fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『ぼく、ちきゅうかんさつたい』(松本聰美・作/ひがしちから・絵)出版ワークス

2017年05月15日 | 本の紹介
            低学年向け

 ぼくとおじいちゃんは、地球観察隊ごっこをしています。まわりのいろんなものをしっかり観察し、隊長であるおじいちゃんに報告します。おじいちゃんは、今、ベッドに寝ています。
 隊員第一号は、ぼく。
 隊員第二号は、犬のらんまる。
 そして、クモが、隊員第三号になりました。

 観察隊の観察対象は、クラスのだいちゃんのことだったり、こいのぼりだったり、ひまわりだったり。身の回りすべてのことです。
 観察を続けていると、その対象に優しい気持ちをいだきます。
 その様子が、やさしい文章でていねいに描かれています。

ぼくにとってはつらいことも、後半には待ち受けています。でもおじいちゃんとやりとりをしたことを思い出すことで、ぼくは乗り越えてゆくことができるのです。
 これを読んだ子どもは、きっと自分の身の回りを観察したくなるでしょう。まわりの大人は、いっしょに観察隊をやってほしいと思います。

 俳句をやっている中で、写生、観察ということの大事さを痛感していますが、その目には、森羅万象への畏敬の念が必要。そんなことも思いました。

http://spn-works.com/kansatsutai/index.html ←特設サイト 

 オールカラーなので、絵本から本へ移行する時期のお子さんにぴったりです。プレゼントにも最適。

 さあ、私も観察隊をやりましょう。 
 

冊子「絵本の与えかた」(福音館書店)

2017年05月15日 | 日記
 書店などで手に入る冊子のひとつを読んでいて、記録したいなと思いましたので。
 松居直さんが書かれているものです。

 お母さんやお父さんが絵本を読んでくれること、そのことが幼児にはうれしい。その上、その絵本が自分のお気に入りの絵本であれば、こんな楽しいことはない。この「楽しさ」は、必ず子どもの心に深く残る。おとなは忘れてしまっても、この喜びは、子どもの成長とともに育ち、それが、本への興味にもなっていく。
 
 一冊の絵本を手にするとき、この一冊の絵本が、わが子にどのくらい多くの喜びと楽しみを与えることができるかをまず考える。それが、子どもが読書力のある、本好きな子に育つ確かな道。
 
 幼児期に、より多くの喜びと楽しみ、言い替えればしあわせを、親から与えられた事もは、成長したとき、みずからのしあわせをしっかりと築きあげ、そして人とそれを分かちあえる人間に育つのだと思います。そのためにも、お母さんがしあわせであり、お父さんがしあわせであることを、心から祈らずにはいられない。
 (語尾など、簡略しました)

 幼児を見ていると、一人の人間として、日々成長している(中で爆発的に細胞分裂が行われているのでは? と思うほど)子どもには、一人でも成長する力があるようです。でもまわりの関わり方が深く影響を及ぼすことも、たしか。
 小さい子には、刺激の強すぎる電子ゲームではなく、生の「声」で語りかけ、本を読んでやりたいもの。
 と、思っている日々です。 
 


 

『あぐり☆サイエンスクラブ春ーまさかの田んぼクラブ?!』堀米薫作/黒須高嶺絵(新日本出版社)

2017年05月03日 | 本の紹介
            
 宮城で酪農と農業を営んでいる、どじょうさんこと、堀米薫さんの新刊です。
 学は、「あぐり☆サイエンスクラブ員募集! 野外活動をしながら科学を体験しよう!」というちらしに惹かれて、そのクラブに入会する。
 出かけてみれば、活動場所は田んぼ。まさかの田んぼクラブだったのだ。

 すべてが初めての体験。苗を育てるところから、田植えまでが、この「春」の仕事、いやクラブ活動だ。
 だまされた? いや、そうじゃない。農業はサイエンスなのだ。
 これは、岩手大農学部を卒業した堀米さんの真骨頂。大自然の恵を受け、私達が毎日食べている米はできている。そこには、人の手と気持ちと、科学があるのだ。
 学達は、体を動かし、働きながら、それを実体験する。
 子供達に、この体験をしてほしいという堀米さんの願いも伝わってくる。

 私も岩手で、農業に片足だけつっこんでいる身だが、いかんせんやはり素人。苗は、苗箱にできたものしか見たことがない。(お恥ずかしい)
 へえーっと思うことも、書かれていた。『稲光は豊作の兆し』という言い伝えは、科学的に見ると、空気の成分である窒素と酸素が、雷のエネルギーと雨水によって、肥料の成分になる。なんて!
 俳句的には、「稲光」は、天と地が結びつくもの。なので「稲の妻」という言葉もある。その結果、できるのが子供、稲というわけだ。
 
 段取り八分 という言葉もいいなあ。
 今はまさに「スプリングブルーム」の時期。ぜひ、これらの言葉を、この本で体験してください。
 かえる釣りもしてみたい。学、うらやましいぞ。

 田んぼの神様のおくりものは、私もだーいすきです。(これも、本で確かめて!)

 まさに、宮沢賢治の後輩です。
 夏、秋と続くことは、間違いなし。楽しみです。


 *余談ですが、表紙、挿絵を描かれている黒須高嶺さん。景色も子供たちも、ばっちり。
 実は、5月に出る予定のアンソロジー『なみきビブリオバトル・ストーリー 四人と本の深呼吸』(さ・え・ら書房)の絵も高須さんです。しかも、登場人物は、4人の5年生(男女2人ずつ)。舞台は、田んぼではなく図書館ですが、共通してるなあと、嬉しくなりました。こっちも、ぜひお楽しみに。(ついでの宣伝でした)