友人と呑んでいて、「どの程度のミスがあったら、クレームを入れるか」みたいな話になった。
「食べ物とか飲み物に、髪の毛」
「いわないなぁ、残すけど」
「ラーメン運んでくるおばちゃんの指が、スープに触れている」
「いわないなぁ、出来れば、おばちゃんじゃなくて、おねいさんがいいけど」
「じゃあゴキブリは?」
「それは、いうよね」
「つり銭まちがい」
「もちろん、いう」
「多くても?」
「・・・その日に、よるかな(苦笑)」
「出前を頼んだら、なにかが足りなかった」
「そりゃ、いうさ」
いうとしても。
そのいいかたが、問題であってね。
そこで、いわゆるクレーマーか否かが決まる。
自分は、常にソフトだねぇ。
ヒトなんだからまちがうことあるだろうし、そこに悪意というものが感じられないのであれば、ギャンギャンワーワーいうのは恥ずかしい、みっともないと思うのだよね。
先日も某マックのデリバリーを注文し、ポテトLをふたつ頼んだのに、ひとしか入っていなかった。
ひとりでLふたつかい!? という問題は、またべつの話だ。
すぐに気づいたので5階自宅の出窓を開けて、バイクに乗る直前だった店員さんを呼んだ。
「すんません、もういちど上がってきてくれますか」
で、ぜぇぜぇいいながら玄関前に立つアンチャンに、袋のなかを見せた。
「ね、ひとつしか入ってないでしょう」
「あ、すいません! すぐにお届けにあがりますので・・・5分、お待ちいただけますか」
「持ってきてくれるのであれば、いつまでも待ちますよ。だから10分といったほうがいいと思いますよ。たぶん5分じゃ戻ってこれない」
「はい、すいません!!」
こうやってソフトに接しても、ちゃんとサービスでポテトをもうひとつつけてくれた。
・・・って、ポテトだけでLみっつもあるし!!
出来ればシェイクがよかったなぁ。。。
ともかく。
この程度のことで、本気出して怒るひと居るんだよね~。
いいじゃない、べつに5分後に死ぬわけじゃないんだからさ、持ってくるといっているんだしさ。
いろんなアルバイトをしてきたから、クレームを受ける側になったことも、もちろんある。
そのなかで最もインパクトがあったというか、引きずったというか、ちょっと傷ついたのは18歳の夏だった。
最初にいっておくけど、自分は、自分が傷つくと表現することを嫌う。
他者が使うぶんには構わないのだけれども。
そんな自分が敢えて傷つくと書くのだから、18歳のガキにとって「そーとー」ショッキングな出来事だと捉えてもらえればうれしい。
新聞奨学生だった自分は、その日も学校を終えて新聞専売所に向かい、夕刊の配達準備をしていた・・・らば、店長に呼ばれてこういわれたんだ。
「Lマンションの加藤さんが、今月で契約をやめたいって」
「引越しですか」
「それがちがうんだよ。俺も信じられないんだけどさ、原因はお前だというんだよ」
「・・・俺、ですか!?」
3日に1度は新聞を入れ忘れる。
集金の態度が横柄。
横柄というか、チンピラのようで怖い。
子どもが怖がっているし、何度も入れ忘れがあるから今月でやめる。
じつはこれ、全部うそ。
サービスに目がくらみ、奥さんは翌月から読売の契約をしてしまった。
3ヶ月ほど朝日とかぶってしまうが、文句をでっちあげれば契約なんて「簡単に」切れるものなのだろう・・・と考えていたらしい。
だからちょっと、クレームとはちがうかもしれない。
しれないが、これは堪えた。
高校時代にアルバイトをしていたとはいえ、生計を立てるという意味では初めての仕事。
この世の悪意に対する耐性というものが出来上がっていなかったガキは、そんなことが出来てしまうひとが居るっていうことも信じられなくて、夕刊配達時にLマンションの加藤さん宅のインターホンを押したのである。
名乗ったら、「あなたとは話したくありません」と、すぐに切られてしまった。
オートロックであったが、裏口の柵をよじ登れば侵入出来ることは分かっていた。
そうして、加藤さんが住む5階へ。
ドアを叩いたと同時に、加藤さんは警察に通報していたそうである。
このとき、自分は泣いていた。
そんな風にいわれたことが、よほどショックだったのだろうね。
事実であれば仕方のないことだけれども、こんなヘラヘラ顔をするヤツですよ、集金の態度が横柄なはずがない。
ドア越しに「なんで、あんなこといったんですか。新聞入れ忘れたこともないし、集金のときも自分、ニコニコしているでしょう」
「・・・・・」
なんにも返せないということは、やっぱり自分に非はなかったのである。
数十分後に警官が到着。
自分に非がないとはいえ、オートロックのマンションを突破して侵入してきたわけだし、通報者宅のドアをガンガン叩いてしまったことは事実。
そのことを警官に詫びていると、加藤さんのご主人が帰宅した。
ご主人はコトの経過を聞き終えると、自分に深々と頭を下げ、「家内がぜんぶ悪い。あなたは悪くない。どうか許してやってください」といってくれた。
・・・まぁ、そうやって非を認めてくれるのであればね。
しかし当の本人は、その場には居なかった。
オメーが謝れや!! とは思ったが、すべてがデマカセだったことを恥じているのだろう、もう怒るのはやめておいた。
コンビニの店員やボウリング場の係員に土下座を強要し、それを動画投稿するバカチンが居たっけね。
バカにつける薬はほんとうに「ない。」とは思うが、世の中には、ひとを傷つけない悪ふざけというものがあるわけですよ。
そこで頑張ってくれるのであれば、クールな連中だと賛辞を惜しまないけれどね自分は。
※トップ画像は、小市民がクレーマーと化していくさまがブラックに描かれる映画『フォーリング・ダウン』(93)。
そして一文字変えれば『クレイマー、クレイマー』(79)になるので、この曲を。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『金魚忌』
「食べ物とか飲み物に、髪の毛」
「いわないなぁ、残すけど」
「ラーメン運んでくるおばちゃんの指が、スープに触れている」
「いわないなぁ、出来れば、おばちゃんじゃなくて、おねいさんがいいけど」
「じゃあゴキブリは?」
「それは、いうよね」
「つり銭まちがい」
「もちろん、いう」
「多くても?」
「・・・その日に、よるかな(苦笑)」
「出前を頼んだら、なにかが足りなかった」
「そりゃ、いうさ」
いうとしても。
そのいいかたが、問題であってね。
そこで、いわゆるクレーマーか否かが決まる。
自分は、常にソフトだねぇ。
ヒトなんだからまちがうことあるだろうし、そこに悪意というものが感じられないのであれば、ギャンギャンワーワーいうのは恥ずかしい、みっともないと思うのだよね。
先日も某マックのデリバリーを注文し、ポテトLをふたつ頼んだのに、ひとしか入っていなかった。
ひとりでLふたつかい!? という問題は、またべつの話だ。
すぐに気づいたので5階自宅の出窓を開けて、バイクに乗る直前だった店員さんを呼んだ。
「すんません、もういちど上がってきてくれますか」
で、ぜぇぜぇいいながら玄関前に立つアンチャンに、袋のなかを見せた。
「ね、ひとつしか入ってないでしょう」
「あ、すいません! すぐにお届けにあがりますので・・・5分、お待ちいただけますか」
「持ってきてくれるのであれば、いつまでも待ちますよ。だから10分といったほうがいいと思いますよ。たぶん5分じゃ戻ってこれない」
「はい、すいません!!」
こうやってソフトに接しても、ちゃんとサービスでポテトをもうひとつつけてくれた。
・・・って、ポテトだけでLみっつもあるし!!
出来ればシェイクがよかったなぁ。。。
ともかく。
この程度のことで、本気出して怒るひと居るんだよね~。
いいじゃない、べつに5分後に死ぬわけじゃないんだからさ、持ってくるといっているんだしさ。
いろんなアルバイトをしてきたから、クレームを受ける側になったことも、もちろんある。
そのなかで最もインパクトがあったというか、引きずったというか、ちょっと傷ついたのは18歳の夏だった。
最初にいっておくけど、自分は、自分が傷つくと表現することを嫌う。
他者が使うぶんには構わないのだけれども。
そんな自分が敢えて傷つくと書くのだから、18歳のガキにとって「そーとー」ショッキングな出来事だと捉えてもらえればうれしい。
新聞奨学生だった自分は、その日も学校を終えて新聞専売所に向かい、夕刊の配達準備をしていた・・・らば、店長に呼ばれてこういわれたんだ。
「Lマンションの加藤さんが、今月で契約をやめたいって」
「引越しですか」
「それがちがうんだよ。俺も信じられないんだけどさ、原因はお前だというんだよ」
「・・・俺、ですか!?」
3日に1度は新聞を入れ忘れる。
集金の態度が横柄。
横柄というか、チンピラのようで怖い。
子どもが怖がっているし、何度も入れ忘れがあるから今月でやめる。
じつはこれ、全部うそ。
サービスに目がくらみ、奥さんは翌月から読売の契約をしてしまった。
3ヶ月ほど朝日とかぶってしまうが、文句をでっちあげれば契約なんて「簡単に」切れるものなのだろう・・・と考えていたらしい。
だからちょっと、クレームとはちがうかもしれない。
しれないが、これは堪えた。
高校時代にアルバイトをしていたとはいえ、生計を立てるという意味では初めての仕事。
この世の悪意に対する耐性というものが出来上がっていなかったガキは、そんなことが出来てしまうひとが居るっていうことも信じられなくて、夕刊配達時にLマンションの加藤さん宅のインターホンを押したのである。
名乗ったら、「あなたとは話したくありません」と、すぐに切られてしまった。
オートロックであったが、裏口の柵をよじ登れば侵入出来ることは分かっていた。
そうして、加藤さんが住む5階へ。
ドアを叩いたと同時に、加藤さんは警察に通報していたそうである。
このとき、自分は泣いていた。
そんな風にいわれたことが、よほどショックだったのだろうね。
事実であれば仕方のないことだけれども、こんなヘラヘラ顔をするヤツですよ、集金の態度が横柄なはずがない。
ドア越しに「なんで、あんなこといったんですか。新聞入れ忘れたこともないし、集金のときも自分、ニコニコしているでしょう」
「・・・・・」
なんにも返せないということは、やっぱり自分に非はなかったのである。
数十分後に警官が到着。
自分に非がないとはいえ、オートロックのマンションを突破して侵入してきたわけだし、通報者宅のドアをガンガン叩いてしまったことは事実。
そのことを警官に詫びていると、加藤さんのご主人が帰宅した。
ご主人はコトの経過を聞き終えると、自分に深々と頭を下げ、「家内がぜんぶ悪い。あなたは悪くない。どうか許してやってください」といってくれた。
・・・まぁ、そうやって非を認めてくれるのであればね。
しかし当の本人は、その場には居なかった。
オメーが謝れや!! とは思ったが、すべてがデマカセだったことを恥じているのだろう、もう怒るのはやめておいた。
コンビニの店員やボウリング場の係員に土下座を強要し、それを動画投稿するバカチンが居たっけね。
バカにつける薬はほんとうに「ない。」とは思うが、世の中には、ひとを傷つけない悪ふざけというものがあるわけですよ。
そこで頑張ってくれるのであれば、クールな連中だと賛辞を惜しまないけれどね自分は。
※トップ画像は、小市民がクレーマーと化していくさまがブラックに描かれる映画『フォーリング・ダウン』(93)。
そして一文字変えれば『クレイマー、クレイマー』(79)になるので、この曲を。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『金魚忌』