fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『アゲイン アゲイン』(あかね書房)『わくわくもりのはいくえん はる おともだちできるかな』『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

『さばくのジン』(新藤悦子ぶん/荒木郁代え)福音館書店

2018年02月28日 | 本の紹介
           「こどものとも」2017年3月号

 ジンというのは、イスラム世界で信じられている、目に見えない精霊なのだそうです。
 砂漠に住む民の子シャーは、ジンの恐ろしさを聞かされていました。でもケマンチェという楽器を弾けさえすれば、ジンはケマンチェが好きだから、おとなしくなるというのです。
 シャーは、まだケマンチェを上手に演奏できません。
 そしてキャラバンが新しい旅に出ることになり、シャーは具合の悪いおかあさんからケマンチェをたくされます。

 つらい砂漠の旅が始まりました。しかも、ある日、とうとうジンが現れるのです。

 3月号ということは、4月から1年生になる子たちへわたす絵本です。なるほど、砂漠を旅する民、魔物(精霊といっても鬼のようなおそろしい姿です)、ケマンチェという楽器。身近にはない世界を想像する力がついているということなのですね。
 茶色っぽい和紙に描いた一連の絵がとても上品です。絵本は絵と文章の合作。その絵が15画面もあるのですから、ぜいたくです。

 それにしても、世界中いろいろな民がいるわけですが、厳しい自然と接して生き抜いていく中、このような幻想的な生き物を創造し、伝えているのはどの国にでもあることなのですね。尊いことだなあと思います。

人の心に残るもの

2018年02月21日 | 日記
 俳人の金子兜太さんが、亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。
 どこかに、生きているだけで力をもらえる方と書いてありましたが、亡くなられたとしても、その力は存続し続けると思います。
 金子兜太さんは、人となりそのものが、作品そのもののような方でしたから。(私は全く接点はありませんでしたが)

 芭蕉なんて江戸時代の方ですからね。

 先日調布に行ったのですが、布多天神へ行く途中の商店街が、ゲゲゲの鬼太郎ロードになっていました。そのとき、ふと(あれ、水木しげるさんって、亡くなったんだっけ? どうだっけ)と思いました。もしまだご存命だとしたら、とんでもない失礼なわけだけれど、調べたら2015年に亡くなっている。

 これも作品の力。すごいことですね。

  小さいモニュメントですが、鬼太郎に登場するいろいろなキャラがいます。布多天神には、鬼太郎おみくじもあり。あなたの心の中に住む妖怪は、「猫むすめ」と出ました。猫むすめが好きなので、嬉しい。

 また先日、突然舅が生前作った芽キャベツの味を思い出しました。雪の下になっているのを、掘ってきて、スープなどに入れて食べたっけ。おいしかったあ!! ホントにおいしかった。亡くなった後、私も畑で作ってみましたが、とても及びませんでした。ホウレンソウもおいしかった。本当の野菜の味を教えてくれた舅には感謝でいっぱいです。スーパーで芽キャベツなんて、買う気がしません。
 
 というように、その人が精一杯作ったものは、人の心に残るのですね。
 私の作品は、どうでしょうか。

『なみきビブリオバトル・ストーリ―2 決戦は学校公開日』さ・え・ら書房

2018年02月17日 | 自作紹介
              

 発売になりました!!

 作者は、森川成美、おおぎやなぎちか、赤羽じゅんこ、松本聰美。前作『なみきビブリオバトル・ストーリ― 本と4人の深呼吸』と同じメンバーです。イラストは黒須高嶺さん。さすがに、登場人物の個性を描き分けてくださいました。

 前作は、図書館のイベントでしたが、今回は4年生の授業です。実際に小学校でこれからどんどんビブリオバトルが行われると思います。
 本を通して人を知る。
 人を通して本を知る。

 ビブリオバトルにはいろんな面がありますが、授業でやる場合の難しさもあるでしょう。昨年、八王子の小学校を見学させていただきましたが、地域の方や大学生も協力して楽しんでいました。
 
 原稿を丸暗記して発表するのではなく、心から好きな本を紹介する。そういう場であってほしいと願います。

 物語で伝えたいのも、一生懸命な子ども達の姿です。
 前作同様、どうぞ、よろしくお願いいたします。

『わたしの空と五・七・五』(森埜こみち)講談社

2018年02月10日 | 日記
          高学年~

 第19回ちゅうでん児童文学賞大賞作品です。大賞作品!

 昨年発表になったときのタイトルは『一句献上いたします』ということで、おお、俳句! 俳句物語! これは、楽しみ~と、本当に楽しみにしていました。
 そしてとうとう発売、タイトルが「わたしの空と五・七・五」に変更。これ、とてもよかったと思います。ぱあっと上を向いて前向きで明るいタイトル。

 最初パラパラとめくって、目についた俳句を読んだら、これが予想以上にいい俳句で、「おおー」となりました。心を落ち着かせてよまなくては! と一晩おいて読み始めました。

 主人公は空良(そら)。中学に入学したばかりで、部活を何にしようかと迷っています。この主人公の名前がタイトルになっているんですね。しかも芭蕉の弟子の曾良も思い浮かびます~。なんていい名前をつけたのでしょうか。

 ある日、下駄箱にちらしが入っていました。それには、「しゃべりは苦手でも ペンをもったら 本音をぶちまけられる者よ! 文芸部に入るべし」とあったのです。そして・・・。と話は展開されていきます。

 私は文芸部の先輩が、一緒に入った子が「きれいだった」という感想しか言えないとき、それをどう表現するか引き出す力に感心しました。うんうん、そうなんだよねえ。俳句、深いよ。
 空良が新しいクラスの中で、どう変化していくか。という物語が軸となっています。
 
 ちゅうでん児童文学賞の選者である先生達のコメントまで読めるお得な本。

 空良が、どんな俳句を作ったか、どうぞ読んでみてください。なかなかです。

 そして、これ、続きがありそう。というか読みたいです。

『川のむこうの図書館』(池田ゆみる作・羽尻利門絵)さ・え・ら書房

2018年02月05日 | 本の紹介
           
 
 池田さんは、『坂のとちゅうの図書館』(さ・え・ら書房)でデビューされましたが、その続編です。
 『坂のとちゅうの図書館』は、春菜という女の子が図書館で物語と出会うというストーリーでした。春菜はあけぼの住宅という自立支援施設に入るのですが、竜司もまたそこにいた子です。中に竜司は図書館の雑誌を盗んでしまうというエピソードが入っていました。春菜がそのことに気付き、竜司は返却ボックスに入れるというやりかたで雑誌を返します。そして、春菜とは特にやりとりがあるわけではなく、引っ越してしまいます。
 竜司はどうなるのかな。と気になっていたところ、このたびはその竜司を主人公として、きちんと描いてくれました。

 よかった。(ほっ)
 竜司もまた母と二人で生きています。春菜もそうでしたが、本と出会うことによって人生が変わるかもしれない。本当にそうなのです。私達物書きは、本にはその力があると信じているんです。

 竜司は、グループでの自由研究発表をするため、本でいろいろなことを「調べる」ようになります。本というのは本当にいろいろな世界を私達に示してくれる、導いてくれるものだなと改めて思います。図書館は宝物がぎっしりと詰まった場所、そして誰でも無料で利用できるのです。
 
 物語の登場人物は、誰一人として意味なく存在はしていないということが、この2冊によって示されてもいます。一人一人が自分の人生を生きているのです。

 

「花いかだ」(「児童文芸2018/2・3月号)

2018年02月03日 | 自作紹介
             

 今号の特集は、「やってみなくちゃわからない! 三題噺大実験」
 3つのお題(川、おばあさん、鼻歌)が入った物語+グレードとジャンルを指定されて、12人の作家が腕をふるっています。私に指定されたジャンルは中・高学年向けの恋愛もの!

 ご依頼をいただいたときは、お題よりも、「恋愛もの」というジャンルに目が点になりました。恋バナ……書けるかしら。
 でも書くしかありません。書きましたよ。なにせ昨年は俳句にどっぷりつかっていたので、そのとき書いていた物語の主人公達のサイドストーリーという形にしました。

 まさに、今そのメインストーリーをあれこれやっているところ。
「花いかだ」というのは、川や池などに散った桜の花びらがまとまっているのを、筏(いかだ)と見た、大好きな季語のひとつです。

 他にはファンタジー、リアリズム、SF、時代ものなどなど、おもしろい! 皆様、さすがです。私がよかったなあと思うのをここであげるのはちょっとやめておきますね。読んだ人によって、好みも様々かも。

 とてもおもしろい企画だったと思います。やってみなくちゃわからない、とタイトルにあるのですから、編集部としては冒険だったのでしょうか? でも第二弾、第三弾もぜひと思いました。

 「花いかだ」、ぜひお読みください。 
新連載も2編。せいのあつこさんの「リチェルカーレ 三つのバイオリン」はさすがの出だしで、今後が楽しみです。

 雑誌「児童文芸」は、定期購読の他、1冊からの購入もできます。このブログの左にあるブックマークの「児童文芸家協会」へ。

「季節風」春研

2018年02月02日 | 日記
 「季節風」HPにお知らせが出ていますが、http://www.kisetsufu.net/haruken18.html 私もちょこっとお話をすることになっています。

 今、児童文学に求められているものとは?
わたしたちはなにを書き、書かなければいけないのか?
近年話題になっている作品を取り上げながら、児童文学の今とこれからを語り合ってみませんか?
第一部「自作を語る」
おおぎやなぎちか・栗沢まり・せいのあつこ・高田由紀子・安田夏菜
第二部「今、気になるこの作品」
繁内理恵・土山優
● 日 時  2018年4月21日(土) 13:00~17:00(受付12:40~)
● 場 所  中野サンプラザ 8F 研修室3
● 参加費  1,000円

◆申込み先 kisetsufu2005@yahoo.co.jp
※当日、二次会を予定しています。参加の有無もあわせてお知らせください。
※申し込み後、一週間以内に返信がない場合は、届いていない可能性があるため、再度申し込みをお願いします。
※会場の都合上、定員36名で締め切ります。

◆参加申し込み締め切り 2018年3月31日(土)

 これは、「季節風」会員以外もOKなはずですが、今年は36人なんですね。どうかな? 昨年は秋田から来てらした青年が、そのままそこで会員になったなあ。ということもあり、お知らせをここでもさせていただきますね。
 かなり盛りだくさん。今がんばってる人達が、熱く語る!