心電図とは何か?
心電図とは何だろう?心電図とはそう病院に置いてある、心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てるものである。
心電図は1903年にオランダの生理学者ウィレム・アイントホーフェンによって検流計で測定された。彼はこの業績によって1924年、ノーベル生理学・医学賞を授与されている。
およそ10年前、それまではテレビドラマでしか見たことのない装置を、初めて間近で見る機会があった。それは、親戚の危篤の場でのことであった。
そのとき見た彼は、40度もの体温があり、体は真っ赤に腫れ上がっていた。もうすでに意識はなく、ただ呼吸をし延命装置をつけた状態で、心臓は動いているのは心電図でわかったが脳死の状態であり、いわゆる植物人間であった。
性格のよい彼はいつも笑顔を絶やさなかった。たよりになる兄貴的な存在で誰からも慕われていた。たのまれるといやとはいえず、上司に言われるがまま、夜勤を何日も続けた。そして、突然倒れ病院に運ばれた。くも膜下出血であった。
彼の父親は「うちの子は殺された...」と無念そうにつぶやいていた。やがて延命装置は外され、返らぬ人となった。今は無事に天国に返っているだろうか?
心電図のはかり方
心電図をはかるにはどうするのだろう?健康診断のとき、心電図検査をしたことがある人は覚えているかもしれない。仰向けになり、安静にした状態で、手首、足首の内側、胸部の所定の位置にペーストを塗り、電極を付ける。このとき電極は両手首、両手足の4ヶ所、胸部は心臓のまわりに6ヶ所付ける。
心電図計の肢誘導、胸部誘導のスイッチをonにして、モニターの心電図波形をみる(まだ記録は始めない) 次に、筋電図や交流雑音の除去,基線の調節を行なう。そして、記録を開始する。先ほどの電極の種類をいくつか組み合わせて、合計12種類の波形が記録される。
標準肢誘導(I,II,III)単極肢誘導(aVR,aVL,aVF)胸部誘導(V1-V6)の順番に記録する。各誘導5心拍以上記録し,T波とP波の間の平らな部分に1mV波形(キャリブレーション)を入れる。
最後に、電極を患者さんから取りはずし,ペーストをきれいに拭き取る。
心電図の見方
心電図をとると、独特な波形が見られる。この波の高さと幅が心臓の動き方と相関しており、それぞれの波に意味がある。基本的な所見をとる手順を述べる。
1.調律・心拍数に関して
P波とP波の間隔、R波とR波の間隔を計測し、その逆数から心房拍数、心室拍数を求める。間隔は3心拍を平均する。心房細動などP波がないときはPP間隔は記載しない。
PP間隔(秒)、RR間隔、心房拍数(60~100)、心室拍数(60~100)を記載する。
調律の判定をする。これは正脈か時に不整脈か、絶対的不整脈かを判定する。
2.QRS平均電気軸と移行帯を測定する
電気軸は-30から100が正常で、移行帯はV3あたりならOK。
3.基本測定
PQ時間、QRS幅、QT時間
4.波形
P波電位(0.25以下)と振幅(0.10以下)、Q波、異常Q波は幅が0.04以上か振幅がR波の1/4以上である。QRS波、特にRV5+SV1が3.5をこえる、またはRaVLが1.2を超える場合は心肥大を疑う。また低電位がないかも調べる。ST、ST上昇、ST下行がないか?T波は高くないか(12mV以上、これは高カリウム血症を疑う)、陰性T波はないか?これは心筋症や心筋虚血を疑う。U波はないか?U波は低カリウム血症の陰性U波は心室負荷、心筋虚血を疑う。
不整脈はないか?徐脈、頻脈、心室性期外収縮、上室性期外収縮、心房細動、心房粗動、その他。
5.総合所見を述べる。
ウィレム・アイントホーフェン
ウィレム・アイントホーフェン(Willem Einthoven、1860年~1927年)はオランダの医学者。1903年に心臓から電気が発せられていることを発見し、心電図法(ECG/EKG)を発明した。その功績で、1924年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。受賞理由は「心電図法の発明」 。
彼は、オランダ領東インド諸島(今のインドネシア)のジャワ島のスマランで生まれ、オランダのライデンで亡くなり、ウーグストヘーストのHaarlemmerstraatwegに有る改革派教会に埋葬されている。
参考HP Wikipedia「心電図」「ウィレム・アイントホーフェン」 ・ハート先生の心電図教室「基本心電図波形」
らくらく心電図トレーニングDS 赤石 誠,栗田 康生 メディカ出版 このアイテムの詳細を見る |
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