万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

行政のフロッピーディスク使用は超先端戦略?-情報セキュリティーの問題

2022年09月07日 13時19分56秒 | 国際政治
 第二次岸田内閣の組閣に際して、一線を退いていた河野太郎議員がデジタル相として返り咲くこととなりました。マスメディアでは、旧態依然としたお役所体質を打破し、行政のデジタル化を進めるヒーローの再登板を歓迎する論調が主流となっているようです。しかしながら、行政のデジタル化は、急ぐべき課題なのでしょうか。

 ITが発達した今日、時代の最先端を行くのはデジタル化と信じられています。行政のみならず、企業一般に対してもDX化こそが急ぐべき経営改革の軸として喧伝されており、既に同技術を積極的に導入している企業も少なくないことでしょう。デジタル技術は、管理の効率性や経営の迅速性を飛躍的に高めますので、経営者の立場からすれば、願ってもないテクノロジーなのです。こうした高い効用や利便性が認められながらも、デジタル化には、無視できないそれ固有のリスクがあります。

 デジタル化に伴うリスクとは、セキュリティー確保が常に後手にまわるというものです。今日、インターネットの世界はネット犯罪に満ちており、パソコンも、しばしばコンピューター・ウイルスに感染したり、ハッカーからの攻撃を受けています。一般企業からの顧客情報の流出も日常茶飯事な事件となり、誰もが、セキュリティーに不安を感じる時代を生きているのです。このことは、IT技術にあっては、常にセキュリティーが、人々の経済活動や日常生活における利便性や実用性に追いついていないという、由々しき現実を示しています。そして、実用技術とセキュリティー技術との間のタイムラグ、あるいは、‘いたちごっこ’は、現状にあっては、完璧なるセキュリティーは実現し得ないという厳しい現実をも物語っているのです。

 しかも、IT分野において最先端の技術を有しているのは、軍事大国でもあるアメリカや中国と言った超大国です。また、サイバー攻撃、情報盗取、バックドア技術と言った犯罪まがいの技術については、ロシア、イスラエル、北朝鮮と言った諸国、あるいは、民間のIT大手も、既に日本国を凌いでいるかもしれません。仮に、日本国の支配、あるいは、世界支配を目論むような他国や外部勢力があったならば、国民の個人情報をも収集し得る政府レベルでのデジタル化は、何としても推進したいところとなりましょう。個人情報を含む情報の一元的、かつ、全面的な管理を実現し、自らを命令者とする支配体制を構築する上で、国境を越えて繋がるデジタルネットワークの敷設は、不可欠な情報インフラとなるからです。

自国よりも高度な技術を有する国や勢力が存在する場合、安易なデジタル化は、情報漏洩のリスクを高めるのみならず、安全保障をも揺るがす事態を招きかねません。言い換えますと、セキュリティーが万全ではない状態でのデジタル化は時期早々なのであり、仮に、デジタル化を進めるならば、全面的な導入に先立って、外部からの攻撃や侵入を100%防ぐ技術の開発に多額の予算を投じるべきと言えましょう。

それでは、ITにおいてセキュリティー技術が他者に劣る場合、どのように対処するべきなのでしょうか。その答えの一つは、敢えて旧式の技術を使い、ガラパゴス化する、というものです。河野デジタル相は、官公庁においてフロッピーディスクでの提出が義務づける法律が多々見られることを問題視し、デジタル化推進の‘目玉’としてその一掃を訴えています。しかしながら、もしかしますと、フロッピーディスクの継続的使用は、日本国の政府機関によるセキュリティー戦略の一環であるのかもしれません。この想定が正しければ、遅れているようにみせて、その実、最も効果的なセキュリティー対策を実施していることとなりましょう。

河野デジタル相は、管政権においてワクチン接種推進大臣の任にあった際、ワクチン・リスクを全てデマと決めつけて否定した過去があります。現在、リスクの多くが事実であったことが判明しているのですが、猪突猛進型の政治姿勢は、リスク軽視と同義ともなりましょう。あるいは、リスクを知りながら、外部者による日本支配を手助けするために、デジタル化を進めているのかもしれません(河野家は、日本端子などを介して中国と関係している一方で、真偽不明ながら、世界平和統一家庭連合との関係も指摘されている・・・)。何れにいたしましても、デジタル化に伴うリスクは日本国の独立性にも関わる重大問題ですので、セキュリティーを確立するまでは、独自路線を選択すべきではないかと思うのです。

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