Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

キラキラヒカル

2014-03-04 00:45:47 | コラム
~第86回、米オスカー総評~

最初に結論。

24部門中、14部門の受賞を当てる。

「的中率60%で、映画小僧のプライドは傷つかないで済む」と書いていたので、及第点か。

ふぅ、えがった。

…………………………………………

授賞式のライブ中、3度くらい泣いた。

浅田真央ちゃんのフリースケーティングは「すべての背景・過程を理解したうえで」泣けたが、あの日の涙とはちょっと意味が異なる。
オスカーを手にした、あるいは手に出来なかった彼ら彼女らの表情を見ていると「すべての背景・過程を理解していなくとも」泣けてきてしまうのだ。

それはたぶん、映画小僧としてオスカーの価値を知っているから。


涙したのは、以下の3つ。

ルピタ・ニョンゴ、助演女優賞発表の瞬間。
主演男優賞にノミネートされたブルース・ダーンの横に、娘で女優のローラ・ダーンが座っている映像。
追悼メモリアルのコーナーを締めくくる、ベッド・ミドラーの歌声。

追悼メモリアルはいつも素晴らしい。
日本のスタジオで三谷幸喜もいっていたが、スターと技術者、批評家までもが「差異を設けられることなく」等しく敬意を表されているところがいい。

スギ花粉で流す涙はキツいが、こういう涙なら際限なく流すことが出来ると思った。


結局はオスカーに輝けなかったレオや『風立ちぬ』は、たしかに残念である。
であるが、オスカーを観る醍醐味は贔屓のクリエイターたちが賞を取る瞬間を見ること、、、ではなく、きらきら輝くスターを見ることにある。

低予算のインディーズが好きで、そういう作品ばかりを推す自分でも、この日だけはちがう。

技術部門を「ほぼ独占」した『ゼロ・グラビティ』を観ると、20世紀と21世紀とでは映画のありかたが大きく変わったと痛感させられる。
「夢」よりも「現実」が重要とされ、だからこその『それでも夜は明ける』の作品賞受賞だと思うし、
もし現代で『巴里のアメリカ人』(51)がリメイクされ、もしその出来が「大」のつく傑作だったとしても受賞は出来ないのではないか。

そういう時代。

でも。
でもね。

やはり映画には「夢」が必要で、「夢」を語るフィクションが少なくなったぶん、代わりに「夢」を見せてくれるのがオスカー授賞式というノンフィクションであったりする。

フィクションで現実を。
ノンフィクションで夢を。

本来は逆だが、これが「いま。」なのかもしれない―そんなことを、第86回の米オスカーを観て思った。


※オスカー史のなかで、2番目に好きなスピーチをノーカットで。
いちばん好きなのはルイーズ・フレッチャーだが、それは何度もリンクしているので。

ダスティン・ホフマン、初受賞のスピーチ。

「様々な理由から、アカデミー協会を批判してきた。だから複雑な気持ちです。ほかの候補者が負けたんじゃない、僕が勝ったんじゃない。
俳優協会には何千という加入者が居る。僕らは一握りの幸運をつかんだものに過ぎず、その他大勢はタクシー運転手をしながらチャンスを待つしかない」・・・というようなことをいっている。

もうこれ、泣けて泣けて。




…………………………………………

~第86回、米オスカー全部門の結果~

【作品賞】
『それでも夜は明ける』

【主演男優賞】
マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』

【主演女優賞】
ケイト・ブランシェット『ブルージャスミン』

【助演男優賞】
ジャレッド・レトー『ダラス・バイヤーズクラブ』

【助演女優賞】
ルピタ・ニョンゴ『それでも夜は明ける』

【監督賞】
アルフォンソ・キュアロン『ゼロ・グラビティ』

【オリジナル脚本賞】
『her/世界でひとつの彼女』

【脚色賞】
『それでも夜は明ける』

【長編アニメ賞】
『アナと雪の女王』

【外国語映画賞】
『グレート・ビューティ』

【撮影賞】
『ゼロ・グラビティ』

【編集賞】
『ゼロ・グラビティ』

【美術賞】
『華麗なるギャツビー』

【衣装デザイン賞】
『華麗なるギャツビー』

【メイクアップ&ヘア賞】
『ダラス・バイヤーズクラブ』

【音楽賞】
『ゼロ・グラビティ』

【歌曲賞】
『アナと雪の女王』

【視覚効果賞】
『ゼロ・グラビティ』

【音響編集賞】
『ゼロ・グラビティ』

【音響調整賞】
『ゼロ・グラビティ』

【長編ドキュメンタリー賞】
『バックコーラスの歌姫たち』

【短編ドキュメンタリー賞】
『The Lady in Number 6: Music Saved My Life』

【短編実写作品賞】
『Helium』

【短編アニメ賞】
『Mr. Hublot』

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『わたしが・棄てた・女 2014版』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする