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ウナギが消えた?産卵場所や海流が変化 「海流」とは何か?

2010年05月15日 | 地学
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 シラスウナギ漁 過去10年で最低
 今年は全国的にウナギの稚魚(シラスウナギ)が不漁だ。シラスウナギ漁は毎冬12月~翌4月、全国の太平洋岸の河口域で行われる。主な漁場は九州、四国、関東だが、今季はどこからも悲鳴が聞こえる。

 高知県では四万十川の河口を中心に、3月5日に漁を終えた。県しらすうなぎ流通センターによると、今季の漁獲量は155キログラムと前季の約4分の1。「こんな年は過去にない」と頭を抱える。

 宮崎県は3月20日に漁が終了。約40の養殖業者でつくる同県シラスウナギ協議会は「必要量の約4.5トンに対し、取れたシラスは1割程度の545キロ」と肩を落とす。他県産をかき集めているが「今夏は品薄だろう」。鹿児島でも昨年の2割程度の約1.5トン(2月末時点)で、過去10年で最低だ。

 水産庁によると、1960年代は年約100~200トン取れたが、1980年代に20トン前後に減り、2000年以降は10トン台になった。今季は「5トン程度」が業界内の見通しだ。いったいこの原因は何だろう?

 ウナギの産卵場所に変化
 長期的な減少の背景にはシラスの乱獲が挙がっているが、最近は産卵場との関係が指摘されている。ウナギの生態に詳しい塚本勝巳・東京大海洋研究所教授によると、親ウナギの産卵場は通常、マリアナ諸島西方の海域だが、2008年に赤道寄りに約100キロ移動したことが確認されたという。

 稚魚は海流に乗り日本沿岸に来るが、「産卵場が遠ざかったため海流に乗れず、多くがフィリピンやインドネシア方面に流れたのではないか」と推測する。

 ウナギの養殖は現在、天然稚魚に頼らざるを得ない。人工シラスの供給を目指す国の水産総合研究センター養殖研究所(三重県南伊勢町)が今月8日、2世代目のウナギを人工ふ化させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。しかし、卵からシラスに成長するまでの生存率は0~5%と極めて低く、シラス量産の見通しは立っていない。

 舞田正志・東京海洋大大学院教授は「そもそも日本の川や湖に親ウナギがどの程度いるかもよく分かっていない。国がもっと戦略的に資源保護と養殖の研究を考えるべきではないか」と話す。(毎日新聞 2010年4月22日)

 海流と漁業
 今年はウナギが高騰しそうだ。毎年ウナギはマリアナ諸島西方の海域で産卵し、黒潮にのってやってくる。産卵場所や、海流によってたどり着くウナギの稚魚の量に影響が出るのは当然のことだ。

 ウナギだけではない、回遊魚は海流とともに泳いでくるので、三陸沖のように黒潮と親潮が接するところは南方系、北方系の両方の魚が取れ、きわめてよい漁場となっている。

 このように世界の主な漁場はたいてい暖流と寒流の潮境や、沿岸水と外洋水のさかいを中心に発達している。またプランクトンは海流によって種類が異なるばかりでなく、その量も著しく異なっている。プランクトンは海流によって押し出されるので、海流は魚類の分布や移動などにも大きな関係を持つ。また、世界的大漁場である南米ペルー沖では、エルニーニョのときはその海域の漁獲量が大きく減ることがわかっている。

 海流と気候
 海流は世界の漁業に大きな影響を与えているだけでなく、気候への影響も大きい。陸上に住む動植物の生活にも大きな影響を及ぼす。もともと、海水は空気に比べて比熱が四倍近くあるので、水温の変化は気温を変化させやすい。たとえば北、西ヨーロッパの冬の気温が世界の同じ緯度の平均気温よりも高くなっているが、その一因として北大西洋海流の存在がよく知られている。

 日本南岸は夏に非常に湿度が高くなるが、これは南東から吹く風が、温かい黒潮上を通過してくるときに、水蒸気を大量に取り込むことが原因である。一方、冬は季節風の北西風が吹くので、黒潮の暖気によりそれほど気温が上がるわけではないが、山脈により雪雲を遮断するため、関東以西の太平洋側地域では晴天が多く比較的温暖な地域が多い。

 他方、日本海には黒潮の分流である暖流の対馬海流が流れ込んでいるが、大陸から吹き出す寒気がこの暖流の上を渡るときに雲が形成され、豪雪と日照時間の減少が見られる(日本海側気候)。また北海道や東北地方の太平洋側では、夏に寒流である親潮の上を吹き渡ってくるやませの影響で、冷害が発生することがある。(Wikipedia)

 海流とは何か?
 このように私たちの生活に大きな影響を与える、海の海流というのはどうやって起きるのだろうか?

 海流は、地球規模でおきる海水の水平方向の流れの総称。似た現象に潮流があるが、潮流は時間の経過に伴って流れが変化し、短い周期性を持つ。海流はほぼ一定方向に長時間流れる。また海の中は鉛直方向にも恒常的な流れが存在する海域もあるが、その流速はひじょうに小さいので、通常は海流とは呼ばない。海流はその性質により、暖流と寒流の2種類に大別される。

 海流が発生する原因は諸説あるが、大きく分けて表層循環と深層循環がある。表層循環と深層循環の意味は、メカニズム的に論じるか現象的に論じるかで違ってくる。メカニズム的に言えば、海面での風(卓越風)によって起こされる摩擦運動がもとになってできる「風成循環」が表層循環、温度あるいは塩分の不均一による密度の不均一で起こる「熱塩循環」が深層循環である。

 この二つを総称して、海洋循環と呼ぶ。「海流」が海水の流れを重視した呼び方であるのに対して、「海洋循環」は特に地球規模での海水の巡り、循環を重視した呼び方であり、これらを使い分けることが多い。

 黒潮とメキシコ湾流を二大海流といい、これらは流量が多く、流速も速い。(Wikipedia)

 

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杉本 隆成
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