~山田洋次のキャリア10傑~
好きか嫌いかでいったら、嫌いだった。
訂正、大嫌いだった。
でも過去形ね。
いまだって大好きとはいえない監督さんだけれども、手堅いし、巧いし、人気があるのも納得出来る。
嫌いになったきっかけは、たぶん『学校』(93)だと思う。
なんて安っぽい映画なんだろう! と怒りさえ覚えた。
グレた裕木奈江は、ラーメン作ってもらっただけで改心する。
社会に反抗的な女子高生は、それくらいでなびかないっての。
なにもかもが嘘くさくて、ついていけなかった。
たしか中野翠も書いていたが、自分も同じような体験をしていて・・・
劇場はほぼ満席、しょーーーーーーもないシーンで大爆笑が生まれ、自分だけ取り残されている感覚に襲われたと。
わかる、わかる。
そしてこの感覚を、大事にしようと思った。
それでも。
映画を学ぶ学生だった自分は、嫌い嫌いといいつつ、ほぼすべての山田作品に触れていった。
それで分かったのは、
やっぱり好きにはなれないが苦笑、無視するわけにはいかない存在なのだなぁ!! ということ。
(1)『家族』(70)
日本映画史上で最も挑戦的で最も出来のよい「ロードムービー」の傑作。
この作品をきっかけとして、山田さんへの偏見が崩れていったのだと記憶する。
(2)『砂の器』(74)
脚本を担当。
(橋本忍の)助手だったのか、あるいはガッツリと関わっていたのか・・・は分からないが、これ1本で、脚本家として非凡でないことは明白でしょう。
(3)『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(75)
寅さんファンによる投票でも、この作品が1位に輝くのだとか。
納得、リリー(浅丘ルリ子)とのかけあいは見事というほかないし、有名なメロン騒動も出てくるし、つまり見どころ盛り沢山なのであった。
(4)『息子』(91)
永瀬正敏と和久井映見のカップルに触れて、安心するとともに深い孤独を感じる三國連太郎の背中!!
(5)『小さいおうち』(2014)
中島京子による直木賞受賞作を映画化。
主演は松たか子だが、みな好演であることを前提としていうと、黒木華が抜群によい。
岩井俊二もそうで、新しいミューズを発見したことにより、演出そのものが若々しくなったように感じた。
(6)『キネマの天地』(86)
『蒲田行進曲』(82)が大ヒット、その流れで松竹が制作したと思われる・・・も、『蒲田~』が好評過ぎて出来が良過ぎて「分の悪い」比較対象となってしまった感があり。
こっちも嫌いじゃないけどね、有森也実も初々しいし。
(7)『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)
リリーの再登板。
寅さんはもちろん、監督とも相性がよかったのだろうな、ある意味で倍賞千恵子よりも。。。
(8)『遙かなる山の呼び声』(80)
北海道の四季を捉えた映像も素晴らしいが、結局は健さんの男気を堪能する映画でしょう。
『タンポポ』(85)もそうだし、『シェーン』(53)は様々な作家さんに影響を与える名作ですわな。
(9)『たそがれ清兵衛』(2002)
初の時代劇。
夜の場面では暗いままで展開、なにが起こっているのか分からないところも。
リアリズム徹底の山田演出が功を奏し、ひじょうに緊張感のある物語として完成されている。
(10)『幸福の黄色いハンカチ』(77)
健さんがどうこうというより、この映画のハイライトは、まちがいなく武田鉄矢の気色悪さだろう。
これほどキモいキャラクターを演じられる武田さんは、そーとーな怪優ですよ!!
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『retirement』
好きか嫌いかでいったら、嫌いだった。
訂正、大嫌いだった。
でも過去形ね。
いまだって大好きとはいえない監督さんだけれども、手堅いし、巧いし、人気があるのも納得出来る。
嫌いになったきっかけは、たぶん『学校』(93)だと思う。
なんて安っぽい映画なんだろう! と怒りさえ覚えた。
グレた裕木奈江は、ラーメン作ってもらっただけで改心する。
社会に反抗的な女子高生は、それくらいでなびかないっての。
なにもかもが嘘くさくて、ついていけなかった。
たしか中野翠も書いていたが、自分も同じような体験をしていて・・・
劇場はほぼ満席、しょーーーーーーもないシーンで大爆笑が生まれ、自分だけ取り残されている感覚に襲われたと。
わかる、わかる。
そしてこの感覚を、大事にしようと思った。
それでも。
映画を学ぶ学生だった自分は、嫌い嫌いといいつつ、ほぼすべての山田作品に触れていった。
それで分かったのは、
やっぱり好きにはなれないが苦笑、無視するわけにはいかない存在なのだなぁ!! ということ。
(1)『家族』(70)
日本映画史上で最も挑戦的で最も出来のよい「ロードムービー」の傑作。
この作品をきっかけとして、山田さんへの偏見が崩れていったのだと記憶する。
(2)『砂の器』(74)
脚本を担当。
(橋本忍の)助手だったのか、あるいはガッツリと関わっていたのか・・・は分からないが、これ1本で、脚本家として非凡でないことは明白でしょう。
(3)『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(75)
寅さんファンによる投票でも、この作品が1位に輝くのだとか。
納得、リリー(浅丘ルリ子)とのかけあいは見事というほかないし、有名なメロン騒動も出てくるし、つまり見どころ盛り沢山なのであった。
(4)『息子』(91)
永瀬正敏と和久井映見のカップルに触れて、安心するとともに深い孤独を感じる三國連太郎の背中!!
(5)『小さいおうち』(2014)
中島京子による直木賞受賞作を映画化。
主演は松たか子だが、みな好演であることを前提としていうと、黒木華が抜群によい。
岩井俊二もそうで、新しいミューズを発見したことにより、演出そのものが若々しくなったように感じた。
(6)『キネマの天地』(86)
『蒲田行進曲』(82)が大ヒット、その流れで松竹が制作したと思われる・・・も、『蒲田~』が好評過ぎて出来が良過ぎて「分の悪い」比較対象となってしまった感があり。
こっちも嫌いじゃないけどね、有森也実も初々しいし。
(7)『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)
リリーの再登板。
寅さんはもちろん、監督とも相性がよかったのだろうな、ある意味で倍賞千恵子よりも。。。
(8)『遙かなる山の呼び声』(80)
北海道の四季を捉えた映像も素晴らしいが、結局は健さんの男気を堪能する映画でしょう。
『タンポポ』(85)もそうだし、『シェーン』(53)は様々な作家さんに影響を与える名作ですわな。
(9)『たそがれ清兵衛』(2002)
初の時代劇。
夜の場面では暗いままで展開、なにが起こっているのか分からないところも。
リアリズム徹底の山田演出が功を奏し、ひじょうに緊張感のある物語として完成されている。
(10)『幸福の黄色いハンカチ』(77)
健さんがどうこうというより、この映画のハイライトは、まちがいなく武田鉄矢の気色悪さだろう。
これほどキモいキャラクターを演じられる武田さんは、そーとーな怪優ですよ!!
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明日のコラムは・・・
『retirement』