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アルツハイマー病の原因・発症 「アミロイドβ」とは何か?

2010年05月02日 | 健康
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 アルツハイマー病とは何だろう?
 1907年、ドイツの精神科医、A.アルツハイマー博士が初めて報告した病気がアルツハイマー病である。

 認知症の一種で、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態のことを、知的障害という。

 アルツハイマー型認知症には、以下の2つのタイプがある。

 1.家族性アルツハイマー病 (Familial AD; FAD)
 完全な常染色体優性のメンデル型の遺伝パターンを示すもの。遺伝性アルツハイマー病ともよばれる。
 2.アルツハイマー型老年認知症 (Senile dementia with Alzheimer's type; SDAT)
アルツハイマー型認知症の中でほとんどを占める。老年期(60歳以上)に発症するもの。

 アルツハイマー病の発症、一端を解明
 先日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大学総合医科学研究所・前田明教授の研究グループは、遺伝性でないアルツハイマー病の発症にかかわる異常たんぱく質が、脳内で作られる仕組みを解明したことを発表した。

 異常たんぱく質が作られる仕組みを分子レベルまで明らかにしたのは初めてで、将来の有効な治療法につながる可能性があるという。

 患者の95%以上を占める遺伝性でないアルツハイマー病では、関連する遺伝子に変異はないが、遺伝子からたんぱく質の「設計図」が作られる際、必要な情報の一部が誤って取り除かれて、神経細胞死を引き起こさせる「異常なたんぱく質」が生み出される。

 前田教授らは、この原因を詳しく解析。試験管に入れた神経細胞を低酸素状態にすると、「悪役たんぱく質」が大量に作られ、正しい設計図を作る過程を妨げて一部の情報が欠落して、結果として発症につながる「異常タンパク質」をつくることがわかった。

 この仕組みが分かったことで、「おとり」のリボ核酸を注入して「悪役たんぱく質」が誤って情報を取り除くのを防ぐことに成功している。今後、治療などに応用できる可能性があるという。

 前田教授は「仕組みを解明したことで、『悪役たんぱく質』の作用を直接抑える原理がわかった。この成果は治療法の開発にとって重要」と将来の応用に期待している。

 前田教授の論文は、5月発刊の米国の分子生物学雑誌「Molecular and callular Cellular Biology」に掲載される。(asahi.com 2010年4月14日)

 アルツハイマー病と年齢
 ヒトは年齢とともに記憶力が低下していく。これは「脳の神経細胞が死滅していくから」というのはよく聞く話だ。つい最近まで、大人の脳は成長が止まり、年齢とともに脳細胞が破壊されると考えられていた。

 1999年10月、米科学誌サイエンスに、米プリンストン大のエリザベス・ゴールド博士らがアカゲザルを使った実験で、認識や知覚などの重要な働きをつかさどる大脳皮質には、大人になっても新しい脳細胞が付け加わっていることが発表された。

 1997年1月には、ノーベル医学生理学賞受賞者の利根川進マサチューセッツ工科大教授らが、脳の中枢神経が、『bc12』と呼ばれるガン遺伝子によって再生されることを、マウスを使った実験で突き止めた。研究成果は英科学誌ネイチャーに発表された。

 このように脳細胞が減少していくアルツハイマー病や認知症は、高齢者には当然のように考えられていたが、最近では病気の一つと位置づけられている。ではこの病気の原因は何だろう?

 アルツハイマー病とアルミニウム
 アルミニウムイオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるという説がある。この説は、第二次世界大戦後、グアム島を統治した米軍が老人の認知症の率が異常に高いことに気がつき、地下水の検査をしたところアルミニウムイオンが非常に多いことがわかったことによる。

 雨水と他島からの給水によってその率が激減したこと、また紀伊半島のある地域でのアルツハイマー患者が突出して多かったのが上水道の完備により解決したことがその根拠とされている。後者も地下水中のアルミニウムイオンが非常に多かったことが示されている。

 これらは、まだ学術的根拠にとぼしく、学会や多くの学識経験者が支持している研究成果ではない。(Wikipedia)

 アルツハイマー病とアミロイドβ
 アルツハイマー病などでは、正常なタンパク質のメカニズムが何らかの要因で、働かなくなったため、構造に異常が起きたことは推測されていた。

 1999年、アルツハイマー病は、脳の大脳皮質などに染み出るように出来る老人斑が原因とする説があった。しかし、国立精神・神経センター神経研究所のグループは、マウスの実験で、老人斑はアルツハイマー病の「原因」ではなく、むしろ「結果」であることを示す実験結果を得た。成果は5月、米医学誌ネイチャー・メディシンに発表された。

 2008年、大阪市立大学のグループは、アルツハイマー病の発症原因について、アミロイドベータ・タンパク質が繊維化して脳に溜まってできる「老人斑」ではなく、「アミロイドベータの分子の集合体」であることを突き止めた。成果は2.25付けの米神経内科学誌の電子版に発表。

 2010年4月、大阪市立大学の富山貴美准教授と森啓教授らは、アルツハイマーの発症や進行は、脳内タンパク質「アミロイドベータ」の小さな集合体(オリゴマー)が溜まるだけで起こることをマウス実験で突き止めた。アミロイドベータが繊維状に集まってできた「老人斑」は発症・進行とは関係ないことを確認した。米神経化学会誌(電子版)に4/8発表。

 2010年4月、前田教授らの実験では、低酸素状態にすると「悪役タンパク質」が発生し、これが遺伝子に結びつき、その結果「異常タンパク質・アミロイドベータ」がたくさん生み出されるという仕組みを解明した。(4/14朝日新聞)

 では「悪役タンパク質」とは何だろう?また、「アルミニウムイオン」との関係は?...アルツハイマー病の研究課題は多い。

 

参考HP Wikipedia「アルツハイマー型認知症」「認知症」・治る.com 「アルツハイマー病(AD) 

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