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「遣唐使船の時代」遣唐使船再現シンポジウム編 角川選書

2018-01-11 | 読書


学問的な関心よりも「空海」関連の書籍を読んでみようと手に取った一冊で、古代の国から東アジア大陸から文化を取り入れ、新たな歴史を刻もうとした時代には、夢がある。
そしてその夢の実現に命を懸けて挑み、持ち帰った文化の多くの進んだ情報がどんな形で残っているかということも興味深いものだった。


復原された遣唐使船は奈良時代の遣唐使船と同様に、五月八日に大阪(往時の難波津)を出航、瀬戸内海、博多を経て、五島列島に至り、東シナ海を横断し、六月一二日には無事上海に到着して二一世紀の日中友好関係の新たな歴史の使者になった。本書は主に人を通じた遣唐使の交流をテーマに紙上に再現したものである。

空海の足跡を知ろうと読み始めたが、こういった時代背景ををざっと知り、遣唐使として大きな危険を負いながら、日本の国際化の一端を担った人たちの歴史を読んでいった。

昔の学習の記憶が、おぼろげに蘇る人々の名前を改めて読み、そういった著名な人たちの陰で、当然ながら船を支えた多くの無名の人々がいたことも忘れてはいけないと思う。



遣唐使船で往来した人物群像。歴史を変えたその超人的な活躍を追う!
阿倍仲麻呂、吉備真備、最澄、空海、円仁そして鑑真。遣唐使船が行き交った古代の東アジア・ネットワークと、唐の文化を移入した遣唐使、留学僧らの超人的な活躍、その精華として結実した古代文化を描く。

〈目次〉
   はじめに
第1章 遣唐使と古代の東アジア──鈴木靖民
  1 遣唐使の時期区分と性格
  2 文化移植と東アジア情勢──第一期(七世紀中葉・後半)
  3 東アジア国際社会への参入──第二期(八世紀)
  4 最先端文化の導入と日本的信仰システム──第三期(九世紀)
  5 東アジア・東ユーラシアへの広がり

第2章 遣唐使と天平文化──上田正昭
  1 大仏開眼供養会
  2 遣唐使と平城遷都
  3 春日大社と遣唐使

第3章 遣唐使と歌──平群広成と阿倍仲麻呂をめぐる夢想──上野 誠
  1 春日山と御蓋山
  2 平群朝臣広成のこと
  3 阿倍仲麻呂の登場

第4章 遣唐留学者の役割──森 公章
  1 遣唐使と留学者
  2 吉備真備
  3 弁正と秦忌寸朝元

第5章 来日した唐人たち──榎本淳一
  1 来日唐人の全体像
  2 遣唐使時代の外交制度と来日唐人
  3 日本と朝鮮諸国における唐使

第6章 最澄・空海と霊仙──武内孝善
  1 延暦の遣唐使
  2 最澄の入唐求法とその成果
  3 空海の入唐求法とその成果
  4 雲仙三蔵の入唐としその足跡

第7章 阿倍仲麻呂と玄宗、楊貴妃の唐長安──王巍
  1 阿倍仲麻呂
  2 阿倍仲麻呂と唐の長安城
  3 唐長安城と平城京、平安京

第8章 最後の遣唐使と円仁の入唐求法──田中史生
  1 国際交易時代の遣唐使
  2 円仁の求法活動を支えたもの

第9章 遣唐使と唐物への憧憬──河添房江
  1 「唐物」の初例と遣唐使
  2 『竹取物語』と遣唐使・唐物
  3 『うつほ物語』と遣唐使・唐物

最澄と空海は同時期に唐に向かった。だが同じ密教であっても受法してもち帰った教え(経典)は少し異なる、しかし最澄は天皇の信頼も厚く世に受け入れられた。天台宗の祖となる。
一方空海は、二十年予定の留学生生活を三年で切り上げて帰朝した。恵果和尚から伝授されたすべてと「胎蔵、金剛界」の灌頂を受けて経典と曼荼羅をもって帰朝した。真言宗の祖となる。

一度帰ろうとして帰ることができなかった阿部仲麻呂は、玄宗皇帝・楊貴妃の時代に高官にまで上り詰め唐に骨をうずめた。墳墓などの遺跡はいまだに発見されていない。

二度唐に渡った天才留学生の吉備真備も、様々な文化(暦法や楽器など)を持ち帰り、大仏建立にも関わり、多少の紆余曲折はあったものの恵まれた生涯を終えた。

興味深くとても楽しんで読めた。




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HNことなみ

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