Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(55)山田洋次

2019-07-16 00:10:00 | コラム
~山田洋次のキャリア10傑~

好きか嫌いかでいったら、嫌いだった。

訂正、大嫌いだった。

でも過去形ね。

いまだって大好きとはいえない監督さんだけれども、手堅いし、巧いし、人気があるのも納得出来る。


嫌いになったきっかけは、たぶん『学校』(93)だと思う。

なんて安っぽい映画なんだろう! と怒りさえ覚えた。

グレた裕木奈江は、ラーメン作ってもらっただけで改心する。

社会に反抗的な女子高生は、それくらいでなびかないっての。

なにもかもが嘘くさくて、ついていけなかった。

たしか中野翠も書いていたが、自分も同じような体験をしていて・・・

劇場はほぼ満席、しょーーーーーーもないシーンで大爆笑が生まれ、自分だけ取り残されている感覚に襲われたと。

わかる、わかる。

そしてこの感覚を、大事にしようと思った。


それでも。

映画を学ぶ学生だった自分は、嫌い嫌いといいつつ、ほぼすべての山田作品に触れていった。

それで分かったのは、
やっぱり好きにはなれないが苦笑、無視するわけにはいかない存在なのだなぁ!! ということ。


(1)『家族』(70)

日本映画史上で最も挑戦的で最も出来のよい「ロードムービー」の傑作。

この作品をきっかけとして、山田さんへの偏見が崩れていったのだと記憶する。




(2)『砂の器』(74)

脚本を担当。

(橋本忍の)助手だったのか、あるいはガッツリと関わっていたのか・・・は分からないが、これ1本で、脚本家として非凡でないことは明白でしょう。




(3)『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(75)

寅さんファンによる投票でも、この作品が1位に輝くのだとか。

納得、リリー(浅丘ルリ子)とのかけあいは見事というほかないし、有名なメロン騒動も出てくるし、つまり見どころ盛り沢山なのであった。


(4)『息子』(91)



永瀬正敏と和久井映見のカップルに触れて、安心するとともに深い孤独を感じる三國連太郎の背中!!


(5)『小さいおうち』(2014)

中島京子による直木賞受賞作を映画化。

主演は松たか子だが、みな好演であることを前提としていうと、黒木華が抜群によい。

岩井俊二もそうで、新しいミューズを発見したことにより、演出そのものが若々しくなったように感じた。


(6)『キネマの天地』(86)

『蒲田行進曲』(82)が大ヒット、その流れで松竹が制作したと思われる・・・も、『蒲田~』が好評過ぎて出来が良過ぎて「分の悪い」比較対象となってしまった感があり。

こっちも嫌いじゃないけどね、有森也実も初々しいし。




(7)『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)

リリーの再登板。

寅さんはもちろん、監督とも相性がよかったのだろうな、ある意味で倍賞千恵子よりも。。。


(8)『遙かなる山の呼び声』(80)

北海道の四季を捉えた映像も素晴らしいが、結局は健さんの男気を堪能する映画でしょう。

『タンポポ』(85)もそうだし、『シェーン』(53)は様々な作家さんに影響を与える名作ですわな。


(9)『たそがれ清兵衛』(2002)

初の時代劇。

夜の場面では暗いままで展開、なにが起こっているのか分からないところも。

リアリズム徹底の山田演出が功を奏し、ひじょうに緊張感のある物語として完成されている。


(10)『幸福の黄色いハンカチ』(77)



健さんがどうこうというより、この映画のハイライトは、まちがいなく武田鉄矢の気色悪さだろう。

これほどキモいキャラクターを演じられる武田さんは、そーとーな怪優ですよ!!

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明日のコラムは・・・

『retirement』
コメント (1)
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