fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『アゲイン アゲイン』(あかね書房)『わくわくもりのはいくえん はる おともだちできるかな』『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

第2回かわせみ句会

2018年11月30日 | 日記
 児童文学作家&作家志望の方が集まって始まった「かわせみ句会」。
 先日、第2回がありました。場所は、国分寺南口、おばあさんの知恵袋 という絵本屋さんです。久しぶりに行ったら、コーヒーや軽食、夜はお酒も出るようになってましたよ! 

 なにはともあれ、皆さんの俳句、読んでください。

 稲刈るや案山子も我も体操着   むつみ
 鹿啼くやたそがれ時のその時に  穂波
 月まるく死にゆく人を抱き眠る   真理
 あれやこれや縁を切りたし秋夜長  お遊
 天文台のドーム越え来る秋の蝶   耕実
 病癒えやせたる腹に柿届く     湖魂
 立冬や風呂場のお湯がたまる音   朋
 深海から猫鮫が見るあれが月か   朋
 どんぐりを握りはなさぬ小さな手  結
 コスモスが揺れて近づく君の肩   あこ
 今年もねあなたとつつく紅葉鍋   あこ
 紅葉かつ散る影さへも光をり    昌扇
 嘘ひとつしのばせ書くや年賀状   ふくね
 落葉掃くかなわぬ願い掃くように  ふくね
 くるくるとフォークにからむしめじかな  不埒
 パソコンのごみ箱開く神の留守   あぶみ


 どお? いいでしょ? いいでしょ?
 句会も和気あいあいとして、楽しくて。いやー、皆さんさすがです。
 やりがいがあります。

 今回、ノスタルジーはダメ! 俳句らしくという気持ちが働いたようなのはダメ。とはっきり言ったので、次回はますます期待大です。

  これは、岩手の散歩コースにいた小さな鳥。調べたらエナガかなと思うのですが・・・。

本は読んでいただけてこそ。買っていただけてこそ。

2018年11月27日 | 自作紹介
   
       
 
 やはり本は読んでいただけてこそ。
 もっとはっきり言えば、買っていただけてこそ。です。

 動きが悪いと、返本という悲しい憂き目にあいます。どうか、書店で見かけたら手を伸ばしていただいて、家につれていっていただきたいと思います。

 先日の講演会は高校生が対象だったので、『どこどこ山はどこにある』のことはあまり話しませんでした。一番最近に出た本なので、本当はこれをもっとも宣伝するべきなのですがね。

 ということで、改めて、『どこどこ山はどこにある』(フレーベル館)、よろしくお願いいたします。小学生中学年向けですが、小説を書いている70代の友人に、今までの私の本で「一番好き」とも言っていただけました! 

 つまり、大人の人にも子供にもお勧め! 

     

 11月10日の毎日小学生新聞でも、紹介されていました。
  
 先日秋田に行ったさいには、駅前のジュンク堂秋田店では、面陳で出していただけていたし、少しずつでも広まってもらえるといいなと思います。
  
 

講演会無事終了そして、岩手へ、そして東京へ

2018年11月25日 | 日記
       

 秋田県高等学校文芸祭にて、講演をさせていただきました。「恋に落ちる瞬間をどう描くか」と題して、描写やタイトルのことをお話し、でもそれはスキルであって、スキルも大事だけれどもっと大事なのは、自分の内なる世界を掘り下げること。というのが話の流れ……のつもりだったけど、どうだったでしょうか? このように、人に自分の考えをわかりやすく伝えるためには、改めて自分も考えなくてはならず、勉強になります。人前で話すのは相変わらず苦手ですが、高校生達、聴いてくださって、ありがとう!!

 私は講演会後、岩手へ帰りましたが、午後からは、短歌、俳句、詩、小説などの分科会に分かれての勉強会があり、指導者として、それぞれ秋田で活躍されている俳人、歌人、詩人、語りをされている方などいらしていて、初めてお会いできて嬉しかったです。みなさんの雑誌も頂戴いたしました。

 このごろ、岩手や秋田では、容量限定のネットをしているので、写真のアップがままならず、数枚、まとめて記録的に。

  友人宅でいただいた、きりたんぽ。おいしかった。
 
  秋田、岩手は23日が初雪でした。これは、25日の岩手の朝。霜が降りた落ち葉。秋田と岩手の県境の山、木々の雪景色、素晴らしかったけど運転中で写真撮れず。
 今の時期、朝の空気がキーンと冷えているけれど、外に出るのが嫌というほどではなく、体に冷たい空気を入れる心地よさがあります。

 
 岩手は雲や空がいい!

 
 

 最後は大谷翔平選手。アメリカで新人賞をとり、帰国しているから、ふるさとに帰ってないかな? なんて、水沢江刺駅前の伝統工芸館へ行き、握手をしてきました(笑)。お土産屋さんにきいたけれど、帰っているという情報はないそうです。
  
 

母校訪問&講演会

2018年11月22日 | 日記
 高校の時の同級生である、児童向けノンフィクション作家池田まき子さんといっしょに、母校、秋田県立秋田北高等学校をご訪問させていただきました。

  
 校舎は、近代的。フローリングに高い天井、重厚な扉。立派でした。

 校長先生をはじめ、教頭先生、文芸部の先生、そして生徒さん達が、歓迎してくださって、感激。ちょっとご挨拶をして、図書室を見て、本を寄贈して帰るつもりだったのが、気づいたら2時間半も滞在していました。ありがとうございました。

  教室は昔の雰囲気で。

  図書室 一般の方への公開もしています。

  美術室も見せていただきました。

 文芸部の「灯」もいただきました。わー、小説書いてる!! そりゃあ、文芸部だものね。
 皆さん、しっかりしていて、頼もしいです。

 実は二人とも卒業以来。40年以上たってるんですからね。
 女子の制服は当時と全く同じ。これは嬉しい。そして当時は女子校だったけれど今は共学、男子もいます。新鮮でした!!
 
 そしてあしたは、秋田県の高校文芸部のコンクールがあり、そこで講演をさせていただきます。どきどき&楽しみ。
 
 

テーマ(『しゅるしゅるぱん』のレビューから、考えたこと)

2018年11月15日 | 自作紹介
  この作品のテーマはなんなのか? これは大事なことです。
  ただ、面と向かってその質問をされた場合、本音としては「それ、読んで感じてくださいよ」って言いたくなります。(言わないけどね)
  私の場合、最初にテーマありきではないんです。
  何か自分の中にあるものをひとつ(それはワンシーンだったり、ひとつの台詞だったり、舞台のイメージだったり、いろいろです)から手探りで書き進めるというタイプの作家です。なので、いつまでたってもプロットができない。全体が見えないうちに書いているのです。
 地図を持たずに知らない土地を歩くようなもので、時に迷子になり、入り口にもどらなくてはなりません。

 話がずれました。テーマ。
 なので、書き上げてから(ああ、この作品のテーマは○○だな)と思ったり、編集者さんとの会話でその点に触れることもあります。営業の方と直接お話する機会はほとんどないのですが、営業をしていただくために「テーマ」は大事というのは理解できるので、できるだけキャッチコピー的なテーマを用意します。

      
 『しゅるしゅるぱん』の場合、岩手を舞台のファンタジー。命の繋がりを描いた。とか。
この命の繋がりというテーマは、いみじくも『オオカミのお札』でも『どこどこ山はどこにある』でも、言っています。自分の中にそのテーマがあるんでしょうね(しょうねっていう言い方、どうよ? ですが)

 でも読者がどう読むかは、自由。自分が考えたテーマをはるかに越えた読みをしてくださるレビューに出会うと、これはもう存外の喜びです。
 そんなこともあり、私はちょくちょく「読書メーター」というサイトをのぞきます。『しゅるしゅるぱん』は発売3年をすぎたのですが、このレビューサイトにいまだに、新しいレビューが時々アップされるのです。そのレビューの素晴らしいこと!! ここにレビューを書く方はかなりの本好きです。本当に嬉しい。
 tuitta- では随時ご紹介しているのですが、ブログではしてません。というわけで、きょうはその喜びをお裾分け。ぜひ、素晴らしいレビューを読んでみてください。

 上の「読書メーター」をクリックでも見られますが、新しいレビュー2つをコピペさせていただきます。

 他の人の感想を読んで、この話が伝えたかったのは「やり場のない思いはどう消化するのか?」だったんだと分かった。そして、その思いに「気づいてますよ」と呼びかける。決して叶うことはないけれど、届いていることを伝える。たとえその思いは忘れ去られようとも、名前だけは心に刻まれる。『ごんぎつね』のごんと同じく、やり場のない思いはいたずらとして表れる。「僕はここにいるんだよ」って。事切れる時に見つけてもらえる。命と引き換えにしても、やはり「見つけてもらいたい」。見つけてもらえることで、その思いは心に帰っていくのだろう。(シントーさん)

 岩手県の田舎町を舞台とした親子4代にわたる話。 自然の山や川には、古くから神や精霊やあやかしも住んでいるのだろう。そういったものを迷信と言って片付けるのは簡単だけど、人の誰かを想う気持ち、喜びや悲しみは誰の心にも存在している。 ただ、何かしらの事情で行き場を失った感情は、生み出した人を離れその場にとどまるのかもしれず、時を超え姿を変えてふと現れるのかもしれない。 そんな不思議で少し怖くてとても美しい物語。(oyasumiさん)

 『オオカミのお札』『どこどこ山はどこにある』のレビューもしかり。感謝です!!

『日本児童文学』2018・11・12月号に寄稿しました

2018年11月12日 | 本の紹介
         

 特集 子どもの本の作家になろう! -新・創作入門-

 たくさんの作家さん達が創作について語っています。村上しいこさんは「デビュー前に知っておくこと」、他に《私の創作方法》、《対決、創作作法》《エッセイ 上達のヒケツ!》

 私は《上達のヒケツ!》のコーナーで「ヒケツは俳句なりけり……かな」として書かせていただきました。ヒケツなんてあったら聞きたい。と書きだそうかなと思ったけれどやめてよかった。他の作家さんがやっぱりそのスタンスでした。私に求められているのは、こういうことかな? と私なりに考えて書いた文章です。
 まあ、結局結論は……ですが。

 読んでいて、皆さんさすがと思いましたよ。やる気が出ます。

 つい最近、野間児童文芸賞が発表になり、安東みきえさんの『満月の娘たち』が見事ご受賞されました。安東さんも《上達のヒケツ!》を書いてらっしゃいます。飛ぶ鳥を落とす勢いのいとうみくさんも! 私はこのお二人の本をじっくり読むこともまた、勉強になると思っています。みくさんの新刊を最近は続けて読んでいたので、今は安東さんの本を読み直しています。
 普段購読されていない方も、この号は購入の価値があると思います。

 また、この雑誌、毎年表紙の絵の書き手さんが変わりますが、この一年は、岡山伸也さんでした。子ども達の生き生きとした姿、自然、動物たち。どの号も好きな絵でした。次号からは違う方になるのかな? 
 
 左のブックマークにある日本児童文学者協会のサイトからお申し込みいただけます。書店さんにご注文という方法もあるかな。

「童子」川越句会作品集『川』

2018年11月06日 | 日記
           

  所属している俳句結社「童子」には、各地に句会があります。
 その句会ごとに、作品集を出す場合があるのですが、このたびは、川越句会のものです。

 つき当たればここも寺なり夕永き   辻 桃子

 神域をぬければ冬日あたたかし    安部元気

 泥あれば泥に休みてあめんばう    佐藤明彦

 桃咲くやその頃来よと言はれて来   高橋晴日
 甘すぎる鏡開きの汁粉かな      清水雪花
 新涼の墨をたつぷり含ませぬ     岩本 桂
 籠に置く出張鞄初湯殿        大野 宥之助
 行く春の品川宿の札所かな      岡部 郁
 吹降りのいつしかあがり小豆粥    梶川みのり
 乳呑み子の寝返つたるや煤籠     草野小像
 幕間や触れてほめあふ薄衣      斉藤小桐
 保育器の子の足うごく聖夜かな    柴田けふこ
 でこぼこのありてでこぼこ蟻の列   志村喜三郎
 五六個や春の帽子を積みあげる    杉山美加
 賢治忌や銀河のやうな草の露     草露そろ
 涅槃絵や悲しみのさま生き生きと   永松 史
 溶けてなほ抱きあつてゐる雪の像   西村小市
 聖堂の椅子に座布団寒の入り     柳川えみり
 全集の一巻どこへ書を曝す      吉田 空
 
 それぞれが20句ほどにエッセイがついていて、お会いしたことのない方でも、その人となりが見えるようです。何よりメンバーが月一回集って切磋琢磨し、楽しく俳句をやっているのだなあと伝わってきます。

 私が幹事をしている多摩センター句会も、合同句集をいつか作れたらいいのですが・・・。何しろ幹事がいつもバタバタしていて。でもこういうのをいただくと、心が動きます。
 
 辻桃子主宰の句はめずらしく字余りですが、川越の小路に入ってしまった感がでているなあと思いました。「永き日」「日の永き」ではなく「夕永き」としているところ、さすがです。安部元気副主宰の句は、神域(つまり神社ってことか?)はひんやりとしていたのかなという連想が生まれ、佐藤明彦編集長は、泥という場にあめんぼうが休んだ瞬間をとらえいる。
 
 マンネリから脱却できずにいる俳人にとっては刺激になりました。

『その年、わたしは嘘をおぼえた』ローレン・ウォーク作/中井はるの・ 中井川玲子 訳(さ・え・ら書房)

2018年11月06日 | 本の紹介
        

 この本、私は内容も作者に関しても、何の予備知識を持たずに読みました。めずらしいことです。
 1943年、戦争の色濃いアメリカの田舎。「オオカミ谷」と呼ばれる丘陵地が舞台です。11歳の少女アナベルの住むこの村にトビーといういわば浮浪者のような戦争帰りの男がいます。村人たちからはうとまれているけれど、アナベルやアナベルの母は彼を受け入れていました。そんな中、学校にベティという少女が転校してきます。ベティは、他に行くところがなく祖母の家に来たという少女。アナベルに対して脅迫まがいのことをしかけてきます。
 そして事態は単なるいじめ疎外という問題では終わらず、進んでいきます。
 
 アナベルがついた嘘とは? 真実とは?
  
 「どうなるんだろう」「本当はどうなんだろう」という思いで、苦しいような思いを抱きながら、読み進めました。

 ベティが黒なのは間違いないけれど、トビーはどうなの? 本当はどうなの? と、すみません、疑心暗鬼でした。

 読み終えて、アナベルの強さに、頭が下がりました。

 ラストの2ページが秀逸です。引用したいけれど、それをしては小説の醍醐味が失われてしまいます。ぜひ、読んでください。(ラストから読むのは、ダメです)


 *2017年ニューベリー賞オナー&カーネギー賞ショートリスト作品。原題は「Wolf Hollow」です。
 *日本ならば、この時代を描くと、もっと古くさい感じになってしまうと思うのですが、アメリカが舞台だと、古さを感じさせないという印象も。不思議ですね。現代を描くと情報が多すぎるけれど、そういうものがないので、心の本質に迫ることができるようです。