Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(70)

2014-03-22 00:30:00 | コラム
きのう取り上げなかった「ヒッチハイクが描かれる映画」を、ふたつほど。

『フィールド・オブ・ドリームス』(89)…トップ画像

主人公レイ・キンセラ(ケビン・コスナー)が自宅のあるアイオワに帰る道中で、ひとりの青年を同乗させる。

彼の名はアーチー・グラハム(フランク・ホエーリー)、のちに町の名医となるムーンライト・グラハム(バート・ランカスター)の若き姿である。

自家製球場のスタンドから愛娘が落ちたとき、「境界線」を越えて本物の姿を見せる、あのおじいちゃんね。

※このシーン



日本映画からも、一本。

山田洋次はロードムービーやヒッチハイクが好きなのかもしれないね、『幸福の黄色いハンカチ』(77)や『家族』(70)、そして、これも撮っているし。

『十五才 学校4』(2000)

不登校の少年が、横浜から鹿児島までをヒッチハイクして旅する物語。

「善意のかたまり」のような第1作目には「ついていけない…」とウンザリしたものだが、これは、そこそこ感動した記憶がある。

どちらにせよ、「よいヒッチハイク」を描いた映画である。

自分の経験も、そうだった。


24歳のころ、いまから15年以上も前の話である。

アルバイトを辞めた直後に「かーちゃんの訃報」が飛び込んできて、四十九日を迎えるまでは実家で過ごした。
かーちゃんという大事な存在が抜けているものの、久し振りの家族団らん。

悲しさ・寂しさを紛らわすことが出来たものの、そのぶん、東京に帰還してからがつらい。

アパートから出ないと、この世でひとりぼっちのような気がしてくる。

そこで、歩くことにした。

目的地はなし、ただ『天国と地獄』(63)を観た直後ということもあり、「江ノ島あたり」を目指そうとして歩き始める。

で、実際に江ノ島まで辿り着いた。
ゆっくり歩いたから約15時間くらいを要したのではないか。

いまのようなネット時代であれば、いちいち投稿したり写真をアップしたりしていたことだろう。
コメントがあることで、ひとりじゃないと実感出来たかもしれない。

けれども、そういう反応がなくても、家にひとりで居るよりはマシだったんだよね。

歩行者が居る。
自動車が通っている。
真夜中でも営業している店がある。

なんかそれだけで、救われたりして。

ただ、そんな感情も「行き、のみ」の話である。

よくある展開だが、「帰りは、ひたすら面倒くさい」だけなんだよね。

電車に乗るという手もあるが、いまは真夜中。
ホテルに泊まることも考えたが、まだ「部屋でひとり」状態にはなりたくなかった。

そこで、とぼとぼと歩いた。

ほんとうに、とぼとぼしていたんだと思う。

「とぼとぼ歩いているから」と、トラック運転手のおにいちゃんが声をかけてくれた。

「町田? いいよ、横浜インターまでの配送だから、乗っけてってやるよ」

ヒッチハイクとは、ちょっとちがう形ではあるけれどね。


運ちゃんとの会話で、その日が日曜の深夜帯であることは記憶している。

「―日曜のラジオってさ、休止が多くて。こっちも退屈だったからちょうどいいや」

おにいちゃんはそういって、缶コーヒーと、コンビニおにぎりまで奢ってくれた。

映画小僧であること。
かーちゃんが死んだこと。

そういうことを話していたら、あっという間に横浜インターに到着した。

「もうすぐだね」
「ほんとう、ありがとうございます。関係ないですけど・・・どんな映画が好きですか」
「最近はぜんぜん観てないけどね。そうだなぁ、分かり易いかも、、、だけど、『トラック野郎』は傑作だね!」
「(笑う)あぁ、やっぱり」
「分かり易いだろ?」
「えぇ」

「職種はちがいますけど、自分、『タクシードライバー』が大好きなんです」
「あぁ! あの、ひとごろしの」
「(笑う)まぁ、ひとごろしの映画ですよね」
「難しいことは分からんけど、頑張れよ」
「はい!」


いい思い出である。

あのときのおにいちゃんも、いまではじいさんのはずだ。

元気、してますか?

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『生きろとはいわん。ばってん、死なんでくれ。』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする