創作におけるリングでの死を演じた俳優と、実際にリングで戦ったプロのボクサーが立てつづけに死んでしまった。
今月1日、『ロッキー』シリーズ(76~)で宿敵アポロ(モデルはモハメド・アリ)を演じたカール・ウェザーズが鬼籍に入る。
享年76歳、合掌。
アポロは第4作目で旧ソ連のファイター、ドラゴに(リング上で)殺される。
いかにも映画的だが、じつは公開当時も一部から批判が上がっていた。
「実際のボクシングに偏見を持ってしまうじゃないか」とかではなく、
ここ重要、
とかではなく、
「ロッキーの性格上、アポロが頼んだからといってタオルを投げないのはおかしい」という批判。
うん、たしかに。
ロッキーって人情で生きる男のはずだもんね。
映画的に盛り上がるからといって、大切なキャラクターを死なせてしまっていいものか―小津さんが『東京物語』(53)で死人を出してしまったことを「ずっと悔いていた」エピソードは有名だが、監督スライは悩まなかったのか? ということだろう。
さて、「実際のボクシングに偏見を持ってしまうじゃないか」という批判が出なかったのはなぜか。
「よくあること」ではないが、実際に死んでしまうことが「稀に」あるから。
それを、「リング禍」と呼ぶ。
ウェザーズの訃報の翌日に、プロボクサー・穴口一輝が死んでしまった。
なんと享年、23歳。
去年12月26日に開催された井上尚弥のタイトルマッチの前座試合に登場し、相手ファイターと激闘を繰り広げるも判定負け。
すぐに病院に搬送されたが意識を失い(右硬膜下血腫)、緊急手術を受けるも回復せず息を引き取った。
…………………………………………
※青木真也(格闘家)のX投稿
「年間最高試合が死亡事故なのはその競技を疑わざるをえないと思うんですよね」
※それを受けての、井上尚弥の投稿
「年間最高試合に選ばれたのは穴口選手へのエールでもあったと思います。受賞された40分後に息を引き取ったと聞いてますので皆さんには誤解だけはして欲しくないと思います」
…………………………………………
あの試合、たしかに最高に熱かった。面白かった。
・・・辛い。
意識が戻らないという報道を受けてから、ずっと気になっていた。
Xでは格闘技ファンたちが、あらためて格闘技の怖さについて本音を漏らしていて、それらの意見にいちいち頷いていた―もちろん、回復を祈りながら。
頭に本気のパンチが何度も何度も当たるわけだからね、命がけのスポーツなのだった・・・!!
「仕事で死ぬなんて本望かもしれん」という意見もあるでしょう、
でもさすがに若過ぎて、そんな無責任なことはいえない。
(若くなくてもそうだ!)
いっぽうで、試合を捌いたレフェリーと、相手選手のことも気になってしまう。
自分が関わった試合で死人が出てしまったら・・・?
想像するだけで恐ろしい。
最近のレフェリーはスタンディングの状態でダウンを取ったり、止めるのが早いという批判を受けがち・・・なのだが、それは、こういうことが起こるからなのだよね。
だから今回の件で、止めるのが「より、早い」傾向に変わっていったとしても、それはファイターもファンも受け入れなければならないことなのだと思う。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『Texasの悪夢』
今月1日、『ロッキー』シリーズ(76~)で宿敵アポロ(モデルはモハメド・アリ)を演じたカール・ウェザーズが鬼籍に入る。
享年76歳、合掌。
アポロは第4作目で旧ソ連のファイター、ドラゴに(リング上で)殺される。
いかにも映画的だが、じつは公開当時も一部から批判が上がっていた。
「実際のボクシングに偏見を持ってしまうじゃないか」とかではなく、
ここ重要、
とかではなく、
「ロッキーの性格上、アポロが頼んだからといってタオルを投げないのはおかしい」という批判。
うん、たしかに。
ロッキーって人情で生きる男のはずだもんね。
映画的に盛り上がるからといって、大切なキャラクターを死なせてしまっていいものか―小津さんが『東京物語』(53)で死人を出してしまったことを「ずっと悔いていた」エピソードは有名だが、監督スライは悩まなかったのか? ということだろう。
さて、「実際のボクシングに偏見を持ってしまうじゃないか」という批判が出なかったのはなぜか。
「よくあること」ではないが、実際に死んでしまうことが「稀に」あるから。
それを、「リング禍」と呼ぶ。
ウェザーズの訃報の翌日に、プロボクサー・穴口一輝が死んでしまった。
なんと享年、23歳。
去年12月26日に開催された井上尚弥のタイトルマッチの前座試合に登場し、相手ファイターと激闘を繰り広げるも判定負け。
すぐに病院に搬送されたが意識を失い(右硬膜下血腫)、緊急手術を受けるも回復せず息を引き取った。
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※青木真也(格闘家)のX投稿
「年間最高試合が死亡事故なのはその競技を疑わざるをえないと思うんですよね」
※それを受けての、井上尚弥の投稿
「年間最高試合に選ばれたのは穴口選手へのエールでもあったと思います。受賞された40分後に息を引き取ったと聞いてますので皆さんには誤解だけはして欲しくないと思います」
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あの試合、たしかに最高に熱かった。面白かった。
・・・辛い。
意識が戻らないという報道を受けてから、ずっと気になっていた。
Xでは格闘技ファンたちが、あらためて格闘技の怖さについて本音を漏らしていて、それらの意見にいちいち頷いていた―もちろん、回復を祈りながら。
頭に本気のパンチが何度も何度も当たるわけだからね、命がけのスポーツなのだった・・・!!
「仕事で死ぬなんて本望かもしれん」という意見もあるでしょう、
でもさすがに若過ぎて、そんな無責任なことはいえない。
(若くなくてもそうだ!)
いっぽうで、試合を捌いたレフェリーと、相手選手のことも気になってしまう。
自分が関わった試合で死人が出てしまったら・・・?
想像するだけで恐ろしい。
最近のレフェリーはスタンディングの状態でダウンを取ったり、止めるのが早いという批判を受けがち・・・なのだが、それは、こういうことが起こるからなのだよね。
だから今回の件で、止めるのが「より、早い」傾向に変わっていったとしても、それはファイターもファンも受け入れなければならないことなのだと思う。
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明日のコラムは・・・
『Texasの悪夢』