万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

見破られたマスメディアの既成事実効果と同調圧力効果

2020年11月20日 12時34分52秒 | アメリカ

 今般のアメリカ大統領選挙では、民主党のバイデン氏が勝利を宣言したもの、未だ決着がつかない状況が続いています。その一方で、大統領選挙の行方に拘わらず、‘敗戦’が決定的になったのはマスメディアであったとも指摘されています。情報提供機関としての存在意義を支えてきた信頼性が、根底から崩壊しつつあるのですから。この現象は、アメリカのマスメディアのみならず、日本国を含む全世界のメディアにも及んでいるように見えます。

 

 今ではバイデン次期大統領という表現が減少し、双方とも○○氏と表記する報道が増加したものの、当初は、同氏の勝利が確定されたかのような記事が紙面やネットに溢れていました。今でも、アメリカ大統領選挙に関する論評の冒頭の多くに、あたかも枕詞のように、‘バイデン前副大統領が勝利をおさめた2020年の米国大統領選挙では…’とか、‘2020年米国大統領選挙を制したのは、ジョセフ.R.バイデンであった’といった前置きが付されているのを目にしますと、マスメディアの役割に対する疑いは確信に変わります。

 

それは、マスメディアが‘顧客’から請け負っている仕事の一つとは、人々に事実を余すところなく伝えるのではなく、未確定な出来事でもそれを確定された事実として報じることで既成事実化を進めることではなかったのか、とい疑いです。バイデン氏当確を印象付ける表現がかくも並びますと、単なる偶然とは思えず、その背景には、同一の‘権力体’からの‘指示’が推測されるからです。仮に、‘嘘でも百篇言えば事実になる’方式でバイデン氏勝利を連呼しているとすれば、それは、逆効果となりましょう。一般の人々は、こうしたマスコミ各社に対して、その執拗さに異常性、あるいは、作為を感じ取るからです。

 

 そして、もう一つのマスメディアのお仕事とは、社会全体に対して同調圧力を加えることです。このお仕事は、世論調査によって遂行されます。調査結果、大多数の賛意を得た回答を以って‘世論’を装うことができますし、それは、強力な同調圧力として作用するからです。今般の大統領選挙では、票数の集計ソフトにおける不正が取沙汰されていますが、選挙こそ、多数決の原則、即ち、数がモノを言う最たるものです。投票前であれ、投票後であれ、メディアによる‘多数派’の演出はとりわけ重要であり、人々の投票行動を変えたり、自らの置かれている状況を‘現実’であると‘信じ込ませる’ことができるのです。選挙の投票であれ、世論調査であれ、その結果を改竄することは難しいことではありません。民間メディアによる調査であれば、集計現場を公開する義務もなく、また、他者からチェックされることもないのですからなおさらのことです。しばしば、日本社会は同調圧力が強いとも指摘されてきましたが、何れの国にあっても、マスメディアが作為的に同調圧力を造り出している点においては変わりはないのかもしれません。

 

しかしながら、人々は、世論調査の結果をもはや‘民意’とは見なされなくなり、メディア側、あるいは、それが仕える組織の願望に過ぎないと認識されるに至りました。今日における人々とメディアとの関係は、メディアの欺瞞を察知し、行間から事実を読み取ろうとする点において、‘探偵と容疑者’との関係に類似しています。そして、人々がメディアの報道を信じなくなりますと、当然に、既成事実効果や同調圧力効果なども失われてゆきます。人々がメディアを信じていたからこそ、メディアは‘権力体’にとりまして有用な手段であったのですから、皮肉なことです。

 

中国といった全体主義国家では、強権の発動を伴う情報統制の徹底によって国民の官製メディアに対する不信感を封じ込めることができますが、言論の自由が保障されている自由主義国では、メディアに対する国民の不信は、メディア離れを加速させることでしょう。今日、メディアは、信頼性という自らが依って立つ基盤を自らの手で壊してしまったことにおいて、存亡の危機に立たされているのではないかと思うのです。


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アメリカ大統領選挙の不正追及が必要な理由

2020年11月16日 12時50分11秒 | アメリカ

 今般のアメリカ大統領選挙は、投票日から凡そ2週間が経過した今日にあっても、未だ決着つかずの状況が続いています。それもそのはず、拭いきれない不正選挙疑惑があるからです。アメリカ国民の多くも司法の場での真相解明を望んでおり、首都ワシントンD.C.でデモ行進に参加したトランプ支持者たちも、口々に不正疑惑を訴えていました。

 

 アメリカの大統領選挙では、ブッシュ候補対ゴア候補の対決時のように、過去にも集計が問題視されたことがあります。しかしながら、不正確な票数のカウントといった共通部分もあるものの、過去の選挙と今般の選挙での決定的な違いは、意図的、かつ、システマティックな‘不正’が行われた可能性がある点です。しかも、それらに外国や国際組織も絡んでいるとなりますと、状況は俄かに国際性をも帯びてきます。

 

 組織的不正手段の一つは、再三、指摘されてきたように、コロナ禍を根拠とした杜撰な郵便投票制度です。成りすまし投票や二重、あるいは、三重投票といった‘古典的な手法’に留まらず、今般の郵便投票には、大規模な組織の影が見え隠れしているのです。とりわけ、新型コロナウイルスの発祥地は中国の武漢であり、そのパンデミック化が、ソーシャルディスタンスの徹底を訴えて、郵便投票制度の大幅導入に成功した民主党陣営に有利に働いたのですから、否が応でも中国の関与も疑われます。真偽は不明なものの、中国からの大量のバイデン票が郵送されてきたとする指摘もあり、たとえそれがフェイクニューズであったとしても、国民が真相究明を求める強い動機となります。しかも、バイデン氏には、選挙の終盤戦にあって中国スキャンダルが明るみになり、状況証拠が揃ってしまった観があるのです。この状態にあって、国民に対して‘神聖な選挙の結果に難癖をつけるのは恥である’といった言い方をしても、むしろ、怪しさが増すばかりなのではないでしょうか。

 そして、もう一つの不正手段は、集計ソフトの設計やサーバーのデータ管理における偏向操作です、これらの手法は、従来の選挙にはない、あるいは、存在していたかもしれないけれども認識されてこなかった、まさにデジタル化時代の申し子です。デジタル化には、選挙にあっても集計の高率性や正確性、並びに、速度を飛躍的に高めるといった利点はありますが、その反面、内部に忍び込めば操作しやすいという重大な問題点があります(最も操作が容易なのは設計者といった内部者…)。デジタル化時代にあってむしろ人々の不安が増したのもこの側面にあるのですが、高度なITの導入が、逆に選挙結果の信憑性を著しく低下させているのです。

 真相の解明にはもう暫く時間を要するのでしょうが、この問題、トランプ大統領が敗北を認めて引き下がってしまいますと、アメリカ国民は不正選挙を排除する折角の機会を失ってしまうかもしれません。何故ならば、バイデン氏、並びに、民主党陣営は、‘今般の大統領選挙は公正に実施され、不正選挙ではない’という立場にありますので、仮に、同政権が発足すれば、不正選挙疑惑自体を‘なかったこと’にしようとすると予測されるからです。つまり、‘不正はない’と主張する以上、現行の投票制度を、不正が不可能となるような制度に改革するとは思えないのです(‘なかったものに対処する必要はない’の立場…。むしろ証拠隠滅やさらなる不正システムの強化を行う可能性もある)。不正を防ぐための具体的な制度改革を行うには、不正手段を想定してその対処法を考案する必要がありますが、それは、自らが行ってきた‘手口’を白状するに等しいのですから。

 

 このように考えますと、トランプ大統領は、全てのアメリカ国民のために決して不正選挙疑惑を有耶無耶にしてはならないということになりましょう。幸いにして、同大統領は、最後まで不正と闘う姿勢を示しております。今やアメリカの大統領選挙は、トランプ大統領対バイデン前大統領の対立の枠を超えて、党派を超えた良識あるアメリカ国民対不正容認集団という、民主主義を護るための闘いへと広がってきているように思えるのです。


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不正選挙疑惑はアメリカ国民が訴訟を起こすべきでは?

2020年11月09日 12時57分52秒 | アメリカ

 アメリカ大統領選挙は、開票結果としての票数としてはバイデン氏がトランプ大統領を上回ったものの、不正選挙疑惑は未だに燻っているようです。その一方で、露骨なまでにバイデン氏を支持してきたメディアが一斉にバイデン氏当選を既定路線化する一方で、トランプ大統領に対しては、共和党幹部や家族が敗北を認めるよう説得していると報じられています(もっとも、同報道は、本人たちが否定しており、フェイクニューズらしい…)。

 

 アメリカの大統領選挙では、勝者側の勝利宣言と敗者側の敗北宣言の両者が揃った時、その勝敗が確定するというのが慣例なそうです。一方、票数においてバイデン氏を下回ったトランプ大統領は、不正選挙を主張し、法廷闘争に訴える構えを見せております。この慣例に従えば、現状では、未だに大統領選挙の決着はついていないことになります。しかしながら、仮に、上述したように同大統領が周囲の説得に応じ、敗北を宣言するとなるとしますと、バイデン政権の誕生は確定することになるのですが、この慣例、民主主義に関する重大な問題を投げかけているように思えます。それは、たとえ不正選挙の結果であったとしても、数字上の敗者が個人的に敗北宣言に応じれば、勝者に正当性が生じるのか、という問題です。

 

 メディアを含む民主党側が描く今後のシナリオとは、内外からの圧力によってトランプ大統領に法廷闘争を諦めさせ、同氏の敗北宣言を以ってバイデン氏による大統領就任を確定させるというものなのでしょう。しかしながら、トランプ大統領に票を投じた凡そ半数のアメリカ国民、否、民主党支持者をも含めて、今般の大統領選挙における民主党側による不正選挙を疑う全ての人々からしますと、トランプ大統領の敗北宣言は、こうした人々への裏切り行為ともなります。仮に、トランプ大統領が、民主党側に不正選挙疑惑がありながらそれを不問に付し、バイデン大統領の誕生をあっさりと認めるとなりますと、法廷闘争を期待していた国民の多くは憤懣やるかたなくなるからです。トランプ大統領にも裏切られた気持ちになりましょうから。

 

 不正選挙疑惑に蓋をしたままでの新大統領の誕生では、アメリカの民主主義は崩壊の危機に瀕することになるのですが、同危機を脱する方法はあるのでしょうか。そこで考えられる案は、アメリカ国民自身が選挙の不正の有無を確認するために訴訟を起こすというものです。訴訟好きのアメリカ人の国民性を考慮しますと、集団訴訟の形態となるのかもしれませんが、民主主義とは制度的な保障があって初めて実現しますので、国民にも、不正選挙を厳しくチェックし、民主的制度を維持する責任があります。民主主義国家にあって国民が有する参政権には、普通選挙における被選挙権や選挙権や司法にあって公正な裁判を受ける権利や陪審員となる権利といった諸権利のみならず、広義には不正選挙に関して裁判に訴える権利も含まれるはずなのです。

 

 熱狂的なトランプ支持者による暴動を予測する報道もありますが、暴力よりも法廷の場で疑惑の真偽を確かめる方が、民主主義国家に相応しい解決方法のように思えます。不正選挙に関する訴訟権は、大統領の専権ではないのですから。そして、やはりトランプ大統領は、アメリカを護る責務を担う大統領として、国民に嘘偽りのない事実を知らせ、民主主義を救うべく法廷闘争に訴えてこそ、真にアメリカを偉大ならしめるのではないかと思うのです。


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‘神聖なる民主的選挙’は疑ってはならない?

2020年11月07日 11時39分43秒 | アメリカ

勝者の地位が宙に浮いてしまった今般のアメリカ大統領選挙は、民主主義について重要な問題を提起しているように思えます。トランプ陣営とバイデン陣営の両者は、国民を前にして全く異なる見解を示しているからです。

 

 トランプ大統領にとりまして、今般の大統領選挙の結果が示す数字は受け入れがたいものです。何故ならば、自身の票数を上回るバイデン陣営の投票数は、郵便投票をはじめとした不正選挙によるものである可能性が濃厚であるからです。メディア等では、‘不正の証拠が示されていない’としてトランプ大統領の主張を‘言いがかり’と見なしたり、‘往生際が悪い’として揶揄する風潮も見られますが、ネット上では、不正の証拠とされる動画や情報が飛び交っております。全てがフェイクニュースであるとも思えず(もちろん、真偽の検証が必要…)、終盤における不自然な票の動きを見ても全く根拠がないわけでありません。少なくとも、何れの民主主義諸国にあっても選挙における不正行為は頻繁に発生しており、犯罪として取り締まりの対象にされております。規模の大小に拘わらず、不正選挙は、現実には存在しているのですから、トランプ大統領が、不正選挙の疑いを提起することは、むしろ、民主的制度を護るための当然の行為であったとも言えましょう。

 

 にもかかわらず、民主党バイデン候補は、こうしたトランプ大統領の不正に対する懐疑心に対して痛烈に批判しています。民主的選挙の結果を疑うことは、選挙の神聖性に対する冒涜であると…。選挙は、民主的な制度の下で実施されたのだから、その結果に疑いを挟むのは、民主主義に対する冒涜行為と見なしているのです。‘神聖ゆえに疑ってはならない’とする態度は、他者に対する思考の抑圧や束縛を意味しますので、どこか、思想統制的な響きがあります。宗教であれば、神や教祖の存在を‘疑ってはならない’ということになるのでしょうし、世俗の全体主義体制や権威主義体制であれば、絶対的な指導者に対しては疑うことなく無条件に服従せよ、ということになるのでしょう。バイデン候補にとりましては、「民主的選挙」という名のもとで行われた選挙の結果としてカウントされた票数こそ、何人も疑ってはならない‘神聖なる数字’であり、この観点からしますと、トランプ大統領は民主主義の冒涜者となるのです。

 

 近代合理主義とは、神の存在をも人の理性的思考の対象に含めた懐疑主義から始まりますが(もっとも、必ずしも神を否定したわけではない…)、今日の政治の世界を見ますと、進歩派を自称してきた社会・共産主義者やリベラルと称されている人々の方が、余程、前近代的な思考の持ち主であり、時間軸からしますと退行現象を示しているようにも見えます。不正選挙はあらゆる選挙に付き物であるにも拘わらず、民主主義の神聖性の名の下で、不正の存在までをも否定しているのですから。それはもはや、理性を離れた別の世界に足を踏み入れていることとなりましょう。

 

 仮に民主的選挙結果に対して‘神聖’という言葉を付すならば、民意が正確に表出される完全なる制度の下で、一切の不正行為が排除された上で実施された選挙の結果に限られるはずです(人類は、未だにその段階に達していない…)。不正行為の結果であれば‘神聖’なはずもなく、否、不正行為を働いた側こそ、民主的選挙制度を冒涜したことになりましょう。

 

このように考えますと、バイデン陣営が不正選挙を疑うトランプ大統領に対して、何らかの反応や対応策を示すならば、それは、自らの陣営による不正行為はなかったことを立証する、あるいは、調査に協力することにあったのではないでしょうか(バイデン陣営は、不正票であれ全票のカウントを求めこそすれ、不正疑惑については口を噤んでいる…)。今後、法廷では不正選挙の立証責任はトランプ陣営に求められ、何らかの証拠も提示されるのでしょうが、バイデン陣営も、積極的に自らの潔白を示さないことには、国民の同陣営に対する疑いも深まるばかりとなりましょう。

 

そして、仮に、トランプ大統領のみならず、同大統領に一票を投じたアメリカ国民の凡そ半数の人々からの疑惑に対して誠実に回答することなく、‘神聖性’、あるいは、‘票数が絶対’の一点張りで切り抜けようとするならば、仮にバイデン政権が発足したとしても、常に国民から正当性を疑問視され、猜疑心に満ちた目で見られることになりましょう。バイデン陣営に見られる前近代的な思考傾向が全体主義との親和性を示す今、それは、アメリカが誇ってきた自由な精神、並びに、真の意味における民主主義の危機でもあると思うのです。


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法廷闘争こそ民主主義の証では?

2020年11月06日 12時02分19秒 | アメリカ

 本日の日経新聞朝刊の第一面には、混迷を深めるアメリカ大統領選挙に関して、「問われる民主主義の真価」と題する記事が掲載されておりました。この見出しを目にした瞬間、すっかりバイデン陣営の不正選挙疑惑を反民主的行為として批判しているものと早合点したのですが、内容を読んでみますと、その倒錯ぶりに愕然とさせられてしまいました。この記事、バイデン陣営を糾弾しているのではなく、強権的な態度を以って選挙結果に言いがかりを付けているとして、トランプ大統領側を反民主主義的であると決めつけているのです。

 

 仮に、アメリカが、民主主義国家ではなく、中国のような共産党一党独裁国家であれば、司法が不正選挙の有無を判断することは不可能であったことでしょう。そもそも、権力分立が否定され、司法が独立していない独裁体制では、普通選挙という制度そのものが存在していないのですが、百歩譲って、たとえ選挙というものが実施されていたとしても、その結果に異議を唱えることは許されないのです。如何に露骨で酷い不正が行われ、選挙結果が捻じ曲げられていたとしても…。

 

 今般のアメリカの状況を見ますと、民主党のバイデン陣営、並びに、その応援団であるマスメディアの方が、余程、共産主義国家、あるいは、全体主義国家の行動様式に近いように思えます。バイデン候補は、既に政権移行への準備を表明し、‘我々が勝者、間違いない’として事実上の勝利宣言を行っていますし、日経新聞社のみならず日本国内のマスメディアの大半を見ましても、正式に確定しているわけでもないにも拘わらず、バイデン候補の勝利を既成事実として報じているからです。常々、共産主義者やリベラル派の人々は、暴力革命をはじめ、既成事実化を以って人々に自らの意思を押し付けてきました。他の多くの人々の意見や倫理・道徳との合致、さらには正当性など全く問題にせず、先に‘事実’を造り出した方が‘勝ち’であると考えているのです(‘事実’は捏造であっても構わない…)。バイデン陣営にとりましては、たとえ不正行為の結果としての数字であっても、‘数字の上では勝者’という‘事実’が大事であり、‘目的のためには手段を択ばず’なのでしょう。

 

 一方、誰から見ましても、今般のアメリカ大統領選挙には不正選挙を疑われて然るべき点が多々見受けられます。おそらく、日本国内のネット上でも騒動となるぐらいですから、アメリカの民主党支持者であっても、僅かでも常識や良心があればバイデン陣営の票数を疑うことでしょう。郵便による投票自体が不正の温床になりやすいのに加え、州によっては、トランプ陣営優勢が伝えられながら開票終盤に至って突然に大量のバイデン票がカウントされるとなれば、‘疑うな’と言う方に無理があります(この懐疑心さえ許さないとする態度が共産主義的で恐ろしい…)。政治的スタンスの違いに拘わらず、一般的な人の常識的、かつ、合理的な認識力からしましても、明らかに異常と見なされる現象が観察されているのですから(アメリカの郵便投票制度は、郵便書留制度であり幾重にも署名がチェックされるので、少なくとも‘水増し’は不可能とする指摘があるものの、公開された開票所の映像からは丁寧な署名の照合作業が行われているようには見えず、また、州によって投票方法も違うのでは…)。

 

 幸いにして、アメリカは、権力分立に基づいて建国された民主主義国家ですので、大統領選挙にあって不正行為の疑いがあれば、司法に判断を委ねることができます。独裁国家にあっては疑うことさえ許されませんが、民主主義国家では、同体制を支える主要な基盤となる選挙にあって不正行為があれば、体制そのものが破壊されてしまいますので、中立・公平な立場にある司法機関が、厳正、かつ、徹底した捜査・調査を実施し、証拠に基づいて事実を確認し、そして法律に照らして判断することができるのです。法廷は公開されますので、全ての国民が、不正の有無を確かめることもできます。こうした民主主義体制の仕組みは、一党独裁体制よりも遥かに優れており、人類の叡智の結晶とも言えましょう。

 

 アメリカが、司法による‘審判’の道が保障されている民主主義国家であるからこそ、トランプ大統領は法廷闘争に訴えることができるのであり、この選択を非民主的として非難するのは、あまりにも的外れのように思えます。法廷闘争こそ、民主主義国家の証でもあるのですから。日本国も、自由で民主的な国家なのですから、不正疑惑がある点を誠実に報道した上で、選挙結果は未定であるとし、法廷における公平・公正な決着こそ支持すべきではなかったかと思うのです。

 

*最初の投稿時には、週によっては登録者数を超える投票者数があった旨を記しましたが、この情報は正確ではないとのことですので削除しました。

コメント (4)
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不可解なバイデン候補優勢

2020年11月05日 12時21分53秒 | アメリカ

11月3日が投票日となったアメリカ大統領選挙は、勝敗を決することができない昏迷状態が続いております。不自然な票の動きから不正選挙疑惑も真実味を帯びてきており、最終的な決着は連邦最高裁判所の判決に持ち込まれることも予測されます。そして、多くの人々が今般の選挙にあって訝しく感じるのは、何故、かくもバイデン候補の得票数が多いのか、ということではないかと思うのです。

 

 実のところ、仮に、バイデン候補がオバマ政権の副大統領の職にあったキ時期に、今般の中国スキャンダルが発覚すれば、間違いなく辞任に追い込まれたことでしょう。副大統領という重職にあって外国政府から利権の提供を受けたのですから、議会にあって弾劾裁判に付されてもおかしくはなかったはずです(退任後の現下でも刑事罰は問える…)。真偽のほどは不明ですが、バイデン候補は、CIAの情報を中国側に漏らしたとも、あるいは、南シナ海や尖閣諸島問題にあって中国に譲歩したとも囁かれています。同情報がフェイクニューズであったとしても、オバマ政権時代における対中融和策が中国の無法国家化を加速させ、国際法秩序を危機に晒したのですから、現実のオバマ政権は、そのイメージとは逆に平和に対する罪があったと言わざるを得ないのです。

 

 今般の大統領選挙にあって、バイデン前副大統領が民主党の候補者として立候補し得たのも、中国スキャンダルの情報が隠されていたからに他なりません。言い換えますと、弾劾によって職を去るべき人物が、堂々と大統領選挙に立候補していることとなり、この現象は、不可解な異常事態としか言いようがないのです。

 

また、バイデン候補の圧倒的な優勢を報じ続けてきたマスメディアは、二期目の選挙は現職が有利とされてきたにも拘わらず、トランプ大統領が劣勢となった理由としてコロナ対策を挙げています。しかしながら、たとえ、民主党政権であったとしても、迅速、かつ、効果的に感染拡大を抑えられたのかどうかは疑問なところです。少なくとも、トランプ政権は、日本国よりも早い時期に中国からの渡航を禁じています。一方、親中派である民主党であれば、日本国政府のように中国に対して‘忖度’したかもしれませんし、中国に対する責任追及も曖昧なままであったことでしょう。あるいは、厳しすぎる対策により、アメリカは、失業者で溢れたかもしれません。メディアの説明は、新型コロナウイルスの発生地が中国武漢だけに、説得力に乏しいのです。

 

中国とのデカップリングを目指すトランプ政権の再選を嫌ってか、中国の習近平国家主席は、早々に、バイデン候補の対中関税緩和策に呼応するかのように、今後10年間で22兆ドル(凡そ2300兆円)に輸入を拡大させる方針を示しています。この巨額の目標輸入額にあってアメリカからの輸入品が含まれていか否かは不明ですが、バイデン政権が誕生すれば、半導体を含め、様々なハイテク製品の中国向け輸出が再開されるかもしれません。輸出再開により、中国は、軍事、並びに、経済の両面において、より速いスピードでアメリカに追いつき、追い越すことでしょう。しかも、22兆ドル分の貿易決済通貨は、米ドルではなく、人民元、否、デジタル人民元となるかもしれないのです。

 

常識的、かつ、合理的に判断すれば、アメリカの有権者は、バイデン候補に一票を投じることに躊躇するはずなのですが、かくも多くの人々が同氏を支持したとしますと、何か別な力が働いたのではないかとする疑いがもたげてきます。不正選挙疑惑についても、かつての民主党のイメージからすれば、誰もが‘民主党ならばあり得ない’として一笑に付したのでしょうが、中国スキャンダルなど、民主党のダーティーな部分が明るみになるにつれ、‘民主党ならばあり得る’に人々の反応も変化してきているのかもしれません。不自然な票の動きなど、疑われるだけの正当な根拠もあるのですから。

 

何れにしましても、不正選挙疑惑が払拭されない限り、バイデン候補は、大統領としての正当性を得ることはできないことでしょうし、国民も開票結果には納得しないことでしょう。この問題には、公平中立な司法機関による徹底的な調査が必要であり、それまでの間、大統領選挙の結果が確定しないとしても、それは致し方ないのではないかと思うのです。


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米大統領選挙に見る民主主義と投票制度の問題

2020年11月04日 11時23分56秒 | アメリカ

 4年ごとに実施されるアメリカの大統領選挙は、同国のみならず全世界の運命をも左右しますので、別格というほどに注目度の高い選挙です。投票日は11月3日に設定されているものの、今般の選挙は、民主主義国家における投票制度の問題を浮き彫りにした選挙でもあったと言えましょう。

 

 民主的選挙の結果の正当性は、偏に選挙制度にかかっています。選挙人名簿の作成、あるいは、有権者登録から投票用紙の送付、投票、そして開票・集計に至るまでの各作業段階において、一寸のミスやエラー、並びに、不当行為は許されず、全てが見事なまでに正確でなければならないのです。国民一人一人の自由意思による政治的な選択が票として正確にカウントされなくては、民主的制度はその意味をなさないのです。

 

 しかしながら、今日の民主的選挙制度は100%正確である、と言い切れる人は、何れの国にあっても少ないのではないかと思います。不正選挙と言えばロシアの名が上がりますが、自由主義国であっても、多くの国民が自国の選挙制度を疑っています。その一方で、政府側を見ますと、自由主義国の政府であって、長足の発展を遂げたITテクノロジーを国民管理システムとして導入しようとしながら、選挙制度については正確さを極めようとする姿勢には乏しいと言わざるを得ません。戸籍、住民登録、出入国管理といった個人管理の分野や給付金の支給といった行政サービス分野にあっても導入可能なほどにデジタル化の信頼性が高ければ、投票システムもまたデジタル化し得るはずです。しかしながら、投票システムについては、案外、旧態依然とした方法が維持されているのです。

 

 IT先進国であるアメリカを見ましても、期日前投票にあって郵送による投票が導入されています。多くの人々がこの方法を選択することとなりましたが、投票用紙に自筆で記入して投じるという基本的な方法には変わりはありません。それどころか、選挙戦の最中にあって議論されたように、郵送による投票は、正確さという点からしますと、投票所における期日前投票以上に難があります。例えば、(1)投票用紙への記入に際して本人確認が難しい(全米有権者を対象とした筆跡鑑定は困難)、(2)郵便ポストは投票箱ではないので、有権者は、自らの票が確実に開票所に届いたのか確認ができない、(3)本人確認が困難であるため、投票用紙の偽造が容易である、(4)第三者(対立政党、外国勢力、国際組織など)による組織的な郵便事業への介入がありえる(実質的な選挙への介入であり、郵送過程における意図的な投票用紙の紛失や水増し)…といった問題点を挙げることができます。つまり、不正選挙が起こりやすいという条件が揃っているのです。

 

 郵便投票のみならず、アメリカでは、ドライブスルーの投票所における票や開票日後に届く在外投票の有効性なども問われており、不正選挙に対する警戒心は高まる一方なのです。そして、こうした投票システムに対する両陣営、並びに、国民の不信感は、アメリカの民主主義を揺るがしており、報道によりますと、両陣営とも、敗北を受け入れない相手陣営の熱狂的な支持者による暴動を恐れているというのです。

 

 最も正確性の高い選挙の投票方法とは、全ての有権者が公開の場で投票用紙に記入すると同時に、その場で、即、票をカウントして表示する方法です。投票箱を用いないこの方法ですと、一票を投じた有権者本人が自らの選択を確認できますし、投票から開票までの全てが衆人の前に公開されますので、複数の人によって結果は常にチェックされることになります。選挙に関しては、案外、アナログな方法の方が正確性を確保することができるのかもしれません(もっとも、デジタル投票も、不正選挙の可能性を完全に排除できるのであれば、導入すべきなのでしょうが…)。

 

問題は秘密投票ではないことですが、政治的選択が秘密にすべき事柄であるのかどうかは、今日にあっては疑問なところです。何故ならば、政策や政党への支持は隠すべき事でもありませんし、多様性が尊重されるべきならば、政治的意見や支持政党の多様性こそ最大限に尊重されるべきであるからです(アメリカ国民の多くは、ステッカーやグッズなどで自らの支持を表明しているのでは…)。自由で民主的な社会であれば、自らの政治的スタンスを明確にしたり、政治について自由に討論することは至極当然のことであるべきなのです。

 

 法廷闘争も視野に入りますので、選挙結果が確定するには、相当の時間を要するとも報じられています。不正選挙疑惑が政権の正当性を揺るがし、民主主義さえも危機に陥れている今日、不正を完全に封じ、正確さを極めるような選挙制度こそ必要とされているのではないでしょうか。現行の選挙方法が維持される限り、今後とも、同様の問題を繰り返すこととなるのではないかと思うのです。


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アメリカ大統領選挙が混乱する理由とは―‘チャイナ・ファクター’の問題

2020年11月03日 12時30分19秒 | アメリカ

 本日11月3日は、全世界が注目するアメリカ大統領選挙が実施される日です。期日前投票が9000万票を超えているとはいえ、投票所における直接的な投票が趨勢を決することとなるでしょう。そして、今回の選挙程、米中対立の背後に潜むアメリカ国内の構造的な問題を明らかにした大統領選挙もなかったのかもしれません。

 

 米ソ冷戦期にあっては、イデオロギーにおいて民主党が社会・共産主義にシンパシーを示しつつも、共和、民主両党とも、ソ連邦との対峙は議論の余地のない共通のスタンスでした。第三次世界大戦の瀬戸際に立たされたキューバ危機も、民主党のケネディー政権にあって起きた事件です。キューバ危機後の米ソデタントはどちらかと言えば共和党政権時代に推進されつつも、ソ連邦を敵国と見なす基本姿勢は貫かれていたのです。

 

 一方、今般のアメリカ大統領選挙において焦点として浮上したのは、米民主党と中国との間の構造的な利権関係です。中国は、鄧小平氏による改革開放路線以降、自由主義諸国に自国の市場を開放すると共に、先進国から資本、製造拠点、先端技術などを貪欲に招き入れてきたのですが、このプロセスにおいて、米中両国、否、中国共産党と米民主党との間に利権を介した強固な繋がりが形成されているのです。昨今、アメリカのみならず、全世界を驚愕させたバイデン親子の醜聞は、まさに巨額の中国利権が絡んでおり、同親子は、自らの私益のために国権を私物化したと言っても過言ではないです。おそらく、民主党幹部の大半が中国利権を隠し持つ、あるいは、不正な資金提供を受けているではないでしょうか。

 

 中国共産党と民主党が利権を共有する状況下にあっては、中国経済が成長するほど米民主党側の懐に巨額のチャイナ・マネーが濡れ手に粟の如くに転がり込んでくることなります。加えて、米民主党には、中国市場への進出チャンスを得たい金融界や米企業群も‘訪中団’を結成し、中国利権を共有することとなったのでしょう。クリント政権やオバマ政権下において中国が急速な経済成長を遂げたことを考え合わせますと、アメリカの政界も財界もチャイナ・マネーに相当程度に汚染され、大手メディアやIT大手もまた懐柔されていたものと推測されるのです。この結果、中国は、常設仲裁裁判所の判決に対して無視を決め込むと共に、南シナ海の軍事拠点化を止めようともせず、際限のない軍拡に走ることとなったのでしょう。

 

もっとも、米中関係において最初に‘井戸を掘った’のはキッシンジャー元国務長官であり、米中国交樹立に向けて動き始めたのは共和党政権時代のことです。中ソ対立やベトナム戦争の泥沼化を背景とした‘敵の敵は味方’の論理に基づくものであったとはいえ、この頃から両国間では、既に水面下では中国の改革開放路線に向けての協力関係が模索されていたのかもしれません。少なくとも、ニクソン政権からブッシュ政権に至るまでの間に共和党にあっても中国利権に与った政治家が少なくなかったはずです。しばしば、軍事大国中国は、アメリカ民主党が育てたと評されるものの、チャイナ・マネーは、民主・共和両党に亘って浸透していたと推測されるのです。この時期、軍事的にも経済的にも弱小国に過ぎなかった中国はソ連ほどには警戒されてはおらず、中国の脆弱性が、米国民の大半が気が付かぬうちにアメリカ国内に‘中国利権集団’が形成されてしまった背後要因なのでしょう(もちろん、同利権集団は他の先進諸国にも存在し、国境を越えて連携する国際組織でさえあるかもしれない…)。

 

そして、アメリカ政界にあって珍しくも中国との間に柵がなく、中国色が比較的薄かったのが、トランプ大統領であったのかもしれません(もっとも、中国ではなく、ロシアとの関係が疑われましたが…)。然したる中国利権を持たない‘異端児’であったからこそ、有権者に向けて反グローバリズムを訴え、大胆な対中強硬政策を打ち出すことができたのでしょう(グローバリズムと中国とは半ば一体化している…)。

 

アメリカに内部化された中国脈の利権集団の存在こそ、今般の大統領選挙が‘アメリカの分断’を伴う混乱が生じた原因の一つとなっているのかもしれません。何故ならば、米中の対立構図は、国内におけるトランプ陣営とバイデン陣営との間の写し鏡となるからです。‘チャイナ・ファクター’は、外政内政両面における対立軸なのです(米ソ冷戦時代における’ソヴィエト・ファクター’は専ら外政問題…)。そして、マスコミ支配の原資ともなる資金力において圧倒的にバイデン陣営が優っていたのも、米国内の‘中国利権集団’が‘バイデン応援団’と化しているからなのでしょう。そして、今般のアメリカ大統領選挙は、‘中国利権集団’が共産主義、あるいは、全体主義とも容易に手を結ぶ‘マネー・ファースト’の集団である点を考慮しますと、民主主義の危機をも示しているのではないかと思うのです。


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‘隠れトランプ’を造り出したリベラルの罪

2020年11月02日 12時54分23秒 | アメリカ

 アメリカの大統領選挙は遂に明日、運命の投票日を迎えます。時期的に選挙戦がコロナ禍と重なったこともあり、一般的には現職有利とされながらも、トランプ大統領は苦戦を強いられ、マスメディアも揃って民主党のバイデン候補を報じる状況となりました。ここに来て、バイデン氏の醜聞が拡散したことにより状況が一転しましたが、前回から指摘されているのが、‘隠れトランプ’の存在です。

 

 日本人の多くは、アメリカ人とは自らの意見や考えをはっきりと述べ、自由闊達に議論する人々とするイメージを抱いています。ところが、このイメージに反して、今日、自らの本心を隠す人々が増えているというのです。‘隠れトランプ’とはこのような人々であり、周囲の反応を恐れてトランプ支持を公には表明できない人々を意味しています。

 

 ‘隠れトランプ’となる理由は、一様ではないようです。第一の理由は、‘知的エリート=リベラル=フェアな社会を目指す正義感に溢れた人々’とする構図がアメリカ社会に染み付いている点を挙げることができます。同構図の社会全体への浸透には、メディアや教育界による意図的な誘導があったのでしょう。知的エリートであると自負している人々、あるいは、他者から‘フェアな市民’であると見なされたい人々は、トランプ支持を表明し辛いというのです。アメリカのリベラルは、人種差別反対運動を主導してきましたこともあり、差別主義者と見なされたくないとする心理的な圧力も働くのでしょう。このため、こうした人々は、世論調査ではバイデン候補に投票すると回答し、同僚や友人達に対してはバイデン支持の同志を装いながら、実際にはトランプ候補に一票を投じるのです。否、実のところ、トランプ大統領は、上記の構図の欺瞞を初めて暴いたからこそ大統領に就任したとも言えるのであり、むしろ、‘隠れトランプ’の人々の方が、未だに同構図から抜け出せないでいるのかもしれません(バイデン親子に見られるように、現実におけるリベラルの腐敗や堕落は甚だしい…)。

 

 その一方で、もう一つの理由として指摘されているのは、暴力や脅迫です。この問題は、世論調査よりも、社会一般において観察される現象なそうです。例えば、職場や学校で、トランプ支持を表明するような服装をしたり、ステッカーを張ったりすると、‘そのようなことをすれば、身の安全は保証できない’と警告してくる人が現れるというのです。BLM運動が略奪や放火を伴う暴動と化したように、近年、リベラル=スマート=非暴力な知的エリートとする上述の構図が崩壊してきています。フランス革命であれロシア革命であれ、社会・共産主義者は暴力に訴えており、必ずしも平和的な手段を絶対視しているわけではありません。そして、これらの革命が恐怖政治や弾圧体制を帰結したことは、歴史が証明するところです。これまで隠されてきたリベラルの暴力主義的な一面が表面化し、今般、‘隠れトランプ’を生み出した原因となっているとも言えましょう。

 

 このように考えますと、‘隠れトランプ’を大量に出現させている主たる原因は、民主党を中心としたリベラルの側にありそうです。そして、それは、左派特有の独善、並びに、それに基づく抑圧、暴力、排除の是認に起因するものであり、仮に、アメリカが真に自由で民主的な国家であるならば、‘隠れトランプ’なる人々は存在するはずもないのです。アメリカ国民が、臆することなく、また、他者から何らの圧力を受けることなく、自らの政治的な意見や選択を自由かつオープンに表明し得てこそ、‘自由の国、アメリカ’であるはずなのですから。この点、アメリカの自由や民主主義を内部から侵食し、‘隠れトランプ’を生み出したリベラルにこそ罪があるのではないかと思うのです。


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米大統領選挙が示唆する私的‘情報統制’問題

2020年10月29日 12時51分30秒 | アメリカ

 大統領選挙の投票日を11月3日に控え、アメリカのマスメディアの大半が、連日のように民主党のバイデン候補優勢を報じてきました。しかしながら、この結果予測、前回の大統領選挙にあってメディアの予測が外れた前例もあることから、誰もが半信半疑の状況にあります。‘隠れトランプ’の存在も指摘されていますが、今回の選挙戦では、アメリカの民主主義を長年にわたって蝕んできた民主党・メディア・IT大手連合・中国との間の協力関係が一気に表面化してきているようにも思えます。

 

 情報化社会であるからこそ、情報の有無は決定的な意味を持ちます。人の判断とは、その判断に関わるある特定の情報を知っている場合と、知らない場合とでは、180度違ってしまうことも決して珍しくないのです。この点、今般のアメリカ大統領選挙においても注目すべきは、‘情報’です。何故ならば、終盤に至り、バイデン候補親子の醜聞がネット上に拡散されるに至ると、メディアの報道と現実の国民感情とが誤魔化しようがないほどに乖離してしまったからです。

 

 バイデン親子に関する醜聞が事実であるとすれば(その可能性は極めて高い…)、常識的に考えれば、バイデン候補に投票する国民は皆無に近いはずです。ウクライナやロシアのみならず、中国とも癒着して私腹を肥やし、子息のハンター氏に至っては人の道を踏み外していたとなれば、こうした人物が大統領に相応しいはずもありません。最悪の場合、同候補は、就任後にあって醜聞を材料に脅迫し、アメリカを裏から操るために、中国によって敢えて選ばれた可能性さえあるのですから(仮に、中国説が正しければ、脛に傷を持つ人物を選んだことが、裏目に出ているのかもしれない…)。バイデン大統領の誕生は、おそらく、一般の民主党支持者にとりましても悪夢となりましょうし、筋金入りのトランプ嫌いか、民主党の熱狂的な支持者であったとしても、バイデン候補への投票を躊躇うはずなのです。

 

 そして、バイデン・スキャンダルで批判に晒されているのは、同候補者本人のみではありません。同情報を隠してきたメディア大手、並びに、その拡散を阻止してきたフェイスブックやツイッター社などのIT大手にも罪があります。民主的選挙制度とは、国民が自らの判断の基盤となる正確、かつ、十分な情報を入手し得てこそ成り立つ制度です。民主主義を支えるこの最も基礎的な部分にあって、大手メディアもIT大手も、自らの地位を濫用し、いわば、‘情報統制’を敷こうとしたのです。共産主義国家である中国は、国家ぐるみで情報を統制していますが、自由主義国家であるアメリカでは、私企業が自らの支持する候補者を当選させるために、国民に対して重大な情報を隠そうとしたこととなりましょう。アメリカでは、情報ルートが全て大手メディアやIT企業に独占されているわけではなく、それ故に、今般のようにバイデン親子の醜聞が国民の知るところとなったのですが、後者の行為は、民主主義、否、米国民に対する裏切りといっても過言ではありません。

 

 しかも、期日前投票数が7000万に達した選挙終盤にあって同醜聞が急速に拡散されたことは、大統領の確定作業をさらに難しくする可能性もあります。ネット情報によれば、アメリカでは、期日前投票を変更できるのか、あるいは、既に郵送した投票用紙を返送してもらい、再投票できるのか、否か、という問題が持ち上がっているそうですが、この問題は、有権者の判断の基礎となる情報の入手時期が、決定的な意味を持つ場合があることを示しています。メディアの報道とは異なり、当初からトランプ大統領が優勢であったとの指摘もありますが、重大情報を知る前と後において国民の判断が180度転換し、当選者が変わることもあり得るのです。

 

 民主党陣営は、民主党支持者が圧倒的に多いとされる期日前投票数が7000万票に達したために勝利を確信し、気の緩みから‘情報統制’が弛緩したために、バイデン・スキャンダルが広く拡散されることとなったのかもしれませんが、今後、期日前投票を無効として訴える有権者が現れてもおかしくはありません。そして、民主的選挙における情報の決定的な役割を考慮しますと、無効とする判決が下る可能性の方が高く、大統領の当選確認作業は、混迷を深める事態も予測されるのです(もっとも、地滑り的にトランプ大統領が勝利すれば、期日前投票は問題にされなくなるかもしれませんが…)。一方、民主党陣営も、仮に大統領選を制したとしても、大手メディア、IT大手共々に国民からの信頼が地に落ち、その回復は殆ど望めない事態となりましょう。

 

 アメリカでの出来事は、あるいは、日本国を含めて全ての自由主義諸国にとりましても、対岸の火事ではないかもしれません。国民のほとんどは、政治家に関する情報を十分かつ自由に入手し得るわけではなく、その主たる要因は、マスメディアやIT大手による‘情報統制’にあるからです。そして、その背後には、国際ネットワークを有する中国共産党といった海外勢力が潜んでいる可能性も十分にあり得るのですから。


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BLM運動の違和感

2020年09月28日 12時53分30秒 | アメリカ

 アメリカでは、白人警察官が黒人容疑者を死亡させた事件をきっかけとして、黒人差別反対を訴えるBLM運動が起きることとなりました。プロのテニスプレーヤーである大阪なおみ選手も、出場した全米オープンにおいて自らのマスクに7人の黒人の名前を記すことで人種差別反対をアピールしています。人種差別反対については誰もが異論はないものの、今般の黒人差別反対運動にはどこか違和感を覚えてしまうのです。

 

 その理由の一つは、今般の黒人差別問題に限って言えば、同問題は、アメリカの国内問題としての側面が強いからです。歴史的に見ますと、同問題が発生したのは、アメリカ大陸に奴隷商人を介してアフリカから多数の黒人の人々が連れてこられたからに他なりません。一つの国に複数の人種が混住することとなり、かつ、両者が主人と奴隷の関係となってしまったからこそ、人種差別問題が発生したのです。言い換えますと、国民の凡そ全員が黒人種であるアフリカ諸国では、黒人差別問題は起きようもありません。今般のBLMにあっても、アフリカ諸国から積極的にアメリカ政府に対して正式な抗議や改善要求が寄せられたわけではなく、日本国政府も含め、有色人種の国であるアジア諸国も静観しています。また、一部には街頭デモ等も行われましたが、国際的な社会運動としての広がりにも欠けたのも、アメリカの内部問題とする認識が強かったからなのでしょう。この点、日本国籍を有する大阪選手の行動は、自らのアイデンティティーをアメリカの黒人に置いて行動していることとなります。

 

 そして、人種差別が人類普遍の人権問題でありながら、今般の黒人差別問題に違和感があるもう一つの要因は、同国にあっては、既に人種間の差別が法的には撤廃されている点にあります(この点、中国政府によるチベット人、ウイグル人、モンゴル人に対する仕打ちはジェノサイドに等しく、国際人道法にも反している…)。況してやテニス界にあっては、ウイルアムズ姉妹が黒人選手として幾度となく全米オープンで優勝を飾っています。女子テニスの場合にはラリーが続くことが多いですので、テニスは、持久力に優れたアフリカ系の選手が比較的有利となるスポーツです。実際に、大阪選手も同大会で優勝しており、不当な差別的な扱いを受けているわけでもないのです。むしろ、現実のアメリカ社会では、イエール大学に対して違憲判決が下されたように、大学の入学、公務員の採用、そして企業の昇進等においては黒人の人々の方が優遇されています。アファーマティヴ・アクションによってむしろ白人側が不利益を被る逆差別が生じている現状にあって黒人差別を訴えても、どこか公平性に欠けているように感じてしまうのです。

 

 また、BLM運動の標的が白人警察官に絞られている点も、違和感が生じる要因です。死亡した黒人の人々の多くは犯罪容疑者ですので、状況としては、警察権力の下で拳銃を手にして取り締まる側と無防備な状況で取り締まりを受ける側との構図となります。物理的な力の強弱を基準とすれば、白人=強者と黒人=弱者との間の不平等な関係となり、そうであるからこそ、権力によって弱者が虐げられているというイメージが強調されがちです。しかしながら、死亡した黒人にはそもそも犯罪容疑がありましたので、警察の取り締まり方法の行き過ぎや乱暴さは理解し得ても、全くの無実を想定することはできませんし、一般の人々が、全面的に共感したり、擁護するには無理があります。しかも、何故か、警官ではない一般の白人が一般の黒人に対して危害を加えたとする事件は殆ど報告がないにも拘わらず(逆に、一般の黒人が暴動を起こし、一般の白人の商店等を襲い、商品を奪い去ったとする報道はある…)、警察批判や組織の改革要求のみがエスカレートしているのです。これでは、人種差別反対ではなく、警察の弱体化、あるいは、治安維持分野における黒人優遇が真の目的ではないかと疑われてもしかたがありません。

 

 加えて疑問に思うのは、仮に、大阪選手が同大会に優勝しなかったならば、どうなっていたのか、という素朴な疑問です。同選手が優勝したからこそ、BLM運動は一先ずは有終の美を飾ったのですが、途中で白人選手に敗退した場合を想定していたのか、疑問を感じざるを得ないのです。スポーツの試合に政治・社会問題を持ち込み、‘人種差別反対’といったメッセージを掲げて試合に臨みますと、観客やファンは、その対戦相手を応援することが難しくなります。観客にとりましても、対戦相手に対する応援は、‘人種差別主義者’への応援と見なされかねないからです。また逆に、‘人種差別反対’を掲げた側が敗れることも当然にあり得るのですから、これは、極めて危険な賭けであったはずです(一回戦で敗退すれば、BLM側が負けたことに?)。こうした点から、選手たちの政治・社会的なアピールが強まりますと、観る側は、スポーツとして純粋にテニスを楽しめなくなるのです。

 

 しかも、極めつけに、BLM運動の背景にはアメリカ社会を分断させ、混乱に陥らせることを目的とした中国の工作活動の存在を指摘する報道もあり、余計に怪しさが増してきます。安易にBLM運動に同調いたしますと、知らず知らずのうちに、アメリカに仕掛けられた社会の分断や国家分裂を狙う活動に協力することにもなりかねず、同運動に対しては、冷静に距離を置いて接するべきようにも思えるのです。

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アメリカの‘危険な賭け’なのか?-黒人初の米空軍参謀総長の誕生

2020年06月11日 11時53分41秒 | アメリカ

 報道によりますと、アメリカでは、空軍の参謀総長の職に米国史上初めて黒人のチャールズ・ブラウン氏が就任する運びとなったそうです。議会上院は、トランプ大統領の指名を98対0で可決したというのですから、圧倒的な支持を得ての就任となります。同人事の背景には、白人警察官による黒人男性暴行死事件を発端とした抗議デモの広がりが指摘されておりますが、同大統領は、‘危険な賭け’に打って出たようにも思えます。

 指名権を有するトランプ大統領による史上初の黒人参謀総長の起用は、既に指摘されておりますように、国民統合政策の一環であったかのでしょう。コロナ禍での感染率や死亡率、並びに失業率の高さもあって黒人層は現状に不満を募らせており、白人層との間の経済・社会的な格差が今般の暴動激化の一因ともされています。人種間のみならず、大統領選を背景とした政治的対立がアメリカを引き裂きかねない状況下にあって、同大統領、並びに、アメリカの政界は‘全会一致’でブラウン氏を空軍の参謀総長の座に就けたのでしょう。

 そして同人事は、米中対立の構図をあって、とりわけ重要な意味を持ちます。何故ならば、近い将来において対中戦争があり得るならば、人種や民族の違いを超えた米国民の団結は必要不可欠であるからです。米空軍のトップが黒人であれば、白人層も黒人層も一致団結して共通の敵である中国に対峙することができます。つまり、同人事を以って、アメリカ国内の対中戦争の準備が国民の心理面において凡そ整ったとも言えるかもしれません。因みに、第二次世界大戦にあっても米軍における黒人兵士の存在が、完全にではないにせよ、その後の黒人層全体の地位向上に貢献したとも指摘されています。

 同人事を以って米国民の結束が強まればトランプ大統領は‘賭けに勝つ’ということになるのですが、負けるリスクもないわけではありません。そして、この‘危険な賭け’の勝敗は、偏にブラウン氏のアメリカという国家に対する忠誠心の如何にかかってきます。‘賭けに負ける’ケースとは、人種間の対立が一向に収まらず、黒人層の期待を一身に背負ったブラウン氏が米軍内部にあってアメリカに不利となる、あるいは、利敵な行動をとる場合です。中国等の反米勢力も空軍の制服組トップの地位あるブラウン氏に狙いを定めて様々な工作を仕掛けてくることでしょう。第一次世界大戦におけるロシア革命もドイツ敗北も兵士の反乱が決定的な意味を持ちましたので、米軍にありましても、反乱とまではいかないまでも、空軍の統率に乱れが生じれば、戦争の行方さえ左右しかねないのです。

 もっとも、空軍の上部には陸海空軍等を束ねる統合軍が設置されており、さらに上部には全軍を統括する国防総省が置かれています。また、大統領による解任もあり得ますので、仮にブラウン氏が反米的な行動をとったとしても、チェック機能が働いて大事には至らないことでしょう。しかしながら、職を解かれたら解かれたで黒人層が一斉に反発するでしょうし、反トランプ姿勢のマスメディアも黙ってはいないかもしれません。後者のケースでも国民統合が崩壊し、トランプ大統領は‘賭けに負ける’ことになりそうなのです。

 今日、アメリカが外部からの弱体化攻勢に晒されている現状を直視すれば、人種間対立の激化は‘敵方’の策略に踊らされているようにも見えます。そもそも、黒人層への新型コロナウイルスの被害集中が暴徒化の原因であるならば、その批判の矛先は、まずもってパンデミック化を招いた元凶でもある中国やWHOに向けられるべきです。そして、マサチューセッツ州の公園でコロンブスの銅像の頭部が破壊されるといった事件の発生は、その背後に事態を早期に収拾させたくない、もしくは、対立の激化を煽る勢力の暗躍も疑われるのです。‘危険な賭け’の行方は、人種の相違に拘わらず、自らが置かれている立場に対するアメリカ国民の自覚にもかかってくるように思えるのです。


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危ういアメリカ―ホワイトハウス前通り改名問題

2020年06月06日 13時00分29秒 | アメリカ

 アメリカにおける白人警察官による黒人男性暴行死事件は全米に抗議デモを巻き起こし、一時は、トランプ米大統領が軍の出動を表明する事態となりました。同抗議活動の暴徒化した原因として、過激派による煽動が指摘されていますが、その後の展開を見ますと、アメリカは極めて危うい状況に直面しているように思えます。

 その理由は、コロンビア特別区、即ち、ワシントンD.C.の通りの一部が、同事件に因んで‘ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)広場’に改名されたと報じられているからです。しかも、改名されたのは、アメリカ合衆国の大統領府であるホワイトハウスに面する通りというのですから(ペンシルバニア通り?)、否が応でも人々の関心を呼びます。日本国内でも、どちらかと申しますと、アメリカの‘抵抗の正義’を象徴するかのように報じられているのですが、この措置には‘美談’では済まされない‘危険な何か’が感じられるのです。

 それでは、通りの改名は、どのような手続きを経て実現したのでしょうか。現在のワシントンD.C.の市長は、2015年からミューリエル・バウザー氏が務めています。バウザー市長は民主党の政治家であり、1991年から1995年に市長職をあったシャーロン・プラット氏に次いで2番目の黒人系女性市長としても知られています。事件発生から僅か数日にして通りの名称が変わるという迅速さからしますと、おそらく、その背景にはバウザー市長の決断があったことは容易に想像がつきます。

構図からしますと、黒人系の市長が自らとアイデンティティーを同じくする黒人男性の死を悼んで通りの名称を独断で変えたことになるのですが、一般市民からの積極的な支持や要請があったのかどうかは不明です(あるいは、事後的であれ、区議会等の承認を得るのでしょうか…)。同通りの標識は、既に市長の命によって新しい名称に替えられており、車道には一面、同スローガンが黄色いペンキで描かれているそうです。市長が通りの名称を一夜にして変更し得る権限を持つとしますと、今後、何らかの政治的な事件や出来事が発生する度、あるいは、市長の任期終了を以って道路標識が頻繁に取り替えられ、一般の市民の人々が同一の通りとして認識できず、混乱が生じる可能性も否定はできません。

 バウザー市長は、通りの改名に先立って国防総省が派遣した1600人の陸軍兵士の撤退をも要請しており、トランプ政権との対立姿勢を強めてきてもいました。民主党の政治的な立場からしますと、暴動に発展したとはいえ、市民の抗議活動に対する‘軍の介入は許せない’ということなのでしょうが、バウザー市長の自らの出身母体である黒人コミュニティーへの過度な肩入れは、アメリカの統合の危機をむしろ際立たせています。

おそらく、同市長のいささか過激な行動も、アメリカ大統領選挙を意識したパフォーマンスなのでしょう。トランプ大統領に対しましては、アメリカの分断を煽っている、あるいは、人種間対立を政治利用している、とする批判もあるのですが、亡くなった黒人男性に哀悼の意を表するまでは理解の範囲に入るものの、バウザー市長の独断的な街路の名称の変更も、政治的対立が人種間対立と結びつくという意味においても、同程度に問題含みです。そして、その背後には、アメリカを弱体化したい何らかの政治勢力の思惑が潜んでいるようにも思えるのです。

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アメリカの暴動と香港問題の比較―民主主義とは集団的自己決定

2020年06月03日 10時59分46秒 | アメリカ

 人種間対立を背景にアメリカで発生した暴動は、新型コロナウイルスのパンデミック化や香港問題で国際社会から厳しい批判を受ける北京政府にとりましては、民主主義国家の優位性を否定する絶好のチャンスとして利用したいところであったのかもしれません。しかしながら、昨日の記事において指摘しましたように、国内的な社会統合の問題であるアメリカの暴動と自治の枠組みの破壊を目論む香港問題とでは本質的な違いがあります。前者は多数決を旨とする民主的な制度では解決しない性質の事柄ですので、‘民主主義が機能しない’とする中国側の批判は当たらないのです。

 そして、この両者の比較は、民主主義というものの別の側面をも浮かび上がらせてきます。民主主義とは、‘自らの集団に関する事柄はその構成員で決める’とする、集団としての自己決定を本源的な価値とする言葉です(個人レベルでも自己決定の尊重は人としての本源的な価値を認めることを意味する…)。このため、国内政治にあっては、普通選挙を初め、様々な民主的な制度を介して国民は統治に参加しています。これまで国民投票、リコール、イニシャチブ、陪審制や裁判員制度など、様々な民主的制度が考案されてきており、その導入度が高いほど民主主義のレベルも高いと評されてきたのです。

 しかしながら、民主主義はオールマイティーではなく、今般のアメリカの暴動のような国民の間に存在する下部集団の間での対立を解決する手段としては限界があります。現行の制度では、民主的制度は‘多数決’を決定原則としますので、国家として一つしか選べない事項を選択する場合には、常にマジョリティーが有利となるからです。

 もっとも、対立が‘相互破壊’に向かうほど激化する場合、それを避ける方法が全くないわけではありません。その一つは、統合の枠組みを敢えて‘緩める’という方法です。つまり、反目しあう下部集団のそれぞれにより強い自己決定権を与えるのです。例えば、今般のアメリカの暴動の発端は、白人警察官が黒人男性を逮捕しようとした際に発生しています。現状のままでは、今後ともこうしたケースが頻発するでしょうから、黒人容疑者の逮捕は黒人警察官に任せるという方法です。あるいは、黒人居住地区の治安維持の権限を同コミュニティーに委託するという方法もありましょう。黒人コミュニティーは治安維持の権限を得るのですが、その一方で、同コニュニティーの安全を護る責任を負うことにもなるのです。

ただし、治安維持の権限のみの移譲では、経済的な格差や社会的な差別等の根本的な解消には繋がらない、あるいは助長するとする批判もありましょう。アメリカの場合、黒人の人々は、先祖が奴隷商人の手によってアフリカから奴隷として連れてこられた歴史がありますので、合衆国内に黒人の人々のみが特定の地域に国境線を引いて‘独立する’ことは殆ど不可能です(また、この方法ですと、本来の目的とは逆に人種隔離政策にも見えてしまう)。この歴史的な側面が、アメリカにあって人種問題の解決が難しい理由でもあるのですが、少なくとも、黒人コミュニティーにあって自治の精神を培う機会を得れば、暴動といった無責任な行動をある程度は抑えるはできるかもしれません。

もちろん、先ずは、黒人容疑者を死に至らしめるような警察による乱暴な逮捕の方法は改め、法の前の平等を徹底すべきでしょうし、さらに踏み込んで、アファーマティヴ・アクションを強化する、逮捕要件の緩和や裁判での酌量余地を広げる、あるいは、黒人層への社会保障向け予算の配分比率を高めといった、優遇的な方法もあるかもしれません。しかしながら、後者の方法では、法の前の平等の原則を崩し、逆差別が発生すると共に、白人層の不満を高め、人種間対立をさらに深めるリスクもあります(オバマ政権下における黒人優遇政策が人種間対立を深めてしまった前例がある…)。

その一方で、民主主義の価値が集団的な自己決定にあるとしますと、中国において発生している重大問題の多くは、‘民主的な手段’によって容易に解決することができます。香港の人々が政治的な集団としての自己決定権を行使すれば、完全なる独立さえ夢ではありません。チベット人、並びに、ウイグル人も同様に、‘国民投票’によって自発的にその意思を表明する機会があれば、中国からの独立を躊躇なく選択することでしょう。また、台湾についても、中国は、最早、その併合を主張し得なくなるのです。因みに、国際社会では政治的集団の自己決定の権利を民族自決権と呼び、国家の独立を支える原則として認めています。

以上にアメリカと中国のそれぞれの問題を比べてみましたが、この比較からアメリカの抱える問題の方が後者よりも解決がより困難であることが分かります。それ故に、同問題はアメリカの弱点ともなるのであり、社会統合、あるいは、国民統合の脆弱性こそが、米中対立の最中にあって、中国が同問題を対米戦略に利用しようとした理由とも憶測されます。そして同時に、他国の支配をよしとする帝国志向の中国が、民主主義、否、それに内在する集団的な自己決定の権利をあくまでも拒絶しようとする理由も見えてくるように思えるのです。


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トランプ大統領の不正投票発言とIT大手の問題

2020年05月28日 12時35分09秒 | アメリカ

 アメリカでは、目下、激しい大統領選挙戦が戦われています。二期目を目指す現職のトランプ大統領に対して、民主党の候補者はバイデン元副大統領に絞られてきた模様です。両陣営間の舌戦も激しさを増しているのですが、こうした中、トランプ大統領のツウィートが物議をかもしていると伝わります。

 それでは、トランプ大統領は、ツイッターにどのような‘つぶやき’を投稿したのでしょうか。それは、「投票用紙は偽造され、違法に印刷され、不正に書き込まれる」というものです。実のところ、民主党陣営に対する不正投票疑惑は今に始まったことではなく、前回の大統領選挙にあっても囁かれていました。アメリカでは、しばしば票の数え直しが行われるのも、有権者の多くが選挙結果を疑うからなのでしょう。民主主義国家は、選挙制度によって支えられていますので、選挙結果に不正があれば、権力の正当性は失われるのです。

 トランプ大統領は、不正選挙を疑う多くの国民の懐疑心に訴えたとも言えるのですが、ここで問題となるのは、同発言によって指摘された内容が事実であるのか、否か、という点です。大統領職とは、機密情報を含めてあらゆる情報が集まる、いわば情報の中枢ですので、同発言内容が事実である可能性は相当に高いとは言えましょう。しかしながら、国民の多くは、事実であるかどうか確かめるすべがありません。また、事実であることが確認されますと選挙不正を働いてきた張本人ともなるのですから、民主党陣営にとりましては極めて不都合な発言となりましょう。

 真偽不明の発言ではあったのですが、ここで、すかさず介入を見せたのがツイッター社です。同社は、トランプ大統領の投稿に「事実を知ろう」という警告文を表示し、利用者に対して同発言が‘フェイク’である可能性を示唆し、その信憑性について注意を促したのです。確かに、トランプ大統領は証拠を提示しているわけではありませんので、同社が、鵜呑みにしないように訴えることは公平性や事実尊重の観点からして理解に難くはありません。しかしながら、ツイッター社の介入についても、問題がないわけではないように思えます。

第1に、トランプ大統領が常々批判してきたように、同社が民主党寄りのスタンスにあるならば、それは、特定の政治的信条に基づく‘政治介入’ということになりましょう。上述したように、トランプ大統領の発言は民主党にとりましては痛手となります。SNSは今や公共インフラ化している現実からしますと、同社による介入は公共空間の私物化ともなりかねないのです(情報インフラの私物化問題については詳しくは後日に…)。

第2の問題点は、フェイクニュースが問題視されている今日にあっては、SNSの利用者の大半は、フェイク、あるいは、真偽不明の情報や憶測が混じっていることを理解した上で、政治家の発言を受け止めていることです。過去の政治家の発言を具にチェックをしてみれば、その全てが事実や現実に合致しているわけではありません。況してや、同大統領の発言をよく読みますと、過去形ではなく、未来形(will)で書かれています。つまり、大統領としては、今年11月に予定されている大統領選挙に際して郵便投票の導入が拡大すれば不正選挙が行われるリスクが高まることを、国民に伝えようとしたとも解されるのです(もちろん、過去の事実に基づく予測かもしれませんが…)。同発言が未来に向けられていたとしますと、ツイッター社の警告は過剰反応ということになり、政治的な意図がなおさら強く疑われることとなるのです。

第3に指摘すべきは、事実を知るように訴えたものの、国民の信頼に足るほどツイッター社自身が真に事実を重視しているのか、疑わしい点です。ツイッター社のみならず、IT大手による集計にはその誕生の時から操作が加えられているとする指摘があります。SNS、ブログ、YouTube等のアクセス数、訪問者数、閲覧者数、視聴回数、ランキングなどの数字は、時にして不自然な動きを見せます(かく言う私も、あり得ない数字に遭遇…)。IT大手は、日々、運営者側が集計数を操作できる事例を自ら人々に知らしめているのですから、‘不正選挙など絶対にない’と言い切れる立場にはないはずなのです。

第4に、同社が事実を知ろうと訴えるならば、その具体的な手段をも提示すべきとも言えましょう。自らにとりまして不都合な情報に対しては、‘それは虚偽である’とする反論の仕方は、どこか、中国の手法を彷彿とさせます。中立・公平な機関による厳正な調査が実施されれば、トランプ大統領の発言こそ、事実であることが証明されるかもしれません。

以上に述べてきましたように、今般の一件では、ツイッター社の対応にも問題がありそうです。そして、この問題は、IT大手が本来自由であるべき言論空間への介入を強めてきたという民主主義国家が直面している、今日的な危機をも表しているように思えるのです。


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