Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

自分VS、自分

2014-04-05 00:30:00 | コラム
「鏡よ、鏡」とかいって、自分ちの「ふつーの鏡」を「まほうの鏡」に見立て、

世界一かっけー男子は、だあれ?

などと聞くような趣味はない。

美に執着するものではないし、ナルシストでもないからね。

いや前言撤回、自分の内面が「醜だらけ」だからこそ美(=女子)に執着しているところがあるし、
ナルシストっちゃあナルシストなんだと思う。

ただそれでも、鏡に向かって自分と対峙する時間というものは・・・短め、なんじゃないかな。

バリカンで坊主にするとき。
鼻毛チェックをするとき。
新しいTシャツを着てみるとき。

このくらいだろうか。

24時間で計算してみると、1分も要していないのではないか。

だからけっしてオシャレさんではないが、かといってダサダサ野郎でもないと思う。いや思いたい。

外出しても、とりあえず笑われたりはしないぞと。


写真や映像ではなく「生の自分」を自分自身で見る場合、頼るのは鏡くらいしかない。

自分VS、自分―自分との対峙。

オシャレかそうでないかだけでなく、いろんなことが見えてくる。
いや、見えてしまう。

「老けたなぁ」

これは「あるある」だし、まだいいだろう。

「悪いツラしてんなぁ」
「馬鹿面だなぁ」

しばらく見つめていると、自分の視線に自分が耐えられなくなってしまったりする・・・そんなときは、ないだろうか。

鏡には映っていないはずのイキザマまでもが、見えちゃったりしてね。

恐ろしい。
あぁ恐ろしい。


今宵は、そんな鏡を効果的に用い、キャラクターが自分自身と対峙する映画を挙げてみよう。

なんだか恐ろしいものばかりで、
やはり多用されるAV(=男優「ほらどうだ、こんなイヤらしい格好してるんだぞ」)とはちがうなぁ、映画は凄まじいものを見せてくれちゃうなぁ、、、などと思うのであった。


(1)『タクシードライバー』(76)

このときのトラビスは、もう無敵なんだ。




(2)『太陽がいっぱい』(60)

「なりすまし」映画の最高峰。

友人の服を着たアラン・ドロンが鏡に向かい、キスをする。

あくまでも「モノマネの練習」ではあるが、どことなく同性愛の雰囲気を漂わせていて秀逸。

(3)『ニキータ』(90)

まだ自身の美というものに気づいていないアンヌ・パリローに、ジャンヌ・モローはいう、

「限界のないものがふたつあるわ、女の美と、それを乱用すること」と。

きゃー、怖い。

(4)『燃えよドラゴン』(73)

「鏡の間」での戦い。

簡単にいえばトップ画像のように、パラレルワールド的に見える空間。

(5)『愛を乞うひと』(98)

髪を切るひとと、髪を切られるひと―どちらも原田美枝子が演じているため、鏡に映るのも含めて4人の原田美枝子が存在している。

だからであろうか、女優の対峙、親子の対峙など、じつに様々な側面でドキリとさせられるのだ。

(6)『サンセット大通り』(50)

グロリア・スワンソンが鏡で自身を見つめる映像が、主観演出(=観客側を見ている)で表現されている。

あの、じつに奇妙で恐ろしい表情!!

(7)『女優霊』(96)

鏡を効果的に、いや巧妙に用いたホラー映画。

見えてはいけないものが鏡には映っていて、しかも、それに対する「自身の恐怖顔」も確認出来てしまうから「より」怖いのである。

(8)『ジョニー・ハンサム』(89)

容姿にコンプレックスを持つものにとって、鏡イコール社会の目であって、だから「おおいなる敵」でしかない。

整形で新しい人生を歩み始めた男が、結局は醜い顔に戻ってしまうという哀しいオチは、芥川の『鼻』の清々しい結末とはちがって、いつまでもこころに残る。

あまり評価を得られなかった作品だが、自分は大好き。

いま観返すと・・・ミッキー・ロークにエレン・バーキン、モーガン・フリーマンにエリザベス・マクガヴァン、そしてフォレスト・ウィテカーとランス・ヘンリクセン、、、って、えれー豪華じゃないか!!

そうそう、ライ・クーダーの音楽も絶品。

(9)『ブラック・スワン』(2010)

バレエの世界をホラータッチで描く佳作。

ヒロインが鏡を通し自身と対峙するも、自分自身であるはずの「鏡のあたし」(いや、素のあたし、、、のほうか?)が別行動を取り出す。

内に秘めた彼女の願望を描き出す手法は、監督アロノフスキーの趣味全開で面白い。

(10)『ペネロピ』(2006)

『ジョニー・ハンサム』同様、容姿にコンプレックスを持つキャラクターを描く場合、鏡というものは最大の小道具になる。

なるからこそ、彼・彼女の嘆きだけで終わらせないでほしい。
そういう意味でこの作品は「その先」もスマートに描き、けっこう感心した。

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コメント (2)
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