万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第三次世界大戦計画を止めたい諸国民

2024年07月05日 10時31分49秒 | 国際政治
 今日の世界情勢は、近い将来における第三次世界大戦を予感させるに十分です。いかにもシナリオ通りに動いている感があり、第三次世界大戦と言うよりは、第三次世界大戦計画と表現した方が適切かもしれません。同計画にあって今の時期は、二大陣営への収斂期間と推測され、両陣営とも、世界大戦の対立構図となる陣営形成に向けて着々と歩を進めているようにしか見えないのです。

 実際に、ロシアと北朝鮮との間には、先月の6月19日に集団的自衛権を発動し得る「包括的戦略パートナーシップ条約」が締結され、ベラ-ルーシを含む三カ国協も模索されています。ロシアの盟友である中国も、台湾有事のみならず、フィリピン等の周辺諸国に対して挑発的な行動に出ることで、相手方となる西側陣営の結束強化に口実を与えています。両陣営ともに、あたかも相互に連携するかのように対立激化に務めていますので、いかにも‘シナリオ感’が滲み出てしまっているのです。しかも、各国の政治家達が命をかけて第三次世界大戦を止めようとするどころか、エスカレーションさせる方向に舵を切っているのですから、この様子を見れば、誰もがその不自然さに気がつくはずです。

 主要国の政治家達が、シナリオに書き込まれている自らの役割を演じているとすれば、全世界の政治家達の第三次世界大戦に協力的態度もおのずと理解されてくるのですから、そら恐ろしい限りです。それでは、この‘第三次世界大戦計画’の存在に対する人々の警戒心と政治家達に対する拭いがたい不信感は、どのような形で現れているのでしょうか。

 実のところ、第三次世界大戦の主要国と目される諸国で見られる重要選挙の結果こそ、‘国民の声’を反映しているのかもしれません。ロシア領へのNATO軍の派遣まで主張したマクロン大統領のお膝元であるフランスでは、議会下院選挙における第1回投票の結果を見る限り、極右政党とも称されてきた国民連合が大幅に議席数を増やすものと予測されており(第2回投票は7月7日実施予定・・・)、マクロン政権に対する批判票を集めたと指摘されています。また、7月4日が投票日となったイギリスの下院議員選挙にあっても、スナク首相率いる保守党が‘歴史的な惨敗’を喫し、14年ぶりの政権交代が確実視されています。

 左右の対立軸からすれば、両選挙の結果は、フランスは右傾化し、イギリスは左傾化したわけですから、全くの逆現象が起きているようにも見えます。しかしながら、何れも政権側が敗北している点に注目しますと、現政権の路線変更への要求、即ち、戦争利権を握る世界権力が主導する世界大戦計画にあってその‘駒’に堕しているとしか見えない現政権への批判が込められているように思えます。政党間のイデオロギーや政策上の対立は表面的なものに過ぎず、結局、左右共に世界権力に操られているのが現実なのでしょうから。

 三度目の世界大戦に誘導される事態を何としても避けたいのは、全ての諸国の国民の偽らざる心情であるはずです。第一次並びに第二次世界大戦にあって英仏両国とも戦勝国とはなりましたが、戦後世代が圧倒的な多数となった今日でも、二度の世界大戦は国民の多くにとりまして、悲惨な体験として記憶・認識されています。計画通りの戦争への道を阻止したいとする両国民に共通する意識が、今般の選挙結果に表れていると考えられるのです。

 そして、この第三次世界大戦計画に対する国民の路線変更要求は、アメリカの大統領選挙にも影響を与えることでしょう。昨今、バイデン大統領の不人気については、トランプ前大統領との討論会で見せた精彩を欠いた発言や高齢による認知能力の低下が指摘されていますが、支持率低下の主因は、水面下ではウクライナや中国における自身のファミリー利権疑惑にも繋がる戦争拡大路線への協力的な姿勢にあるのかもしれません。バイデン政権が続く限り、現状を変えることはできないのですから。

 かくして、第三次世界大戦計画の実在性が動かぬ証拠をもって証明されているわけではない段階にありながらも、状況証拠等による国民の強い懸念あるいは100%に近い‘確信’は、選挙等における行動によって示されているように思えます。仮に、主要国における政権交代や政界における勢力逆転が第三次世界大戦計画を頓挫させるとしましたら、それは、’民主主義の勝利’とも言えましょう。しかしながらその一方で、世界権力の常套手段は二頭作戦ですので(さらには多頭作戦・・・)、今般、選挙で勝利を収めた側にも、既に戦争誘導へと魔の手が伸びている可能性があります。偽旗作戦もあり得ますので、ここで安心してはならず、何れの諸国民も、第三次世界大戦計画については警戒を緩めてはならないように思うのです。

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