28年8月31日生まれ・2006年5月16日死去、享年77歳。
京都出身。
田村正和は面白いけれど、俳優としては新人類? というか、特殊なキャラクターを独特の間で表現することに長けたひとだと思うんです。
その弟・田村亮も兄に比べればフツーのキャラクターを演じることは出来ますが、なんとなく性格俳優っぽい雰囲気があります。
ふたりの兄・田村高廣(たむら・たかひろ)さんがいちばんマトモというか、そういう意味で父・阪妻を継ぐ正統的な俳優さんだった、、、といえるのではないでしょうか。
強引にたとえると、フォンダ一家みたいなものですかね。
父ヘンリーが阪妻、息子ピーターはハミダシモノだから田村正和で、優等生(でもないけど)の娘ジェーンが高廣さん・・・って無理がありましたね、すいません。
ともあれ。
そのマトモさがあったからこそ、きのうも言及した作品『白い巨塔』(66)における「善意の象徴」里見脩二に説得力を持たせることが出来たのでしょうし、
代表作であろう『泥の河』(81)のリアリティは、高廣さんの存在感によって生まれているのだと思います。
ゆえに二代目・阪東妻三郎の襲名を期待されたようですが、本人は強く拒否したそうですね。
そこらへんの事情や思いは、凡人の自分では想像することさえ出来ません。
<経歴>
前述したように、父は阪東妻三郎。
俳優業に興味を示さず一般企業に働き始めるも、その直後に父が死去。
父の盟友・木下惠介の勧めもあって、松竹に入社。
映画俳優デビュー作は、54年の『女の園』。
『二十四の瞳』(54)の磯吉役も印象に残りますが、50年代でひとつ選ぶとするならば、やはり『張込み』(58)の犯人役でしょう。
ふたりの刑事(大木実・宮口精二)もヒロイン(高峰秀子)も素晴らしかったけれど、物語を動かすのは犯人の石井なのですから。
『女の橋』(61)、『背徳のメス』(61)、5部作として制作された大作『宮本武蔵』(61~65)の最終章『巌流島の決斗』では柳生宗矩を演じ、すでにこのころには風格がありましたよね。
63年、松竹を退社しフリーに。
『花実のない森』(65)、『徳川家康』(65)を経た65年より『兵隊やくざ』のシリーズで有田上等兵を演じる。
勝新太郎演じる主人公が型破りなために配置されたといえる、インテリのキャラクターでした。
65年…『続 兵隊やくざ』
66年…『新・兵隊やくざ』『兵隊やくざ 大脱走』『兵隊やくざ 脱獄』
67年…『兵隊やくざ 殴り込み』『兵隊やくざ 俺にまかせろ』
68年…『兵隊やくざ 強奪』
72年…『新兵隊やくざ 火線』
いつも思うことですが、この時代の量産システムって凄まじいですよね。
続編とはいえ年間3本も制作されるなんて!!
『清作の妻』(65)、前述した『白い巨塔』、『紀ノ川』(66)、『眠狂四郎 女地獄』(68)、『新選組』(69)、『悪名一番勝負』(69)。
70年代に入ると、脇で作品を支える重鎮的キャラクターが多くなっていきます。
日米合作の『トラ・トラ・トラ!』(70)、
『どぶ川学級』(72)、『恍惚の人』(73)、『青幻記 遠い日の母は美しく』(73)、『本陣殺人事件』(75)、『野性の証明』(78)。
『愛の亡霊』(78)、『日蓮』(79)、『動乱』(80)、『天平の甍』(80)、『遥かなる走路』(80)。
81年―小栗康平の長編デビュー作、『泥の河』に主演。
ほんとうの主人公は「子どもたち」ですし、最も印象に残るのは加賀まりこ(!!)だったりしますが、作品の方向性を示すのは、やはり高廣さんです。
そう考えると田村高廣という俳優さんの一大特徴は、絶妙なバランス感覚―だったのかもしれません。
『ひめゆりの塔』(82)、『彼のオートバイ・彼女の島』(86)、『海と毒薬』(86)、『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(86)、『ハチ公物語』(87)、『敦煌』(88)、『226』(89)。
『月光の夏』(93)、吉良上野介を演じた『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94)、『眠る男』(96)、『阿弥陀堂だより』(2002)。
2006年5月16日―脳梗塞により死去、享年77歳でした。
映画の遺作は『The焼肉ムービー プルコギ』(2007)、
高廣さんは「歳相応」のような気がしますが、弟・正和さんって70歳になっているんですね。
ぜんぜんそんな感じがしないところが、やっぱり新人類っぽいですねー。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
男優列伝、3連続でいきます。
『にっぽん男優列伝(224)田山涼成』
京都出身。
田村正和は面白いけれど、俳優としては新人類? というか、特殊なキャラクターを独特の間で表現することに長けたひとだと思うんです。
その弟・田村亮も兄に比べればフツーのキャラクターを演じることは出来ますが、なんとなく性格俳優っぽい雰囲気があります。
ふたりの兄・田村高廣(たむら・たかひろ)さんがいちばんマトモというか、そういう意味で父・阪妻を継ぐ正統的な俳優さんだった、、、といえるのではないでしょうか。
強引にたとえると、フォンダ一家みたいなものですかね。
父ヘンリーが阪妻、息子ピーターはハミダシモノだから田村正和で、優等生(でもないけど)の娘ジェーンが高廣さん・・・って無理がありましたね、すいません。
ともあれ。
そのマトモさがあったからこそ、きのうも言及した作品『白い巨塔』(66)における「善意の象徴」里見脩二に説得力を持たせることが出来たのでしょうし、
代表作であろう『泥の河』(81)のリアリティは、高廣さんの存在感によって生まれているのだと思います。
ゆえに二代目・阪東妻三郎の襲名を期待されたようですが、本人は強く拒否したそうですね。
そこらへんの事情や思いは、凡人の自分では想像することさえ出来ません。
<経歴>
前述したように、父は阪東妻三郎。
俳優業に興味を示さず一般企業に働き始めるも、その直後に父が死去。
父の盟友・木下惠介の勧めもあって、松竹に入社。
映画俳優デビュー作は、54年の『女の園』。
『二十四の瞳』(54)の磯吉役も印象に残りますが、50年代でひとつ選ぶとするならば、やはり『張込み』(58)の犯人役でしょう。
ふたりの刑事(大木実・宮口精二)もヒロイン(高峰秀子)も素晴らしかったけれど、物語を動かすのは犯人の石井なのですから。
『女の橋』(61)、『背徳のメス』(61)、5部作として制作された大作『宮本武蔵』(61~65)の最終章『巌流島の決斗』では柳生宗矩を演じ、すでにこのころには風格がありましたよね。
63年、松竹を退社しフリーに。
『花実のない森』(65)、『徳川家康』(65)を経た65年より『兵隊やくざ』のシリーズで有田上等兵を演じる。
勝新太郎演じる主人公が型破りなために配置されたといえる、インテリのキャラクターでした。
65年…『続 兵隊やくざ』
66年…『新・兵隊やくざ』『兵隊やくざ 大脱走』『兵隊やくざ 脱獄』
67年…『兵隊やくざ 殴り込み』『兵隊やくざ 俺にまかせろ』
68年…『兵隊やくざ 強奪』
72年…『新兵隊やくざ 火線』
いつも思うことですが、この時代の量産システムって凄まじいですよね。
続編とはいえ年間3本も制作されるなんて!!
『清作の妻』(65)、前述した『白い巨塔』、『紀ノ川』(66)、『眠狂四郎 女地獄』(68)、『新選組』(69)、『悪名一番勝負』(69)。
70年代に入ると、脇で作品を支える重鎮的キャラクターが多くなっていきます。
日米合作の『トラ・トラ・トラ!』(70)、
『どぶ川学級』(72)、『恍惚の人』(73)、『青幻記 遠い日の母は美しく』(73)、『本陣殺人事件』(75)、『野性の証明』(78)。
『愛の亡霊』(78)、『日蓮』(79)、『動乱』(80)、『天平の甍』(80)、『遥かなる走路』(80)。
81年―小栗康平の長編デビュー作、『泥の河』に主演。
ほんとうの主人公は「子どもたち」ですし、最も印象に残るのは加賀まりこ(!!)だったりしますが、作品の方向性を示すのは、やはり高廣さんです。
そう考えると田村高廣という俳優さんの一大特徴は、絶妙なバランス感覚―だったのかもしれません。
『ひめゆりの塔』(82)、『彼のオートバイ・彼女の島』(86)、『海と毒薬』(86)、『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(86)、『ハチ公物語』(87)、『敦煌』(88)、『226』(89)。
『月光の夏』(93)、吉良上野介を演じた『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94)、『眠る男』(96)、『阿弥陀堂だより』(2002)。
2006年5月16日―脳梗塞により死去、享年77歳でした。
映画の遺作は『The焼肉ムービー プルコギ』(2007)、
高廣さんは「歳相応」のような気がしますが、弟・正和さんって70歳になっているんですね。
ぜんぜんそんな感じがしないところが、やっぱり新人類っぽいですねー。
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