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◎2012年9月14日(金)~15日(土)―I男と
14日:芦安市営駐車場(5:40)―〈乗り合いタクシー〉―広河原(6:30)……白根御池小屋(8:32~8:45)……北岳肩ノ小屋(11:52)〈泊〉
15日:肩ノ小屋(5:20)……北岳(5:55~6:11)……八本歯ノコル(6:56)……二俣(8:08)……広河原(9:37) 広河原(9:42)―〈乗り合いタクシー〉―芦安駐車場(10:30)
I男に北岳、間ノ岳の百名山歩きを所望された。自分は両山ともに行ったことはあるが農鳥岳には行ったことがない。農鳥岳を加えた白根三山だったら行ってもいいよという条件付きでOKした。ここのところの「予定」はいつも全うされた試しがないが、今回の予定は、初日、北岳登頂後に北岳山荘に泊まり、翌日は、間ノ岳、農鳥岳を経由して、大門沢小屋に泊まる。もし、15時10分奈良田発の広河原行き最終バスに間に合うようなら、一気に奈良田まで下り、その日のうちに芦安に帰るといったもの。この予定もどうなることやら。さて、ここで、北岳山荘ではなく、農鳥小屋に泊まれば2日目はかなり楽なのだが、ネットで調べる農鳥小屋の評判にはあまり芳しいものがなく、宿泊代を払い、マナーを守って泊まる以上は気分良く泊まりたいもの。しかし、衛生面で後悔していたのではおかしなものなのでパスしておいた。ただ、気分的に、どんなオヤジさんなのか、興味津々ではあったから、時間を持てあますようなら、農鳥小屋泊も有りだなと思ってはいる。
広河原に行くのは20年ぶりのことで、もう、当時という言葉を使う形になるが、広河原までは自家用車で入れた。もっともその先はダメだった(これは2006年度版昭文社マップも行ける形になっていたから、乗り入れ禁止は最近のことだろうか)。自家用車では入れないことを知ったのはごく最近のことで、奈良田と広河原間にバス路線ができたことも知らなかった。だが、バスも乗り合いタクシーも、平日の運行タイムはきわめて悪い。3連休が控えているのだから、その際に行けばいいのだろうが、混雑は目に見えている。そのために金曜日に休暇をとった。5時40分始発の乗り合いタクシーに乗りたい。バスだと6時30分発になる。そのため、I男に甲府の安宿を探させ、仕事が終わってから向かった。これで安泰出発のはずではあったが、深夜にI男の携帯がメールを受信し、その音で誤って起きてしまい、以降、ろくに寝ないで朝を迎えた。すっきりしないままに芦安に向かう。始発の乗り合いタクシー(9人乗り)は6台並んでいて、順番に5台目に乗車。これだけで45人はいる。料金は1,100円。バス料金も同じだから、タクシーの都合が良かったら、こちらの方がいいだろう。ここで最初のトラブル。I男の靴。ヒモ掛けのフックが1つ外れてしまっていたので、タクシーの中でヒモを巻き直ししていたら、続いて別のフックがポロリ。これでは歩けない。靴のメンテもろくにしていないのだろう。出発間際のことだ。車の中に、オレの予備靴があるので、急いで交換しに行かせた。幸いにも同サイズだったので、何とか切り抜けたが、幸先はあまりよろしくない。
(吊り橋の手前から北岳)
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広河原からすぐに歩き出し、吊り橋を渡る。正面に北岳らしき山が見えている。懐かしい風景だ。今日の天気は今のところ文句なし。大勢のハイカーが歩いている。広河原山荘の先に水場があり、これを飲む。南アルプスの天然水は冷たくておいしい。登山道はすぐに分岐する。大樺沢ルートと白根御池ルート。普通、ここは大樺沢ルートに向かい、下りで御池小屋ルートを歩くものだが、今回はこの分岐を白根御池ルートにとる。北岳山荘泊まりが頭にあったため、今日のうちに北岳を済ませておきたかった。これに対してI男は何も言わなかったし、時間もあり過ぎるので、このコースにした。これが後で裏目に出てしまう。ハイカーの大半が分岐を大樺沢コースに向かった。
(結構な急登だ)
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御池ルートは樹林帯の急登だった。両コースとも歩いてはいるのだが、はるか以前のことゆえ、記憶は薄れている。かすかに覚えているのが、大樺沢ルートはコースをちょっと外れるとキジ場だらけだったこと。そして、バットレスを右に見ながら雪渓の脇を歩いたこと。それだけの記憶。御池ルートの記憶はないが、こんなに急だったとは。早々に、元気の良い青年5人に抜かれた。樹林の中を走る微風はひんやりしていて心地よい。大汗をかきながら登る。ただ、I男は先行しているものの、何となく、歩きが鈍い気がした。第1ベンチを過ぎ、第2ベンチに向かう途中でタバコを吸いたいと言い出した。まだ歩き出しから1時間も経っていない。自分はまだ吸いたくもないから、一人で先に歩く。第2ベンチで待っていると、オッサンが先に登って来た。今日は北岳山荘に泊まって、明日は間ノ岳に行って戻る予定とのことだ。じゃ、北岳山荘に遅れて行きますから、なんて会話したが、それっきりお会いすることはなかった。
(北岳を改めて見る)
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(鳳凰三山方面)
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(白根御池と鳳凰三山)
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急登が続く。本当に嫌になる。稜線は遙かに上に見える。しばらくして「急登はあと20分です」の手書きメモを目にする。遅れがちなI男を励ます。北岳(正確にはその一角)がまた見えてくる。少しは近くなった。そして、ようやく急登は終わった。鳳凰三山も見えてきた。傾斜が緩やかになると、樹林帯にも陽の入りが激しくなり暑くなった。I男は急登からの開放感からか、元気を取り戻し、すたすたと先に行く。白根御池小屋に到着。広河原から2時間。ここまでそれでもコースタイムより1時間の短縮をしている。机上計画はすべてコースタイムでやっているから、早いと言えよう。これなら、農鳥小屋泊まりかな。御池小屋でしばらく休む。この小屋のロケーションはいい。正面に鳳凰三山、後ろは北岳の一角が望める。御池の水は澄んではいなかった。
(草すべりを登る)
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(あれは大樺沢の雪渓だろうか)
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(ここにも秋の気配。紅葉はきれいだろうな)
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ここからはいわゆる「草すべり」だ。I男は事前にコース地図を見て、この名前から嫌な予感を抱いたそうだ。小屋から大樺沢に抜ける手もあったが、それをやれば、北岳をパスしてしまう可能性もある。せっかくここまで来たのだから、地道に草すべりの急登をこなすのが無難。見上げると先を何人か歩いている。やはり、なかなか急だ。この辺は好季にはお花畑だろうか。振り返ると、地蔵岳のオベリスクが見える。この草すべり、御池小屋の標高は2,200m、北岳に延びる稜線が2,850mくらいだから、標高差600m以上の登りになる。1時間の貯金もあることだし、のんびり歩こう。やがて、空に雲が出はじめ、ガスが巻いてきた。あたりは瞬間、真っ白になるが、天候悪化になりそうな兆しはない。時々、青空も覗く。I男はバテてきたのか寡黙になった。こちらは至って平常のまま。むしろ、調子は上向き。そのうち、I男は休みがちになり、とうとう歩けなくなってしまった。具合を聞くと、足が上がらないのだそうだ。痛みがあるわけでもないから、痙攣の前兆ではないらしい。先に行ってくれと言われるが、放っておくわけにもいくまい。こうなると、彼の過去の経緯からして、休憩だけでの回復は見込めない。この時点で、農鳥岳に行くのはあきらめざるをえなくなってしまった。それどころか、北岳を経由しての北岳山荘も無理だろう。正直のところ、いつものように、人気もまばらで、別の行ったことがない山を歩いていれば良かったというのがストレートな感じだ。
(アップでホシガラス)
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(北岳が間近に)
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(振り返ると、I男は小さくなっていた。ここで待機)
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(仙丈ヶ岳)
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(お疲れさん。ダウン寸前)
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ハイマツ帯になり、稜線が近づいてきた。さっきから大きめの鳥が飛んでいる。枝に止まったところをカメラのズームで覗いてみると、ホシガラスだった。結構いる。大樺沢の二俣から上がって来るコースに合流。ハイカーが若干多くなる。ゆっくり足の年配者2人に抜かれる。かなりショック。さっきから、遅れがちなI男を視界に入れながら先をゆっくりと歩いては休んで待っている。ようやく稜線に到着。甲斐駒は雲に隠れて見えないが、仙丈ヶ岳は正面にドーンと見える。北岳はというと、こちら側の前衛峰に隠れて本体は見えない。あの仙丈ヶ岳、広河原からの最終バスに乗り遅れ、北沢峠まで歩いた。テント持ちだったからあの車道歩きはきつかった。それでいて、山頂ではアブに刺されまくりで、あまり良い印象のない山だ。I男がようやく稜線に上がってきた。また大休止。見える山の説明をしても、最早、気はそぞろで、右から左に流れているようだ。
(取りあえず撮ってやった)
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(あれを越えれば北岳肩ノ小屋)
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(肩ノ小屋)
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アルプスらしい、気持ちのよい稜線歩きが続く(自分だけは)。I男のことが気になり、肩ノ小屋に早いとこ到着することだけをひたすら願ったが、気はあせっても、彼の足が動かないのではどうしようもない。雨が上からポツリ、ポツリ。ようやく、本日の宿になってしまった肩ノ小屋に到着。まだ正午前だ。7月の悪沢岳とまったく同じパターン。ただ、悪沢岳の場合は天候理由だった。それでも、宿泊予約は3番目であった。従業員は食事中。荷物を置き、缶ビールを早速飲み、ついでに小屋のメニューにあったラーメンを食べることにする。900円もするから、さぞ名物のラーメンかと思ったが、出てきたのは、ぬるいサッポロ一番みそラーメン・コービーフ付きであった。いくら何でも900円とはなぁ。持参のラーメンを作って食べた方が余程よかった。次に小屋に入ってきたオッサンが、我々が食べているのを見ておいしそうに感じたのか、後で頼んで食べたそうだ。やはり、あきれていて、その話をしながら笑ってしまった。他にも、「ソバ」「うどん」といったメニューも同じ値段であったが、これでは、赤いキツネが出てくるのではないのか。しかし、コンビーフという発想はどこから出てくるのだろう。せめてハムにしておけばいいのに。山小屋グルメの間食で豪遊していたら、軽く一泊1万5千円からついてしまう。用心、用心。
(日没の風景1。3000m級ならではだ)
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(ようやく甲斐駒がお出まし)
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(そして、北岳の前衛峰)
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(日没の風景2)
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(おもしろい雲があった。後光がさしている)
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I男は早々に横になって寝てしまった。長い一日が始まった感じがする。外をうろうろしたり、小屋の本棚から推理小説を借りて読んだり、缶チューハイを飲んだり、うつらうつらしたり…と、無為な時間を過ごす。次から次へとハイカーが入って来る。やがて、屋根をたたく雨の音で目が覚めた。しばらく寝ていたようだ。外を見ると霧で真っ白。20人くらいの団体が入ってきた。お元気な年配者のグループだ。雨が上がると、外に繰り出し、乾杯なんぞしている。夕食は4時45分から。4時に外に出てコーヒーを飲んだ。I男はすっかりと元気になっていた。下を見るとテントが7張くらいか。甲斐駒がようやく顔を出した。あの山は、いつ眺めても神々しい山だ。黒戸尾根日帰りでも、一人でやってりゃよかったかなぁ。食後にまた外に出る。フリースを着込んだものの、それでも寒かった。星はきれいだが、やはり遠いし、雲もあるためか、すっきりした星空にはなっていない。カシオペア座だけは自分でも分かった。I男は星に詳しく、いろいろと説明してくれた。遠くに町明かりも見えた。やることもなく、布団に入る。I男はすぐに寝息を立てていたが、部屋の明かりがまぶしくて、なかなか寝付けず、ようやく寝たと思ったら、今度は寒い。明け方までほとんど寝なかった感じだ。宿泊者は団体を入れて50人くらいといったところか。年齢的に若い方も多かった。
(起き抜けは、何はともあれ富士山か)
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(鳳凰三山は、まだしかと見えない)
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翌日。今日は北岳に登って下ることにしよう。I男が間ノ岳に行きたいと言い出したらどうしよう。昨日の二の舞になるような気がしないでもない。でも、彼の方から触れることはなかった。自分の体調は熟知しているのだろう。朝食は5時から。日の出は5時20分頃とのこと。一番に並んで、朝食をさっさと済ませて外に出る。昨日は見えなかった富士山のシルエットが見える。鳳凰三山の方の空が赤くなっている。ただ雲が多くて、すっきりした日の出ではない。ちょっと残念だ。トイレを済ませて出発。昨日の甲府の宿に続いて、2日連続の便秘になっている。I男は、昨夜に続き、すっきりした顔をしてトイレから出てきた。山小屋のトイレ環境で、よく用事を済ませられるものだと感心してしまう。自分は、洋式のシャワートイレかヤブの中でない限り、結果はいつもよろしくない。
(左・仙丈、右・甲斐駒)
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(陽は上がったが、どうもすっきりとは…)
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(同じような写真だが、北岳山頂からの仙丈と甲斐駒。奥に鋸)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/ff/0051c22fbc59c2bc34f809538eed142b.jpg)
(影北岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/fb/833af5ac52eba37bce7a49a1d89b37a8.jpg)
(北岳山頂)
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(そして、山頂からの富士山)
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今日のI男はすこぶる元気だった。軽快な歩き出しだ。昨日の足は何だったのか。夜中に痙攣が走ったようだが、それで毒は抜けたのか。それでも無理はさせず、ゆっくり歩かせた。小屋から山頂までの標高差は193m。決してきつくはないだろう。こんな時間、ヘリコプターが飛んで行った。かなり南に向かっている。遭難救助だろうか。手前ピークで間ノ岳が見えた。そして向かいには台形状の北岳ピーク。I男のテンションも上がってきた。I男君、良かったな、か。西側には、北岳の影が広がり、周辺の山がすべて見渡せる。やはり、アルプスの山は違うなとため息が出る。山頂は風が強かった。早めに小屋を出て来て正解だった。先客は5~6人。好き勝手なことができる。何とか、タバコに火をつけて一服。I男ははしゃぎながらあちこちに行っては景色を眺めていたが、こちらは、ただ農鳥岳方面を恨みがましく眺め、観察していた。まっ、いずれ行くこともあるだろう。アルプス好きの高木と大門沢の登りしかあるまい。I男にいろいろと山を教えてやったが、昨日と違って、今日は今日で、ハイテンションになっているため、右から左みたい。
(振り返って北岳)
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(間ノ岳から農鳥岳。何とも…)
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(八本歯のコルに下る)
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(下り切ると八本歯のコル。直進すると池山吊尾根。歩いてみたい尾根)
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(雪渓)
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名残惜しく下る。しばらくは岩場の歩き。つい、間ノ岳、農鳥岳の方面を見てしまう。つらいところだ。ハシゴがやたらと続く。このハシゴが歩きづらく、両サイドに手すりが付いていればいいのだが、片側だけだから、何とも不安定。北岳山荘の方から青年が上がって来た。この時間、行き交うハイカーはかなり少ない。八本歯のコルに到着。甲斐駒は見納めだ。ここで、昨夜来ずっと着たままのフリースを脱ぐ。左にバットレスを眺めながら大樺沢に向かう。長い雪渓が出てきた。雪渓を歩く人はいない。厚みが1mはありそうで、縁を歩いて落ちてしまったら始末が悪いだろう。この辺もお花畑だろうか。紫色の花が目立つ。
(雪渓から鳳凰三山)
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(初夏は花畑できれいだろうな)
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(今は、こんなのや)
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(こんなのや)
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(こんなのが)
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(雪渓も終わる)
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(休憩スポットもこんなにハイカーが)
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そろそろハイカーが上がってきた。この時間だから、下の山小屋泊まりの方々だろう。雪渓が終わって二俣着。休みたかったが、人が多くてちょっと落ち着かない。I男が、腹が空いたと言い出したので、ゆっくり休めるところまで我慢させたが、結局、そんな機会は訪れなかった。というのは、断続的にハイカーが登って来る。一番のバスとタクシーに乗った方々だろう。途切れることがなく、休めそうなところには隙間がない。下に行くに連れ、人混みになっていく。数珠つなぎがたまに途切れることがある。これはバス到着の関係だろうが、休めるところはない。歩行も困難になってきた。待機回数が頻発する。これではキリがない。さらに気分が悪いのは、20人待ちの行列で2人にしか返礼を受けなかったこと。むしろ、こちらから挨拶した方が気分がいいと、登り優先を無視して、スキがあれば先に下ることにした。コースの合流付近で、ようやくハイカーの姿はまばらになったが、それまでに500~600人のハイカーと行き交った。もちろん、コースはここだけではない。昨日、我々が歩いたコースからも入っているだろう。南アルプスの水を飲み、顔を洗う。広河原も近い。I男がいきなり駆けて下って行った。どうしたのかと思ったら、両足のマメをつぶしてしまい、歩くよりも走った方が楽なのだそうだ。彼の靴はオレの靴だから、気の毒にマメが出来ても仕方があるまい。
(広河原山荘)
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(吊り橋は一応待機したが、すれ違いはできそうなので渡った)
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(広河原到着)
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吊り橋を渡って広河原。吊り橋でも5人くらいとすれ違う。またバスが到着して、ハイカーをはき出した。今、9時37分だ。乗り合いタクシーの時刻を聞くと、10時20分発とのこと。その間、ラーメンでも作って食べようかと車にザックを入れて、道具をゴソゴソ出していたら、すぐに発車とのこと。9人集まったから、さっさと出てしまうらしい。何とも慌ただしい下山だ。芦安に向けて発車。すれ違うバスやら乗り合いタクシーはどんどんハイカーを広河原に運んで行く。バスは7台ほど行き会い、立ち客もいる。普通のタクシーまでも何台も乗り入れている。すれ違い様に運転手どうしの会話が聞こえたが、今日は人が集まれば随時発車だそうだ。北岳周辺だけでも1000人以上の入山者がいたのではあるまいか。テント組もかなりいた。小屋とテント場はすごい混み具合だろう。そんなにキャパもないだろうに。つくづく、昨日、休暇をとって行って正解だった。
芦安の駐車場に到着。先ずは駐車場に隣接する温泉に行く。だれもいず、ようやくゆっくりとした。そして、そこの食堂で食事。I男はカレーの大盛り。このカレー、ご飯だけ大盛りで、カレーはレトルトだった。で、こちらが注文したのはミソラーメン。中の具はもやしとキャベツだけ。肉の欠片も入っていなかった。ここも山小屋の延長か。運転するI男に遠慮がちに飲んだ生ビールだけは、五臓六腑にしみ渡る冷たさで最高だった。今回は残念ながらの歩きだったが、I男には、北岳に登ったというある種の誇りでも生まれたのか、今度は間ノ岳とかけて一人で再訪するそうだ。そのために、北岳バッジは敢えて買わなかったとのこと。ただ、日頃から鍛えておかないと、こんなオッサンにも軽くあしらわれてしまうよ。
14日:芦安市営駐車場(5:40)―〈乗り合いタクシー〉―広河原(6:30)……白根御池小屋(8:32~8:45)……北岳肩ノ小屋(11:52)〈泊〉
15日:肩ノ小屋(5:20)……北岳(5:55~6:11)……八本歯ノコル(6:56)……二俣(8:08)……広河原(9:37) 広河原(9:42)―〈乗り合いタクシー〉―芦安駐車場(10:30)
I男に北岳、間ノ岳の百名山歩きを所望された。自分は両山ともに行ったことはあるが農鳥岳には行ったことがない。農鳥岳を加えた白根三山だったら行ってもいいよという条件付きでOKした。ここのところの「予定」はいつも全うされた試しがないが、今回の予定は、初日、北岳登頂後に北岳山荘に泊まり、翌日は、間ノ岳、農鳥岳を経由して、大門沢小屋に泊まる。もし、15時10分奈良田発の広河原行き最終バスに間に合うようなら、一気に奈良田まで下り、その日のうちに芦安に帰るといったもの。この予定もどうなることやら。さて、ここで、北岳山荘ではなく、農鳥小屋に泊まれば2日目はかなり楽なのだが、ネットで調べる農鳥小屋の評判にはあまり芳しいものがなく、宿泊代を払い、マナーを守って泊まる以上は気分良く泊まりたいもの。しかし、衛生面で後悔していたのではおかしなものなのでパスしておいた。ただ、気分的に、どんなオヤジさんなのか、興味津々ではあったから、時間を持てあますようなら、農鳥小屋泊も有りだなと思ってはいる。
広河原に行くのは20年ぶりのことで、もう、当時という言葉を使う形になるが、広河原までは自家用車で入れた。もっともその先はダメだった(これは2006年度版昭文社マップも行ける形になっていたから、乗り入れ禁止は最近のことだろうか)。自家用車では入れないことを知ったのはごく最近のことで、奈良田と広河原間にバス路線ができたことも知らなかった。だが、バスも乗り合いタクシーも、平日の運行タイムはきわめて悪い。3連休が控えているのだから、その際に行けばいいのだろうが、混雑は目に見えている。そのために金曜日に休暇をとった。5時40分始発の乗り合いタクシーに乗りたい。バスだと6時30分発になる。そのため、I男に甲府の安宿を探させ、仕事が終わってから向かった。これで安泰出発のはずではあったが、深夜にI男の携帯がメールを受信し、その音で誤って起きてしまい、以降、ろくに寝ないで朝を迎えた。すっきりしないままに芦安に向かう。始発の乗り合いタクシー(9人乗り)は6台並んでいて、順番に5台目に乗車。これだけで45人はいる。料金は1,100円。バス料金も同じだから、タクシーの都合が良かったら、こちらの方がいいだろう。ここで最初のトラブル。I男の靴。ヒモ掛けのフックが1つ外れてしまっていたので、タクシーの中でヒモを巻き直ししていたら、続いて別のフックがポロリ。これでは歩けない。靴のメンテもろくにしていないのだろう。出発間際のことだ。車の中に、オレの予備靴があるので、急いで交換しに行かせた。幸いにも同サイズだったので、何とか切り抜けたが、幸先はあまりよろしくない。
(吊り橋の手前から北岳)
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広河原からすぐに歩き出し、吊り橋を渡る。正面に北岳らしき山が見えている。懐かしい風景だ。今日の天気は今のところ文句なし。大勢のハイカーが歩いている。広河原山荘の先に水場があり、これを飲む。南アルプスの天然水は冷たくておいしい。登山道はすぐに分岐する。大樺沢ルートと白根御池ルート。普通、ここは大樺沢ルートに向かい、下りで御池小屋ルートを歩くものだが、今回はこの分岐を白根御池ルートにとる。北岳山荘泊まりが頭にあったため、今日のうちに北岳を済ませておきたかった。これに対してI男は何も言わなかったし、時間もあり過ぎるので、このコースにした。これが後で裏目に出てしまう。ハイカーの大半が分岐を大樺沢コースに向かった。
(結構な急登だ)
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御池ルートは樹林帯の急登だった。両コースとも歩いてはいるのだが、はるか以前のことゆえ、記憶は薄れている。かすかに覚えているのが、大樺沢ルートはコースをちょっと外れるとキジ場だらけだったこと。そして、バットレスを右に見ながら雪渓の脇を歩いたこと。それだけの記憶。御池ルートの記憶はないが、こんなに急だったとは。早々に、元気の良い青年5人に抜かれた。樹林の中を走る微風はひんやりしていて心地よい。大汗をかきながら登る。ただ、I男は先行しているものの、何となく、歩きが鈍い気がした。第1ベンチを過ぎ、第2ベンチに向かう途中でタバコを吸いたいと言い出した。まだ歩き出しから1時間も経っていない。自分はまだ吸いたくもないから、一人で先に歩く。第2ベンチで待っていると、オッサンが先に登って来た。今日は北岳山荘に泊まって、明日は間ノ岳に行って戻る予定とのことだ。じゃ、北岳山荘に遅れて行きますから、なんて会話したが、それっきりお会いすることはなかった。
(北岳を改めて見る)
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(鳳凰三山方面)
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(白根御池と鳳凰三山)
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急登が続く。本当に嫌になる。稜線は遙かに上に見える。しばらくして「急登はあと20分です」の手書きメモを目にする。遅れがちなI男を励ます。北岳(正確にはその一角)がまた見えてくる。少しは近くなった。そして、ようやく急登は終わった。鳳凰三山も見えてきた。傾斜が緩やかになると、樹林帯にも陽の入りが激しくなり暑くなった。I男は急登からの開放感からか、元気を取り戻し、すたすたと先に行く。白根御池小屋に到着。広河原から2時間。ここまでそれでもコースタイムより1時間の短縮をしている。机上計画はすべてコースタイムでやっているから、早いと言えよう。これなら、農鳥小屋泊まりかな。御池小屋でしばらく休む。この小屋のロケーションはいい。正面に鳳凰三山、後ろは北岳の一角が望める。御池の水は澄んではいなかった。
(草すべりを登る)
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(あれは大樺沢の雪渓だろうか)
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(ここにも秋の気配。紅葉はきれいだろうな)
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ここからはいわゆる「草すべり」だ。I男は事前にコース地図を見て、この名前から嫌な予感を抱いたそうだ。小屋から大樺沢に抜ける手もあったが、それをやれば、北岳をパスしてしまう可能性もある。せっかくここまで来たのだから、地道に草すべりの急登をこなすのが無難。見上げると先を何人か歩いている。やはり、なかなか急だ。この辺は好季にはお花畑だろうか。振り返ると、地蔵岳のオベリスクが見える。この草すべり、御池小屋の標高は2,200m、北岳に延びる稜線が2,850mくらいだから、標高差600m以上の登りになる。1時間の貯金もあることだし、のんびり歩こう。やがて、空に雲が出はじめ、ガスが巻いてきた。あたりは瞬間、真っ白になるが、天候悪化になりそうな兆しはない。時々、青空も覗く。I男はバテてきたのか寡黙になった。こちらは至って平常のまま。むしろ、調子は上向き。そのうち、I男は休みがちになり、とうとう歩けなくなってしまった。具合を聞くと、足が上がらないのだそうだ。痛みがあるわけでもないから、痙攣の前兆ではないらしい。先に行ってくれと言われるが、放っておくわけにもいくまい。こうなると、彼の過去の経緯からして、休憩だけでの回復は見込めない。この時点で、農鳥岳に行くのはあきらめざるをえなくなってしまった。それどころか、北岳を経由しての北岳山荘も無理だろう。正直のところ、いつものように、人気もまばらで、別の行ったことがない山を歩いていれば良かったというのがストレートな感じだ。
(アップでホシガラス)
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(北岳が間近に)
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(振り返ると、I男は小さくなっていた。ここで待機)
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(仙丈ヶ岳)
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(お疲れさん。ダウン寸前)
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ハイマツ帯になり、稜線が近づいてきた。さっきから大きめの鳥が飛んでいる。枝に止まったところをカメラのズームで覗いてみると、ホシガラスだった。結構いる。大樺沢の二俣から上がって来るコースに合流。ハイカーが若干多くなる。ゆっくり足の年配者2人に抜かれる。かなりショック。さっきから、遅れがちなI男を視界に入れながら先をゆっくりと歩いては休んで待っている。ようやく稜線に到着。甲斐駒は雲に隠れて見えないが、仙丈ヶ岳は正面にドーンと見える。北岳はというと、こちら側の前衛峰に隠れて本体は見えない。あの仙丈ヶ岳、広河原からの最終バスに乗り遅れ、北沢峠まで歩いた。テント持ちだったからあの車道歩きはきつかった。それでいて、山頂ではアブに刺されまくりで、あまり良い印象のない山だ。I男がようやく稜線に上がってきた。また大休止。見える山の説明をしても、最早、気はそぞろで、右から左に流れているようだ。
(取りあえず撮ってやった)
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(あれを越えれば北岳肩ノ小屋)
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(肩ノ小屋)
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アルプスらしい、気持ちのよい稜線歩きが続く(自分だけは)。I男のことが気になり、肩ノ小屋に早いとこ到着することだけをひたすら願ったが、気はあせっても、彼の足が動かないのではどうしようもない。雨が上からポツリ、ポツリ。ようやく、本日の宿になってしまった肩ノ小屋に到着。まだ正午前だ。7月の悪沢岳とまったく同じパターン。ただ、悪沢岳の場合は天候理由だった。それでも、宿泊予約は3番目であった。従業員は食事中。荷物を置き、缶ビールを早速飲み、ついでに小屋のメニューにあったラーメンを食べることにする。900円もするから、さぞ名物のラーメンかと思ったが、出てきたのは、ぬるいサッポロ一番みそラーメン・コービーフ付きであった。いくら何でも900円とはなぁ。持参のラーメンを作って食べた方が余程よかった。次に小屋に入ってきたオッサンが、我々が食べているのを見ておいしそうに感じたのか、後で頼んで食べたそうだ。やはり、あきれていて、その話をしながら笑ってしまった。他にも、「ソバ」「うどん」といったメニューも同じ値段であったが、これでは、赤いキツネが出てくるのではないのか。しかし、コンビーフという発想はどこから出てくるのだろう。せめてハムにしておけばいいのに。山小屋グルメの間食で豪遊していたら、軽く一泊1万5千円からついてしまう。用心、用心。
(日没の風景1。3000m級ならではだ)
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(ようやく甲斐駒がお出まし)
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(そして、北岳の前衛峰)
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(日没の風景2)
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(おもしろい雲があった。後光がさしている)
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I男は早々に横になって寝てしまった。長い一日が始まった感じがする。外をうろうろしたり、小屋の本棚から推理小説を借りて読んだり、缶チューハイを飲んだり、うつらうつらしたり…と、無為な時間を過ごす。次から次へとハイカーが入って来る。やがて、屋根をたたく雨の音で目が覚めた。しばらく寝ていたようだ。外を見ると霧で真っ白。20人くらいの団体が入ってきた。お元気な年配者のグループだ。雨が上がると、外に繰り出し、乾杯なんぞしている。夕食は4時45分から。4時に外に出てコーヒーを飲んだ。I男はすっかりと元気になっていた。下を見るとテントが7張くらいか。甲斐駒がようやく顔を出した。あの山は、いつ眺めても神々しい山だ。黒戸尾根日帰りでも、一人でやってりゃよかったかなぁ。食後にまた外に出る。フリースを着込んだものの、それでも寒かった。星はきれいだが、やはり遠いし、雲もあるためか、すっきりした星空にはなっていない。カシオペア座だけは自分でも分かった。I男は星に詳しく、いろいろと説明してくれた。遠くに町明かりも見えた。やることもなく、布団に入る。I男はすぐに寝息を立てていたが、部屋の明かりがまぶしくて、なかなか寝付けず、ようやく寝たと思ったら、今度は寒い。明け方までほとんど寝なかった感じだ。宿泊者は団体を入れて50人くらいといったところか。年齢的に若い方も多かった。
(起き抜けは、何はともあれ富士山か)
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(鳳凰三山は、まだしかと見えない)
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翌日。今日は北岳に登って下ることにしよう。I男が間ノ岳に行きたいと言い出したらどうしよう。昨日の二の舞になるような気がしないでもない。でも、彼の方から触れることはなかった。自分の体調は熟知しているのだろう。朝食は5時から。日の出は5時20分頃とのこと。一番に並んで、朝食をさっさと済ませて外に出る。昨日は見えなかった富士山のシルエットが見える。鳳凰三山の方の空が赤くなっている。ただ雲が多くて、すっきりした日の出ではない。ちょっと残念だ。トイレを済ませて出発。昨日の甲府の宿に続いて、2日連続の便秘になっている。I男は、昨夜に続き、すっきりした顔をしてトイレから出てきた。山小屋のトイレ環境で、よく用事を済ませられるものだと感心してしまう。自分は、洋式のシャワートイレかヤブの中でない限り、結果はいつもよろしくない。
(左・仙丈、右・甲斐駒)
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(陽は上がったが、どうもすっきりとは…)
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(同じような写真だが、北岳山頂からの仙丈と甲斐駒。奥に鋸)
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(影北岳)
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(北岳山頂)
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(そして、山頂からの富士山)
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今日のI男はすこぶる元気だった。軽快な歩き出しだ。昨日の足は何だったのか。夜中に痙攣が走ったようだが、それで毒は抜けたのか。それでも無理はさせず、ゆっくり歩かせた。小屋から山頂までの標高差は193m。決してきつくはないだろう。こんな時間、ヘリコプターが飛んで行った。かなり南に向かっている。遭難救助だろうか。手前ピークで間ノ岳が見えた。そして向かいには台形状の北岳ピーク。I男のテンションも上がってきた。I男君、良かったな、か。西側には、北岳の影が広がり、周辺の山がすべて見渡せる。やはり、アルプスの山は違うなとため息が出る。山頂は風が強かった。早めに小屋を出て来て正解だった。先客は5~6人。好き勝手なことができる。何とか、タバコに火をつけて一服。I男ははしゃぎながらあちこちに行っては景色を眺めていたが、こちらは、ただ農鳥岳方面を恨みがましく眺め、観察していた。まっ、いずれ行くこともあるだろう。アルプス好きの高木と大門沢の登りしかあるまい。I男にいろいろと山を教えてやったが、昨日と違って、今日は今日で、ハイテンションになっているため、右から左みたい。
(振り返って北岳)
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(間ノ岳から農鳥岳。何とも…)
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(八本歯のコルに下る)
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(下り切ると八本歯のコル。直進すると池山吊尾根。歩いてみたい尾根)
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(雪渓)
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名残惜しく下る。しばらくは岩場の歩き。つい、間ノ岳、農鳥岳の方面を見てしまう。つらいところだ。ハシゴがやたらと続く。このハシゴが歩きづらく、両サイドに手すりが付いていればいいのだが、片側だけだから、何とも不安定。北岳山荘の方から青年が上がって来た。この時間、行き交うハイカーはかなり少ない。八本歯のコルに到着。甲斐駒は見納めだ。ここで、昨夜来ずっと着たままのフリースを脱ぐ。左にバットレスを眺めながら大樺沢に向かう。長い雪渓が出てきた。雪渓を歩く人はいない。厚みが1mはありそうで、縁を歩いて落ちてしまったら始末が悪いだろう。この辺もお花畑だろうか。紫色の花が目立つ。
(雪渓から鳳凰三山)
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(初夏は花畑できれいだろうな)
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(今は、こんなのや)
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(こんなのや)
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(こんなのが)
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(雪渓も終わる)
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(休憩スポットもこんなにハイカーが)
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そろそろハイカーが上がってきた。この時間だから、下の山小屋泊まりの方々だろう。雪渓が終わって二俣着。休みたかったが、人が多くてちょっと落ち着かない。I男が、腹が空いたと言い出したので、ゆっくり休めるところまで我慢させたが、結局、そんな機会は訪れなかった。というのは、断続的にハイカーが登って来る。一番のバスとタクシーに乗った方々だろう。途切れることがなく、休めそうなところには隙間がない。下に行くに連れ、人混みになっていく。数珠つなぎがたまに途切れることがある。これはバス到着の関係だろうが、休めるところはない。歩行も困難になってきた。待機回数が頻発する。これではキリがない。さらに気分が悪いのは、20人待ちの行列で2人にしか返礼を受けなかったこと。むしろ、こちらから挨拶した方が気分がいいと、登り優先を無視して、スキがあれば先に下ることにした。コースの合流付近で、ようやくハイカーの姿はまばらになったが、それまでに500~600人のハイカーと行き交った。もちろん、コースはここだけではない。昨日、我々が歩いたコースからも入っているだろう。南アルプスの水を飲み、顔を洗う。広河原も近い。I男がいきなり駆けて下って行った。どうしたのかと思ったら、両足のマメをつぶしてしまい、歩くよりも走った方が楽なのだそうだ。彼の靴はオレの靴だから、気の毒にマメが出来ても仕方があるまい。
(広河原山荘)
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(吊り橋は一応待機したが、すれ違いはできそうなので渡った)
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(広河原到着)
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吊り橋を渡って広河原。吊り橋でも5人くらいとすれ違う。またバスが到着して、ハイカーをはき出した。今、9時37分だ。乗り合いタクシーの時刻を聞くと、10時20分発とのこと。その間、ラーメンでも作って食べようかと車にザックを入れて、道具をゴソゴソ出していたら、すぐに発車とのこと。9人集まったから、さっさと出てしまうらしい。何とも慌ただしい下山だ。芦安に向けて発車。すれ違うバスやら乗り合いタクシーはどんどんハイカーを広河原に運んで行く。バスは7台ほど行き会い、立ち客もいる。普通のタクシーまでも何台も乗り入れている。すれ違い様に運転手どうしの会話が聞こえたが、今日は人が集まれば随時発車だそうだ。北岳周辺だけでも1000人以上の入山者がいたのではあるまいか。テント組もかなりいた。小屋とテント場はすごい混み具合だろう。そんなにキャパもないだろうに。つくづく、昨日、休暇をとって行って正解だった。
芦安の駐車場に到着。先ずは駐車場に隣接する温泉に行く。だれもいず、ようやくゆっくりとした。そして、そこの食堂で食事。I男はカレーの大盛り。このカレー、ご飯だけ大盛りで、カレーはレトルトだった。で、こちらが注文したのはミソラーメン。中の具はもやしとキャベツだけ。肉の欠片も入っていなかった。ここも山小屋の延長か。運転するI男に遠慮がちに飲んだ生ビールだけは、五臓六腑にしみ渡る冷たさで最高だった。今回は残念ながらの歩きだったが、I男には、北岳に登ったというある種の誇りでも生まれたのか、今度は間ノ岳とかけて一人で再訪するそうだ。そのために、北岳バッジは敢えて買わなかったとのこと。ただ、日頃から鍛えておかないと、こんなオッサンにも軽くあしらわれてしまうよ。
あまりにもすれ違った人数の多さにビックリです。
間ノ岳から農鳥岳の写真・・・いいですねぇ。
こういう稜線続きの景色は好きです。
富士山まで見えたし雲を眼下にした高所の山の気分が味わえましたね。
自分らは南は甲斐駒仙丈だけなのでこれからになります。
平日にスケジュールしないととんでもないことになりそうですね。
とにもかくにもI男さん共々標高No.2の登頂お疲れ様でした。
初日はともかく、翌日の人の多さにはびっくりしました。それでも、富士山にはかなわないでしょうけどね。ただっ広いところを歩くわけではないので、先がつかえたらしばらく立ち止まって、歩けなくなる始末ではないですか。ああいうのは嫌です。
北岳からの間ノ岳方面の景色もいいですが、間ノ岳から、農鳥小屋、農鳥岳が広がっている風景もなかなかいいですよ。あれを間ノ岳から眺め、いつかは行かなきゃと思っていたのですけど。
小屋の方のお話ですと、10月の紅葉時期はやはり混むそうです。前回の北岳は20年前の10月の連休で、紅葉もきれいでしたが、そんなに混雑していた印象はありません。当時よりも、かなりハイカーが入るようになったのでしょうか。だとすれば、ゆっくりと、景色を堪能しながらの歩きを楽しむのでしたら、平日限定かもしれませんよ。
北岳は百名山だし、二番目の高さでもあるし、ハイトスさんだって、いずれは行かなきゃならない山でしょう。でしたら、交通の便は悪いですが平日でしょうね。
前回、鳳凰三山に一緒に行っておけば良かったかと少々後悔している。実は、I男も、鳳凰三山には色気を出していたんだけど、高木と一緒だと、何だか、山小屋でハプニングがありそうだからと、尻込みしていたんだ。こっちは慣れたものだから、またか、で済むけど、初心者にはきつい冗談なんじゃないのか。まっ、それで、北岳になった次第だ。
ところで、そのコース、オレが調べんのか?逆に任せるよ。バリエーションでやってくれ。
確かに、相方にはコース取りの失敗でしょう。草すべり経由コースは時間がかかる割りにはきつかった。それでいて、大樺沢コースは傾斜が緩やかでコースタイムも早い。これは何なのでしょうかね。
そうか、「徐々にテンションが上がる」ということでしたか。私の、相方への配慮がかなり欠けていましたね。途中から北岳やら鳳凰三山が見えても、さっぱりとテンションは上がりませんでした。
南アルプスは、三度目正直という言葉はありますが、もう今季はパスです。しかし、おぞましい寝方にならなかっただけでもほっとしております。
みー猫さんは農鳥岳体験済みでしたか。歩ける時にやるものですね。
私がフツーの山小屋に泊まるのは、テントを担いで登るのが嫌だからというだけの理由です。重い荷物は行動に制限が出てきますしね。以前は、テント専門でしたけど、今は、山小屋があれば利用するというスタイルです。
山小屋も一人だと、時間も長く感じるものですけど、連れがいたり、話し相手がいれば、意外にも楽しいものです。でも、テント泊の良さにはかなわないかも。
でも、No.2からNo1が見られて良かったです。
綺麗ですね。
私は、2度、農鳥小屋へ宿泊していますが、嫌な思いをしたことはありません。
逆に、1度目はかなり親切なおじさんだな、と思いました。
ただ、かなり無愛想です。
言っていることはしごく真っ当なことなのですが、言い方がきついので、それで嫌な思いをする人がいるのかな、と思いました。
百名山狙いで間ノ岳往復をする方は多いですが、そこから先は比較的静かです。
大門沢の下りでは、登ってくる登山者も数少なく、北岳からの下山のようにうっとおしい思いをすることはありません。
次回、農鳥小屋へ宿泊の折は、ぜひ広河内岳も往復してみてください。
間ノ岳から農鳥岳の稜線を誘われたように、広河内岳から白峰南稜へ誘われます。
しかし、予備の登山靴まで持ち歩くとは・・・用意がいいですね。
今回は言いだしっぺにも関わらず農取まで辿り着けなくてごめんなさい。正直に言いますと途中、北岳も危ういと感じてましたが、最終的に北岳に着いた時の気分は最高でした。心なしか今までで一番、気分が良かったと思います。ただ…八本歯のコルと間ノ岳の分岐では複雑な気持ちでした。青空に映える間ノ岳を横目に降りて行く時は…僕のせいで降りる申し訳なさと、もう一度来ようと言う気持ちで数回振り向いてしまったくらいです。バッジはリベンジの時に必ずGETします!!
今回もいろいろと迷惑をかけてしまいましたが…また、お付き合いお願いします。ありがとうございました。