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謎の「深層流」の真相は?南極沖に海の循環「エンジン」発見!

2010年05月16日 | 地学
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 表層海流
 日本のまわりの代表的な海流とは何だろう。そう、黒潮や親潮、対馬海流やリマン海流などがある。海流はどうして起きるのであろうか?

 海には一定のリズムで、寄せては返す波がある。台風などが近づくと、波やうねりは大きくなり、荒れ狂う姿を見せることもある。波が高くなるのは、そう風のためである。風の力が海流をつくる。これを表層海流という。

 表層海流が風によって起こるということは、例えば池の表面に風によって、さざなみが立つのを見ても、直感的に理解できる。したがって昔の海洋学者は、深海では風の影響が無いので完全に静止した世界であろうと考えていた。

 深層海流
 ところが、現在の計測機器の発達により深海にも、潮汐による流れに加えて、表層よりかなり弱いながらも海流があるということがわかってきた。深層の流れを駆動するおもな原因は密度の違いと考えられているが、近年の研究では風がおもな駆動力の起源という説も有力である。

 海水の密度は全地球で一様ではなく、その違いは明瞭で不連続である。表層で形成される水塊の間には明瞭な境界が存在し、その性質を維持している。軽い水塊が重い水塊の上に乗るというように(木片や氷が水に浮くように)、形成された時の状態で決まる密度によって、重い方が潜り込み、軽い方が乗り上げるというような状態を示す。

 海水の密度は、温度と塩分と圧力によって決まる。冷たい海水、塩分の多い海水は、それぞれ温かい海水、塩分の少ない海水より高密度になる。水塊は最も安定した状態を保つため流動する。これを熱塩循環という。

 海の循環「エンジン」
 北海道大の深町康・助教(海洋物理学)ら日豪の共同チームが、南極大陸沖の深海で、水温0度以下の冷たい海流(深層流)が赤道に向かって大量に移動している様子を突き止めた。

 流量は毎秒1200万立方メートルと試算され、東京ドーム10杯分に相当する。深海を長時間かけて移動する冷たい海水の循環は気候に影響を与えると考えられているが、未解明な部分が多い。科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に掲載された。

 チームは南極大陸から約500キロ北のインド洋で、水深1000~4500メートルに70個以上の機器をつなぎ、流速や水温を2年間連続で測定した。その結果、水深3000メートル以上の場所で、深海としては非常に速い毎秒20センチ以上の流れを確認した。海流は赤道に向かって北上しており、全体の流量は毎秒1200万立方メートルと試算した。

 深層流は、比較的高温の海流が極域で冷やされ、北大西洋のグリーンランド沖と南極大陸沖で沈み込んで生じる。低温の深層流は1000年以上かけて地球を一巡。こうした熱の循環は気候に影響を与えると考えられているが、南極から赤道方向への深層流は、北大西洋に比べて観測が遅れている。

 深町助教は「深海の流れとしてはこれまでに計測された中で最も速い。海の循環を駆動する『エンジン』の一端が見えてきた」と話す。(毎日新聞 2010年5月11日)

 南極は地球の心臓だ!
 深い海の中にも海流があるとは驚きであるが、この流れのスピードは秒速数cm程度で、1000年から2000年かけて、地球を一周するという。

 この広い海洋で、深海に海水がもぐり込む場所が、北極と南極付近にある。どうして極寒の海域で海水の沈み込み現象が起きるのであろうか?

 南極のきびしい寒さは、冷たくて重い海水も大量に作りだす。この海水が海の底へ沈んでいくので、かわりに海底から深層水が上がってくる。南極の寒さは、海をかきまわすポンプになっている。

 南極海の深層水は、養分をいっぱい含んでいる。大量の深層水がわき上がるために、南極の海は、日本の周りの海より、栄養分が8~10倍も濃い!この栄養でオキアミが大量に育ち、大きなクジラもそれを食べにやってくる。

 海の水が寒さで温度が下がり、ついに凍ってしまうときには、海水の中の水分だけが氷になる。塩分は凍らないで氷の外へ追いだされるので、塩分の濃い重い海水ができる。

 海水が凍っていく氷の下では、塩分が濃くなって重くなった海水が底へ向かって沈んでいく。南極の凍る海で生まれた冷たくて重い海水は、深い海の底に沈みこんで南極の外へ流れ出す。この流れ出す力が、地球全体をまわる深層流を動かしているのだ。

 深層流は千年以上かけて地球の海を回っていて、地球の気候などの環境に大きな役割を果たしていると考えられている。深層流の上部の流れは、黒潮など表面の海流とは違う流れだ。3000~4000メートル以上の深さを流れていて、表面の温度や養分に影響を与えている。

 地球は赤道など熱帯地方が暖め、北極や南極で冷やされている。このバランスをとって、地球の穏やかな気候を保つことに、深海流は大切な役割を果たしている。

 南極で作られた栄養分の濃い海水を、深層流が世界の海に運んでいる。この栄養分が世界の海でプランクトンを育て、地球の豊かな海を作りだしている。

 

参考HP Wikipedia「熱塩循環」「海流」・南極サイエンス基地「深層海流を動かす南極の氷」 

新しい地球学 ―太陽‐地球‐生命圏相互作用系の変動学
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ウナギが消えた?産卵場所や海流が変化 「海流」とは何か?

2010年05月15日 | 地学
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 シラスウナギ漁 過去10年で最低
 今年は全国的にウナギの稚魚(シラスウナギ)が不漁だ。シラスウナギ漁は毎冬12月~翌4月、全国の太平洋岸の河口域で行われる。主な漁場は九州、四国、関東だが、今季はどこからも悲鳴が聞こえる。

 高知県では四万十川の河口を中心に、3月5日に漁を終えた。県しらすうなぎ流通センターによると、今季の漁獲量は155キログラムと前季の約4分の1。「こんな年は過去にない」と頭を抱える。

 宮崎県は3月20日に漁が終了。約40の養殖業者でつくる同県シラスウナギ協議会は「必要量の約4.5トンに対し、取れたシラスは1割程度の545キロ」と肩を落とす。他県産をかき集めているが「今夏は品薄だろう」。鹿児島でも昨年の2割程度の約1.5トン(2月末時点)で、過去10年で最低だ。

 水産庁によると、1960年代は年約100~200トン取れたが、1980年代に20トン前後に減り、2000年以降は10トン台になった。今季は「5トン程度」が業界内の見通しだ。いったいこの原因は何だろう?

 ウナギの産卵場所に変化
 長期的な減少の背景にはシラスの乱獲が挙がっているが、最近は産卵場との関係が指摘されている。ウナギの生態に詳しい塚本勝巳・東京大海洋研究所教授によると、親ウナギの産卵場は通常、マリアナ諸島西方の海域だが、2008年に赤道寄りに約100キロ移動したことが確認されたという。

 稚魚は海流に乗り日本沿岸に来るが、「産卵場が遠ざかったため海流に乗れず、多くがフィリピンやインドネシア方面に流れたのではないか」と推測する。

 ウナギの養殖は現在、天然稚魚に頼らざるを得ない。人工シラスの供給を目指す国の水産総合研究センター養殖研究所(三重県南伊勢町)が今月8日、2世代目のウナギを人工ふ化させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。しかし、卵からシラスに成長するまでの生存率は0~5%と極めて低く、シラス量産の見通しは立っていない。

 舞田正志・東京海洋大大学院教授は「そもそも日本の川や湖に親ウナギがどの程度いるかもよく分かっていない。国がもっと戦略的に資源保護と養殖の研究を考えるべきではないか」と話す。(毎日新聞 2010年4月22日)

 海流と漁業
 今年はウナギが高騰しそうだ。毎年ウナギはマリアナ諸島西方の海域で産卵し、黒潮にのってやってくる。産卵場所や、海流によってたどり着くウナギの稚魚の量に影響が出るのは当然のことだ。

 ウナギだけではない、回遊魚は海流とともに泳いでくるので、三陸沖のように黒潮と親潮が接するところは南方系、北方系の両方の魚が取れ、きわめてよい漁場となっている。

 このように世界の主な漁場はたいてい暖流と寒流の潮境や、沿岸水と外洋水のさかいを中心に発達している。またプランクトンは海流によって種類が異なるばかりでなく、その量も著しく異なっている。プランクトンは海流によって押し出されるので、海流は魚類の分布や移動などにも大きな関係を持つ。また、世界的大漁場である南米ペルー沖では、エルニーニョのときはその海域の漁獲量が大きく減ることがわかっている。

 海流と気候
 海流は世界の漁業に大きな影響を与えているだけでなく、気候への影響も大きい。陸上に住む動植物の生活にも大きな影響を及ぼす。もともと、海水は空気に比べて比熱が四倍近くあるので、水温の変化は気温を変化させやすい。たとえば北、西ヨーロッパの冬の気温が世界の同じ緯度の平均気温よりも高くなっているが、その一因として北大西洋海流の存在がよく知られている。

 日本南岸は夏に非常に湿度が高くなるが、これは南東から吹く風が、温かい黒潮上を通過してくるときに、水蒸気を大量に取り込むことが原因である。一方、冬は季節風の北西風が吹くので、黒潮の暖気によりそれほど気温が上がるわけではないが、山脈により雪雲を遮断するため、関東以西の太平洋側地域では晴天が多く比較的温暖な地域が多い。

 他方、日本海には黒潮の分流である暖流の対馬海流が流れ込んでいるが、大陸から吹き出す寒気がこの暖流の上を渡るときに雲が形成され、豪雪と日照時間の減少が見られる(日本海側気候)。また北海道や東北地方の太平洋側では、夏に寒流である親潮の上を吹き渡ってくるやませの影響で、冷害が発生することがある。(Wikipedia)

 海流とは何か?
 このように私たちの生活に大きな影響を与える、海の海流というのはどうやって起きるのだろうか?

 海流は、地球規模でおきる海水の水平方向の流れの総称。似た現象に潮流があるが、潮流は時間の経過に伴って流れが変化し、短い周期性を持つ。海流はほぼ一定方向に長時間流れる。また海の中は鉛直方向にも恒常的な流れが存在する海域もあるが、その流速はひじょうに小さいので、通常は海流とは呼ばない。海流はその性質により、暖流と寒流の2種類に大別される。

 海流が発生する原因は諸説あるが、大きく分けて表層循環と深層循環がある。表層循環と深層循環の意味は、メカニズム的に論じるか現象的に論じるかで違ってくる。メカニズム的に言えば、海面での風(卓越風)によって起こされる摩擦運動がもとになってできる「風成循環」が表層循環、温度あるいは塩分の不均一による密度の不均一で起こる「熱塩循環」が深層循環である。

 この二つを総称して、海洋循環と呼ぶ。「海流」が海水の流れを重視した呼び方であるのに対して、「海洋循環」は特に地球規模での海水の巡り、循環を重視した呼び方であり、これらを使い分けることが多い。

 黒潮とメキシコ湾流を二大海流といい、これらは流量が多く、流速も速い。(Wikipedia)

 

海流と生物資源
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糖尿病・メタボ予防に効果!桑の葉成分「DNJ」とは何か?

2010年05月14日 | 健康
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 なつかしい桑の実の味
 もう40年近くも昔のことになるが、野山を駆け回り虫を捕ったり、木の実を拾ったり、木イチゴを食べた時代がなつかしい。今、考えると人の土地だったり、立ち入り禁止の場所もあり、だいぶひんしゅくをかっていたのだなと思うが、そんなのはおかまいなしで、好奇心の赴くまま遊び回っていた。

 そうした中、たしか母からだったと思うが、桑の実は食べられるんだよと言われて、初めて口にした桑の実の味が忘れられない。当時はまだ養蚕を営む農家もけっこうあって、桑の畑はごく普通にあった。桑というと、白くうごめく蚕の幼虫と白い繭を思い出し、あまりよいイメージはなかった。

 「あのイモムシの食べる木か」そう思って見ると、桑に確かに、小さな黒っぽい実が付いていた。「まずそう」というのが第一印象であったが、おそるおそる口にしてみた。すると甘酸っぱい香りが口の中に広がった。「おいしい、フルーツみたいだ」グロテスクな蚕と黒い実とフルーティな味との落差が、たしかに記憶に残っている。

 今では桑も蚕も、ほとんど目にすることもなくなったが、蚕が食べ美しいツヤのあるシルクをつくるぐらいだから、おいしいし栄養もあるのだろう。現在、桑のお茶などが市販されており、健康効果が注目されている。どんな健康成分があるのだろう? 

 糖尿病・メタボ予防に効果?
 東北大大学院農学研究科と宮城県丸森町は、桑の葉に含まれる糖尿病やメタボリックシンドロームの予防効果がある成分の研究を進める協定を結んだ。

 養蚕が盛んだった同町と共同で、健康食品の開発などに役立つ研究に取り組む。

 同科の堀雅敏准教授によると、桑の葉には「デオキシノジリマイシン(DNJ)」と呼ばれる血糖値の上昇を抑える成分が含まれており、品種によって含有量が異なる。桑の葉を食べる蚕にはより高濃度のDNJが含まれており、含有量の高い桑を突きとめるとともに、蚕も調べることで、より高濃度のDNJを抽出し、健康食品などの開発に役立てる。

 協定では、町内の農家らがボランティアで協力して、同町が養蚕を請け負い、代わりに同科が研究結果を提供する。同大の農場でも桑を栽培しているが、面積や技術に限りがあるため、栽培を同町に委託、研究材料を安定的に確保できる体制にした。今年度は、約800平方メートルの畑に56種類計168本の桑を栽培する。

 同町では、かつて養蚕が盛んで、1946年に養蚕農家は約2000戸あったが、現在は10戸に減少した。繭細工やシルク和紙など付加価値の高い商品の開発を考えていた同町が桑の研究をしていた同科に持ちかけた。

 堀准教授は「2、3年でDNJを多く含む桑を見つけたい」としている。佐藤一郎副町長は「研究結果を生かし、養蚕を新たな商品化につなげたい」と期待している。(2010年5月1日  読売新聞)

 桑とは何か?
 クワ(桑)はカイコ(蚕)の餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用される。日本で桑畑は良くある風景であった。しかし、現在、養蚕業が盛んだった地域では、生産者の高齢化、後継者難、生糸産業全般の衰退の中で、放置された桑畑も多く残る。

 落葉性の高木で、大きいものは15mに達するが、普段見かけるのは数m程度のものが多い。樹皮は灰色。葉は薄くつやのある黄緑色で、縁にはあらい鋸歯がある。大きい木では、葉の形はハート形に近い楕円形だが、若い木では、葉にあらい切れ込みが入る場合がある。

 雌雄異株だが、同株のものがある。春に開花する。雄花は茎の先端から房状に垂れ下がり、雌花は枝の基部の方につく。果実は初夏に熟す。キイチゴのような、柔らかい粒が集まった形で、やや長くなる。熟すと赤黒くなり、甘くて美味しい。

 果実は桑の実、どどめ、マルベリー(Mulberry)と呼ばれ、地方によっては桑酒として果実酒の原料となる。その果実は甘酸っぱく、美味であり、高い抗酸化作用で知られる色素・アントシアニンをはじめとする、ポリフェノールを多く含有する。

 また、非常食として桑の実を乾燥させた粉末を食べたり、水に晒した成熟前の実をご飯に炊き込む事も行われてきた。なお、クワの果実はキイチゴのような粒の集まった形を表す語としても用いられる。発生学では動物の初期胚に桑実胚、藻類にクワノミモ(パンドリナ)などの例がある。

 桑の実の健康成分
 ログワの根皮は桑白皮(そうはくひ)という生薬である。利尿、血圧降下、血糖降下作用、解熱、鎮咳などの作用があり、五虎湯(ごことう)、清肺湯(せいはいとう)などの漢方方剤に使われる。

 また、葉を茶の代用品とする「桑茶」が飲まれている地域もあり、現在も市販されている。桑の葉にはビタミンC,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンA,亜鉛,鉄,マグネシウム,カルシウム,食物繊維,各種フラボノイド,カロテン,γアミノ酪酸などが含まれている。なかでも日本人に不足しがちなカルシウムは小松菜の1.5倍、鉄は小松菜の15倍、カロテンはほうれん草の10倍も含まれている。

 その他桑の葉に含まれるフラボノイド類や食物繊維がコレステロール値や中性脂肪値を下げ、LDLコレステロールが活性酸素により酸化されるのを防ぎ、動脈硬化を予防する。食物繊維には腸からのコレステロール吸収を抑える働きがある。

 その他桑の葉に含まれているγアミノ酪酸(GABA)に血圧の上昇を防ぐ効果がある。さまざまな健康効果をもつ桑の葉は、DNJや食物繊維、フラボノイド類をはじめてとするさまざまな成分の相互作用で効果を発揮していると考えられている。

 デオキシノジリマイシン(DNJ)とは何か?
 桑葉には1-デオキシノジリマイシン(1-deoxynojirimycin; DNJ)が含まれていることが近年の研究で明らかになった。

 DNJ はブドウ糖の類似物質(アザ糖類の一種)であり、小腸において糖分解酵素のα-グルコシダーゼに結合する事でその活性を阻害する。その結果、スクロースやマルトースの分解効率が低下し、血糖値の上昇が抑制される。

 桑の葉のDNJはブドウ糖と構造が大変よく似ているため、αグルコシダーゼと結びつき、本物のブドウ糖が来ても働けないようにし、糖分は吸収されずにそのまま小腸から大腸へ送られていく。

 DNJの結合は比較的ゆるいためブドウ糖の吸収を全て阻害するわけではなく、ゆっくりと吸収される。結果として食後の血糖値の急上昇が抑えられ、糖尿病の予防や改善に効果を発揮する。またDNJにはインスリン自体の分泌を促進する効果もある。

 近年梅の実にも、αグルコシダーゼと結びつき、ブドウ糖の吸収を抑える成分が和歌山県立医科大の研究グループなどによって、発見されている。

 

参考HP Wikipedia「桑」・桑の葉の効果と効能「サプリメントラボ」 ・アイラブサイエンス「梅の実のαグルコシターゼ阻害効果

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「緑内障」が治る?「Dock3」遺伝子で、視神経の再生に成功!

2010年05月13日 | 健康
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  視神経の再生に成功!
 視神経を再生させる仕組みを突き止めるとともに、傷付いた視神経を再生させることに、東京都神経科学総合研究所など日米の共同研究チームがマウスの実験で成功した。日本で最大の失明原因である緑内障など視神経の傷みが原因で視覚障害を起こす病気は多く、チームは「新たな治療・予防法の開発につながる」と期待する。米科学アカデミー紀要に発表した。

 視神経は、網膜で受け取った視覚情報を、眼球から脳に伝える働きをしている。ヒトの場合、網膜表面に並んだ細胞体から長さ約7センチの視神経が約100万本、脳に向かってコード状に伸びている。

 同研究所分子神経生物学研究部門の行方和彦研究員(分子生物学)と原田高幸部門長(眼科学)らは、神経細胞でしか働かないDock3(ドックスリー)というたんぱく質に着目。培養中のマウスの神経細胞に、このたんぱく質を作る遺伝子を導入すると、手のひら状の視神経の先端が活発に動き、伸びることを確認した。

 次に、このたんぱく質を作る遺伝子が、野生型マウスの約5倍強く働く遺伝子改変マウスを作成。眼球近くで視神経を傷付けたところ、野生型の視神経はほとんど再生しなかったのに対し、改変マウスでは大幅に再生した。

 Dock3は、視神経の先端で細胞の骨格を作る仕組みに刺激を与え、再生を促すとみられる。同様のたんぱく質を作る遺伝子はヒトにもあり、原田さんは「視神経は一度傷付くと治療できないのが現状だが、傷んでも(根元部分の)眼球内の細胞体は一定期間、正常のまま保たれる。この間にDock3による遺伝子治療などで傷付いた部分を再生できれば、視覚機能を回復させることが可能だ」と話す。(毎日新聞 2010年5月2日)

 緑内障とは何か?
 緑内障は視神経が死んで、失明する危険のある病気である。その原因は眼圧が高くなることで、視神経を圧迫することにある。日本では40歳代では2%、70歳代になると10%を越える(2004年)。日本国内で治療中の患者は約30万人。潜在患者数は400万人ともいわれる。

 ではどうして眼圧が高くなるのだろうか?それは角膜とレンズの間にある房水という液体が循環しなくなって、溜まることが原因だ。眼球の前の方にある角膜と水晶体は、カメラにたとえるとフィルターやレンズにあたる組織。当然、透明でなければならず、血管も存在しない。

 このため必要な栄養は、眼球前方を満たしている房水という液体から得ている。緑内障という名前は、この房水がなにかの原因で過剰に溜まったときに、角膜がむくんで瞳が青っぽく見えることに由来する。 実際には瞳の色の変化や、痛み充血などを伴わず進行する。

 カメラのフィルムにあたる網膜には、一面に視神経がはりめぐらされている。その視神経が、太い1本の束となって脳へ向かうところを、視神経乳頭〈ししんけいにゅうとう〉という。

 緑内障は、この視神経乳頭が眼球内側から押し潰されることで(医学的には陥凹〈かんおう〉という)、正常に機能する視神経が減少する病気。一度失われた視神経は、二度と元に戻らない。病気の進行とともに、見える範囲が徐々に狭くなり、最悪のケースでは、失明する。

 再生医療との関係
 現在再生医療の分野で注目されている幹細胞。3月28日のNHKスペシャル「人体製造」では、何と失われた指が生え代わった!細胞外マトリックスが体内に存在する幹細胞を呼び寄せる性質があるらしい。番組では幹細胞を使った美容整形、臓器再生などを紹介していた。

 幹細胞というのは、自己増殖しながら、組織や器官をつくる別の細胞に変わることのできる万能細胞のこと。注目されている幹細胞では、iPS細胞、ES細胞、骨髄幹細胞、間葉系幹細胞などがある。先日、東北大学の出沢真理教授らの研究チームが皮膚細胞の中から、新しい幹細胞「Muse(ミューズ)細胞」を発見した(4月20日の米科学アカデミー紀要)。

 これらの幹細胞を使って、犬、豚などを使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することが確認されている(歯胚再生)。上田実らにより名古屋大学付属病院で実際に再生歯科外来が設けられている。埼玉医科大学総合医療センター心臓血管外科が、虚血性心筋症の男性患者の心臓組織に、本人の骨髄細胞を移植する再生医療に成功している。

 難しい目の再生
 目の角膜を患った患者への治療としてドナーからの提供による角膜移植が行われているが、ドナー提供者が少ないこと、拒絶反応があることなどから、自己細胞を使った再生角膜による治療が試みられている。片目を患っている場合、もう一方の目の角膜の一部を採取して培養し移植する方法や、両目を患っている場合には口腔粘膜(幹細胞が多く含まれている)より採取した細胞を培養して移植する方法など、研究が進められている。

 今回の視神経を再生させる仕組みは、幹細胞によるものではなく、遺伝子操作によるもの。視細胞にDock3というタンパク質をつくる遺伝子を組み込むことで、視神経細胞が再生した。視神経細胞の再生は珍しく、いよいよ全身を再生できる可能性が出てきた。将来ヒトは死なない体を手に入れることができるのだろうか? 

 

参考HP Wikipedia「緑内障」・参天製薬「緑内障」・目と健康「緑内障 

白内障・緑内障が少食でよくなる―黄斑変性症・糖尿病性網膜症にも効く! (ビタミン文庫)
山口 康三
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目の病気にルテインが効く!―黄斑変性症・白内障・緑内障 臨床データ150名の改善報告
葉山 隆一
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ニトロゲナーゼと類似!暗所でも葉緑素作る酵素「DPOR」とは?

2010年05月12日 | ライフサイエンス
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 暗所でもできる?葉緑素
 植物などの光合成にかかわる葉緑素を暗い所でも作り出せる働きを持つたんぱく質の構造を、名古屋大大学院の藤田祐一准教授(生命農学)らのグループが解析した。19日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表する。肥料を使わない農作物の開発にもつながる可能性があるという。

 葉緑素が作られる過程では、大豆のように明るい場所で芽生えさせないと緑にならない種と、クロマツなど暗い場所でも緑になる種の二つがあるが、詳しいメカニズムは分かっていない。

 藤田さんらは、光合成をする細菌を使い、暗い所で葉緑素を作り出す「NBたんぱく質」の立体構造を詳しく調べた。その結果、空気中の窒素を取り込んでアンモニアに変える、別のたんぱく質の構造に極めてよく似ていることが分かった。

 今後、明るい場所で葉緑素を作るたんぱく質の構造も調べる予定で、藤田さんは「窒素肥料の代わりに、光を使って窒素を取り込む農作物の開発につながるかもしれない」と話している。(asahi.com 2010年4月19日)

 NBタンパク質が緑化させる?
 一般に葉緑素は、光が当たることによって緑色になることが知られている。もやしなどが黄色いのはそのためだ。ところが裸子植物の葉緑素は暗所でも緑化することが分かっていたがその仕組みは謎であった。

 研究グループは、暗いところでも緑色になるクロマツなどの裸子植物や藻類などに着目。光がなくても葉緑素を緑色にする働きを持つ酵素の主成分「NBタンパク質」が葉緑素と結びついた状態と、単体の状態をそれぞれ精製し結晶化した。

 それらをエックス線で分析し、構造を比較し、葉緑素の特定部分がNBタンパク質と化学反応を起こし緑色に変化していることを突き止めた。

 葉緑素を緑色にする酵素は酸素に触れると壊れてしまうため実験が困難だったが、酸素を抜いた部屋で行って成功した。

 藤田准教授らによるとマメ科の植物が大気中の窒素を取り込み養分にする能力を支える酵素と酷似していることも発見。同じ酵素だったのが、進化の過程で分かれた可能性が浮かび上がった。

 ニトロゲナーゼと緑化酵素「DPOR」
 この暗所での緑化に働く酵素が、暗所作動型プロトクロロフィリド(Pchlide)酸化還元酵素(dark-operative protochlorophyllide oxidoreductase;DPOR)で、クロロフィルaの直接の前駆体であるクロロフィリドaを形成するために必要なPchlideのC17=C18二重結合の立体特異的な還元を触媒する。

 今回、紅色光栄養細菌であるRhodobacter capsulatus由来のDPORの成分であるNBタンパク質の結晶構造が決定された。この構造から、PchlideのC17=C18二重結合の還元機序と考えられる化学反応機構が示唆された。

 また、DPORはよく知られた窒素固定酵素であるニトロゲナーゼと似ており、窒素固定と暗所でのクロロフィル形成の分子機構の関係が進化的に近いことが考えられる。

 ニトロゲナーゼと窒素固定
 窒素固定(Nitrogen fixation)とは、空気中に多量に存在する安定な(不活性)窒素分子を、反応性の高い他の窒素化合物(アンモニア、硝酸塩、二酸化窒素など)に変換するプロセスをいう。

 自然界での窒素固定は、いくつかの真正細菌(細菌、放線菌、藍藻、ある種の嫌気性細菌など)と一部の古細菌(メタン菌など)によって行われる。これらの微生物には、種特異的に他の植物や、動物(シロアリなど)と共生関係を形成しているものもある。また、雷の放電や紫外線により、窒素ガスが酸化され、これらが雨水に溶けることで、土壌に固定される。

 ある種の細菌がもっている酵素のニトロゲナーゼは、大気中の窒素をアンモニアに変換するはたらきを持ち、この作用を生物学的窒素固定といい、窒素固定を行う微生物をジアゾ栄養生物(diazotroph)という。

 ニトロゲナーゼによる窒素固定反応は、次式のように表される。

 N2 + 8H+ + 8e- + 16 ATP → 2NH3 + H2 + 16ADP + 16 Pi

 この反応による直接の生成物はアンモニア(NH3)であるが、これはすぐにイオン化されてアンモニウム(NH4+)になる。生きているジアゾ栄養生物であれば、ニトロゲナーゼで作られたアンモニウムは、グルタミンシンセターゼ/グルタミンシンターゼ経路によって同化され、グルタミン酸塩となる。

 また、亜硝酸菌や硝酸菌といった硝化細菌の存在下では、最終的にアンモニウム塩は硝酸塩として、植物が利用できる形になる。 生物学的窒素固定はオランダの微生物学者、マルティヌス・ベイエリンクによって発見された。

 マメ科植物との共生的窒素固定
 クローバーなどのマメ科植物は根に根粒があり、窒素化合物を生産する根粒菌(リゾビウム属)の共生細菌を宿しているため、土壌を肥やすはたらきをすることが知られている。マメ科の大部分はこの共生関係を持つが、2,3の属(例えば、Styphnolobium)は持っていない。

 マメ科植物に荒れ地でも生育可能なものが多いのは、いわば根で窒素肥料が合成できるためである。また、沖縄のギンゴウカン群落に見られるように、ある種のマメ科植物は土質を窒素過多にし、そのため他の植物の侵入が困難となり、長期にわたって単独種の群落を維持する場合がある。

 マメ科以外との共生的窒素固定
以下の植物は、マメ科植物と同様に窒素固定生物と共生している。共生微生物はそれぞれ異なっており、藍藻や放線菌と共生するものもある。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「ニトロゲナーゼ」「窒素固定」・大阪大学 蛋白質研究所「DPORのX線分析」・Nature「暗所で緑化を起こす物質

光合成と呼吸30講 (図説生物学30講 植物編)
大森 正之
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Newton (ニュートン) 2008年 04月号 [雑誌]

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バイオマスの利用!食品廃棄物からエタノールつくる技術実用化

2010年05月11日 | エネルギー
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 廃棄物からバイオエタノール
 食品廃棄物からバイオエタノールをつくりだす技術の製品化に新日鉄エンジニアリング社が成功した。同社は自治体や、大量の食品廃棄物を排出している企業などへの営業活動を始める。

 同社は北九州市で5年かけて実用化を目指した実験事業を実施、1日約10トン(乾燥重量約2.9トン)の食品廃棄物を破砕選別、糖化、発酵、蒸留して約500リットルのエタノールが製造できることを実証した。このエタノールを3%混ぜたE3バイオガソリンを同社の業務用車と北九州市の公用車約20台に使用し、既に走行試験も実施済みだ。

 食品廃棄物は国内で年間、約2,000万トン排出されるが、うち1,700万トンはリサイクルされず、ほとんどが焼却処理されている。新エネルギー国家戦略によると現在、ほぼ100%石油に頼っている運輸部門のエネルギー消費を、2030年までに石油依存率80%まで引き下げなければならない。この目標を達成するにはエタノールに換算して年500万-700万キロリットルのバイオマス燃料を使用する必要があるとされている。

 今回、製品化に成功した技術を利用し、国内で発生する食品廃棄物すべてを処理できたとすると、年約70万-約100万キロリットルものエタノールをつくり出せる計算になる、と同社は言っている。

 この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受け、新日鉄エンジニアリングに北九州市と株式会社西原商事が協力して得られた。(2010年4月20日 サイエンスポータルニュース)

 新エネルギーとは何か?
 石油依存社会からの脱却は、世界にとっても重要な課題だが、とりわけエネルギー資源の少ない日本にとっては、重要な課題である。そのため石油に変わる新エネルギーの利用が考えられている。

 新エネルギーとは「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」により指定されており、バイオマス、太陽熱利用、雪氷熱利用、地熱発電、風力発電、太陽光発電など再生可能エネルギーのことである。

 バイオマスとは、生物由来の資源のことであり、その中にバイオエタノールがある。バイオエタノールは、カーボンニュートラルな自然エネルギーであり、燃焼させても地表の循環炭素量を増やさないと同時に、既存の化石燃料の供給インフラや利用技術を大きく変更せずに利用できるため、地球温暖化に対する関心が高まる中で代替燃料として注目されている。

 日本では、政府全体が「バイオマス・ニッポン総合戦略」に取り組んでおり、輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の普及を目指す下で、ETBE(バイオマス由来ガソリン添加剤)、E3(3%のエタノールを含むガソリン)などの導入が推進されている。

 2010年度に原油換算で50万kL相当のバイオ燃料を輸送用燃料として導入する目標が立てられており、そのうちの21万kL相当分の実現について協力を求められた石油連盟では、同量のETBE供給を目指して態勢整備を開始した。

 2007年4月にはその第一歩として、首都圏50か所のガソリンスタンドにおいてETBE混合ガソリンの供給が始まった。さらに、E3よりも高濃度のエタノール混入に対応するため、国土交通省では、E10対応の車両の安全・環境性能に関する技術指針の整備も進めている。現在の法律では「揮発油等の品質の確保等に関する法律」で、ガソリンへのエタノールの混合許容値は上限が3%までと定められており、普及のためには法改正が必要である。

 バイオエタノールは何からつくられるか?
 バイオエタノールの原料は、理論的には炭水化物を含む原生生物由来の資源であれば何でもよい。しかし、生産効率の面から糖質あるいはデンプン質を多く含む植物資源が選好されており、現在では主に次のような農産物が原料として利用されている。ブラジルではサトウキビに由来するモラセスが、米国ではトウモロコシが、欧州では甜菜が主な原料となっている。

 その他、スイッチグラス(イネ科の一年草)、パルプ廃液、バガス、廃材木、もみ殻・稲藁など、多様な植物由来資源に含まれるセルロースなどの多糖類を分解して原料とする研究が進められているが、2007年の時点では実証プラントが操業を開始した段階であり、商用化には至っていない。

 また日本では東京農業大学において残飯等からバイオエタノールを抽出する研究がなされている。また、2008年には宮崎大学により、食料系、葛粉として加工されるクズの根部分からバイオマスエタノールを濃縮抽出する技術が開発された。その葉、茎から濃度11.38%のエタノールが出来たことで注目されている(トウモロコシの場合は8%ぐらい)。

 そして、今回、新日鉄エンジニアリング社が、食品廃棄物からバイオエタノールをつくりだす技術の製品化に成功した。今後いよいよ実用化に向けて動き出す。食糧となるトウモロコシやサトウキビを使わず、廃棄物を有効利用する素晴らしい成果だ。日本など先進諸国では食品廃棄物が多い問題もあった。
 
 バイオエタノールの問題点
 バイオエタノールといえば、2007年1月、トウモロコシの価格が1ブッシェル(約21kg)あたり4米ドルを突破したが、これは2004年から2006年にかけての平均価格のほぼ2倍の水準である。また、砂糖の価格も同時期の比較で2割ほど高くなっている。

 この間、トウモロコシやサトウキビがバイオマスエタノールの主要原料となっており、バイオマスエタノールの生産量が増勢を維持していることを背景に、バイオマスエタノールの増産が原料となる農産物の価格高騰を招きエタノールと食料との競合が生じているという見方が広まった。

 とくに米国におけるトウモロコシを原料とするバイオマスエタノールの生産には多額の補助金が支出されているため、補助金を支出してまで食料品を燃料に転換することで食料品価格を上昇させることはないという批判が聞かれた。

 このような批判は、バイオマスエタノールの商業的な生産が増加することによってバイオマスエタノールの原料となる作物に対し追加的な需要が生じているとみられることを考えると一定の説得力がある。たとえば米国の場合、平年のトウモロコシ生産量の15%がエタノールの原料となっている(2006年)。

 トウモロコシのような農産物の場合、需要の増加に対応して供給が増加するためには最低でも翌年の生育・収穫期まで1年の時間が必要であることを考えると、たとえ需要の増加がわずかであっても大幅な価格の上昇を招くことはあり得ないことではない。また、他の作物からバイオマスエタノールの原料作物に転作する生産者が増加すれば、転作によって供給が減少する作物(とくに大豆)の価格が今後高騰する可能性も指摘されている。

 その他の問題点
 バイオエタノールは、仮に地球上の全耕地面積でエタノールの原料を栽培してエタノールを生産しても、現在消費されているガソリンを置き換えることができないことや、バイオエタノールの利用を拡大していくにつれ発生する問題の大きさを考えると、バイオエタノールを中心的な代替燃料として想定することは適当ではないという意見も強い。

 またさとうきびにせよトウモロコシにせよ栽培する必要があり、その為には農業機械を動かし、肥料や農薬を投入するためのエネルギーが必要である。このようなバイオマスエタノールの代替エネルギー源としての妥当性に懐疑的な立場からは、米国などにおいてエタノールの生産に多額の補助金が投入されていることも強く批判されている。(Wikipedia)

 

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ホーキング博士の“警告” 「THE 4TH KIND」は防げるか?

2010年05月10日 | 環境問題

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 ホーキング博士が「宇宙人と接触は危険」
 英国の著名な宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士が米テレビ局ディスカバリーチャンネルの番組で「宇宙人と接触しようとすることは危険なことだ」と発言し、話題になっている。

 博士は、4月25日に放映された自らの宇宙観を紹介する番組で、地球以外に生命が存在する可能性はかなり高く、自分の惑星の資源を使い果たした後、資源や居住場所を求めて宇宙をさまよっている恐れがあると指摘。

 (宇宙人が)地球に来たら「コロンブスが北米大陸に来て、先住民にとっては悪い影響をもたらしたのと同じような結果になるだろう」と述べた。

 30日にはCNNテレビの人気番組で、宇宙人の姿について「目や口、脚はあるだろうが、マリリン・モンローのような容姿は期待しない方がいい」と語った。

 日本や米国では、宇宙からの電波や光の中に知的生命から発せられたものがないかを望遠鏡で探す活動も行われており、米国内では博士の発言に反発もある。

 UPI通信は「地球外生命がいる可能性を無視して、発見されるのを待つのは科学的に賢くない方法だ」との米航空宇宙局(NASA)の専門家の意見を紹介している。(2010/05/01 共同通信)

 アメリカで増えているアブダクションとは?
 ホーキング氏がこのような発言をした背景には、最近、アメリカで増えてきたUFO誘拐体験者の問題がある。1991年にローバー社と言う会社がアメリカ人成人男女約6,000人を対象に行った調査「ローバー調査報告」。以下の5つの兆候が見えた人物は、本人に自覚がなくても、UFOに誘拐された可能性があるという。その5つの兆候とは…?

 1.麻痺状態で目が覚めると奇妙な人・物体の気配を感じる。 2.1時間以上の記憶が無くなっている。 3.空中を飛んでいる感じがする。 4.部屋の中にで異常な光が見える。 5.身体に原因不明の不可解な傷を見つける。

 この調査の結果、2%の人が5つのうち4つ以上を経験していると出た。と言うことはアメリカ人の50人に1人がアブダクション(異星人による誘拐)を経験しているという事になる。微妙な数字だ。これも信じる人は信じるし、信じない人は「アホくさ」で片付けてしまうだろう。

 第3種接近遭遇と第4種接近遭遇
 S・スピルバーグが撮った1977年のSFファンタジー巨編「未知との遭遇」。英題の「Close Encounters of the Third Kind」は「第三種接近遭遇」の意味で、文字通り《地球人と宇宙人との接触》をテーマに描いた傑作だ。

 そして、今話題になっているのが「THE 4TH KIND フォース・カインド  The Fourth Kind」という映画。これは「第4種接近遭遇」の意味。アラスカ・ノームで起きたアブダクション(宇宙人による誘拐)事件を題材にした映画だ。

 私はこの映画を見たがショックだった。宇宙人というと「未知との遭遇」などのように友好的な宇宙人もいると思っていたが、この映画の宇宙人は破壊的宇宙人だった。実際に邪悪な宇宙人もいるとは聞いていたが、この映画の宇宙人は悪意をもってノームの人々を誘拐するのだった。ストーリーの概要は次の通り。

 「THE 4TH KIND フォース・カインド」あらすじ 
 アラスカ州ノーム。夫を何者かに殺害された精神科医のアビゲイル・タイラー博士が、夫の死の真相を探るべく町の患者たちを診ていくうちに事件の真相へと近づいてゆく。

 この事件は、2000年10月に実在した事件である。アラスカ州ノームでは多数の行方不明者が出ており、1960年代からFBIによる捜査訪問は2000回を超えるという。

 複数の不眠症を患う患者を診察するうち、何名もの患者が午前3時頃に瓜二つのフクロウの夢を見る事が判明。その翌日(10/3)、そのうちの催眠療法を行った患者が家族を人質にして自宅に立てこもり、自分諸共皆殺しにする。

 このときに患者が、自分が何をされたか思い出した。停める方法はこれしかない。と、録画されたテープに保存されている。 またタイラー博士も催眠療法を同僚より受けたが、その夜タイラー博士のボイスレコーダーに奇妙な叫び声やシュメール語が録音された。

 さらに翌日(10/4)、他の一人がタイラー博士の2度目の催眠療法中に突然浮き上がり、自らの体を無理やり捻じ曲げ頚椎三本を切断し、全身麻痺となる。このとき、その事実を認めなかったオーガスト保安官は事件の重要参考人としてタイラー博士の行動を制限するが、その日の夜、彼女の娘、アシュリーが何者かに拉致される。

 そのとき、タイラー博士の家の外で監視していた刑事が乗っていたパトカーのカメラの映像に、博士の家の上に巨大な飛行物体が現れる。このとき、そのパトカーに乗っていた刑事もその物体を目撃したが、オーガスト保安官はそれを認めようとはしなかった。

 そのさらに翌日(10/5)、タイラー博士自身が知り合いの心理学者に催眠をかけてもらい、診断するが、そのときの録画されたテープに奇妙な映像が写される。そのときに、博士といた同僚の博士とシュメール語を研究している博士がタイラー博士と同時に何者かに拉致された。とタイラー博士が証言。

 しかし夫の死が自殺である事実を認められない博士の心理状態、一緒に拉致されたという同僚の意見の食い違いなど謎は解明されないまま。 何が正しいのか憶測を呼ぶ。そして、アシュリーは未だに見つけ出されていない。

 科学的な研究とは何か? 
 私たちは科学的に立証された、毎日を生きているわけではない。分からないこともたくさんある。これまでは、無視すればよかったことも、身近な問題であったら、たとえ科学的に証明されていなくても、対処して生きて行かねばならない。

 逆に、何でも科学的に証明される必要はない。探求したり、研究する過程も科学である。タイラー博士も自分の体験は何かに役立つ研究だと、映画の中で訴えていたが、彼女にとっては一番最悪な方法、最悪なケースだった。こうなる前の考え方、研究方法に問題があったのだ。

 まだ「第4種接近遭遇」していない我々はどうしたらよいのだろうか?考えておくことは無駄なことではないと思う。例えば日本人は戦争の話をすると毛嫌いするが、沖縄に海兵隊の基地があることも、近くで戦争があったらどうするか想定しているからだ。自衛隊に軍備があるのも、外部からの戦争を想定してのこと。

 同様に、科学的に証明されていなくても、こちらが好んでなくても宇宙人がいて、外部から「第4種接近遭遇」されたらどうするか?...を考えてみたい。

 「THE 4TH KIND フォース・カインド」真相
 幸福の科学出版の「宇宙の法」によると、まず、「宇宙人の存在は確実である」という前提で話が始まっている。今、アメリカで問題になっている宇宙人は、レプタリアンという、爬虫類型の宇宙人で破壊的なタイプだ。

 このレプタリアンの遺伝子操作で、我々ヒトの体が作られたという。だから、レプタリアンから見ると、創造主は宇宙人で、我々ヒトはペットに過ぎない。レプタリアンは今のイラクに存在した「古代シュメール」では、直接人類を指導していた。

 今、多くのアメリカ人が第4種接近遭遇という形で、攻撃を受けている。この理由は、イラクを2度にわたり攻撃したから。イスラム圏の国々はレプタリアンの指導を受けた子孫の国であり、この攻撃について怒りを持っている。それにしても宇宙人がこのように、生きている地球人に対して、手出しをしてよいのだろうか?

 宇宙協定というものがあり、外部の宇宙人が人類に、直接干渉してはいけないことになっている。しかしあまりにも、地球人類が好戦的で調和や秩序を軽く見る場合には干渉してよいことにもなっている。今回のケースはその場合にあたる。

 一方、人類のレベルはまだ、絶滅危惧種であり、宇宙協定で保護される立場にあり、宇宙協定に参加するレベルに達していない。黒船が日本の歴史を変えたように、宇宙人との圧倒的なレベルの差を見て、我々は互いに協力し、調和と発展のバランスのとれた世界に変えて行かねばならない。

 「宇宙の法」では、こうした宇宙人との接し方を、合理的な考え方で述べている。人類にはまだまだ、科学的に証明できないものも多い。こうした、まだ未知のものに対しては、科学的な方法かつ、合理的な考え方で対処することが重要だ。

 不幸な事件が起きてしまう前に、どうしたら解決できるのか?それを事前に説いているのが「幸福の科学」なのである。

 

参考HP Wikipedia「THE 4TH KIND」 ・映画「THE 4TH KIND

「宇宙の法」入門
大川 隆法
幸福の科学出版

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ワーナー・ホーム・ビデオ

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発見!ホモ・サピエンスにわずか数%のネアンデルタール遺伝子

2010年05月09日 | 古生物
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 ネアンデルタール人とは何だろうか?
 ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅したヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 かつて、ネアンデルタール人は旧人と呼ばれ、我々ホモ・サピエンスの祖先とする説があった。また、ネアンデルタール人をホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスと分類する場合もある。この場合ネアンデルタール人と現世人類との分岐直前(約47万年前)の共通祖先もまたホモ・サピエンスということになる。

 しかし、遺骨から得られたDNAの解析から、我々の祖先ではなく、別系統の人類であることがほぼ明らかになった。この相違点は、他の動物種ならば十分別種として認識されるだけのレベルのものであるため、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは別種とする考え方が有力である。

 
 ホモ・サピエンスにネアンデルタール人の遺伝子  
 今回、ドイツのマックスプランク進化人類学研究所などの国際研究チームが、現生人類(ヒト)の一部はネアンデルタール人と交雑し、その遺伝子を受け継いでいたことを発見した。ネアンデルタール人のゲノム(全遺伝情報)配列を解析し、突き止めた。5月7日付の米科学誌サイエンスでその概要版を発表された。

 ネアンデルタール人はヒトに最も近い種の人類。約40万年前に現れ、欧州を中心に西アジアで生存、約3万年前に絶滅したとされる。約20万年前にアフリカで現れたヒトと同じ地域で生きていたが、両者の間に交雑はない、との考えが有力だった。

 研究チームは、クロアチアの洞穴から発掘された4万年ほど前の3人のネアンデルタール人女性の骨片を使い、ゲノム配列を調べ、ネアンデルタール人のゲノム全体の約6割を解明した。

 この情報とフランス、中国、パプアニューギニア、アフリカ南部と同西部の5人のヒトゲノムとを比べた。すると、アフリカ以外のヒトはゲノムの1~4%がネアンデルタール人由来と推測できた。子孫を残せるほど近い関係だったことになる。

 同チームはヒトの移動時期を踏まえ、アフリカを出た初期のヒトは10万~5万年前の間に中東でネアンデルタール人に遭って限定的に交雑し、その後、欧州やアジアに広がったと考えられるとした。また、認知機能や頭の骨の発達にかかわるとされる遺伝子は両者の間で大きな違いがあることもわかったとしている。

 国立科学博物館人類史研究グループの篠田謙一グループ長(分子人類学)は「人類の本質を探るための第一歩となる研究成果だ。未知の部分の多いヒトの遺伝子の働きについてさらに理解が深まれば、ネアンデルタール人についても同時にわかるようになるだろう。両者は分岐して数十万年しかたっておらず生物学的には交雑は可能と思っていたが、その考えがより強まった。ただ、交雑したと確定させるには、より古い時期のネアンデルタール人のゲノムを調べたり、ヒトがアフリカを出た時期を再検討したりするなどもう一段階必要だ」と話している。(asahi.com 2010年5月7日)

 ネアンデルタール人の発見
 最初に発見されたネアンデルタール人類の化石は、1830年にベルギーのエンギスで発見された子供の頭骨である。1848年にはスペイン南端のジブラルタルからも女性頭骨が見つかっている。しかしこれらの古人骨が発見された当時は、その正体はわからないままであった。

 最初に科学的研究の対象となったネアンデルタール人類の化石が見つかったのは1856年で、場所はドイツのデュッセルドルフ郊外のネアンデル谷 (Neanderthal) にあったフェルトホッファー洞窟であった。これは石灰岩の採掘作業中に作業員によって取り出されたもので、作業員たちはクマの骨かと考えたが念のため、地元のギムナジウムで教員を務めていたヨハン・カール・フールロットの元に届けられた。

 フールロットは母校であるボン大学で解剖学を教えていたヘルマン・シャーフハウゼンと連絡を取り、共同でこの骨を研究。1857年に両者はこの骨を、ケルト人以前のヨーロッパの住人のものとする研究結果を公表した。ちなみにこの化石は顔面や四肢遠位部等は欠けていたが保存状態は良好であり、低い脳頭骨や発達した眼窩上隆起などの原始的特徴が見て取れるものである。

 ネアンデルタール人の進化
 ネアンデルタール人の最も古い化石は中部更新世から発見されており、シュタインハイム人・サッコパストーレ人・エーリングスドルフ人その他幾つかが知られている。これらは時代的には典型的な後期ネアンデルタール人より早い時代に出現したという意味で「早期ネアンデルタール人」と呼ばれる。

 時代が古いため、一面では原始的であり、脳容量が小さく、眼窩上隆起が発達するなどの特徴があるが、一方で後に出現したネアンデルタール人よりホモ・サピエンスに共通する特徴が多い。すなわち、頭骨は丸みを帯びて後期のネアンデルタール人より頭高が高く、額のふくらみも発達し、更に上顎骨には犬歯窩が存在する(犬歯窩はホモ・サピエンスになって初めて現れる形質)。

 このように、早期ネアンデルタール人は後期ネアンデルタール人よりも進化していたとさえ言える特徴があり、大きな謎とされていた。現在では、ネアンデルタール人は下部洪積世にホモ・サピエンスと分岐したとされているので、かつて早期ネアンデルタール人の進歩的特長と言われた部分は、ホモ・サピエンスの祖先と分かれて間もない頃の、双方に共通する特徴が残っているものだと考えられている。

 また、彼らの化石は大部分が女性のものと思われるので、性差により進歩的に見えているとも、犬歯窩と見えるのは土圧による変形に過ぎないとする説もある。

 ネアンデルタール人の絶滅の謎
 ネアンデルタール人は2万数千年前に絶滅してしまった。絶滅の原因はよくわかっていない。クロマニョン人との暴力的衝突により絶滅したとする説、獲物が競合したことにより段階的に絶滅へ追いやられたとする説、ホモ・サピエンスと混血し急速にホモ・サピエンスに吸収されてしまったとする説など諸説ある。

 1999年にポルトガルで、そして2003年にルーマニアで発見された化石の骨格が、新旧人双方の特徴を備えていたことから、新旧人の混血化を主張するグループが現われ、議論を呼んでいる。一方、ネアンデルタール人の化石から抽出されたミトコンドリアDNAの解析からは、新旧人の混血化には否定的な結果が得られている。

 これに対して、ワシントン大のアラン・テンプルトンらは、従来のミトコンドリア遺伝子などの単一の部分だけを調査して決定づける方式ではなく、10か所の遺伝子を調査したところ、混血しているとの結果を導き出している。ただし、2006年から2008年にかけて行われたネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの全配列解析では、ホモ・サピエンスとの交配の証拠は見つからなかった。

 従来、ネアンデルタール人は約3万年前に滅亡したと考えられていたが、2005年にイベリア半島南端のジブラルタルの沿岸の洞窟から、ネアンデルタール人が使っていた特徴のある石器類や、洞窟内で火を利用していた痕跡が見つかった。この遺跡は、放射性炭素による年代分析で2万8000-2万4000年前のものと推定された。このことから、ネアンデルタール人は、少なくとも地中海沿岸からイベリア半島においては、しばらくの間生き残っていたと考えられる。これにより、「ネアンデルタール人は約3万年前に絶滅した」という説はわずかに修正されることになった。

 そして今回、現生人類のほとんどは、ほんの数パーセントではあるがネアンデルタール人ゲノムが混入しているとの研究結果が2010年のサイエンス誌に発表された。この説が正しければ、中東を経てヨーロッパからアジアにまで拡がった現生人類の殆どは、絶滅したネアンデルタール人の血をわずかながらもひいていると言うことになる。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「ネアンデルタール人」・アイラブサイエンス「アウストラロピテクス・セディバ 

ネアンデルタール人の正体―彼らの「悩み」に迫る (朝日選書)
赤沢 威
朝日新聞社

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最後のネアンデルタール 別冊日経サイエンス127
イアン・タッターソル,高山 博,Ian Tattersall
日経サイエンス

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どうなる?「諫早湾干拓事業」 開門?閉門?超難問

2010年05月08日 | 環境保護
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 名古屋市藤前干潟を守れ!
 諫早湾だけでなく、干潟を保護する運動が各地で起きている。

 藤前干潟は、名古屋港西南、臨海工業地域の中にある干潟である。面積はおよそ350ヘクタール。伊勢湾に残る最後の干潟で、シギ・チドリ類などの渡り鳥の飛来地として有名である。

 1984年、伊勢湾に広がる約250haの干潟のうち、105haをゴミ処理場建設のために埋め立てる計画が名古屋市から発表された。この問題について、地元の「藤前干潟を守る会」が計画の見直しを求める活動を行った。住民投票でも反対が圧倒的多数を占めた。

 しかし、名古屋市はアセスメントを行った結果、その計画が渡り鳥などの生態に影響すると知りながらも、人工干潟の造成を条件に埋め立てを実行に移そうとした。

 1999年に環境省(当時・環境庁)は人工干潟の造成では現環境の維持は極めて困難とする見解を出したうえ、寺田達志環境庁環境影響評価課長が検討結果を持って、名古屋市役所に単身で訪れるなど異例の行動で強硬な反対姿勢を示し、埋め立て計画の中止が決定し、藤前干潟を守ることができた。

 干潟と干拓
 干潟は、干潮時に沿岸域に現われる、砂や泥がたまった場所。内湾や入江など、外海の波の影響が少なく、河川が流れ込み砂や泥を運んでくる場所にできる。陸から流れ込む有機物を二枚貝(アサリなど)や底生生物(ゴカイなど)などが分解するため、水質浄化機能が高い。底生生物を餌とする魚類や水鳥などが数多く集まるため、藻場と同じように、多様な生き物が生育したり、餌を食べる場となっている。

 干潟は埋立・干拓がしやすいため、近年は工業用地や農用地の造成などに利用され、多くが消失した。残された干潟を保護するための住民運動などが各地で起きている。代表例に、長崎県諫早湾、千葉県三番瀬、沖縄県泡瀬干潟などがある。

 一方、狭い土地を干拓によって広げようとする事業も、日本では古来から行われてきた。伊勢湾や有明海の一帯、児島湾などで干拓が盛んで、明治時代以降も秋田県の八郎潟など、大型の干拓事業が行われてきた。

 その目的は、優良な農地の造成。大規模な区画(3ha~6ha※)の農地の造成により、大型機械による効率的な農業が可能となる。また、安定した農業用水の供給により、作物の収量の安定、品質の向上、多品目化等が可能になる。

 さらに、防災機能の強化にも役立つ。潮受堤防を建設し調整池を設け、調整池の水位を低く管理することにより、高潮や洪水に対する防災機能を強化する。また、常時の排水不良も改善される。などの利点もある。

 諫早湾の開門と有明海の再生
 1997年に国営諫早湾干拓事業(諫干)で閉め切られた潮受け堤防の開門問題で、政府・与党の方針をまとめる検討委員会(座長・郡司彰副農相)が、今月末にも開門の是非について方向性を出す。県内の漁業者が「有明海を再生させる」と確信する開門へ舵(かじ)は切られるのか。答えを待つ漁業者には、期待と不安が交錯する。

 漁村の活気、取り戻せる
 「(水産業は)タイラギも豊漁で……」。長崎県の中村法道知事は4月15日、同県諫早市で開かれた赤松広隆農相との意見交換会の席で、開門反対の理由を説明した。傍聴していた佐賀県太良町大浦のタイラギ漁師、平方宣清さん(57)は、漁業の実情を見ない発言に憤りを覚えた。

 大浦地区のタイラギは、1996年度までの10年間に貝柱で平均170トンが取れたが、堤防閉め切り後は、成長中の貝が夏を越せずに大量死する現象が繰り返され、2007年度には過去最低の2キロ、2008年度も940キロにとどまった。漁を見送った年もあり、以前の活況には程遠い。

 その一方、今季は有明海で近年にない生息量が見つかった。大浦も久しぶりに活気づき、昨季の8倍となる約60隻が港を出入りした。瀬戸内海での漁や、農作業の手伝いで生計を立てていた平方さんも、6季ぶりに地元で潜水漁に精を出した。

 今季の豊漁は好転の兆しにも見えるが、平方さんは「気象条件に恵まれたため」とそっけない。2年続けて夏に北風がよく吹き、赤潮を外海に逃がして生息環境の悪化が抑えられたのが、成貝が夏を越せた理由という。

 「海が回復したわけでなく、次の夏はどうなるか」。あくまでも開門が必要と訴える。

 県内の漁業者が開門に期待するのは、2002年4月から約2カ月間実施された短期開門調査で、環境が改善した経験があるからだ。わずかな期間の開門だったが、翌年のタイラギは3季ぶりに漁が解禁できるまでに回復し、赤潮被害を受けていた養殖アサリも、稚貝が多数発生したという。「開門すれば海は再生する」と確信する。

 平方さんは「毎年取れるようになれば、若い後継者が続き、にぎわいも戻る。それが私たちの一番の望み」と話し、「開門」の判断を待ち望んでいる。

 政治決着最後の望み
 参院議員会館の会議室にいらだった漁業者の声が響いた。「政権が代わっても1ミリも動かないではないか」

 2月17日に国営諫早湾干拓事業(諫干)潮受け堤防開門訴訟の原告弁護団が開いた国会議員への報告集会。太良町大浦のノリ養殖業、大鋸武浩さん(40)が発言した。

 諫干に近い太良町や鹿島市沖の有明海では、昨季に続き今季も冬の養殖ノリが色落ち被害に見舞われた。

 大鋸さんの漁場もノリが黄緑色になり、冬期の水揚げは50万円と、例年の10分の1程度に落ち込んだ。

 色落ちはノリを育てる栄養塩を奪う赤潮が真冬にも発生するようになったため。地元では「潮受け堤防の排水が原因」との声が大勢だ。集会で大鋸さんは「非常に苦しい。開門しないと、同じ被害が繰り返される」と訴えた。

 報告集会から5日後、赤松広隆農相は、衆院予算委員会で開門の是非を検討する委員会の設置を表明。諫干問題は政治判断に向かって動き出した。

 有明海全体に広がる被害
 早期開門を求めてきたノリ漁業者団体「佐賀有明の会」会長の川崎賢朗さん(49)=佐賀市川副町=は、ようやく迎えた政治判断の山場を前に「いくら押しても動かなかった岩が動き出した」と期待感を示す。

 2000年度のノリ凶作を契機に、「諫干が元凶」とみて有明海の再生運動に取り組み始めた川崎さんたち。陳情だけではらちが明かないと、法廷闘争にも加わった。

 だが、国は自ら設置した第三者委員会などに促されても、半年~数年の中・長期開門調査を実施しようとしなかった。2002年に約2カ月間の短期開門調査をしただけで、かたくなに拒んできた。

 2008年6月には、佐賀地裁が国に対し5年間の開門を命じる判決を出したが、国は控訴。その上で「開門調査のための環境アセスメント」を実施するという、矛盾をはらんだ対応をしている。

 「農水省の官僚主導である限り、期待はことごとく裏切られる。開門には政治決着しかない」と川崎さん。

 しかし、急に動き出した政治判断の流れには戸惑いもある。今回の判断で漁業者の願いが再び遠ざけられれば、頼みの綱も切れてしまう。

 「これが最後のチャンス」。川崎さんは新政権が出す答えを見極めようとしている。(毎日新聞 2010年4月24日)

 諫早湾の開門「大変遺憾」長崎県知事が不快感
 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、政府、与党の検討委員会が潮受け堤防の排水門を開門し漁業への影響を調査すべきだとの方針をまとめたことについて、長崎県の中村法道知事は28日、「これまで地元として開門反対の意見を伝えてきたが、そういう方向で集約されつつあるのは残念で大変遺憾」と述べた。県庁で記者団の質問に答えた。

 中村知事は検討委の判断について「2002年の短期開門調査では実際に被害が生じ、(堤防閉め切りの)影響は諫早湾内にとどまり有明海に及んでいないとの結果が出ている。それを踏まえて判断しているのか疑問だ」と不快感をあらわにした。

 さらに「開門すれば地元で被害が生じることは間違いなく、もっと真剣に理解してもらえるよう努力する」と話し、地元の団体や県議会などと連携し、開門反対を訴えていく意向を示した。(2010/04/28 共同通信)

 

ルポ 諫早の叫び よみがえる干潟ともやいの心
永尾 俊彦
岩波書店

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有明海の自然と再生
宇野木 早苗
築地書館

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どうなる?有明海「諫早干拓事業」 住民と漁民、県と政府の対立

2010年05月07日 | 環境問題
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 潮干狩りと干潟
 ゴールデンウィークみなさんどう過ごしましたか?わが家では、近所で潮干狩りができるところが見つかったので、アサリを取りに出かけました。潮干狩りといえば千葉の富津などが思い浮かびますが、何と横浜や川崎でもアサリの獲れるところがあるのです。知っていましたか?

 川崎はかわさきの浜、横浜は海の公園どちらも人工の海浜なんだそうです。ただし、人気のスポットなので、朝早くでかけないと駐車場がいっぱいになります。さて、潮干狩りのできるところは、流れの少ない内湾の河口付近にできる干潟ですが、最近、干潟の水質をきれいにする浄化作用が注目されています。干潟は大切に保護しようというのが最近の考えです。

 干潟で問題になっているところがあります。諫早湾干拓事業の問題です。長崎県の諫早湾は、有明海の中央部西岸からさらに南西側に入りこんだ湾です。遠浅の干潟を利用して、古くより干拓が行われてきましたが、1989年より着工した国営諫早湾干拓事業が、有明海全体を含んだ環境保全上の争点となっています。

 漁民側は干拓事業により、漁獲量が激減したことを主張、一方農地を購入した、農民や地域住民は反対、干拓は狭い日本の土地を広げるだけでなく、塩害・水害を防ぎます。今日は諫早湾の問題に迫ります。

 「諫早湾干拓事業」漁民は即時開門要求
 4県漁民が集会国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、政府、与党の検討委員会が潮受け堤防排水門を早期に開門すべきだとの報告書を赤松広隆農相に提出したのを受け、佐賀、長崎、福岡、熊本4県の有明海沿岸の漁業関係者や支援者約50人が5月8日、佐賀市で集会を開き、国に即時開門を実施するよう求めた。

 長崎地裁で開門を求めて係争中の馬奈木昭雄原告弁護団長は「防災対策など、できることをやった上での開門を強く要求する。アセスメントは開門調査をしながら進めればいい」と強調した。

 佐賀県選出の大串博志財務政務官も「鳩山政権で政治決着をつけようと動きだした。私も生涯の仕事として頑張りたい」と表明、会場から拍手が起きた。

 今後の活動として、ファクスで意見を赤松農相に送るほか、5月8日に潮受け堤防の前で即時開門を求め海上抗議行動を、5月24日には国会の前で座り込みを行うことを決めた。

 赤松農相は4月28日、「検討委の結果を尊重する」として、5月中旬にも開門を正式表明する考えを示している。(2010/05/08 共同通信)

 「諫早湾干拓事業」住民は断固阻止
 去る5月1日、国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、排水門開門に反対する「断固阻止緊急総決起集会」が、諫早市の諫早公園であった。干拓地周辺住民ら約2000人(主催者発表)が参加した。

 商工団体などでつくる「諫早湾防災干拓事業推進連絡本部」の主催。政府・与党の検討委が有明海の異変調査のため開門調査実施が妥当とする報告書を赤松広隆農相に提出し、近く農相が開門を表明するとみられる中、地元の反対を訴えるため緊急に開いた。

 まず、検討委メンバーで民主党の西岡武夫参院議員が「私が止められなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい。日本の宝の干拓を私は守ります」とあいさつ。中村法道知事は「有明海異変は諫干だけでなく複合的要因がある。長崎県が被害者になってはいけない」と語気を強めた。住民代表たちは「開門すれば生活が脅かされる」などと意見発表した。(毎日新聞 010年5月2日)

 諫早湾の干拓事業とは何か?
 1989年より「国営諫早湾干拓事業」の工事が行われ、1997年4月14日に潮受け堤防が閉じられた。それにより、かつては「宝の海」と言われた有明海に海底への泥の沈殿、水質汚染が生じて有明海全体が死の海と化し、二枚貝タイラギが死滅、奇形魚の増加、海苔の色落ちなど重大な漁業被害が発生したとして、自然保護団体のみならず、沿岸の各漁業協同組合の猛反対にあっている。

 しかし、干拓の工事前に漁業補償として、総額279.2億円が支払われたことにより、各漁協の漁業権は消滅(潮受堤防内八漁協)又は一部放棄・制限されている。加えて魚類の漁獲減少や水質汚濁には、海苔養殖業者が消毒目的に散布した酸や化学肥料による影響との主張もあり、海苔養殖業者と他の漁業者との紛争も発生している。

 なお、諫早湾沿岸におけるタイラギの漁獲不振は締め切り前から始まっており、1993年から休漁となっている。また、有明海は閉鎖的浅海であり、もともと河川から流れてくるリンや窒素によって栄養過剰になりやすい環境にあり、赤潮が発生しやすい。その原因は干拓事業よりも、有明海に注ぐ生活排水の影響が大きい。しかし、干潟の浄化作用が機能しなくなった損失は大きい。(Wikipedia)

 判決と開門への気運
 2008年6月27日佐賀地裁は干拓事業と漁業被害と関連を問う裁判で漁業被害との関連を一部認め水門5年間開放するよう命じる判決を言い渡した。公共事業に対しノーを突きつけたものだった。 これに対して国側は控訴し、未だ水門は開門されてきた。

 2010年4月27日、諫早湾の潮受け堤防排水門を開門するかどうかを議論していた農林水産省と与党の検討委員会は、長期の開門調査を実施すべきだとする報告案をまとめた。

 これを受け、赤松農相は近く実施の方針を表明する。長期開門されれば、1997年の湾閉め切り以来初めて。有明海の漁業被害の原因と指摘されてきた同事業は、閉め切りから13年を経て大きな転換点を迎えた。

  関係者によると、開門期間は少なくとも1年以上。閉め切り後、干拓地での農業が始まる以前の2002年に1か月間の開門調査をしているが、検討委は、一定期間以上開門しなければ有明海の漁業への影響を調べられないと判断した。同事業をめぐっては、有明海に漁業被害が出ているとして、佐賀地裁が2008年、5年間の常時開門を命じたが、国が控訴していた。同省は控訴の取り下げや和解も検討する。

  一方、開門した場合、周辺地域への水害や塩害が懸念されており、同省では、来年4月までに開門の影響を調べる環境影響評価(環境アセスメント)を並行して実施、対策をとった上で開門を進めたいとしている。ただ、佐賀、熊本、福岡の3県が開門に賛成する一方、干拓地を抱える長崎県は強く反対しており、実際の開門時期は不透明だ。 (2010年4月27日 読売新聞)  

 

宝の海を取り戻せ―諌早湾干拓と有明海の未来
松橋 隆司
新日本出版社

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日本の干拓地
山野 明男
農林統計協会

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燃料が100倍?夢の高速増殖炉「もんじゅ」 14年ぶり 運転再開!

2010年05月06日 | エネルギー
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 「もんじゅ」運転再開、14年5か月ぶり
 日本原子力研究開発機構は6日午前、1995年12月のナトリウム漏れ事故で停止中だった高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、出力28万キロ・ワット)の運転を、14年5か月ぶりに再開した。

 順調なら8日にも、原子炉内で核分裂反応が連鎖的に起きる臨界に達する。資源小国の日本が進める核燃料サイクル計画の重要な柱となる高速増殖炉計画は、2050年の商業化の実現に向け動き出した。

 6日午前10時36分、もんじゅの中央制御室で、経済産業省原子力安全・保安院の検査官らが見守る中、運転員が、原子炉の出力を調整する19本の制御棒のうち1本を引き上げるスイッチを押し、運転の再開を宣言した。今回は「炉心確認試験」と呼ばれる試験運転を7月下旬まで行う。出力は最大値の1.3%以下に抑え、制御棒の効き具合や、原子炉の安全性など、もんじゅの基本的な性能を確認する。事故を起こした2次冷却系ナトリウムは流すが、発電のためのタービンは回さない。

 試験運転終了後、もんじゅは原子炉を止め、点検を行う。来年度にも事故時と同じ40%の出力で運転し、発電を開始する。12年には出力100%の運転を達成し、順調なら13年以降、本格運転に入る見込みだ。高速増殖炉は、半永久的にエネルギー自給を可能にするため、使用済み核燃料を再処理して利用する核燃料サイクル計画の柱に位置づけられている。国は25年ごろに実証炉を開発、50年までに実用化を目指す。(2010年5月6日  読売新聞)

 燃料を増やす夢の原子炉
 世界中の地球温暖化対策のひとつとして、原子力が見直されている。「もんじゅ」の運転再開もその一つである。しかし「もんじゅ」は他の原子力と違う高速増殖炉(FBR)。いったいどんな仕組みになっているのだろうか?  

 高速増殖炉(FBR)とは、 高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉のことをいう。高速中性子を利用しながら核燃料の増殖を行わない原子炉の形式は、単に高速炉(FR)と呼ばれる。通常の原子炉は軽水炉(LWR)と呼ばれる。

 ウランは貴重な資源で、どの国も原子力発電に力を入れていることから、ウランの値段が4~5倍になっている。高速増殖炉ならば、発電しながらプルトニウムという燃料をつくっているので、一石二鳥の発電なのだ。

 核分裂を起こしやすいウラン235は天然に存在するウランの0.7%程度にしか過ぎず、約99.3%は核分裂をほとんど起こさないウラン238であるため、エネルギー源として利用できるウランは、ウラン資源の1%にも満たない。

 しかし高速増殖炉によってウラン238をプルトニウムに転換することができれば、核燃料サイクルが実現し、理論上ウラン資源の約60%をエネルギーとして使用することが出来る。

 現在、プルトニウムをウランと混ぜて軽水炉原発で燃やす「プルサーマル計画」が進行中であるが、ウラン資源のうち燃料として使える量の比率は、これまでの原発を「1」とすると、プルサーマルでは「約1.2倍」、高速増殖炉の場合は「100倍」とされるほどエネルギー効率がアップする。

 ナトリウムを使う理由
 しかし「もんじゅ」は1991年から試運転を開始したが、1995年にナトリウム漏出火災事故が起きたために運転を休止して、今回、2010年5月6日に運転を再開したが14年5ヶ月も経過した。なぜ、危険なナトリウムを使うのであろうか?

 原発は核分裂の熱で水蒸気を発生させ、発電機のタービンを回す。高速増殖炉には水の代わりにナトリウムを使う。これは、水では中性子が飛び回るスピードが落ち、プルトニウムを増殖できないためである。ナトリウムは800度の高温でも沸騰せず効率よく熱を伝える半面、水や酸素と激しく反応して危険な物質。これが高速増殖炉の「アキレスけん」となっている。

 もんじゅの課題
 高速増殖炉は技術的に困難であるが、エネルギー効率がよいので、将来のエネルギー需要増が懸念されるフランス、中国、インドなどの国々では積極的に研究されている。また、ロシアも中国と共同で開発する意向を表明している。インドは2010年に独自開発の原型炉で商業運転を開始する予定。

 原子炉開発のためには、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉、商用炉というステップを踏まねばならず、まだ、実用化に漕ぎ着けた国はどこにもいない。日本の「もんじゅ」は原型炉。商用炉は2050年の予定だ。

 また、燃料としてプルトニウムも使うが、核兵器の材料にもなるプルルトニウムを大量に加工・保有することに対して、国際的な懸念や批判がある。

 日本での高速増殖炉用のMOX燃料は、六ヶ所再処理工場での製造が予定されているが、アクティブ試験が3年間継続したままであり、本格稼働の開始予定は遅れている。ここでMOX燃料が生産できなければ、他国から輸入するか原子炉の稼動を見合わせることになる。

 

参考HP Wikipedia「高速増殖炉」「もんじゅ」・文部科学省「もんじゅ」がひらく未来日本原子力研究開発機構

原子炉構造工学 (原子力教科書)
上坂 充,笠原 直人,鈴木 一彦,鬼沢 邦雄
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原子炉物理入門
平川 直弘,岩崎 智彦
東北大学出版会

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祝!EXPO 2010上海万博開幕!ともに豊かな未来を目指して

2010年05月05日 | テクノロジー

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 上海万博開幕!
 5月1日上海万博が始まった。中国が北京オリンピックと並んで国家プロジェクトとして力を入れてきた上海万博。ゴールデンウィーク中、上海空港には多くの日本人観光客の姿が見られた。

 経済発展が著しい中国、ぜひ誰もが努力と工夫で、豊かになれる国を目指してほしい。そのための万博であれば、応援したいと思う。さて、今回の上海万博のテーマは何だろう?

 上海万博会のテーマは「より良い都市、より良い生活」である。次に今回の万博のサブ・テーマであるが、「都市多元文化の融合」「都市経済の繁栄」「都市科学技術の革新」「都市コミュニティーの再生」「都市と農村の対話」となっている。

 会期は、2010年5月1日―10月31日、場所は、上海市中心黄浦江両岸、南浦大橋と盧浦大橋間の濱江地区。目標は「200の国家と国際機関の出展、7000万人の見学者を誘致」である。スケールの大きい、新しい可能性に満ちた雰囲気を感じる「上海万博」。私もチャンスがあれば見学したいものである。

 上海万博の見どころ
 上海万博でも目立つ赤い建物の中国館は、日本円でおよそ280億円をかけて造られた。投資額、規模ともに最大のパビリオンとなっている。

 そして、円盤型の大きな建物、万博文化センターでは、30日夜に開会式が行われた会場だ。この開会式に出席するため、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領や、北朝鮮のNo.2・金永南(キム・ヨンナム)氏など、各国の要人が現地入りしてた。

 上海万博の会場の面積は、史上最大の328ha、参加する国と国際機関などは過去最多の246。あらゆる面で、No.1にこだわる中国が、国の威信をかけて開催した。

 日本産業館では、パビリオンの壁を器用に登り降りするロボット「夢ROBO」を見ることができる。また、ハイテク技術から大阪名物のたこ焼きまで、42の企業が出展する。紫色のカイコのような形をした日本館は、リハーサル期間中、3時間待ちの列ができるほどの人気を集めた。

 そして、スペイン館の見どころは、巨大赤ちゃんロボット「ミゲルちゃん」。唇の潤いや目の表情は、まるで生きているかのよう。

 さらに今回、パビリオン以外で見逃せないのが万博会場の夜景。色とりどりの光がロマンチックな雰囲気を演出し、川岸に設置された巨大スクリーンでは、映像と音楽を組み合わせた幻想的なショーが楽しめる。

 一方で、客のマナー違反や、準備不足のパビリオンなど、運営面での不安が残る。こうした中、開幕を控え、会場周辺では変化が見られた。30日、開幕を待ちきれない観光客らが会場周辺で写真撮影をしている一方で、多くの警察が巡回していて、警備が強化されていた。今回の万博は、会場だけでなく、市内の地下鉄など各所で、厳しい警備態勢が敷かれている。(04/30 FNN news)

 「環境の日本」売り込め!
 中国で5月に開幕する上海国際博覧会(上海万博)で、日本政府と企業・団体が共同出展するパビリオン「日本館」に、二酸化炭素(CO2)を排出しない未来の都市「ゼロエミッションタウン」が登場する。太陽光パネルや環境対応車(エコカー)など日本の先端技術のほか、下水を飲用水に処理する最新の水システムも紹介。「環境の日本」を世界にアピールして、今後世界的に需要が高まる環境関連技術や水ビジネスの国際展開につなげることを目指す。

 日本館の名前は「紫蚕島(日本語愛称・かいこじま)」。敷地面積6000平方メートルで、政府のほかキヤノン、トヨタ自動車、パナソニックなど約20の企業・団体が「こころの和・わざの和」を共通テーマとして出展する。「地球温暖化問題など人類が直面するさまざまな課題を、日本と中国が技術や人の協力によって解決しよう」とのメッセージを込めた内容になる。

 展示の目玉の一つがゼロエミッションタウンだ。CO2を排出しない2020年の街の姿をセットなど実物大で表現するのが売り。風力発電や次世代型送電網(スマートグリッド)、燃料電池自動車に水素ガスを供給する「水素ステーション」などが立ち並ぶ風景を写真で立体的に作り出し、エコカーや省エネ家電を配置。窓ガラスに張り付けて発電する「太陽光発電窓ガラス」、人や車が通る圧力で電気を生む「発電床」など、実用化に向けて開発が進む先端技術の実物も展示する。

 また、下水を日本のろ過膜技術などで浄化し、飲用水として供給するシステムも紹介する。中国では急激な工業化で水需要が急増する一方、湖水の汚染が社会問題化している。日中両政府は昨年11月に北京で開かれた「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で、水質浄化などに関する協力で合意したばかり。日本側は、技術を広く紹介し、中国での技術導入やビジネス展開に弾みをつけたい考えだ。(毎日新聞 2010年1月12日)

 上海の歴史
 さて、中国と日本はお隣で、よいことも悪いことも互いにかかわり合った長い歴史がある。そして、中国と世界とはアヘン戦争や第二次世界大戦などを通じて、帝国主義の中で植民地支配を受けるなど複雑な歴史もあった。そのなかで上海とはどんな都市なのだろう?
 
 市中心部を流れる黄浦江沿いの外灘(バンド)地区。重厚な西洋建築が、「魔都」と呼ばれた20世紀前半の面影を残す。当時、アジア有数の都市に成長した上海はにぎわいを見せていたが、英仏などの租界が置かれ、治外法権がまかり通っていた。

 上海という名は唐代にまで遡り、蘇州河の南に上海浦という村ができたのが始まりで、宋代には上海鎮と呼ばれるようになり港を持つようになる。元代には都としての機能を持つようになり、清代には海運港が設けられて地域の物流の集積地として、また国内でも有数の海運港として発展していく。

 そんな上海が、国際的な歴史に登場するのは1842年の南京条約からで、アヘン戦争の終結後、条約港として開港して以来、イギリス、そしてフランスなど諸外国の租界が形成されるようになってからのことだ。

 租界という自らの国の行政権が及ばない治外法権地区の拡大とともに上海も展し、当時の最先端建築様式の建ち並ぶ様子は「東洋のパリ」とも称された。1920年代頃には、日本も英米と共同の租界に進出し、極東最大の都市として発展し、アジア経済の中心となった。第2次世界大戦前までは、そうした国際色豊かな植民地的都市だった、大戦中には戦火を逃れた様々な人々で街が形成され、華やかさと同時に猥雑さを併せ持つ混沌とした街となり、「東洋の魔都」とも称されていた。
 
 戦後、暫くのあいだは相変わらず上海に外資の進出が続いたが、1949年の中華人民共和国成立で外資の流入は一旦終了した。革命後には中国経済を牽引する大きな役割を担い、一大工業大都市として変貌してきたが、近年改革開放政策という対外政策の変化により、再び国際都市としての機能を持つ中国一の大都市に急速に変貌した。いまなお現在も著しい経済成長の中で、上海は中国のビジネスや金融の中核的なセンターとしての発展を続けている。

 改革開放とは何か?
 改革開放とは、中華人民共和国の小平の指導体制の下で、1978年12月に開催された中国共産党第十一期中央委員会第三回全体会議で提出、その後開始された中国国内体制の改革および対外開放政策のこと。毛沢東時代の大躍進、文化大革命で疲弊した経済を立て直すため、現実派の小平は「四つの近代化」を掲げ、市場経済体制への移行を試みる。基本原則は先富論に代表されるように「先に豊かになれる条件を整えたところから豊かになり、その影響で他が豊かになればよい」という考え方である。

 これはそれまでの絶対平等主義(ネガティブウェルフェア)を切り離した象徴といえる。これにのっとり、農村部では人民公社が解体され、生産責任制、すなわち経営自主権を保障し、農民の生産意欲向上を目指した。都市部では外資の積極利用が奨励され、広東省の深圳、福建省のアモイなどに経済特区が、上海、天津、広州、大連などの沿岸部諸都市に経済技術開発区が設置される。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「上海」「改革開放」・中国上海旅行ガイド「上海の歴史」・上海万博公式HP

2010上海EXPO 2009年7月号
2010年上海万博局
精華

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上海路地裏万博 アジアの街トラベルガイド
須藤 みか
双葉社

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史上最悪!エクソンバルディーズ号をこえる原油流出事故発生?

2010年05月04日 | 環境問題
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 史上最悪の原油流出事故?
 2010年4月20日にアメリカ合衆国ルイジアナ州のメキシコ湾沖合80kmで操業していたBPの石油掘削施設(石油プラットフォーム)「ディープウォーター・ホライズン」(Deepwater Horizon)が爆発し、海底1,500mへ伸びる掘削パイプが折れて海底油田から大量の原油がメキシコ湾全体へと流出した事故が長期化しそうだ。

 5月2日には、オバマ大統領は非常事態宣言が出ているルイジアナ州を視察。 「前例のない環境破壊となりうる」と危機感を表明。汚染拡大をめぐり、米政府の対応が後手に回ったとの批判が出ているが、大統領は掘削を操業する英BP社に「流出の責任がある」とあらためて強調。「(政府への批判は)まったく受け入れられない」と反論した。

 同州ベニスで地元漁業関係者とも面会し、被害抑制のため全力を注ぐことを約束した。ただ、水深約1500メートルの海底から噴き出す原油を根本的に食い止めるめどはたっておらず、漁業や海運、観光への被害拡大が懸念されている。

 現在の流出量は1日当たり800キロ・リットル以上、これまでの累計は6000キロ・リットル以上と見られる。対策本部を指揮する米沿岸警備隊のサッド・アレン司令官は1日の記者会見で、「漏えい場所は海底1500メートルのため正確な流出量は把握できない」と述べ、海に流れ出す油の量がさらに膨れあがる可能性も認めた。

 これまでの史上最悪の原油流出事故は、1989年アラスカ沖のエクソンバルディーズ号原油流出事故で、原油流出量は、4万2000キロ・リットルだった。今回は、積載量が限られるタンカーと違い、最終的な流出量の予測がつかない状況になっており、史上最悪の事故になる可能性が出てきた。

 ディープウォーター・ホライズン
 2010年4月20日夜、世界最大の沖合掘削請負会社トランスオーシャン社が管理するルイジアナ州ベニス沖の126人が働く石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、大規模な爆発があり、11人が行方不明となり、17人が負傷した。当時は126人の作業員が働いていた。掘削施設は4月22日に水没した。

  爆発事故は当初、海面に浮いた油は、施設に残存していた分と見られていた。しかし、原油流出が続いていることが判明、事故の際、油井を自動遮断する仕組みが作動しなかったとの見方が強まっている。英メジャーBPは爆発後、水面下1500メートルの油田に無人ロボットを送り込み、流出元の遮断を試みているが、成功していない。 

 アメリカ合衆国沿岸警備隊によると、石油掘削基地から延びる原油の帯は4月30日に200km、幅120kmに達したとされ、ルイジアナ州の住民からは29日に沿岸に漂着しているという報告がある。そのため、ルイジアナ州、アラバマ州、フロリダ州、ミシシッピ州の4州で4月30日に非常事態宣言が出された。66kmのオイルフェンスが張られているが、封じ込めのめどは立っていない。
 
 自動船位保持装置(DPS)
 ディープウォーターホライズンは技術の粋を集めた最新の石油リグとされ、つい数ヶ月前には、史上最も深い油井を採掘したとして話題を集めていた。

 現在、この石油リグはルイジアナ州ベニスの南東80キロのメキシコ湾の海底に沈んでいる。現在は無人潜水艇によって、石油の流出が拡大していないか、および採掘施設の残骸が近隣の石油パイプラインを損傷する可能性がないか、監視が続けられている。

「この事故は皮肉なことに、環境保護の象徴であるアースデイ当日の爆発として歴史に残るだろう」と、自然保護団体「野生生物の保護者(Defenders of Wildlife)」の海洋プログラム上級政策顧問リチャード・チャーター氏は話す。「最新の最高水準の技術が失敗したということだ」。 (National Geographic News April 26, 2010)

 事故を起こした「ディープウォーター・ホライズン」は自動船位保持装置(Dynamic Positioning System、DPS)を備えた半潜水式の石油プラットフォームで、海に浮きながら自動で位置を調節して大水深の海底から石油を掘削することができる。

 R&Bファルコン社の発注で1998年末から韓国の現代重工業が建造し、R&Bファルコンがトランスオーシャンによって買収されたことにより、2001年2月にトランスオーシャン社に引き渡された。以来、イギリスの石油会社BPとの契約の下で、メキシコ湾沖の海底油田で石油掘削を行ってきた。(Wikipedia)

 環境破壊を防げ!
 流出した原油の回収作業は悪天候のために困難を極めたと、官民共同対策チームのメンバーは話す。海が荒れているため、回収船で回収した原油を焼却処理することも困難である。

 流出した原油にはこれまでに37万リットルを超える化学的分散剤が散布された。分散剤によって、流出する原油の総量が減ることはないが、原油の化学的特性や物理的性質が変化し海岸を汚染せずにそのまま水に溶ける確率が高くなる。(National Geographic News April 30, 2010)

 ルイジアナ州は2005年に南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被災地。事故現場はルイジアナ州ミシシッピ川河口南東約80キロ。

 ルイジアナ州は米国沿岸湿地帯の約40%を占め、魚介類の有数の繁殖地。野生動物や希少植物など生態系への深刻な影響が懸念されている。 現場海域に近いルイジアナ州などの沿岸部は、米国のリゾート地としても名高い。

 メキシコ湾を拠点にしている環境保護団体は「流出現場は、絶滅危惧(きぐ)種のウミガメやイルカが生息しており、自然環境に重大な影響を及ぼす」として、流出を防止する作業を加速するよう求めている。

 すでに流出した原油の一部は漂着し、ルイジアナ州ニューオリンズ南東約110キロでは黒い油まみれの水鳥が確認された。 油を処理する乳化剤もまかれているが、問題の解決には数カ月かかる可能性が出てきた。(時事通信 2010年5月1日) 


参考HP‎ Wikipedia「エクソンバルディーズ号原油流出事故」・National geographic news「メキシコ湾原油流出事故」・アイラブサイエンス「エクソンバルディーズ号原油流出事故

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アルツハイマー病の症状と要因 予防法と対処法・医薬品

2010年05月03日 | 健康
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 老人斑とアルツハイマー病
 アルツハイマー病の特徴の一つとされる脳の「老人斑(アミロイド斑)」がなくてもアルツハイマー病の症状が起きることを、大阪市立大などの研究チームがマウスで実証した。老人斑を抑制するだけでは有効な予防や治療にならない可能性がある。米神経科学会誌(電子版)に掲載された。

 老人斑はアミロイドベータ(Aβ)というたんぱく質が繊維状につながったもので、アルツハイマー病の原因の一つと考えられている。だが、実際の患者の症状の重さと老人斑の数が比例しなかったり、老人斑がなくても発症するケースがヒトで報告されている。

 富山貴美大阪市立大准教授(脳神経科学)らは、患者の脳では老人斑だけでなくAβの分子が数個~数十個集まった「重合体」も蓄積されていることに着目した。

 そこで重合体はできるが老人斑はできない遺伝子改変マウスを作製。8カ月ごろからAβの重合体が目立って増えた。それに伴い、記憶中枢である海馬では神経細胞が減少し、平均寿命に近い24カ月(ヒトの80歳程度)では普通のマウスの半分近くになった。

 プール内の休憩場所を覚えさせる記憶テストでも、8カ月の遺伝子改変マウスは同月齢の普通のマウスが1週間程度で覚える課題をこなせなかった。チームはこうした症状から、老人斑のないマウスもアルツハイマー病を発症したと結論づけた。(asahi.com 2010年4月13日)

 アルツハイマー病の初期症状
 年齢とともに誰しも心配になる、アルツハイマー病・認知症。ここではアルツハイマー病の初期症状、アルツハイマー病の要因、アルツハイマー病を防ぐ食品、薬品について調べる。

 アルツハイマーや認知症などの初期症状にはどんなものがあるのだろう?

 アルツハイマー病には次のような初期症状がある。
 同じことを何度も言ったり、聞いたりする。慣れている場所で道に迷う。財布やお金を盗まれたと言って騒ぐ。以前より身だしなみがだらしなくなる。夜中に起き出し、騒ぐ。物をどこに置いたのか、どこに片付けたのか忘れることが多くなる。 簡単な計算の間違いが多くなる。 物の名前が出てこなくなる。水道の蛇口や、ガス栓の締め忘れが目立つようになる。ささいなことで怒りっぽくなる。時間や日付が不確かになる。日課をしなくなる。以前はあった関心や興味がなくなる。以前よりもひどく疑い深くなる。薬の管理ができなくなる。 テレビドラマの内容が理解できなくなる...など。

 このような症状に本人、もしくは家族や周囲の人が気づいた場合、早急に病院で診断・検査を受けたほうがよい。初期症状でアルツハイマーに気づけば、軽度認知障害の場合、治る可能性もある。

 その後症状は階段状に進行(すなわち、ある時点を境にはっきりと症状が悪化する)。症状経過の途中で、被害妄想や幻覚(とくに幻視)が出現する場合もある。暴言・暴力・徘徊・不潔行為などの問題行動(いわゆる周辺症状)が見られることもあり、介護上大きな困難を伴うため、医療機関受診の最大の契機となる。

 アルツハイマー病の危険因子
 アルツハイマー病は、年齢が高くなればなるほど発症率が高くなる。現在、アルツハイマーの平均発症年齢は52才である。65歳以上になると急激に発症しやすくなり、65才以上の20人に1人は発症すると言われている。年齢以外には、どんな危険要因がアルツハイマー病に関係するのだろう?

 年齢以外には、家族歴、ApoEe4などの遺伝子型、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、食生活、運動習慣、知的生活習慣などが危険因子である。

 たとえば、アルツハイマー病罹患リスクは、糖尿病患者では1.3 - 1.8倍に、特にApoEe4アリルが伴う糖尿病の場合は、5.5倍に増加すると報告されている。

 食習慣では、魚(EPA・DHAなどの脂肪酸)の摂取、野菜果物(ビタミンE・ビタミンC・βカロテン・葉酸など)の摂取、赤ワイン(ポリフェノール)の摂取などがないとアルツハイマー病のリスクは高くなる。1日に1回以上魚を食べている人に比べ、ほとんど魚を食べない人は本症の危険が約5倍であるというデータがある。

 運動習慣がないとアルツハイマー病のリスクは高くなる。有酸素運動で高血圧やコレステロールのレベルが下がり、脳血流量も増すためだ。ある研究では、普通の歩行速度を超える運動強度で週3回以上運動している者は、全く運動しない者と比べて、発症の危険が半分になっていた。

 知的生活習慣がないとアルツハイマー病のリスクは高くなる。テレビ・ラジオの視聴、トランプ・チェスなどのゲームをする、文章を読む、楽器の演奏、ダンスなどをよく行う人は、本症の発症の危険が減少するという研究がある。

 たばこは、発症の危険性を高める。自らタバコを吸う(能動喫煙)だけではなく、非喫煙者であってもタバコから出る有毒物質(受動喫煙)の影響を受け発症率が高まる。

 また、睡眠不足もアルツハイマー病のリスクを高める。アルツハイマー病は、脳内でのアミロイドベータ (Aβ) の蓄積が考えるれているが、アメリカワシントン大学などの研究チームの、2009年に行ったマウスを使った実験で、睡眠中Aβが減少し、起床中に蓄積するということを明らかにした。。

 アルツハイマー病を防ぐ方法・医薬品
 アルツハイマーの要因から逆に、アルツハイマー病を防ぐことができる。
 食習慣では、魚(EPA・DHAなどの脂肪酸)の摂取、野菜果物(ビタミンE・ビタミンC・βカロテン・葉酸など)の摂取、赤ワイン(ポリフェノール)の摂取などが必要である。

 運動習慣は、有酸素運動に効果がある。血液の循環がよくなり、高血圧やコレステロールのレベルが下がり、脳血流量も増す。

 知的生活習慣はテレビ・ラジオの視聴、トランプ・チェスなどのゲームをする、文章を読む、楽器の演奏、ダンスなどをよく行うことで脳内の血流がよくなる。

 また、たばこはは吸わず、よく眠るなど、ごく当たり前の健康的な生活をすることが大切である。

 アルツハイマー病の薬としては、近年の研究から、漢方方剤である「抑肝散」が、進行したアルツハイマー型認知症で起こる妄想や、徘徊(はいかい)、暴力などの抑制に効能があることが知られている。

 エーザイにより開発された、アセチルコリン分解酵素阻害薬、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)が認知改善薬としてアルツハイマー型認知症を中心に使用されている。日本では1999年に薬価基準に収載され保険診療にて使用されている。
 また、塩酸メマンチンは、中等度・重度アルツハイマー型認知症の改善薬としてEUおよびアメリカで使用されている。日本では臨床試験中である。

 

参考HP Wikipedia「アルツハイマー型認知症」「認知症」・治る.com 「アルツハイマー病(AD) 

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アルツハイマー病の原因・発症 「アミロイドβ」とは何か?

2010年05月02日 | 健康
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 アルツハイマー病とは何だろう?
 1907年、ドイツの精神科医、A.アルツハイマー博士が初めて報告した病気がアルツハイマー病である。

 認知症の一種で、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態のことを、知的障害という。

 アルツハイマー型認知症には、以下の2つのタイプがある。

 1.家族性アルツハイマー病 (Familial AD; FAD)
 完全な常染色体優性のメンデル型の遺伝パターンを示すもの。遺伝性アルツハイマー病ともよばれる。
 2.アルツハイマー型老年認知症 (Senile dementia with Alzheimer's type; SDAT)
アルツハイマー型認知症の中でほとんどを占める。老年期(60歳以上)に発症するもの。

 アルツハイマー病の発症、一端を解明
 先日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大学総合医科学研究所・前田明教授の研究グループは、遺伝性でないアルツハイマー病の発症にかかわる異常たんぱく質が、脳内で作られる仕組みを解明したことを発表した。

 異常たんぱく質が作られる仕組みを分子レベルまで明らかにしたのは初めてで、将来の有効な治療法につながる可能性があるという。

 患者の95%以上を占める遺伝性でないアルツハイマー病では、関連する遺伝子に変異はないが、遺伝子からたんぱく質の「設計図」が作られる際、必要な情報の一部が誤って取り除かれて、神経細胞死を引き起こさせる「異常なたんぱく質」が生み出される。

 前田教授らは、この原因を詳しく解析。試験管に入れた神経細胞を低酸素状態にすると、「悪役たんぱく質」が大量に作られ、正しい設計図を作る過程を妨げて一部の情報が欠落して、結果として発症につながる「異常タンパク質」をつくることがわかった。

 この仕組みが分かったことで、「おとり」のリボ核酸を注入して「悪役たんぱく質」が誤って情報を取り除くのを防ぐことに成功している。今後、治療などに応用できる可能性があるという。

 前田教授は「仕組みを解明したことで、『悪役たんぱく質』の作用を直接抑える原理がわかった。この成果は治療法の開発にとって重要」と将来の応用に期待している。

 前田教授の論文は、5月発刊の米国の分子生物学雑誌「Molecular and callular Cellular Biology」に掲載される。(asahi.com 2010年4月14日)

 アルツハイマー病と年齢
 ヒトは年齢とともに記憶力が低下していく。これは「脳の神経細胞が死滅していくから」というのはよく聞く話だ。つい最近まで、大人の脳は成長が止まり、年齢とともに脳細胞が破壊されると考えられていた。

 1999年10月、米科学誌サイエンスに、米プリンストン大のエリザベス・ゴールド博士らがアカゲザルを使った実験で、認識や知覚などの重要な働きをつかさどる大脳皮質には、大人になっても新しい脳細胞が付け加わっていることが発表された。

 1997年1月には、ノーベル医学生理学賞受賞者の利根川進マサチューセッツ工科大教授らが、脳の中枢神経が、『bc12』と呼ばれるガン遺伝子によって再生されることを、マウスを使った実験で突き止めた。研究成果は英科学誌ネイチャーに発表された。

 このように脳細胞が減少していくアルツハイマー病や認知症は、高齢者には当然のように考えられていたが、最近では病気の一つと位置づけられている。ではこの病気の原因は何だろう?

 アルツハイマー病とアルミニウム
 アルミニウムイオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるという説がある。この説は、第二次世界大戦後、グアム島を統治した米軍が老人の認知症の率が異常に高いことに気がつき、地下水の検査をしたところアルミニウムイオンが非常に多いことがわかったことによる。

 雨水と他島からの給水によってその率が激減したこと、また紀伊半島のある地域でのアルツハイマー患者が突出して多かったのが上水道の完備により解決したことがその根拠とされている。後者も地下水中のアルミニウムイオンが非常に多かったことが示されている。

 これらは、まだ学術的根拠にとぼしく、学会や多くの学識経験者が支持している研究成果ではない。(Wikipedia)

 アルツハイマー病とアミロイドβ
 アルツハイマー病などでは、正常なタンパク質のメカニズムが何らかの要因で、働かなくなったため、構造に異常が起きたことは推測されていた。

 1999年、アルツハイマー病は、脳の大脳皮質などに染み出るように出来る老人斑が原因とする説があった。しかし、国立精神・神経センター神経研究所のグループは、マウスの実験で、老人斑はアルツハイマー病の「原因」ではなく、むしろ「結果」であることを示す実験結果を得た。成果は5月、米医学誌ネイチャー・メディシンに発表された。

 2008年、大阪市立大学のグループは、アルツハイマー病の発症原因について、アミロイドベータ・タンパク質が繊維化して脳に溜まってできる「老人斑」ではなく、「アミロイドベータの分子の集合体」であることを突き止めた。成果は2.25付けの米神経内科学誌の電子版に発表。

 2010年4月、大阪市立大学の富山貴美准教授と森啓教授らは、アルツハイマーの発症や進行は、脳内タンパク質「アミロイドベータ」の小さな集合体(オリゴマー)が溜まるだけで起こることをマウス実験で突き止めた。アミロイドベータが繊維状に集まってできた「老人斑」は発症・進行とは関係ないことを確認した。米神経化学会誌(電子版)に4/8発表。

 2010年4月、前田教授らの実験では、低酸素状態にすると「悪役タンパク質」が発生し、これが遺伝子に結びつき、その結果「異常タンパク質・アミロイドベータ」がたくさん生み出されるという仕組みを解明した。(4/14朝日新聞)

 では「悪役タンパク質」とは何だろう?また、「アルミニウムイオン」との関係は?...アルツハイマー病の研究課題は多い。

 

参考HP Wikipedia「アルツハイマー型認知症」「認知症」・治る.com 「アルツハイマー病(AD) 

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