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不思議?から科学は始まる!「70年飲食していない男」の考察

2010年05月29日 | 環境問題
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 「70年飲食していない男」のその後
 インドの研究機関で検査をされていた「70年間何も飲み食いしていないと主張する男性」が、15日間の検査入院を経て退院した。当初、主張の真相は疑われていたのだが、検査期間中一切飲み食いをしなかったことが実証され、関係者らは驚きを露(あらわ)にしている。

 4月22日(現地時間)、インドのアーマダバードの病院で、防衛研究開発機構により検査されていた、プララド・ジャニさん(82歳)。彼はこの70年間、飲まず食わずで健康に過ごして来たと言う。その主張が正しいものであるかを確かめるために、検査入院していた。30名の職員と監視カメラにより、24時間体制でジャニさんは監視されていた。

 彼には一切の食事が与えられていない。また、水に接触する機会も、「うがい」と「入浴」だけであった。トイレには1度も行っていない。そのような状態でありながら、ジャニさんは健康そのもの。心臓・肺などの臓器、脳波・血圧などの診断が行われたが、全く異常が見られなかった。さらに、驚くべきことにジャニさんの健康状態は、40代の男性程度に健全であると分かった。

 しかし、15日間の検査報告に関して、疑いを持つ声もある。実は今回、別の監視グループを院内に入れるように、申し出ていた医師がいた。インドではたびたび『神秘的な力』の科学立証が行われているが、でっち上げの報告もたびたび起こっている。検査がインチキかどうか確かめるために、医師は監視グループを参加させるように再三にわたって訴えていた。しかし、申し出は最後まで認められなかった。頑な(かたくな)に監視が拒否されたため、2週間の不食はウソだったと言うのだ。

 この異論に対して、15日間見守り続けた医師らは、「インチキと言われているが、インチキ以上の神秘がジャニさんにはある」と語っている。2週間の不食の真偽について、今後も議論が続きそうだ。(ロケットニュース24 2010/05/11)

 不思議こそ科学の始まり
 何とも不思議な話だが、科学的に考えるととても真実とは思えない。仮にそれが真実だったとしても、一般の人にはあてはまらないことなので、あまり役には立たない。ただ、世の中には現代科学で証明できない謎があるのは確かである。だからこそ、謎を解くために科学は存在し続ける。

 もし、何も食べずに生きていくことができるのなら、現在飢えている8億人の食糧問題は一挙に解決する。また、人類が計画している火星旅行では往復520日間かかるという。その間の食糧の問題も解決、長期宇宙計画が可能になる。

 また、遺伝子で生物のからだはできているから、将来、遺伝子組み換えにより、食べずに生きる遺伝子を持つ動物など、新たな生物が造られる可能性もある。ここでは、単に可能性を否定するだけでなく、あらゆる可能性を考えてみたい。

 独立栄養生物、従属栄養生物
「現在、地球に存在している生物は大別して二種類に分けることができる。それは独立栄養生物、そして従属栄養生物である。植物の多くは独立栄養生物だが、それらは太陽や空気といった無機物から栄養を生産し、光合成というプロセスを経てエネルギーを得ることが出来る。

 そしてもう一方、人間を含む動物の大半は従属栄養生物に属しているが、これは他の生物から栄養を摂取して生きているわけだ。従って、何も食べない「不食」を実行している人々は、人間というよりは植物に近い存在であるといえる。

 プララド・ジャニさんも何も飲まず食わず...だとしても、水を浴びたり、太陽の光は浴びているはずだから、光合成している可能性はあるのではないだろうか?

 チューブワーム
 海洋科学の分野で20世紀最大の発見は、1938年の生きたシーラカンスの発見、そして1977年の熱水噴出孔と化学合成生物群集の発見だ。チューブワームという生物は、熱水噴出孔周りの生物社会では重要な位置にある。チューブワームは寄生生物のように養分を直接体組織に吸収する。チューブワームには口も消化管もなく、バクテリアを体内に寄生させる。チューブワームの体組織1gあたり1000万のバクテリアが寄生しているという。

 チューブワームは先端の赤い冠毛状の部分で硫化水素・酸素・二酸化炭素などを取り込み、特殊なヘモグロビンと結合させて、ワームと共生するバクテリアに供給する。その代償にこのバクテリア(イオウ酸化微生物)は有機化合物を合成してワームに供給する。深海には光はないので、この合成は光合成ではなく、化学合成という。

 チューブワームが体内にバクテリアを寄生させているように、人もバクテリアを腸に寄生させている。通常、人の腸内バクテリアは、食事後余った養分を食べて消化を助けるはたらきをする。このとき、もし化学合成を行うバクテリアがいたら不食でも生きていけないだろうか?

 バクテリアとの共生
 近年の栄養学によれば、人体に必須とされるB12ビタミンは動物性食物の中にのみ存在していることが確認されている。従って、菜食主義は人間にとって本来は不適切な状態であると言えるはずなのである。しかしまた最近行われた報告によれば、そうした事実にも関わらず、菜食主義を実践している人々の身体から十分なB12ビタミンが存在していることが発見されている。

 この結果は研究者らを悩ませたが、更なる研究の結果、それらのビタミンは腸内のマイクロフローラ(常在細菌群)の活動によって合成されていることが明らかになりつつあるという。また更に別の研究では、人間の腸は、アミノ酸を合成する微生物を増やすことが可能であるという新たな事実も報告されている。

 そういえばタンパク質を摂取しない牛や馬はどうやって自らの体をつくっていいるのかという問題があった。草食動物には胃がいくつもあり、その中で微生物を繁殖させている。これら微生物のつくるタンパク質が、重要なタンパク源になっていることが分かっている。

 世界中にいる?不食を実行している人達
 「彼は毎朝必ず太陽をまばたきせずに一時間ほど凝視するの。それが彼の主食なのよ。たまにコーヒー、お茶とか水分を取りながらね。」と話すのは、彼の妻Vimlaさん。

 インドのケララ南部に在住する日光研究者兼機械エンジニアのヒラ・ラタン・マネクさんは、1992年から断食を開始し、1995年にヒマラヤに巡礼に出かけた帰り道から不食をスタートさせて、現在でもほとんど何も食べない生活を続けている。

 マネク氏によれば、本来人間が食物から得るべきエネルギーを、日光から直接摂取しているという。そして現在、氏のこうした能力は科学者らによって"HRM現象"と名づけられ、研究が行われている。

 日光から得られるエネルギーがマネク氏から心身の疾病を遠ざけ、幸福と活力を与えているという。この方法では、意識的な断食・不食・微食をするのではなく、日光によって空腹感が遠ざけられ、結果的に不食を行う形になるという。このことは、マネク氏のホームページSolar Healing Center でも紹介されている。(不食微食やってみるブログより)

 何とも不思議な話だが、粗食は長生きの秘訣という研究結果もある。今後も食を科学的に探求することが、人にとって大切なことに疑う余地はない。

 

人は食べなくても生きられる
山田 鷹夫
三五館

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なぜ「粗食」が体にいいのか―「食生活」ここだけは変えなさい! (知的生きかた文庫)
帯津 良一,幕内 秀夫
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