この半年は、児童書以外の本をあまり読みませんでした。(ここにあげるのを児童書以外と決めているわけではないのですが。正直なところ児童書の作家さんは知り合いも多く、そこから何冊かをあげるのは、ちょっと申し訳ないという気持ちが働いてしまいます。矛盾するようですが、それでも児童書をあげないと決めているわけではありません。友人の新刊は本の紹介として書かせていただいてもいるので、それ以外でこれ! というのはやはりあげていきたいです。
さて、
・『神去なあなあ日常』(徳間書店) 三浦しをん 三浦しをんさん、三重の山奥に一年間住んでらしたのでしょうか? と思えるほど、山奥の暮らしがきっちり描かれていました。山が、そして神去の村が、人がとにかく魅力的です。来年映画化のようです。
・『おしかくさま』(河出書房新社) 谷川直子 Be子どもと本という会では、毎回一冊をテキストに感想を言い合います。この本のときは、私は欠席だったのですが、おもしろかった! 難点はあるのですが、現代宗教の一端をよくとらえていると思いました。
・『密話』 石川宏千花 講談社 もともとは雑誌「日本児童文学」に連載したもの。ですが、児童書ではなく一般書の枠で出版されました。児童書として扱うには「毒」がありすぎるのかもしれません。私は「季節風」でこの本を書評で取り上げさせてもいただきました。悲しい物語。
……他も読んだのですが、おもしろかった本としてあげるには、ちょっと。ということで、半年に3冊でした。寂しいので、読んだのは前ですが、他にオススメの本を3冊あげることにします。
・『偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件』 斉藤光政 新潮文庫 1972年青森、津軽地方の農家の天井裏から発見された膨大な数の古文書。江戸時代に書かれたものだが、古代、東北には大和朝廷と対立する王朝があったということなど記されていて、地元の歴史家だけならず、多くの人を魅了したが、当初から偽物では? という疑問も持たれ、論争が展開する。結果偽物という以外にはないのだが、この膨大な古文書を一人の人間が作りだしたという事実が、おもしろい。
・『じいちゃんさま』 梅佳代 写真集です。今の私にはことさら、涙が出そうになるほどおもしろく、そしてじんと胸にせまってくる写真集。
・『祈祷師の娘』(福音館) 中脇初江 『きみはいい子』(ポプラ社)という一般書として書かれたものが本屋大賞にノミネートされました。それがBeのテキストにもなったので読み、そのときこちらも読み返しました。そしてやっぱりこの『祈祷師の娘』の力強さに圧倒されました。
キウイの花