万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

‘ファクトチェック’という名の暴露?

2023年06月15日 11時53分43秒 | 国際政治
ウクライナ紛争については、ロシアが‘特別軍事作戦’の名の下で軍事介入を行なったため、ロシア=侵略者のイメージが染みついています。日本国政府もマスメディアも凡そロシアを戦争犯罪国家と決めつけており、‘正義はウクライナにある’とする立場にあります。このため、同国のゼレンスキー大統領も、巨悪な侵略国家ロシアに果敢に立ち向かうウクライナの‘国民的な英雄’として描かれており、同大統領も、ラフな黒シャツを姿で英悠然とした演説動画を全世界に配信しています。その一方で、ウクライナの東南部にあって、ロシア系住民が迫害され、内戦状態に至っていたのも事実であり、アゾフ連隊と言ったネオナチ組織の存在がロシアに人道的介入の根拠を与えているのも事実なのです。

NATO陣営の諸国ではロシア侵略国家説に立脚しているため、後者の事実は、ほとんど‘なかったこと’にされています。どちらが正しいのかを正確に判断するには、両者の言い分を公平・中立的な立場から聞き、かつ、事実関係を調査する必要があるのですが、ウクライナ紛争に関しては、こうした検証作業が十分に行なわれているわけではないのです。世の中には、これまで知られていなかった一つの情報がもたらされることで、人々の評価や判断が180度変わることも稀ではありません。

かくして、自由主義国でも情報統制が行なわれることとなったのですが、ネットや非主流メディア等では、ウクライナを一方的な被害国、あるいは、絶対善とする偏重した見方に対する批判的な見解もないわけではありません。こうした批判的な見方には、ウクライナやゼレンスキー大統領に関する具体的なマイナス情報が根拠として示されているケースもあり、今日、国民世論にも一定の影響力を及ぼすに至っています。政府も大手メディアも、こうした情報をフェイクニューズやロシア側がばらまいている陰謀論として片付けようとしているのですが、ウクライナやゼレンスキー大統領に対する懐疑心の高まりは抑え切れていません。そこで、火消しのために日本ファクトチェックセンターが登場することとなったのです。

ファクトチェックセンターの基本役割とは、たとえ事実に基づく情報であったとしても自らに都合の悪い情報を否定することにあると理解されているのですが、今回に限っては、同センターによる検証は、むしろ事実の暴露となってしまったようです。何故ならば、検証プロセスにあって事実を記述しなければならなかったからです。

日本ファクトチェックセンターによってチェックされたのは凡そ10の言説です。結果だけを見ますと、そのうちの殆どが根拠不明として否定されています。しかしながら、否定の理由はあくまでも‘根拠不明’ですので、今後、新たな事実の判明によって覆される可能性が残されているものばかりです。むしろ、調査不十分の事例が目立つのですが、とりわけ興味深いのは、「ゼレンスキーはウクライナ人ではなくユダヤ人なのか」という問いに関する同センターの判定です。

結論としては、‘ゼレンスキー大統領はウクライナ人’ということなのですが、この結論に至るまでの論証過程にあって、日本ファクトチェックセンターは重大な事実を認めています。何故ならば、同結論は、国籍のみを基準として下されているからです。言い換えますと、同センターは、‘セレンスキー大統領は、国籍で判断すればウクライナ人であるが、民族からすればユダヤ人である’と述べているに等しいからです。

フランスのル・モンド紙によれば、ユダヤ人を両親としてクライナ東部ドニプロペトロウシク州のクリヴィーリフ市市に生まれたゼレンスキー大統領は、ウクライナに育ちながらも5年間はモンゴルに住んでいたそうです。同大統領の出生地であるクリヴィーリフ市、ウィキペディアの記事に依れば、ユダヤ系コミュニティーの中心地であり、19世紀に建設されたシナゴークは、同市において最も高い建物なそうです(しかも、ゼレンスキー大統領は、元々はロシア語系の住民であった・・・)。

また、日本ファクトチェックセンターは、「ゼレンスキー大統領は、イスラエルでのアウシュヴィッツ解放75周年記念式典で「ソビエト連邦の普通のユダヤ人家庭」で育ったと述べたとワシントンポストが伝えている。この式典では自身の家族について触れ、祖父が兄弟全員をホロコーストで亡くしていると語った。」としています。同発言からしますと、ゼレンスキー大統領は、ユダヤ人であることに自らのアイデンティティーをより強く意識していることとなります。

ゼレンスキー大統領が全世界に広がるユダヤ系コミュニティーの一員であることは、今般のウクライナ紛争を理解する上で重要な要素となります。何故ならば、仮に同大統領がユダヤ系でなければ、今般の紛争は起きなかった可能性が高いからです。世界大戦や革命、そして世界恐慌など、全世界を動乱に巻き込むような大事件の背景には、利益のみならず世界支配をも目論むユダヤ系の巨大な金融・経済組織が蠢いているものです。今般のファクトチェックは、図らずもウクライナ紛争の真相の一端を明らかにしてしまったのではないかと思うのです。

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