の企業は、億単位の損害を蒙ることになりました。ところが、中国側は、”日本が悪い”の一点張りで、日本側の被害に対して無視を決め込んでおります。

 あと一カ月ばかりで政権の座を去ることが予測されている民主党政権は、それでも、日中韓FTA交渉だけは、一歩でも前に進めておきたいようです。中韓との対立が深まる中、急激な進展が見られるとは思えないのですが、もし、日本政府が、日中韓FTA交渉を進めたいのならば、まずは、暴動によって外国の民間企業が被害を受けた場合、暴動発生国の政府に対して、被害国、あるいは、被害企業が、損害賠償を請求できる制度を提案すべきと思うのです。治安の維持は、いかなる政府にとっても基本的な役割です。しかも、中国の場合は、政府が暴動を黙認、あるいは、煽動したのですから、政府の責任は重大なのです。反日暴動が発生する度に甚大な被害を受けるようでは、日本企業が、安心して中国で企業活動を行えるはずもありません。暴動リスクを抱えた国と、何らの救済制度を準備することなくFTAを締結することは、正気の沙汰とも思えないのです。

 TPPでさえ、紛争解決手段について公平性の観点から議論が起きていますが、ましてや、政治対立が暴動を引き起こすリスクがある諸国が相手なのですから、日中韓FTAでは、進出した外国企業の安全が制度的に確保されることは、絶対条件です。政府の先走りによって、自国の企業が、丸腰で暴徒の群れの中に放り込まれるようなことはあってはならないと思うのです。

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反原発運動を煽った韓国の”原発大国構想”の崩壊

2012年11月17日 15時49分13秒 | アジア
韓国政府が緊急の節電訴え 事故や不正で原発3基止まる(朝日新聞) - goo ニュース
 先日、大阪市で、瓦礫受け入れの説明会の開催準備を妨害したとして、4名の韓国籍の男女が逮捕されたそうです。放射能汚染を口実とした瓦礫受け入れ反対運動のみならず、反原発運動の背景には、韓国の陰が見え隠れしています。

 日本国が、脱原発を推進して、最も利益を得るのは韓国である、との憶測は、事故直後から既に噂されてきました。それと言うのも、(1)日本の電力料金の値上がりによる輸出価格競争における韓国製品の優位(2)日本の電力の供給に不安による製造拠点やデータ・センターの韓国への誘致(3)日本の原発技術者の獲得(4)原発輸出競争の日本脱落による韓国のチャンスの拡大(5)日本の潜在的核武装の脅威除去(6)使用済み核燃料再処理国の地位の奪取(2018年の日米原子力協定の期限切れ後)…など、どれもこれも、韓国にとりましては、良いこと尽くしなのです。このため、日本国内で反原発運動を煽るために、KCIAの工作員まで活動していると指摘されており、マスコミをも動員した大規模な工作活動が展開されたのです。しかしながら、ここにきて、韓国は、自らの足元から”原発大国構想”が崩壊してきているようです。原因は、韓国の原発技術の問題、並びに、建設と運営の両面における杜撰な管理にあるそうです(運営ノウハウは東芝から盗んだとされる…)。原発3基が同時に稼働停止状態となり、現在、韓国政府は、国民に節電を呼び掛けており、”原発大国構想”は、風前の灯なのです(韓国製原発は、国際的にも高リスクと見なされる…)。天網恢恢疎して漏らさず、悪いことは、できないものなのかもしれません。
 
 選挙を前にして、原発ゼロを訴える日本国の政党も見られますが、この運動の背景には、韓国の”原発大国”の野望があることを、国民は、認識しておかなければならないと思うのです。野望が潰えた韓国は、今度は、日本の政治を裏から動かして、日本国を道ずれにしようとするかもしれないのですから。

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民主党政権が残した負の遺産

2012年11月16日 11時11分54秒 | 日本経済
月例経済報告また下方修正…景気後退裏付け(読売新聞) - goo ニュース
 本日午後、野田首相は、任期満了を待たずして、遂に、衆議院の解散に踏み切ります。振り返ってみますと、この3年半の間に、民主党政権が残した負の遺産は計りしれません。

 民主党政権は、政治分野にあっては、普天間基地移設問題を発端に日米関係を揺るがせ、領土をめぐる問題が噴出する一方で、経済分野でも、地盤沈下に歯止めをかけることができず、むしろ、政府そのものが、産業の衰退を積極的に推進してきました(中韓への利益供与には、熱心でありながら…)。日本経済の6重苦はそのまま放置され、とりわけ、円高と電力問題は、大企業の巨額の赤字計上や中小企業の倒産を招くほど、深刻な打撃となりました。ところが、16日解散が報じられた途端、自民党政権の発足を予測してか、外国為替市場は円安に振れ、日本の株式市場でも株価が上昇に転じるという現象が起きています。日本経済復活の兆しとも見られますが、この現象は、これまでの経済沈滞が、全面的とは言わないまでも、”政治要因”、すなわち、現政権の失政にあったことを示しています。このまま民主党政権が続けば、日本国は、働く場を失った失業者で溢れ、あえなく沈没したかもしれません。

 政策転換の効果が、即、現れる分野もありますが、民主党政権が既成事実化を狙って始めた政策には、若干、変更に時間がかかるものもあるかもしれません。壊すより造る方が遥かに労力を要するものではありますが、選挙後に発足する新政権には、破壊されてしまった日本国の再建に向けてベストを尽くしていただきたいと思うのです。

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