某テレビ番組で、お作法の手ほどきを受ける新人アナウンサーが、
「本日ご指導いただくのは ○○先生です」
と、先生を紹介。
かれこれ10年ほど前の番組ですし、この新人さんも今では中堅として活躍しておいでですが、
さすがにこの時は、
「ご指導いただくのは・・・あなたでしょう?」
と、 に向かってつぶやいてしまいました。
「いただく」 は 「もらう」 の謙譲語であり、「くださる」 は 「くれる」 の尊敬語です。
アナウンサーの言葉を敬体から常体にしますと、「指導してもらうのは ○○先生だ」 となり、
これでは、先生が指導を受けるという意味になってしまいますので、
ここはやはり、「本日ご指導くださるのは ○○先生です」 と言う方がよいでしょう。
では、指導を受けた後で先生にお礼を述べるとすれば、どちらがしっくり来るでしょう。
「ご指導いただきまして、ありがとうございます」
「ご指導くださいまして、ありがとうございます」
日本語は主語がなくても通じることの多い言語ですが、あえて主語を付け加えて常体にしますと、
「私が指導してもらって、ありがとう」
「先生が指導してくれて、ありがとう」
となり、上の方は、まるで自分にお礼を述べているように聞こえます。
とすると、この場合は、
「ご指導くださいまして、ありがとうございます」
の方が適切と思われるのですが・・・。
ところが、言葉は生きていて、時代と共に移り変わってゆくものです。
「~ いただき」 を不適切と感じる人がいる一方で、『敬語の指針』(文化審議会答申) では、
「~ いただき」 と 「~ くださり」 は、どちらも適切な表現である と、示しているのです。
それどころか、NHK 放送文化研究所が行なったアンケート結果によりますと、
「~ いただき」 は使うが 「~ くださり」 は使わないという人が、逆の人を上回っていて、
「~ いただき」 の方が感謝の度合いが高いという回答も、多く寄せられているそうです。
たしかに身近な例で考えてみましても、デパートやスーパーの店内放送でよく耳にする、
「ご来店いただきまして、まことにありがとうございます」
「ご来店くださいまして、まことにありがとうございます」
どちらも違和感なく、どちらからも、店側の歓迎や感謝の意が伝わってきますし、
「いただき」 ⇒ 「頂き」 「くださり」 ⇒ 「下さり」 という漢字を当てはめてみますと、
「頂」 と 「下」 では、「頂」 の方が感謝の度合いが高いというイメージも、分かる気がいたします。
このように、世の中の流れとしては 「~ いただき」 が優勢なようですが、
それにしても、近頃 「~ いただきます」 が巷に溢れていると思いませんか?
これについては、また後日。
お読みくださいまして、ありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
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と、先生を紹介。
かれこれ10年ほど前の番組ですし、この新人さんも今では中堅として活躍しておいでですが、
さすがにこの時は、
「ご指導いただくのは・・・あなたでしょう?」
と、 に向かってつぶやいてしまいました。
「いただく」 は 「もらう」 の謙譲語であり、「くださる」 は 「くれる」 の尊敬語です。
アナウンサーの言葉を敬体から常体にしますと、「指導してもらうのは ○○先生だ」 となり、
これでは、先生が指導を受けるという意味になってしまいますので、
ここはやはり、「本日ご指導くださるのは ○○先生です」 と言う方がよいでしょう。
では、指導を受けた後で先生にお礼を述べるとすれば、どちらがしっくり来るでしょう。
「ご指導いただきまして、ありがとうございます」
「ご指導くださいまして、ありがとうございます」
日本語は主語がなくても通じることの多い言語ですが、あえて主語を付け加えて常体にしますと、
「私が指導してもらって、ありがとう」
「先生が指導してくれて、ありがとう」
となり、上の方は、まるで自分にお礼を述べているように聞こえます。
とすると、この場合は、
「ご指導くださいまして、ありがとうございます」
の方が適切と思われるのですが・・・。
ところが、言葉は生きていて、時代と共に移り変わってゆくものです。
「~ いただき」 を不適切と感じる人がいる一方で、『敬語の指針』(文化審議会答申) では、
「~ いただき」 と 「~ くださり」 は、どちらも適切な表現である と、示しているのです。
それどころか、NHK 放送文化研究所が行なったアンケート結果によりますと、
「~ いただき」 は使うが 「~ くださり」 は使わないという人が、逆の人を上回っていて、
「~ いただき」 の方が感謝の度合いが高いという回答も、多く寄せられているそうです。
たしかに身近な例で考えてみましても、デパートやスーパーの店内放送でよく耳にする、
「ご来店いただきまして、まことにありがとうございます」
「ご来店くださいまして、まことにありがとうございます」
どちらも違和感なく、どちらからも、店側の歓迎や感謝の意が伝わってきますし、
「いただき」 ⇒ 「頂き」 「くださり」 ⇒ 「下さり」 という漢字を当てはめてみますと、
「頂」 と 「下」 では、「頂」 の方が感謝の度合いが高いというイメージも、分かる気がいたします。
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それにしても、近頃 「~ いただきます」 が巷に溢れていると思いませんか?
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