たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

清水寺から青入山に直登したまではよかったが、欲を出したばかりに無意味な歩きをすることになってしまった。

2024年12月19日 | 近所の栃木県の山
◎2024年12月16日(月)

 13日の金曜日に行くつもりでいたら寒かった。犬の散歩をしたら、陽も出てくる気配もないので山はやめた。翌日は陽が出ていたものの、風が強かったのでやめた。年とともに寒さと暑さは苦手になっている。日曜日は用事があった。結局、今日になった。今日は手頃な理由がなかった。この先、この繰り返しになるのは、いくら何でも早過ぎないかと思ってしまう。
 行きたい山を深くは考えなかった。無難なところで、前回に引き続き、あじさい林道と晃石山のある稜線(「大平アルプス」とも呼ばれているらしい)を直接つなぐ未踏の破線路を歩くつもりでいた。当初の予定では、清水寺から北西に向かう尾根を登って青入山に登り、そのまま晃石山に向かい、晃石神社から南東に向かう破線路を林道に出るという物好きというか、地味な歩き計画だった。思いつきの時点ではそれでも満足で十分な気持ちでいた。
 しかし、それではせいぜい2時間半にもならない歩きになりそうで、地図を眺めていると、青入山から北西方面に向けて薄い破線路(濃淡の違いはオレにはわからないが、ゴルフ場を囲んでいるから、敷地の境界線なのかも知れない)があり、途中に292.6m三角点がある。ちょい延ばしで行きたくなった。調べると、これが広戸山という名前のある山であることを知った。それだけでやめておけばよかったのに、こうなると身の程知らずの欲が出て、きりがなくなってくる。広戸山の西にも破線路からは外れるが、225.0m三角点があって尾根伝いに行けそうだ。名前のない山のようだ。そこから来た道を戻るのも何だし、225mからは南北を通る実線の林道らしき道に出て、桜峠に至り、峠から青入山に戻って晃石山。晃石山からは件の南東破線路を下って林道経由で清水寺といったコースを考えてみた。そのうちに思考は麻痺し、これで済ますつもりはすでになくなっていて、身体の動きが軽快なら、大明神山と馬不入山も視野に入れていた。3/4の確率でそれは無理だろうなと思ったが、確かに無理だった。この界隈をふみふみぃさんが数年前に歩かれたブログを拝見した記憶はあるが、元より、歩きの厳しさには雲泥の差がある。今のオレに歩きとおせるはずはなかった。

(標柱に記された如しとのこと)


(清水寺の観音堂。左から見たのは初めてかも)


(展望台へ)


(展望台)


(展望台から筑波山)


 清水寺前の駐車場から寺には寄らず、その左の坂道を上がった。<展望台→>の標識が出てくる。途中、<とちぎのふるさと田園風景百選認定地>標識の見晴らしがあったり、寺の観音堂を右手に見たりする。木の階段を登って行くと、展望台があった。先客のオジさんが菓子パンを食べながら景色を眺めていた。展望が特別に良いわけではなく、関東平野の一角と筑波山が見える程度のもので、大平アルプスの稜線上なら、展望地ではどこでも見られる同じ風景だ。オジさんは岩舟駅から馬不入山に登り、これから下山するとのこと。時間的にはまだ10時20分だし、随分と早いご出発だったようだ。青入山からの下りは急だったとおっしゃっていたが、これは予想していたことだし、話を聞いたところで、しんどそうだなと改めて思うことはなかった。

(青入山に登っているが、急傾斜を表現するにはどう撮ればいいのかといつも悩む。これではさほどにしんどそうには見えない。上から下を撮ればわかりやすいだろうが)


(唯一の平たい大石)


 地図を確認する限りは、青入山への尾根の下部の等高線は緩く、青入山に近づく上部が狭くなっているが、展望台からいきなりの急登だった。見晴らしはなく、ただ休み休みで黙々と登るだけ。こんな破線路でも、歩くハイカーはそれなりにいるようで、トラロープがあったり、レスキューポイントの表示板があったりする。落葉は豊富で、下の土は乾燥している。それを見込んで、スパイク地下足袋を履いてきたが、登山靴やズック類では、特に下りでは滑りまくりで危ないかもしれない。幸いにも、先日登った清水寺から晃石山に登る西側の破線路は岩がちで歩きづらかったが、ここは大きな岩をたまに見かけるくらいで、歩行の邪魔にならないだけでも歩きやすかった。いや、むしろ、岩がちの方が、下り使用では適度な滑り止めにはなってくれるかもしれない。

(ここは写真どおりに緩かった)


(青入山直下。ここもきつかった)


(青入山に到着)


(西の採石場をアップで。地図記号では、岩崖、砕石地がごちゃ混ぜになっている。数年前にあの辺を歩かれたふみふみぃさんによれば、尾根が削られていたらしい。そういえばと思い出したが、足利の石尊山から彦谷湯殿山に行った時にも、尾根の381m標高点は採石場に吸収されてなくなっていた。地図にはそのまま残っている)


 傾斜がいきなり緩くなった。風もなく、陽があたって気持ち良く歩ける。だが長続きはしない。尾根の先に青空が見え、あれが青入山かと思ったあたりでまた急になった。なかなか視界の空は広がってくれない。ゼーゼーしながら登るとひょっこりと青入山に到着した。清水寺の駐車場から47分。たいした時間はかかっていない。展望台のオジさんとおしゃべりしたり田園風景を眺めていなかったら42、3分ほどのものだろう。オレがこうだから、普通の方なら、30分ほどのものかと思う。桜峠経由よりは距離的にも時間的にも短いが、急できついことは確かで、馬不入山に寄って、晃石山にも行くつもりの方には役に立たないコースだろう。これは、青入山から晃石山にかけて南下する三本の破線路については共通している。
 オレの記憶違いだったのかもしれない。登って来た尾根の方に目を向けると、清水寺への標識はない。以前はあったような気がする。これから歩く北西方面に目を転じると明瞭な踏み跡があった。よしよし。山頂で少し休憩し、水を飲んでいると、オジさんが晃石山方面からやって来て、少しばかり話をし、6℃を指している気温計を見て、さっさと桜峠の方に下って行った。ではそろそろと思ったところにまた別のオジさん。この方、おもむろに、オレが下る方に行って、踏み跡に小用を足していた。これは勘弁して欲しいものだ。地下足袋が汚れる。そもそも、そんな用事は人目の触れないところでやってもらいたい。

(山頂から北東に下る。入口はすぐにわかった)


(これだったら…と思ったが)


(いつの間にか、踏み跡はどこへやら)


(左を歩きたいが、コンパスは直進になっている)


 コンパスを広戸山にセットした。踏み跡もあり、テープもあって安心して下った。これが地図上の薄い破線路なのだろうか。そのうちに両方ともに消えた。見失ったらしい。尾根幅は広くなり、高めの左端を歩いた方が無難な気がしたが、コンパスは右寄りだ。コンパスに合わせて歩くと、やや急な樹林の中の下りになった。破線路=踏み跡もしくは小道とすれば、完全に間違っているとは思ったが、そうだとしても、右手下にはゴルフ場の一角が見えるし、万一の場合にはそちらに出ればいいと、そのままに足元はヤブだらけの陰気な感じのする樹林を下る。もちろん、ゴルフ場に出るには簡単にはいくまい。おそらく、イノシシ除けのフェンス柵があるはずだ。

(テープを見つけて、これでやはりいいみたいだと思ったが)


(左から道が上がって来ていて、合流点だったようだ)


(ほっとした)


(そして、前方に広戸山)


 途中で、左手から踏み跡が現れ、テープも出てきて、オレの行く方向に同化した。この左からの踏み跡は何だろう。疑問のままだったが、後で、桜峠で会った、この辺に精通したグループの方から聞くと、広戸から桜峠に向かうと、右手の六つ並んだ池の、つまりは歩道の北側に並行した実線路がある、途中切れだが、その実線路の延長ではないかとのこと。その時はそうかもとは思ったが、その方は、それを使って青入山まで登ったことはあるが、広戸山には登ったことはないとのこと。合流したからには、その途中から分岐した明瞭な道が青戸山に続いているのかもしれない。
 いずれにしても、あとは踏み跡ははっきりしていて、樹林の隙間から、明らかにヤブ山っぽい広戸山らしきピークが見え、コンパスの指す方向だった。正直なところ、あんな山に登ったところで、ヤブ好きの、まさに自己満足でしかなさそうに思えた。

(鞍部に下る)


(鞍部。ヤブじみていた)


(こんなとこを行くのかと思ったが、見た目だけのヤブだった)


(登り返し)


(広戸山に到着)


 踏み跡を追って下って行くと鞍部。一時的にきつそうなヤブになったが、テープはあった。もう問題はない。少々きつい登りをこなすと、<広戸山>の標識と、三角点標識のある小広い山頂に着いた。ここで肝心なことで、結局は今回の歩きのミスの原因になってしまったが、登りの途中で、左からの、これもまた明瞭な踏み跡に合流し、山頂に着いても地図を確認しなかったのも安易かと思うが、その分岐道を下れば、次の目的地の225mに行けるとばかりに思い込んでしまった。こうなったら、地図も見ない初心者未満の話でしかなくなる。

(山名板)


(三角点標石。ICタグ付きだった)


 冴えない山のわりには、山頂らしいゆっくりできそうな、狭いながらも平坦な山頂だった。展望は木立ですっきりはしない。青入山からは35分だったが、道迷いやらヤブで、もっと時間がかかった気分がする。セルフ撮りをして少しばかり休憩。食欲はないので水を飲んだだけ。
 話は前後したが、ここで地図を確認するのが当たり前で、次の225m三角点ピークに行くには、山頂から北に下って途中から西に向かって林道らしき実線に出ることになる。地図には、しっかりと歩き予定のルートマーカーを入れている。頭の片隅にもそれはあったはず。さっき見かけた左・南に分岐する道だけが頭を占め、いつものように山頂でうろついたのに、北側を覗きに行くことはしなかった。それをしていれば、おそらくは明瞭な踏み跡を目にして、これはどこに行くのだろうと、地図を確認したろうし、225mどころかとんでもないところを下ることもなかった。

(225mとは正反対方向に下っている)


(踏み跡は確かにあった)


(この辺から、あちこちに踏み跡は向かっている)


 分岐した踏み跡を下って行くと、違和感を覚えた。225mは西方向なのに、何で南に向かっているのだろう。踏み跡は次第に薄くなり、あちこちに散らばるようになると、北西方面に向かう踏み跡を見つけ、ほっとしたのも束の間で、また南下する。ここで初めて地図を広げると、とんでもない方向に下っていることに気づいた。もはや広戸山に戻るのも大儀なので、225mはあきらめた。しかし、自分が、今どこの場所にいるのかわからない。GPSを取り出して地図と照合しても、地形が合っているところが見あたらない。また、いつものことをしでかしてしまったようだ。
 踏み跡はいつしか消えた。おそらく、ケモノ道を歩いていたのだろう。こうなったら、今いる尾根型をそのまま下るしかあるまい。南に下っているから、いずれは広戸地区に出られるはずだ。

(行き詰った。強引に行くしかない)


(それでいて、図根点標石があったりなんかして)


(これを突っ切ると)


(民家が見えてほっとした)


(そのまま道路に出たわけではない。写真には写っていない段差を飛び越えて着地した)


 背丈を超えるヤブに突っ込んだ。長時間にわたらずのうちにヤブの隙間から、右手に民家の屋根が見えた。抜け出せそうだ。下まで行くとヤブが消えた斜面になった。全身がドロボウ草だらけになっていた。それよりも、道路にすんなりと出られるとは思えず、擁壁か石垣もあるだろう。やはりそうだった。一番低そうなところを見つけて、ザックとストックを道路に落とし、1mほどの高さをジャンプした。ほっとして、ドロボウ草を払っているところに車が通りかかった。声をかけられることはなかったが、徐行した車を運転しているオッさんには、かなり胡散臭い顔を向けられた。

(何も考えずに、ボーっとして、ただ道沿いに歩いている)


(左手にこんな看板があった。行きたいところだが、その気にもなれなかった)


(この標識にはほっとした)


 冒頭に記したが、「動きが軽快なら大明神、馬不入山云々」はこれでパーになった。少し戻れば、長坂峠に至る道もあったのに、その気にはなれず、それどころか、避けては清水寺に戻れない桜峠まで行くことすら億劫になった。久しぶりのヤブ漕ぎと道迷いで、軽快さは喪失していた。軽快だったら、長坂峠どころか、231m標高点経由で、せめて馬不入山には登ったかもしれない。こんなことは、登っていないから言えること。
 ここからの歩きも、気分的に楽ではなかった。道は南に向かっている。桜峠なら西だ。標識を見つけようとうろついた。半ばあきらめたところで、西に分岐した道があり、<桜峠1.1km>の標識を見つけた。今日はほっとするシーンがやたらと多い。

(右手に池を見ながら。錦鯉を養殖しているからと立入禁止の看板があったが、フェンスも何もない)


(のどかな風景だが、頭は自失状態)


(桜峠への階段)


 長く感じた。じわじわと上りになり、そんな登りですら応えた。ここで、当初の目的だった晃石山からの未踏尾根下りも放棄した。桜峠までですらこの有様なのに、晃石山まではさらに無理というもの。あきらめは良い方だ。残りの尾根一本は先送りだ。ヤブと道迷いのせいにしているが、単に体力と気力減退だけのこと。日ごろから、短時間でもマメに歩かねばなるまいといつも思ってはいるが。

(桜峠)


 桜峠には5人グループの方がいた。大方は地元付近にお住まいらしいが、この辺が好きで、館林からしょっちゅう来ているという方もいた。直接に聞いたわけではないが、これから馬不入山に行くようだった。オレがどんな歩きをしたのか興味津々で、説明も面倒なので、地図を広げて説明した。この辺で、広戸山に行く途中で明瞭な踏み跡にぶつかった話をすると、6つの池の北側の実線路の延長だと聞いた次第だが、この界隈をいろんなルートで歩いているわりには、広戸山という山名も知らず、まして行ったこともないとのことだったが、それでいて、よほどに馬不入山がお気に入りらしく、いろんなコースを教えてもらった。
 グループは、オレの歩きに関心があっただけではなく、履いている地下足袋に興味を覚えたようで、ましてスパイク付きだったためだろうか、もしくは初めて見たからなのか知らないが、どこで買えるだの、履き心地やら、防水はどうだのとやたらと聞かれた。足袋である以上は布製だし、水を吸わないわけがない。話は違うが、ここで指摘を受けた。清水寺を「シミズデラ」と言ったばかりに、「あれはセイスイジだよ」と。小っ恥ずかしかった。確かに、標識には<Seisuiji Temple>とあった。

(峠からの下りはすこぶる寒かった)


(舗装道に出て見かけた唯一の残り紅葉)


(今日の歩きは何だったのだろうと思いながら帰着。短時間なのにヤレヤレだった。まさか、こんなごちゃ混ぜの歩きになるとは…)


 何だか徒労した感じで桜峠からとぼとぼと下った。林の中は陽もあたらずに寒かった。駐車場に着くまでが長く感じた。たかが3時間歩きだった。結局、未踏破線路は一つ残ったままになった。いずれ近いうちに来なければ、気になって仕方がない。その時は、これもあれもと、欲出しする歩き方だけはしないようにしよう。近場だし、気が向けばいつでも来られる。

(今回の歩き。役にもたたないが)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« そろそろ紅葉見物もお終わり... | トップ | 晃石山から馬不入山。これで... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぶなじろう)
2024-12-20 19:10:25
今晩は。
青入山、広戸山、お疲れさまでした。
私は広戸山の名前はおろか存在自体知りませんでした。青入山や大明神山ですら山名を認識したのはつい最近です。地理院地図にはどれも山名の記述は無いので。
晃石山北方の細い破線は私も気になっていました。それで調べたら「特定地区界」となっていて、ゴルフ場の境界を示しているようです。
太平山~晃石山の北側とゴルフ場の間のどこかに城郭の跡があるようなので少しばかり気にはなっていた領域なんですが、帰りに登り返しで戻らないといけないので、最早体力・気力的に持ちそうも無く探索することはなさそうです。
清水寺から青入山直登ルートはいずれ行ってみようと思っています。
返信する
ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2024-12-21 07:05:10
ぶなじろうさん、ありがとうございます。
実は20日に、取り残した破線路を歩いて来ました。もうこれで満足ですから、しばらくは晃石山方面に行くことはありません。破線路に共通していることは、急坂区間が長いということでしょうか。すべて上り使用で歩きましたが、滑りに注意すれば、下り使用がよろしいかと思います。
あの破線は「特定地区界」というのですか。やはり破線路というわけではないようですね。確かに、ここに限らず、ゴルフ場のある周囲には、特定地区界線が多いですね。
以前、ぶなじろうさんは太平山の北尾根を城址探しで歩かれていましたね。気になって調べてみましたが、浅間神社に大平山城の本丸跡だったようですから、北からの守りを固めるには、北側斜面にも、砦や見張台はあったでしょう。城址を専門に歩かれている方の記録を読む限りでは、北側の記載は皆無です。何かヒントのようなものがあれば、特定して探し回ることもできるでしょうけど。
返信する

コメントを投稿

近所の栃木県の山」カテゴリの最新記事