空耳 soramimi

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「白ゆき姫殺人事件」  湊かなえ  集英社文庫

2014-07-02 | 読書


前に「告白」を買って読んだ。子供のことで復讐する話で、本屋大賞といって山のように積んであった。
ところが読んでみると、夜回り先生が出てきたり、今時のニュースと、可哀相な出来事と、意外な復讐法が面白いけれど。舞台が学校と言うのは意外だが、生徒と教師じゃよくないことでしょう。とつい思ってしまった。
悪の経典というのも学校が舞台で主人公が最後は何もかもぶっ壊して終わった。これは彼の精神的な歪みが原因だったけれど。

 そんな事を思いながら、また「白ゆき姫殺人事件」をリベンジのつもりで読んだ。映画も小説も大歓迎されている様子だし、どれどれどんな本?という好奇心の虫が騒いだ。後味がよくないというので、これもイヤミスというらしい。それならそのつもりで。
少しネタバレかも知れないけれど、映画化もされているし。
でも初めてなら順に読んで、後にある参考資料も進行にあわせて読むと面白い。



 美人のOLが刺されたうえ焼き殺されると言う事件が起きた。勤め先が化粧品会社で「白ゆき」と言う石鹸がヒットして世間に知られていた。
それで「白ゆき姫殺人事件」と言うことで騒がれ始めた。 
被害者の美貌は社内でも目だっていて、製品のモデルに使えばよかったと囁かれるほどだった。
 新人は二年先輩がパートナーになって教育するシステムだった。殺されたのは三木典子、パートナーは後輩の狩野理沙子だった。
彼女は典子の元で教育を受け、心身ともに美しい人だったと記者に言う。

フリーランサーの週刊誌記者が関係者に取材を始める。出身地の人たちの噂、社内のOLたちの話。同級生。
刑事に聞きこみをされるのも非日常のニュースである。
大学時代の友人から投書も来る。

 だが記者はそれをまとめるのだが、彼は事件を特集して低俗極まりない報道する。
ネットサイトでも匿名性を利用して陰湿な書き込みやふざけた話をする。

そこでは、目立たないOLが犯人にされてしまっている。


美貌が罪になることは無い、それなら美しい人は生きていけない。美しいに越したことは無い、誰でもそう思う。でも美貌談義はそっと心の中でするとして、それが事件の原因になって、取材となればどうだろう。
美人について、同僚のOLたちは隠した本音が理性の陰からちょっと覗く。
犯人は誰だろう、仕立てやすい曰くのありそうな標的を見つけて出す。
まぁそういったところを寄せ集めて、記事はできるのだろう。
本性を包み隠そうとしてまた一枚醜い皮をかぶるというような生活の中では、常に隠しているので平穏だという部分が見える。改めて根源的な悪意の姿が見える、イヤミスか、なるほどと納得した。

読みやすい上に、時代性もある、人気の秘密も少しわかった気がした。
コメント (2)
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