さて、決勝は、コミュニティセンターです。
満員御礼。さすが俳句都市松山です。お昼横で食べていた親子、子供は3年生でしたが、同会館で行われる俳句教室参加とのこと。幼稚園年少から俳句を作るんだそうです。(みんなが)
まずは、敗者復活戦。勝ち抜いたのは、会津高校でした! この会津の女の子、予選のときからよく泣いていました。カタカナだけで作った句。
ヘチマサヘタベルモノセンチュウニッキ
兼題の糸瓜は、子規の分身のような季語。子規の代表句に、「糸瓜さえ佛になるぞおくるるな」という句をふまえている。そして現在も大変な状況であることを示唆している句という審査員の評。なるほど、と感心しました。
そして、2つのブロックでのリーグ戦。
私が観たのは、開成、松山西、水沢の対戦。いやはや・・・。
結果はご存じのように、開成が決勝戦に進むわけですが、点数に開きはありませんでした。ディベートでも、開成が負けている場面もあり。水沢、松山西、大健闘でした。助詞ひとつについてのやりとりも。
今回は、子規漱石生誕150周年記念大会ということで、兼題は「子規忌」。この兼題で作られた句の数々、そしてそれに対してのディベートを聞いていて、彼らがいかに子規についても勉強しているかがわかりました。子規忌の句を作るには、子規の生涯は当然、子規の句もしっかり頭に入れていなくてはいけません。松山という地にいて、子規にまつわる句を読んで、やりとりを聞いていると、ああ、ここで子規は生まれ育ったんだなあと思えました。
そして、決勝は開成と、愛知代表の幸田。黒いTシャツの共学校でした。
兼題に「心」が出たとき、甘い感じの句がたくさん出ちゃうかななんて、思ったけれど、全くの杞憂にすぎませんでした。爆心地、決心、心太・・・、心という文字の入った言葉をしっかりと入れて、地に足のついた句を作っていました。
開成の句は安定感があります。障子貼るという季語を使っていて、高校生らしいという評をつっぱねるような句。句会をしている部屋の障子を実際に張り替えているのだそうです。頭で作るのではなく、必ず実践しているのがわかりました。
最優秀句は、開成の
旅いつも雲に抜かれて大花野
日本の伝統的テーマ、旅をとりこんで、品格風格のある句。作者が意図している以上のことを呼びこむ力がある。西行、芭蕉の面影をも読み込んだ時間的奥行きがある。俳句甲子園の青春性と普遍性のある句。 と、高柳克弘先生絶賛でした。
月天心倉庫はあかあかと飢ゑて は、夏井いつき先生が、個人賞を受賞。立派なものです。
高野陸郎先生が、「開成は、言葉余りて心足らず、幸田は、心余りて言葉足らず」と表したことにも、感心しました。言葉も心も必要なんですね。高柳先生は、「俳句は語彙の豊かさが必要なもの」とおっしゃったのは、開成の「夕星の熱ほのかなる花野かな」という「ほのかなる」がおしい、ここに他にどんな言葉をおいたらいいかという選択肢がほしいということとして。
上の評は厳しいようですが、開成という王者に対してのエール。実は心も充実しているんです。他の高校生もですが、一人一人の今後を追ってみたいくらい、将来が楽しみです。
過去の優勝チームにいて、最優秀句をとられ、その後若手の俳人のトップランナーとして活躍されている神野紗季さんが、(この字で合ってるかな)今回は審査員席におられ、落ち着いた的確な評を述べてらっしゃいました。ひとつのことに打ち込んでいく強さということも。
俳句の未来は明るい。
ということで、具体的な句をあまりあげませんでしたが、俳句甲子園観戦記、いったん終了です。上の句の作者や、他の個人賞など、
俳句甲子園公式HPでぜひ、ご確認ください。
あふれそうな俳句熱のままに書いた拙いこの文章を、読んでくださった方、ありがとうございました。