万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

人口爆発は中国と世界のどちらを変えるのか?

2008年02月29日 17時39分54秒 | アジア
中国当局、「一人っ子政策」の廃止を検討(ロイター) - goo ニュース

 中国政府は、30年以上にわたって維持してきた「一人っ子政策」を見直す方針と伝えられています。この政策転換は、中国あるいは世界に、どのような変化をもたらすのでしょうか。

 そもそも、国民に対して産児制限を課していること自体が、共産主義国家ならではの政策なのですが、この政策の廃止は、国民の自由を広げたという意味においては、歓迎されるかもしれません。

 その一方で、経済成長のただ中にあっても、13億という人口を抱えているため、失業者がなかなか減らない現状を見ますと、予想される人口の爆発的な増加は、国民の社会不満を増幅させる可能性もあります。冷静に考えれば、体制を揺るがしかねないのですから、中国政府が一人っ子政策を見直すのは、本当のところは、共産党幹部や富裕層の要求に応えてのことであったのかも知れません(一部解禁はできないので制度ごと廃止へ?)。この結果、共産主義政権は崩壊するかもしれませんが、共産主義体制が倒れても、人口問題が解決しないのは痛いところです。

 もし、人口圧力による社会不満をかわそうとして、中国が、積極的に海外への移民政策を促進するとしますと、今度は、周辺諸国が、戦々恐々となります。また、人口問題の解決手段として、中国政府は、戦争を選択するかもしれません。日本国とて、対岸の火事というわけにはいかないのです。中国の人口問題が、中国を変えるのではなく、世界を中国に変えるというシナリオは、決して望ましいとは思えないのです。

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言えば言うほど中国の信頼は低下する

2008年02月28日 18時24分12秒 | アジア
中国公安省、日本で農薬混入示唆 「袋の外からも浸透」(朝日新聞) - goo ニュース

 中国公安省は、農薬混入地は中国国内ではない、と言い張れば、自国の食品の安全性をアピールできると考えたのでしょう。しかしながら、中国側が、頑なに否定すればするほど、逆に、中国製品、ならびに、中国に対する信頼は低下するのではないか、と思うのです。

 日本国の犯罪事件における警察の捜査技術は高く、農薬の成分分析や袋の精密検査などによって、日本国が農薬混入地ではないことを証明する科学的なデータを、既に揃えているはずです。もし、中国側が主張するように、袋の外側から毒物が浸透するならば、それを追実験してみれば、真偽のほどを確かめることができます。科学が大好きな中国が、科学的な証拠を受け入れないことも奇妙なことなのですが、中国の自己保身と責任転嫁の態度は、やがて、中国が、立証された事実さえ受け入れることができない頑迷な国である証しとされ、中国という国家のイメージを著しく害することになりましょう。

 他国からの信頼を勝ち取り、自国のイメージをアップさせるためには、中国は、素直に農薬の混入地が自国であることを認め、日本国および被害者に対して謝罪すべきではないか、と思うのです。もし、このまま、中国がこの問題を押し切るとしますと、日本国の消費者は、金輪際、中国製の食品は御免こうむる、ということになりましょう。

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コメント (2)
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政治色に染まった融資の失敗?

2008年02月27日 18時08分00秒 | 日本経済
新銀行東京 もはや「撤退」するしかない(読売新聞) - goo ニュース

 公的金融機関の失敗の原因は幾つかありますが、その一つに、市場の論理ではなく、政治の論理で融資が行われやすい体質も指摘できるのではないか、と思うのです。

 民間の金融機関であれば、返済が不可能となったり、不良債権化するような危ない企業への融資は躊躇するものです。その一方で、公的な金融機関とは、そもそもの目的が、中小企業の救済にありますので、むしろ、リスクの高い融資先に優先的に貸し付けが行われることになってしまうのです。金融のプロではない公務員によって、公的な補助金感覚で金融業が営まれるわけですから、経営が傾くことは必至となりましょう。

 新銀行東京のケースの詳細はわかりませんが、都が同じ1000億円の予算を投じるならば、中小企業への技術支援や新たな市場開拓に関する情報提供サービスの充実など、別の方法もあったのではないか、と思うのです。

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ロック・ミュージックは何と闘ってきたのか

2008年02月26日 17時31分26秒 | 国際政治
クラプトン氏に公演依頼 北朝鮮、英紙報道(共同通信) - goo ニュース

 北朝鮮の音楽外交のターゲットは、ニューヨーク・フィルのみならず、遂に、ロック・ミュージシャンにまで及んだようです。ギタリストのクランプトン氏はこの招きに応じる方針とのことですが、これでは、ロック・ミュージックは何を破壊し、何と闘ってきたのか、まったく訳が分からなくなってしまうと思うです。

 ロック・ミュージックとは、既成の価値観を壊し、反体制を標榜する音楽表現として理解されてきました。ロックに傾倒する若者は、お仕着せの生き方を強要する大人たちへの反発を音楽を通して主張し、同世代の人々を熱狂の渦に巻き込んできたのです。しかしながら、ここにきて、ギタリストのクランプトン氏が、北朝鮮の宣伝に一役買うとなると、ロック・ミュージックが壊そうとしたのは、自由な社会や民主主義の制度であって、決して、権威主義や全体主義ではないことになってしまいそうです。

 クランプトン氏は、反抗期の若者をとっくに卒業して権威の側に立つことにしたのでしょうか、それとも、北朝鮮に迎合するふりをして、かの地で、エレキギターを武器に自由を叫んで大暴れをするのでしょうか。ぜひ、後者であってほしいと思うのです。

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イスラムの統一は遠い道のり

2008年02月25日 17時39分17秒 | 中近東
巡礼狙いテロ 40人死亡(産経新聞) - goo ニュース

 イスラム原理主義者は、カリフ制の復活によるイスラム世界の統一を理想に掲げています。しかしながら、シーア派とスンニ派が激しく対立する現状をみますと、理想への道のりは、はるかに遠いと言わざるをえません。

 そもそも、預言者であったムハンマド亡きあと直ぐに、後継者=カリフをめぐって、イスラム教団の内輪もめが始まります。シーア派とスンニ派との分裂は、何と、1300年以上も前の初代カリフのポスト争いに端を発しているのです。このように、宗派対立の歴史は根深いため、イスラム原理主義者が熱望するようなイスラムの統一は、そう簡単なことではありません。もし、原理主義者達が、現代におけるイスラムの統一を望むならば、テロという卑怯な手段で異教徒を攻撃したり、宗派争いに加担するよりも、まずは、イスラム教徒同士の宗派対立を解消する努力をすべきと言えましょう。

 宗派対立が国家を分裂させ、さらには、周辺諸国の介入を招いている現状を見ますと、イスラムが怖れるべきは、イスラム自身であるかもしれません。自らの内なる対立を解決せずして、どうして、自らの優位を誇り、他の宗教や文明を批判できるというのでしょうか。

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先端技術が時効の見直しを迫る

2008年02月24日 18時40分39秒 | 社会
「新証拠見つかる」=三浦容疑者逮捕で米当局-「ロス疑惑」捜査、一気に進展か(時事通信) - goo ニュース

 最近、先端技術の犯罪捜査への導入が、大きく犯人逮捕に貢献してきていると言われています。本事件が、こうした事例であるかは分かりませんが、先端技術の導入は、時効制度にも見直しを迫る可能性があるのです。

 何故ならば、民法では、権利関係の安定化などの目的があり、時効にもそれなりに意義があるのですが、犯罪の時効に関しては、時間の経過が事件解決の障害とはならなくなってきているからです。現在では、事件から何十年も経た後でも、DNA鑑定や土壌分析といった手法を用いれば、警察は、動かぬ証拠を得ることができます。時効期間過ぎた後でも、新たに明白な証拠が発見された場合には、時効の適用は解除すべきと思うのです。

 生涯にわたって罪を問われる可能性があるとしますと、犯罪に対する抑止力にもなるかもしれません。犯罪を減らすという目的から考えますと、死刑制度の廃止よりも、はるかに時効制度の見直しの方が効果的であると思うのです。
  
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国家建設の機を逸したクルド人

2008年02月23日 18時12分06秒 | 国際政治
越境作戦で49人死亡 トルコ軍のPKK掃討(朝日新聞) - goo ニュース

 歴史を振り返ってみますと、一大事を成し遂げるにあたっては、如何に機を捉えることが重要であるか、しみじみと感じ入ることがあります。今日においても解決を見ないクルド人の悲劇は、捉えるべき機を逸したことにあると思うのです。

 それでは、この歴史的なチャンスとは、何時のことであったのでしょうか。恐らく、最大の国家建設のチャンスは、19世後半から始まったトルコ帝国崩壊の時点であったと考えられます。この時期には、バルカン半島から始まって、中東諸国にも国家独立運動が広く及び、特に、第一次世界大戦に際しては、帝国内の諸民族は独立へと歩を進めました。もちろん、欧米列強の支配権が及んだため、実際の独立は、第二次世界大戦後となった場合もありましたが、少なくとも、動乱の時代こそが、実のところ、独立国家を建設するには好機だったのです。

 クルド民族の場合、この国家独立の波に乗り遅れてしまいました。そのことが、今日、クルドの人々を民族運動に駆り立てているのです。テロという手段を用いていることは厳しく非難されなくてはなりませんが、独立や自治権拡大の要求については、歴史に鑑みて、もっと耳を傾けても良いのではないか、と思うのです。

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韓国には近しき仲にも礼儀ありは通用しない?

2008年02月22日 17時58分49秒 | アジア
 昨日、韓国の次期大統領李明博氏が、民主党の小沢党首と会談し、永住外国人への地方参政権付与に関する法案の早期成立を要請したと言います。時期大統領は、未来志向の親日派との評もあり、今後、日韓関係が改善されるとの憶測もなされています。しかしながら、この会談から見ますと、むしろ、両国関係は拗れてしまう可能性もあるのではないか、と思うのです。

 それは、日韓両国の国民性の違いによるものです。日本国の場合には、近しき仲も礼儀あり、という諺がありますように、親しいければ親しいほど、敢えて相手との距離をとって、関係を崩さないように気を使います。一方、韓国では、親しければ親しいほど、相手に対する遠慮がなくなると言います。むしろ、遠慮があると、他人行儀で水くさい、ということになるのでしょう。

 このような違いを考えますと、親日派の大統領の誕生は、簡単には友好関係の構築には繋がらないかもしれません。永住外国人への地方参政権付与への圧力も、内政干渉とも取られかねません。しかも、日本国民の世論は、反対が多数をしめているのですから、無理強いの印象は、関係悪化を招く原因となるかもしれないのです。

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教育より娯楽?崩れゆく優先順位

2008年02月22日 12時14分06秒 | 社会
楽天初の対外試合に島民3分の1集結(スポーツニッポン) - goo ニュース

 沖縄・久米島にあっては、プロ野球の球団がキャンプを行うことは一大イベントであって、島民を挙げて歓迎することは理解に難くはありません。しかしながら、小学校の生徒までが、授業を午前中で切り上げてバスを連ねて試合の観戦に向かうとなりますと、これは、やはり問題ではないか、と思うのです。

 第一に、小学校は、義務教育過程ですので、教育よりも娯楽を優先させるという態度はいただけません。何故ならば、授業よりもスポーツ観戦が優先されることを、子供たちに、教育の場で体験させることになるからです。もし、このようなことがまかり通れば、学校を休んでスポーツ観戦やレジャーを楽しむことにも、正当化されてしまいそうです。

 第二に、小学生のスポーツ観戦が、任意であったかどうかは分かりませんが、野球には興味のない生徒や他球団のファンの生徒、さらに平常の授業を受けたい生徒まで、学校側が連れてゆくとしますと、学校、あるいは、教育委員会側の越権行為とも見なされかねません。

 第三に、スポーツと言いましても、学校で行う体育と、娯楽化したプロのスポーツの観戦とでは、教育上の意味合いが違います。スポーツ教育は、やはり、学校という場で行うことを基本としなくてはならないのではないでしょうか。

 ゆとり教育の失敗もあって、子供たちの学習意欲が低下する中で、こうした事例が、悪しき前例となるのではと、大変心配です。沖縄は自然にも恵まれ、伸び伸びとした環境があるのですから、スポーツ教育を通して、健全な子供たちの育成を目指していただきたいと思うのです。情報不足のため誤解もありましょうし、厳しい見方かもしれませんが、沖縄県民の将来を思う故につき、お許しくださいませ。

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不公平な温暖化対策

2008年02月21日 18時03分43秒 | 国際経済
 日本国の経団連もまた、排出権取引のEU型キャップ・アンド・トレード方式を容認する方向に転換したと言います(本日付日経朝刊)。国際社会は、製造分野に集中的に負担を課す方向に向かってまっしぐらなようなのですが、この方法は、果たして公平なのでしょうか。不参加国があることや、基準年の問題が指摘されていますが、その他にも不公平と思われる点はあります。

 第一に、資源国側の負担はほとんどありません。エネルギー資源を購入し、それを使用する側に対してのみ、削減の努力とコスト負担を求めているのです。本来ですと、資源を採掘し、販売する側にも、温暖化ガスの増加に対する責任があるのですから、ある程度の負担があってもよいはずです。

 第二に、製造に関与しない金融業界もまた、何らの責任を負っていないことです。排出権取引のトレーダーやブローカーになったり、排出権取引市場への投機によって、利益を上げるチャンスを掴む一方で、全く責任を負わないとなりますと、これも不公平なこととなります。

 経済活動は、資源の採掘から製品の消費に至るまで、様々な段階を通して行われるのですから、負担は公平であるべきと思うのです。例えば、資源輸出国に対しては、輸出量に比例した負担を求めたり、金融機関にしても、一定額を、削減事業への企業投資に向けることを義務付けるなど、何らかの協力を求めるべきではないでしょうか。

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ユダヤ人迫害の悲劇は教える

2008年02月20日 17時35分40秒 | 国際政治
No. 14 アナキズム批判 その3(WIRED VISION) - goo ニュース

 歴史に学べば、国家や政府の必要性に思い至るという意見には、心から賛成します。もちろん、国民を弾圧する悪徳国家が出現しますと、こちらもまた大変な悲劇なのですが・・・。

 ところで、国家なき民族の悲劇の最たる事例は、ユダヤ人の迫害です。ドイツでは、ヒトラー率いるナチスが政権を掌握したことにより、かねてより根強かったユダヤ人迫害が過激化し、1935年9月にはニュルンベルク法も制定され、合法的に財産没収や強制収容所への移送が行われるようになります。この時、ユダヤ人は、自らの自由や権利を自らの手で守ることができず、多くの人々が抵抗もせずに命を落とすことなりました。この自らの無力を痛感させられた経験が、戦後に建設されたイスラエルの、妥協を許さない国家主義を生んだとも指摘されています。自らを守るのは、国家しかない、という・・・。

 現在の若者は、ユダヤ人迫害には関心を示しながらも、その意味を問おうとはしません。しかしながら、もし、日本という国家がないとしますと、ユダヤ人の運命は、自分達日本人の運命にもなり得るのです。歴史を学ぶことは、危険を事前に回避し、自分達を守ることでもあるのです。

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巨人ファンは”強者依存症”?

2008年02月20日 11時50分46秒 | 社会
中高年を襲う巨人ファン型うつにご注意!(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

 巨人ファンが鬱になりやすい理由として、病理学的には、完璧主義の思考パターンが指摘されているようです。ところで、巨人ファンの場合には、この完璧主義は、自分自身に対してではなく、期待の対象に対する完璧主義ではないか、とも考えられるのです。

 何故かと云いますと、この鬱傾向にある人々は、巨人の選手ではなく、巨人の”ファン”であるからです。巨人ファンには、”巨人は強い、強い巨人は優勝するに違いない、優勝する巨人を応援する自分も強いはずだ、だから、自分は巨人を応援する”という心の動きがあるように思うのです。むしろ、自分の弱い部分を巨人の強さで補おうとする心理が働いている可能性があり、自分に対して厳しいというよりも、強者依存型であるかもしれないのです。このため、強いはずの巨人が弱かったり、期待はずれの結果を出した場合には、拠り所を失って欝に状態になってしまうのです。

 もちろん、この見立ては私見に過ぎないのですが、巨人ファンは完璧主義という見方は、いささか一面的なように思えたのです。

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イージス艦事件に見る照顧却下の教訓

2008年02月19日 18時30分41秒 | 日本政治
イージス艦と漁船衝突 レーダー探知の死角「魔の時間帯」目視困難(産経新聞) - goo ニュース

 高性能のレーダーを備え、遠方や上空の目的を正確に捉えることができるイージス艦が、足もとの漁船と接触する事故を起こしたとする報に触れ、思わず照顧却下という言葉を思い起こしました。

 照顧却下は、禅で用いられている言葉で、禅寺の玄関にかけられているのを目にすることがあります。もとより深い意味がありますので、世事の喩えに持ち出ちますと怒られそうなのですが、最高の技術を結集して製造された最新鋭のイージス艦であっても、身近な危険を回避することができず、犠牲者を出してしまったことに、この言葉が発する警告を読み取ることができるのです。

 とかく、現代人は、科学技術の力を信じ、それに寄りかかりがちですが、本当に気をつけなくてはならないことは、実は、身近なところにあるのかもしれません。イージス艦の活動にあっては、自国民を害することなく、今後は照顧却下の精神をもって、国防に努めていただくことを願うかぎりです。

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行方不明の票には要警戒

2008年02月18日 17時50分04秒 | アメリカ
米大統領選 ニューヨーク州予備選で集計ミス(産経新聞) - goo ニュース

 アメリカ民主党の大統領選の予備選で、重大な集計ミスがあったことが、昨日報じられました。単純な機械のミスが原因との見方もあるようですが、選挙は、正確な集計こそが命ですので、これは、選挙システムの信頼性の問題に飛び火しかねない事件なのではないか、と思うのです。

 そもそも、民主主義とは、選挙権を持つ人々が、自己の自由な判断に基づいて票を投じる制度があって、はじめて実現するものです。自己の投じた一票が、政治的な選択に生かされてこそ、意義があるのです。しかしながら、この一票が、途中でどこかで消えてしまったり、あるいは、不正に使われたりしますと、制度の根底を揺るがしかねないことになります。特に、不正確な集計が、人為的な原因である場合には、事態はより深刻です。独裁国家にしばしば見られるように、民主主義の形骸化をも招くかもしれないからです。

 このように考えますと、アメリカの民主党は、現在、自らの信頼性を損ないかねない危機に直面していることになります。否、すべての民主主義国家の国民が、このことを心配しなくてはならないのかもしれませんが・・・。

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民族自決vs.合法的領有権

2008年02月17日 17時57分01秒 | ヨーロッパ
コソボ、17日に独立宣言=自治州首相が確認-セルビアは無効主張へ (時事通信) - goo ニュース

 コソボでは、17日に独立宣言が行われ、ついに、独立への一歩を踏み出したようです。この動きに対して、セルビア共和国とその後ろ盾でもあるロシアは、国際法に反するとして、独立反対の構えを崩してはいません。

 思いますに、国際法とは、民族自決の原則も、合法的な領土領有も、両者とも擁護していますので、独立問題の解決に際しては、歴史的な経緯に鑑みてかなり慎重な検討を要すると考えられるのです。もし、国際法上の合法性のみを絶対としますと、植民地やコソボのような民族的な纏まりを持つ地域は、永遠に独立することはできなくなるからです。その一方で、民族的な纏まりさえあれば、独立できるとなりますと、世界中で民族紛争が発生してしまうことになりましょう。

 それでは、どのようにすべきなのでしょうか。もし、民族的な纏まりが、移民ではなく古来のものであり(固有の領土を持つ・・・)、独立国家として責任を果たすことができ、かつ、その能力を持つならば、国際法においては、民族自決の方を優先すべき原則とすべきではないか、と思うのです。

 しかしながら、このことは、”パンドラの箱を開ける”ということも事実です。懸念されている武力衝突を回避するためには、国内に民族問題を抱えている諸国は、独立を志向している少数民族に対しては、交渉と対話を通じた真摯な説得に努める必要はありそうです。そうして、あらゆる手を尽くしても、どうしても説得できない場合には、条件を満たしている少数民族に限定して、独立を承認するべきではないか、と思うのです。

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