この作品のテーマはなんなのか? これは大事なことです。
ただ、面と向かってその質問をされた場合、本音としては「それ、読んで感じてくださいよ」って言いたくなります。(言わないけどね)
私の場合、最初にテーマありきではないんです。
何か自分の中にあるものをひとつ(それはワンシーンだったり、ひとつの台詞だったり、舞台のイメージだったり、いろいろです)から手探りで書き進めるというタイプの作家です。なので、いつまでたってもプロットができない。全体が見えないうちに書いているのです。
地図を持たずに知らない土地を歩くようなもので、時に迷子になり、入り口にもどらなくてはなりません。
話がずれました。テーマ。
なので、書き上げてから(ああ、この作品のテーマは○○だな)と思ったり、編集者さんとの会話でその点に触れることもあります。営業の方と直接お話する機会はほとんどないのですが、営業をしていただくために「テーマ」は大事というのは理解できるので、できるだけキャッチコピー的なテーマを用意します。
『しゅるしゅるぱん』の場合、岩手を舞台のファンタジー。命の繋がりを描いた。とか。
この命の繋がりというテーマは、いみじくも『オオカミのお札』でも『どこどこ山はどこにある』でも、言っています。自分の中にそのテーマがあるんでしょうね(しょうねっていう言い方、どうよ? ですが)
でも読者がどう読むかは、自由。自分が考えたテーマをはるかに越えた読みをしてくださるレビューに出会うと、これはもう存外の喜びです。
そんなこともあり、私はちょくちょく「
読書メーター」というサイトをのぞきます。『しゅるしゅるぱん』は発売3年をすぎたのですが、このレビューサイトにいまだに、新しいレビューが時々アップされるのです。そのレビューの素晴らしいこと!! ここにレビューを書く方はかなりの本好きです。本当に嬉しい。
tuitta- では随時ご紹介しているのですが、ブログではしてません。というわけで、きょうはその喜びをお裾分け。ぜひ、素晴らしいレビューを読んでみてください。
上の「読書メーター」をクリックでも見られますが、新しいレビュー2つをコピペさせていただきます。
他の人の感想を読んで、この話が伝えたかったのは「やり場のない思いはどう消化するのか?」だったんだと分かった。そして、その思いに「気づいてますよ」と呼びかける。決して叶うことはないけれど、届いていることを伝える。たとえその思いは忘れ去られようとも、名前だけは心に刻まれる。『ごんぎつね』のごんと同じく、やり場のない思いはいたずらとして表れる。「僕はここにいるんだよ」って。事切れる時に見つけてもらえる。命と引き換えにしても、やはり「見つけてもらいたい」。見つけてもらえることで、その思いは心に帰っていくのだろう。(シントーさん)
岩手県の田舎町を舞台とした親子4代にわたる話。 自然の山や川には、古くから神や精霊やあやかしも住んでいるのだろう。そういったものを迷信と言って片付けるのは簡単だけど、人の誰かを想う気持ち、喜びや悲しみは誰の心にも存在している。 ただ、何かしらの事情で行き場を失った感情は、生み出した人を離れその場にとどまるのかもしれず、時を超え姿を変えてふと現れるのかもしれない。 そんな不思議で少し怖くてとても美しい物語。(oyasumiさん)
『オオカミのお札』『どこどこ山はどこにある』のレビューもしかり。感謝です!!