Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(72)

2014-04-15 07:18:20 | コラム
友達―友達が沢山居たとしたら、ひょっとしたら「同じ映画を繰り返し観よう」などという発想は浮かばなかったかもしれない。
しれないが、だとしたら映画小僧を自称することもなかったかもしれない。

そう考えると、「割と寂しげな? 少年」であった過去は正解だったか。

関係ないが少し前のラジオ番組『有吉弘行のサンデーナイトドリーマー』で蛭子能収の「友達論=友達関係なんて煩わしいことが多いから、ひとりで生きてひとりで死んでいくことを考えたほうがいい」を紹介、
それを受けたリスナー(この番組では、ゲスナー)からの投稿「神かよ! この素晴らしいことばを巻き物にして、六本木あたりで人脈広げようとしているバカな若手俳優連中に配ろうぜ!!」には爆笑した。


ともかく。
少年期から映画をひとりで観にいくようなヤツだったわけだが、そんな映画小僧が初めて「もういちど観よう!」と思って劇場を出なかった映画は、皮肉にも『グーニーズ』(85)だった。

なにが皮肉かって、これは少年少女の「友情パワー」を描いた冒険映画だったから。

『スタンド・バイ・ミー』(86)もそうだが、ひょっとしたら自分は「いいな~、こんな友達関係を築きたいなぁ」などと思っていたのかもしれない。

「こんな風に生きたい」
「こんな恋愛がしたい」

照れまじりで記してはいるが、いやいや、これぞ映画の正しい効用というか。
学問のように捉えている「いま」より、遥かに映画を楽しんでいたのだなぁ自分も! と、少し感慨深くもなったり。


トップ画像は、『グーニーズ』制作25周年を記念した際の関係者集合写真である。

誰が誰だかいい当てられるひとは「そーとーな映画ファン」であることを自称していいと思うが、
右端のコリー・フェルドマンだけは正解率がひじょうに高いだろうね、ぜんぜん変わらない「ヘン顔」だもの笑


当時の自分は、小学5年生。
町の映画館『清流』まで、自転車で40分くらいかけて向かう。

最初から「『グーニーズ』を繰り返し観よう!」と思っていたわけではなかった―のは、同時上映があったから。

『フライトナイト』―コメディ色の強い、85年制作のホラー映画。

いやいや。
田舎の小学生には刺激が強過ぎて、どこがコミカルなのか分からなかったぞ。

怖くて怖くて、スクリーンを直視出来なかった。
だが下を向いていても、大音量が迫ってくる。恐怖が追いかけてくる。

結局、耐えられずロビーに出てきてしまったのだ。

「怖いの?」
「・・・いや、頭がちょっと」
「音がうるさい?」
「・・・そうかもしれません」

売店のおばちゃんとの会話。
(その数年後にここでバイトすることになったわけで、つまりこのおばちゃんは、のちの上司? である)

素直に「怖い」といえなかったのが可愛い? じゃないか。
この経験により「ある一定期間」ホラー映画に対するアレルギーが生まれた―というのは事実だから、ことばとしては好きではないが、これがトラウマというやつか。

こんなことを書くと、厳しくなった現在のレーティング(映画の年齢規制)は正しい気もしてくるが、いやいや、それは否といっておきたい。
自らの意思でその映画を選んで「嫌な思い」をするのもまた、貴重な映画体験にちがいないのだからね。


さて。
音量が小さくなっていった、イコール「恐怖の展開が終わった」と解釈した自分は再び劇場に戻る。
だがクライマックスは「これから」で、さらなる悪夢が待っていた。

またまた飛び出す自分。

ロビーでガタガタ震えている笑 と、不憫に思ったのか、売店のおばちゃんがコーヒー牛乳を奢ってくれた。

「ありがとう」

公開2週目の、土曜の午後―米国でいうマチネーの時間帯である。
それでもお客さんは数人しか存在しない。
いかにも場末の映画館らしいが、だからこそ、こんな奇妙なやりとりが生まれるのだろう。

『フライトナイト』、上映終了。

そして『グーニーズ』が始まり、自分はスクリーンに釘付けになった。

あっという間の110分で、「もういちど観たい!」と思った。

しかし、『グーニーズ』にもういちど会うためには『フライトナイト』を通らねばならない。

覚悟を決めようじゃないか。
闇があるからこそ、光だってあるんだろ?

なにいってんだよ、バカヤロウ。


そうして。
『フライトナイト』の拷問を目を瞑って耐え、『グーニーズ』に2度会うことに成功した映画小僧なのだった。


※シンディ・ローパー、日本への支援ありがとー!!




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明日のコラムは・・・

『ひとりランウェイ』

コメント (1)
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