fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

お知らせ・防備録。
記事の無断転用はお断りいたします

Information

『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。原稿・講演など各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

2021年・大晦日 

2021年12月31日 | あいさつ
 今年も、一年が終わります。
 コロナでいろいろ変わった一年でしたが、個人的にはよい過ごしかたができたように思っています。

 コロナが落ちついても、以前のように居酒屋でぎゅうぎゅうになって飲んで、談笑するということは、もうしないかなと思います。
 年齢的にも、時期なのかなと(若い方といっしょに騒ぐ年齢じゃなくなってるというか)。
 きょうは、紅白なますと栗きんとんと、柚子入り大根漬けと、松前漬け(数の子入り)とお雑煮の用意。朝から2時間ほどで、作りました。あとはのんびりします。大掃除は、なし(この数年は、少しずつガスレンジ回りやお風呂など、11月くらいからやるようにしています)。

 来年はどんな年になるのでしょうか。
 年末にいろいろご連絡いただいた仕事の続きを、ひとつひとつ丁寧にやっていこうと思います。

 一年間、お世話になりました。
 皆様どうぞよいお年をお迎えください。


マーマレードサワー

2021年12月30日 | 日記
 年を越したくない仕事を2つ片づけたので、ご褒美に一杯。(年末の仕事はまだあるのにっ)
 ふと、焼酎に、先日作ったマーマレードを入れてみました。おいしい!!

 そうなんです。梅ジャムを作ったときも、焼酎に入れたらばっちりだった。ジャム作ってもパンはあまり食べないので。
 マーマレードサワー。おいしいです。ほろ苦さと、甘さと・・・。
 きのうは、ゲラチェックしながら作ったチャーシューもおいしくできたし(塩こうじにつけておいたのを、炒めてから、生姜やネギといっしょに煮ました)。

 マーマレードサワー。焼酎にマーマレードを入れるだけです(ただ、市販のマーマレードではこの味は出ないと思う・・)。スプーンでときどき皮を食べながら呑みます。写真なし。

 

  

吉原~鬼滅の刃 吉原編を観ていて

2021年12月29日 | 日記
 鬼滅の刃 吉原編 は、吉原という場のことを子供にどう教えるのかという話題がよくネット上で見かけます。
 吉原ということ、私は何で知ったんだかなあ。花魁の映画とかの予告? マンガ? よくわかりません。
 「鬼滅の刃」では、きれいにきかざった遊女は出てきますが、当然、お客をとっている場面はありません。あれを見たかぎりでは、きれいな着物を着た女の人がいるお店くらいにしか見えないですね。帯やふすま絵など、豪華で、映像が映えます。

 以前、浅草を吟行したとき、周辺にとても詳しい方がいて、吉原のことが話題に出ました。それで、近いんですか? と尋ねたら、行ってみる? と言われ、吉原(だったところ)を通り抜けることになりました。今でも夜は歓楽街なのかもしれませんが、日中なので人通りも少なく、閑散としていました。ただ・・。
 黒塗りの大きな車がでんとお店(開いていないようなお店なんですがね)の前に横付けになっていたり、黒いスーツを着たお兄さんが数人お店(開いてるとは思えない雰囲気)の前にいたりして、「あの人たち、何してるんですか?」とこっそり聞いたら「客引きだろ」と。うーん、こんな昼間っから? そして、「レディースマンション」という幟があちこちにあるのも、目立ちました。ここで、働いている女性のためのマンションなのです。一人では通りたくない道でした。

 時代は変わっても、あそこには、まだ吉原の名残があると感じました。
 そして、そのとき案内してくださった、俳句仲間の方、江戸の文化に精通していた方でしたが、今年お亡くなりになりました。いっしょに映ったすごくいい写真があるんですよ。その方の俳句とともに、心の中で生きてらっしゃいます。

 一日一回は歩くようにしています。富士に沈む夕日。

裏日本という言葉、好きです。そして、「だだみ」も。

2021年12月28日 | 日記
 東京は、毎日とてもいいお天気です。


 ところが、天気予報やSNSを見ていると、日本海側が、毎日雪、雪雪。秋田もすごそうです。
 雪かきが大変だと思います。
 札幌の兄夫婦、二人とも70を過ぎていますが、夜に二人で家の前、雪かきしたりしているようです。うーん。兄には子供がいないので、老後は東京のホームを真剣に考えてほしい。何かのとき、少し前までなら、私が飛行機でかけつけたりできるかと思っていましたが、私もだんだん年をとります。東京なら、私以外にも、姪達(私の娘、次兄の娘)がいますから。本人達も自分である程度動けるときに、移動したほうがいいと思うのですけどね・・。こればっかりは、住み慣れた土地を離れるのは大変なこと。(まだ、兄は仕事もしていますし)ネコもいるし。

 さて、東京の青空を見ながら、「表日本」「裏日本」という言葉を思い出していました。このごろ、とんと使われません。差別的な意味合いがあるからなのでしょう。でも、私、裏日本という言葉、冬になると、やっぱりしっくりくるなあと思うのです。新潟から北陸もそうですよね。どんより鉛色の空が一冬おおってしまうのです。
 でも、ぱーっと明るい世界だけではない、そんな世界で生まれ育ったから、私がいるんです。(と、今東京で暮らしていて、説得力ないか・・)
 言葉狩りのような風潮、ちょっとどうかなと思います。でも、たしかにその言葉はひどいよなというのもありますからね。難しいです。
 使い方次第だけれど、使わないほうが無難というところでしょうか。物語を書いていても、そこにぶちあたることが、よくあります。

 *ところで、先日、大きなチェーン店の魚やさんに寄ったら、新鮮な「だだみ」があったので、買ってきました。だだみとは、鱈の白子のこと。これを「だだみ」というのは、秋田、山形、福井など日本海側だけのようです。不思議な言葉です。
 子供のころは、あの見た目がだめで箸が伸びませんでしたが、日本酒とセットだとおいしいです。きのうは、味噌汁に入れて、いただきました。天ぷらがおいしいという噂も。
 
 とはいえやはり、雪の地域は大変です。皆様、どうぞお気をつけて。
 

アンソロジー『君色パレット~SNSで繋がるあの人』来年発売です。

2021年12月27日 | 自作紹介
 来年発売予定のアンソロジー『君色パレット』の書影が、出ていました。2月28日発売なので、二ヶ月後ですね。

 これは3冊、多様性を見つめるというテーマのシリーズで、私は、「SNSで繋がるあの人」という一冊に書きました。
 タイトルは、「BONSAIラブ」です。盆栽です。え? SNSで繋がる? 盆栽? ですよね。
 実は、6年生ということでのご依頼だったのですが、小学生はインスタやツイッターのアカウントを、保護者の管理なしで作ることはできないんですよね。実際には、そこをごまかして作っている子たちはいるのかもしれませんが、本の中でそれをやるわけにはいかない。また親の管理下でSNSを楽しんでいる子を書くのも、おもしろみに欠けそう。そこが、困りました。
 どんな物語にしたか、ぜひ読んでいただけたらと思います。
 同じ巻には、如月かずさ さん、佐藤まどかささん、朝比奈あすかさん。
 他の巻では、「季節風」でご一緒にいとうみくさんや高田由紀子さんなど、豪華執筆陣です!

 発売日2月28日となっていて、現在予約受付中です。
 実は、その前に出る予定の本が2冊あるんですが、こちらはまだ書影が出ていません。公になったら、順次お知らせいたします。
 もっとも、そんな話ばかりではなく、会議を通らなかったという連絡もいただいています。でも、もう一度仕切り直して、再チャレンジしたいという編集者さんのお気持ちが嬉しいです。その一方で会議が通りましたというクリスマスプレゼントのようにご連絡をいただいた企画も。年の瀬にどどどどっといろいろ連絡が入りました。
 編集者さん達はそろそろ仕事納めのところが多いと思います。
『家守神』も2巻のこと、3巻のこと、そして1巻についても、ぎりぎりまでご連絡をいただいています。
 一年間、大変御世話になりました。

パンとシュトーレン

2021年12月26日 | 日記
 古い友人が、手作りのパンとシュトーレンを送ってくれました。

         
 彼女は、インスタで手作りパンをアップし続けています。これが、もうプロ並みの腕前。いつもいいなあ。おいしそうだなあと思っていたら、昨年今年と、クリスマスプレゼントとなっています。
 コーヒー味のマドレーヌもおいしかったです。

 私はパンやケーキ作り、ダメなんですよ。分量をきちっと量るってことができない。材料、ひとつ足りなかったら、まあいいかとしてしまう。
 ジャムを作るのをよくアップしてますが、あのときの砂糖、ざざーっと適当に入れてますから。
 いただいたパンに、自分が作ったマーマレード、最高です。
 ごちそうさまでした! 
 
このシュトーレンが、我が家で唯一のクリスマスらしさでした。
 
 

クリスマス ~俳句

2021年12月25日 | 日記
          

 これは、この前のおくの細道ツアーでお昼をいただいたホテルのツリー。
 
 みちのくの川のほとりの聖樹かな   あぶみ

 川は那珂川なんですが、考えると「みちのく」は、道の奥 で白河以北かな。俳句は創作なので、これはもっと北の川ということにします。
 ツアーで作った他の句は、

 ふりあふぐ遊行柳や雪婆
 はせを忌の殺生石に行きつきぬ
 枯野きて鏡ヶ池の黒々と
 十五代高久家当主大根干す      あぶみ


 旅行の句は、あまり自分にひきつけられない。
 旅にあっては、家にいるように、家にいては、旅にあるように。そんなふうに作るのが、理想なのですがね。なかなか、難しいです。それでもなんとか絵はがきのような句にならないよう、がんばりました。2句目の「行きつきぬ」は何か別にしたいところ。
 ふりあふぐ遊行柳 の句は、ふりあふぐ裸の遊行柳かな  と句会に出したのですが、裸の がちょっとキツイとご指摘がありました。たしかに、それでなおした句です。
 
 あ、クリスマスなのですから、クリスマスの句を出しましょう。

 地下鉄の出口の遠き聖夜かな  あぶみ

 私、この句はかなり好きなんです。辻桃子「童子」主宰からは、都会のクリスマスであって、地下から外の出口へ向かって歩いている、そこが信仰の「道」を感じさせる句 ・・的に(的っていうのは、そのときのはっきりした言葉を覚えてないから)言っていただきました。 
 
 皆さま、どうぞよいクリスマスをお過ごしください。
 

マーマレードと柚子ジュース

2021年12月24日 | 日記
       

 実はうちは、あまりパンを食べません。なにしろ農家なので笑。米がたっぷりあるのです。
 それなのに、こんなにマーマレードを作って。そして、作った直後は、苦かったなあ。表面のぼこぼこ(この中に苦みがあるらしです)を、ちゃんとつぶして作るんだったなと思ってたのですが、先日パンに塗って食べたら、めっちゃおいしかった!! 実はまだ夏みかん2個残ってたので、また作っちゃいました。
 そして、柚子もたっぷりいただいたのがあるので、柚子ジャムを作りたい。でも、時間が・・・ないので、ジュースにしてみました。絞って、蜂蜜を入れ、最初ちょっとお湯で溶かしてから、ミネラルウォーターで割って、氷。

     おいしい!

 柚子は皮を薄くそいで、それを刻んで、冷凍しておけば、そばやうどんを食べるときに、ちょいっと入れて、おいしいです。
 

 

改めて電子書籍のこと~『ウラヤマ』珠下なぎ ~他、自著について

2021年12月23日 | 本の紹介
『家守神①妖しいやつらがひそむ家』は、電子書籍も同時発売でした。フレーベル館さんから以前出した『どこどこ山はどこにある』も電子書籍になっています(こちらは、後からなりました)。

   

『しゅるしゅるぱん』は、ベネッセ限定(ベネッセの会員だと読めるのかな? 把握しきれてなくて、すみません)、でも最近振り込まれた福音館さんからのわずかながらの印税は、こちからのものだと思います。

 以前は、やはり本は紙で、なんていっていました。
 でも、電子書籍の自分の本をスマホで読んでみると、思った以上に読みやすい。
 場所もとらないこれ、やはり便利かも。
 書店さんに買いにいっても、お目当てがない場合、ありますしね。

 自分の本の次に買ってみたのは、ツイッターで相互フォローしている、珠下なぎさんという方の『ウラヤマ』です。これは、九州の炭坑の歴史がベースになっている高学年向けホラーです。ウラヤマの鉱山あとの洞窟に少年達が入っていきます。もうこれだけで、怖い。友人が、そこで、何者かに足首を捕まれてしまうんです。う~、怖いです。でも、炭坑の悲しく辛い歴史が絡んできます。ファンタジーは、やはり歴史がからむと、重厚になります。

下手な私の紹介より、アマゾンからの転機をさせていただきます。私、リアル書店さんを応援したいので、実はアマゾンのリンクは貼らないことにしてるんですが、この作品は、電子のみなので、貼りますね。赤のアマゾンをクリックすると、飛びます。

中学受験を終えて最初の夏休み。オカルトマニアの諒太は、同級生の健人を誘って、古いトンネルを探検することに。古ぼけた社、赤い掌の跡、想像以上の不気味さに戸惑う二人の前を、不気味な声と共に赤い影が横切る。途端に健人は激しい足の痛みに襲われ、二人は慌てて逃げ出す。3日後、もう一人の同級生・拓海と共に同じ場所を訪れるが、今度はトンネルの奥から謎の老人が現れ、「近づくな」と謎の警告を発して倒れてしまう。その後、三人の身に、次々と怪異が降りかかり始め……。「ウラヤマ」、その言葉の意味するものとは?近代史の闇を描く、ライトホラーミステリー。
 珠下さん、ファンタジーを書かれる方で、もう一冊、歴史ファンタジーを電子書籍で出してらっしゃいます(児童文学者協会のアンソロジーにも採用され、これからご活躍が期待される作家さんです)。こういう出版の仕方、これからどんどん増えることでしょう

 もう一度「ウラヤマ」にもどりますが・・怖いです。ライトホラーミステリー。なるほど。でも、ライトかな? もっとヘビーなホラーもあるから、ライトなのかも。
 私、一度ホラーを意識して書いたことがあるんです。それは、偕成社から出たアンソロジー、『1週間後にオレをふってください』に収録されています。(クリックで飛びますが、品切れですね・・。児童文学者協会の公募に応募して載った作品でした.。絶版にはなっていませんので、書店でのご注文か、アマゾンへの注文で時間かかるかもですが、手にははいると思います)これ、ラストに救いがないので、ライトじゃないのかも。なんて、今思っています。そして、ここに盆栽が出てくるのが、私的には苦笑です。盆栽に関連したアンソロジーが年明けに出ますので。実は盆栽好きです。盆栽が主人公の絵本も、今ご検討いただいているところ。(ダメかもしれないけど)
 お正月の旅行用に、何かまた電子書籍を買っておこうかな。

あ、そういえば、最初に買った電子書籍は、『漱石句集』でした。これは、アマゾンで紙の本を買うつもりで、間違ってしまったのでした。
 

おくの細道の旅 番外編

2021年12月22日 | 日記
          

 茶臼岳ではないかと思います。
 山は、いいです。
 私は、岩手、秋田と東京を往復していますが、栃木はいつも素通りでした。山も、こうしてちゃんと見たことはありませんでした。芭蕉さんも、この山を見たんだなあ。まわりの景色は違っていたも、山は変わってませんからね。

  
 大雄寺(だいおうじ)です。芭蕉が立ち寄ったという記録はありませんが、茅葺き屋根がとても立派なお寺で感激しました。
 一泊二日の旅でしたが、充実していました。食事もおいしかった。
 おみやげ屋さんに寄る時間もなく(どなたかが、それをきいたら、「買い物ツアーではありませんから」という潔いお返事でした。これもよし)、要所を押さえたツアーで、満足でした。

おくの細道の旅④ 雲巌寺 那須陣社

2021年12月21日 | 日記
 木啄(きつつき)も庵(いお)は破らず夏木立 芭蕉

 を詠んだのが、雲巌寺。

  

 大変立派な山門です。
 
  

 仏頂和尚という方が、若い頃に修行した寺なのだそうです。この仏頂和尚さんは、江戸の臨川庵(現在の臨川寺)に滞在していた方で、芭蕉はこの方を師と仰いで、親交があったことから、おくの細道でも、この寺を訪ねて、仏頂和尚が山ごもりの修行をしたという庵を拝観しました。冒頭の句の庵は、その庵のことなわけですね。

 訪れた順番は違うのですが、那須神社にも行ってきました。那須は、那須与一の出所というわけです。

  これは、昼食をとった道の駅にあった像です。源平合戦のときに義経の軍で戦い、矢の名手だったんですね。(あ、皆さんご存じか)私は、名前聞いたことあるぞ、程度でした。すみません。この辺りから、源氏の軍として、壇ノ浦のほうまで行ったということが、すごいなと思っちゃいます。馬は、車と同じくらいの速度で走ると思えば十分可能か・・。
 芭蕉にしても、那須与一にしても、車がなければ、それはそれで当たり前なのですよね。

おくの細道の旅③遊行柳 芭蕉直筆の懐紙

2021年12月20日 | 日記
 おくの細道の旅。2日目の続きです。
 
 遊行柳については、過去にも書いています。こちら。 赤文字をクリックすると、過去記事に飛びます。

 
 田一枚植えて立ち去る柳かな  芭蕉

 もちろん、芭蕉が訪れたときの柳の木、そのものではありません。柳というとしだれたものを想像していましたが、そうではありませんでした。
 春とかならまた違うのでしょうか。芭蕉は田植えの時期に、訪れたのですね。まわりにある田んぼ、ずっと残っているといいのですが・・。

*立ち去ったのは誰なのか。芭蕉なのか、田植えをしていた早乙女か、いや、両方にかけている。と、読みはいろいろあるようです。私は以前の記事では、西行が立ち去り、そして自分もまた と読んでますね。早乙女にもまたかかっているのでしょう。
 

 

 芭蕉と曾良は、高久村の高久さんという方のお宅に2泊しています。その高久家15代当主の方が庭で、この芭蕉の直筆の懐紙を見せてくださいました。すごいお宝! 芭蕉さん、達筆です。

みちのく一見乃桑門同行二人那須の
篠原をたつねて猶殺生石みむとて
急き侍る程に雨降り出ければ
此ところにとゝまり候
           風羅坊
落くるやたかくの宿の郭公
木の間をのぞく短夜の雨  曽良


 風羅坊は、芭蕉のこと。殺生石を見ようと急いでいたけど、雨だったので、とどまった。ってことですよね。

 まだ少し続きます。

おくの細道の旅② 玉藻稲荷神社~殺生石(九尾の狐伝説)

2021年12月19日 | 日記
  さて、二日目です。
  この日のメインは、殺生石。九尾の狐伝説があるところです。

 まずは、玉藻稲荷神社へ行きます。
 平安時代、九尾の狐が都で帝をたぶらかそうとして、絶世の美女に化けましたが、陰陽師に正体を見破られ、ここへ逃げます。
 この九尾の狐は、、紀元前11世紀のころ、中国の殷(いん)王朝の王の后におさまり、浪費の限りをつくし、また人々を残忍な方法で処刑して王朝を滅亡に追い込んだものとのこと。その後は続いて南天竺(現在のインド西部)にあった、マガダ国にで同様の手段で、国を滅亡させていました。さらにまた中国で・・と同様のことをし3王朝を滅亡させ、来日。(遣唐使として大陸に渡っていた吉備真備きびのまきびをそそのかして、舟に乗ってきた)。平安時代末期に、乳飲み子に化け、上皇や法王の護衛を任務としていた男に拾われ養女となり、18才に玉藻と改名し王朝に入りました。さあ、またまた、鳥羽上皇の寵愛を受け、このままでは、日本も滅亡! というとき、陰陽師、安倍泰成に正体をあばかれ、逃げます。
 数年後、この那須野ケ原に姿を現し、婦女子や旅人を食い殺しました。~~のあげく、鳥羽上皇が8万の兵を差し向けてきて、ついに、九尾の狐を撃ち果たしたというわけです。
 このとき、三浦介義明が、追い詰めたところ、九尾の狐はセミに変化し、桜の木に止まっていました。でも、脇の池には、その狐の姿が映っていたため、矢を射られたというわけです。
 なんとスケールの大きい、伝説であることよ。

 それが、この鏡ヶ池。
  

 その横に小さな祠があります。
 

 奥のお社。
  うっそうとしていました。

 ここには、芭蕉の
 秣(まぐさ)負う人を枝折(しおり)の夏野哉  の句碑があります。当時そのあたりは、一面が篠原だった。そこで、秣、馬にやる草を背負っている人がいて、その人を目印にして歩くしかないような夏野であることよ。という句です。枝折・・・枝を折って道しるべとすること。と辞書にあります。
 源実朝も参拝しているそうです。

 そして、そして、九尾の狐はその後巨大な石に変化。死してなお、盛んに毒気を吐いては、近づく人や鳥獣の命を奪った。そのため、殺生石と呼ばれたわけです。たまたま通りかかったお坊さんが、法力でこの石を三つの魂に砕いて破壊。
 それが、これ。
  
 鹿の湯の奥にあり、硫黄の匂いが満ちています。

 
 
 石自体は、しめ縄がなければ、普通のごつごつした岩です。でも振り返ると、

  うーん、不穏。さすがです。

 野を横に馬牽(ひ)き向けよほととぎす 
 
 殺生石は、温泉(いでゆ)の出づる山陰(やまかげ)にあり。石の毒気、いまだ滅びず、蜂・蝶のたぐい、真砂(まさご)の色の見えぬほど重なり死す。芭蕉(おくの細道)


 本日も、長文を読んでくださり、ありがとうございます。
 
 ③に続きます。

 

 
 

おくの細道の旅① 黒羽を拠点に

2021年12月18日 | 日記
 *長文です。芭蕉、俳句に興味のない方はスルーしてください。

元気なうちに、行きたいところに行こう。そう思ったのは、一昨年くらいでした。
 バスツアーなど、いろいろ調べて、目星をつけていたら、なんと新型コロナウイルスの騒ぎが始まり、旅行などできなくなりました。
 
 子ども向け俳句本『わくわく子ども俳句スクール』の中には、芭蕉の句をたくさん載せました。『おくの細道』や芭蕉のことも、かなり書きました。
 でも私自身、おくの細道の行程を全部歩いたことはありません。
 行っておくべきじゃない? と思ったのです。
 いつか芭蕉の伝記を書く機会がめぐってくるかも、という気持ちも正直持っています(お声かけ、待っております笑)。

 で、今回はようやく旅行に行けるとなり、申し込みました。
 このツアーは、芭蕉の足跡をたどるので、1回目は深川。3回目は日光と、日帰りツアーだったようです。その辺は私は行っているので、この4回目に参加したというわけです。

 前置きはさておき、
 芭蕉は春に、深川を出立しています。ツアーも、同じ季節のものが春にはあるようですよ! 
 時期を同じくするのが理想的ですね。でも贅沢はいってられません。行けるときに行こう! ですから。

 新宿に集合して、バスで出発です。さそいあっての旅行の方が多いのかなと思っていましたが、案外お一人らしき方たちが多かったです。ご夫婦らしいのが3組? あとは、私より年配かなという方達、ひとりで参加されていました(私も一人で参加しました)。17名プラス添乗員さんそして先生です。先生は、街道がご専門だそうです。ガイディングレシーバーで、しっかり説明も聞くことができました。
 座席は距離をおき、二人がけに、一人。なので、ゆったりです。

 高速道路を北上し、栃木県へ。
 最初に降りたのは、玉生(たまにゅう)です。
 曾良の日記には、「玉入(玉生)泊。宿悪シキ故、無理に名主の家ニ入リテ宿借ル」とあります。宿というのは、今だと旅館をいいますが、家のことも「宿」といっていました。芭蕉は名主の家に泊まったのです。
 玉生七郎右衛門さんです。 
  
 この碑はありますが、現在そこは、空き地になっています。
  
 このような蔵が2棟残っていました。栃木なので、大谷石です。立派です。ここに代々住んでいた方の暮らしぶりがうかがわれます。私はなにしろ、蔵フェチなので。

 さて、このあと常念寺、明王寺など寄り、句碑を見ましたが、写真のどれがどれだか・・。
  
 こちらは、黒羽の芭蕉の館の前にあった芭蕉と曾良の像です。
 芭蕉さん、馬に乗ってますね。芭蕉は健脚で、ときには40キロも一日で歩いたこともあるそうです。でも那須野では、雨降り、日も暮れたため、馬を借りたという文章が「おくの細道」で書かれています。馬を貸してくれた農夫は、「このあたりは、旅人では道を間違ってしまうでしょう。この馬がとどまるところで、馬を返してください」といいます。(馬は賢いから、自分で家に帰ってくる)その芭蕉と曾良を、子どもがふたり、走って追ってきます。一人は小娘で、名まえを「かさね」という。その名前がいいなと思ったのでしょう。

 かさねとは八重撫子の名なるべし 曾良 という句が残っています。*この句、曾良が作ったことになってますが、実は芭蕉の作ではといわれているようです。「おくの細道」は、創作ですからね。

 夏山に足駄(あしだ)を拝む首途(かどで)かな 芭蕉  

 これは、このあと白河の関を無事に超えられますようにという思いの句。
 黒羽には、江戸で芭蕉の門弟だった桃雪(とうせつ)がいて、歓待を受けたようです。それで、14日もいて、あちこちめぐったとのこと。
 
 野を横に馬牽(ひ)き向けよほととぎす  芭蕉
 秣(まぐさ)おふ人を枝折(しおり)の夏野かな  芭蕉
  これは、この地で歌仙を巻いたときの発句です。
 
 今日も又朝日を拝む石の上  芭蕉  という句も、お寺さんに句碑がありましたが、これは季語がありません。歌仙の中で読まれた一句だからです。歌仙はその中で式目といって、いろいろな決まりで巻いていくので、このように今の俳句では、ないようなものが入ります。わかりやすい内容ですが、句碑にするなら、発句にしたほうがよかったのでは? と思ってしまいました。どうなんだろう。
 歌仙を巻いて、楽しんだのだろうなあと思います。これって、ゲームみたいなものですから。
 
 この芭蕉の館があるのは、黒羽城跡。黒羽城は、大関氏が治めた城です。明治になるまで、お国替えなどなく、続いたというめずらしい大名だそうです。

 この日は、芭蕉をもてなした桃雪の屋敷があったところと、、そのお墓を、暮れつつある下野の夕日をバックに見て終わりました。

  

 長い文章を読んでくださって、ありがとうございます!
 旅日記、続きます。
 

おくの細道の旅、よかったです!

2021年12月16日 | 俳句
        

 新宿から出立して、新宿にもどってきました。
 一泊二日のバスツアー。私は初めてでしたが、4回目のツアーで、3回目は日光だったようです。なので4回目は、その後、芭蕉が14日も滞在したという黒羽を起点にあちこち。
 とてもよかったです。
 自分の記録として、後日、ちゃんとアップいたしますね。
 このツアー、毎回行けば、全行程めぐることができます。来月は、1月。白河の関を超えるとのこと。うーん、ちょっと忙しくて無理かな。まあ、無理せず、参加したいと思います。