今日ほど、陰謀の存在を、愚か者の荒唐無稽な妄想として‘せせら笑う’ことでその存在を否定しようとする‘陰謀論’が批判に晒されている時代はないかもしれません。誰から見ても不自然な現象が続発する中、‘陰謀論’は世論操作のための心理操作の手段であるとする疑いが日に日に濃くなっています。とりわけ、地球温暖化問題のみならず、各国政府によるコロナ・ワクチン並びに昆虫食の推進が疑惑を深めるきっかけとなったのですが、陰謀を企む勢力―世界権力―のフロント組織として、常々、名を挙げられてきたのが世界経済フォーラム(ダボス会議)です。
世界経済フォーラムは、1971年にドイツに生まれスイスで育った経済学者にしてエコノミストのクラウス・シュワブ氏によって設立されています(設立当初の名称はヨーロッパ・マネージメント・フォーラム(the European Management Forum))。同氏は、留学先の米ハーバード大学ケネディ・スクールにおいてかのヘンリー・キッシンジャー博士の教えを受けています。同留学は1960年後半のことですので、帰国から程ないダボス会議の設立に際しても、ユダヤ系にしてロックフェラー家とも知古のあるキッシンジャー博士の影響や指南を受けたことは容易に推測できます(キッシンジャー博士自身は1973年にニクソン政権において国務長官として政界入り・・・)。因みに、同氏の父親は、ナチスの原子爆弾開発に協力したとされるエッシャーウイス社に勤めていたそうです。
かくして世界経済フォーラムには、その設立時からして、どこか不自然さがあります。何故ならば、世界規模の組織を一から創設するには、資金も人脈をも要しますので、当事無名であったクラウス・シュワブ氏一人の力では凡そ不可能であるからです。欧州委員会や欧州産業協会の後援があったとされるものの、ヨーロッパを越えてグローバル企業を束ねるには、金融・経済財閥勢力の後押しがあったとするのは合理的推測です(この点は、革命や戦争といった他の大規模な事件とも共通している・・・)。言い換えますと、同フォーラムの設立自体が、その背後にある‘本体’を隠しているという点において陰謀であったとも言えましょう。
世界経済フォーラムは、しばらくの間に全世界のグローバル企業の親睦会といったイメージで捉えられてきました。実際に、今日に至るまで、同組織の運営を財政面から支えているのは、同フォーラムの選考委員会の審査を通過した1000社以上の会員企業からの寄付金です。ところが、同フォーラムの活動の範囲は経済に留まらず、やがて積極的に政治といった他の分野にも進出するようになります。その手段の一つが、同フォーラムの主催する年次総会に各国の政治家や国際機関のトップを招くというものでした。最盛期の年次総会は、各国の大統領や首相、中央銀行総裁、国連総長、NATOの事務総長などなど、これらの人物を全てコントロールすれば、全世界を支配できる思えるほどの顔ぶれとなったのです。
そして、もう一つ、世界経済フォーラムは、全世界に自らの影響力を浸透させるための仕組みを設けています。それは、毎年一〇〇名ほどのヤング・グローバル・リーダーズを認定するというものです。これまでの認定者には、政治家ではウラジミール・プーチン大統領をはじめ、アンジェラ・メルケル元首相、カナダのトルドー首相、フィンランドのサナ・マリン首相などの名が見られます。
今年2023年には、高齢者集団自決発言で批判を浴びた成田悠輔氏も選ばれています。同氏の選定で日本国内でもヤング・グローバル・リーダーズの存在が注目されることとなったのですが、選ばれた人々を見ますと、同フォーラムの傾向が読み取れます。将来性を見込んだ政治家(同フォーラムにとっては利用価値・・・)のみならず、王族、投資家、ジャーナリスト、研究者、マスコミ人、アーティストなど、目標年となる2030年に向けて‘世界を変える’ための人材が選ばれています。中国人やアフリカ諸国の人々が多数含まれているのも、世界全体をコントロールするための戦略なのでしょう。
なお、成田氏の選出は、炎上した発言が非人道的な内容であっただけに、日本国内では意外性をもって受け止められたのですが、「海上都市国家構想」の紹介にも見られた富裕層に忖度する同氏の日頃の主張からしますと、当然と言えば当然と言えるかもしれません。否、同氏こそ、マスコミにおける宣伝や番組への登用など、世界権力によって大事に育てられてきた世論誘導要員のインフルエンサーであったとも推測されます。
以上から、世界経済フォーラムが、先ずもって自らの手足となって働きそうな政治家や有力者達を、比較的年齢が若い時から取り込んでいる様子が窺えます。新自由主義者かつ歴代政権のアドバイザーとして知られる竹中平蔵氏も同フォーラムの理事であり、日本国民よりも同フォーラムの目的達成を優先しているのでしょう。もっとも、世界経済フォーラムの手法は、自らの権威をもって有力者を年次総会に招待したり、青田刈りのように特別のポジションを与えて育てるといった権威主義的なものですので、人々の信頼を失った途端、その計画も狂わざるを得なくなるかもしれません。そして、同フォーラムによって選ばれた人々については、その発言の真の目的を見抜かなければならないように思うのです。