![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/11/13ef63c5a9eb5858e2e70e1a4c231670.jpg)
◎2012年4月21日(土)―木と
<土合橋(7:05)……松ノ木沢ノ頭(9:42)……白毛門(10:49~11:15)……松ノ木沢ノ頭(11:47)……土合橋(13:12)>
暮れに亡くなった中嶋の追悼山行が半端なままになっている。追悼といっても、たいした深い意義付けをした山歩きでもないのだが、これを出さないと木の重い腰も上がらない。しかし、八ヶ岳、日光、谷川と、いくつか残雪期歩きの候補を出したものの、さっさと決めてくれないので、木が好きな白毛門なら文句も言わないだろうと、ゴリ押しして連れ出した。白毛門は5年前の2月に一人で歩いている。2月としては雪が少なかった。そのせいか、4時間半であっさりと往復した。今季は雪が多かったようだがもう4月も後半の時期。あの時と同じ程度の積雪量だろうか。ただ、雪質の悪化が不安なところだ。
(登山口の標識)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/9f/b4f95936d772800912e102be1862e936.jpg)
木家に5時に着く。カミさんも起きていて、また、あさましくも朝食をゴチになる形になってしまった。タクアン、納豆、味噌汁の質素な食事を楽しみにしていたが、昨夜の残りのカレーライスをいただく。ビーフカレーだった。おいしかった。タクアンは寒の時期限定版だそうで、残念ながら今回はなし。さて、5時45分に木家を出て、土合駅に向かう。途中、オレ都合で赤城SAに立ち寄り、わなわなダッシュをしたりする。予定では、6時半に歩き出すつもりでいたのに、何やかやと手続きの時間がかかり過ぎて遅くなっている。土合橋の駐車場は雪でまだ入れないことは知っている。念のためにと土合駅を素通りして行ってみた。橋の手前脇にスペースがあった。2台は置けそうだ。ここに駐める。さて、準備をして、早速、出発といきたかったが、今度は木が突然、掛け出して消えた。用足しに行ったようだ。トイレは閉鎖なのにどこに済ませに行ったのやら。一人タバコを吸いながら、スタンバイのポーズに入ってしまった。その間、土合駅の方から来たオッサンが白毛門に向かい、隣にも千葉県ナンバーの車が入った。男女の2人組が出て来た。彼らも白毛門らしい。そして、また土合駅の方から2人連れ。こっちは、土合橋でうろうろしている。すっきり顔で戻った木をせかせ、予定よりも30分遅れで出発。雪の駐車場を渡り、川を渡る。かかっている鉄の橋の上部には残雪がせり出し、えらく降りづらい。雪で滑ったら川に落ちてしまう。いきなり慎重になってしまった。下の雪は随分と消えているが、すぐに雪になった。トレースはしっかりある。新しいのは数人といった感じ。雪は薄汚れ、やはり大分ゆるい。天気はどんより。この状態がずっと続いたらたまったものではないな。
(後続の集団)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/01/ee5b39a61cfad7d5c3506accc29165a1.jpg)
(最初はおとなしい尾根の雰囲気)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/41/3691fde6b525c173ef4e224338151505.jpg)
疎林の中を登る。尾根に取り付くまでに、2人ともにかなりの大汗をかいた。上1枚を脱ぐ。下を見ると、6人歩いて来る。右手の沢を挟んだ尾根は赤沢山から続く尾根だろうか、上はガスで見えないが、山肌はところどころ雪崩を起こしている。この、白毛門への尾根もまたやせ尾根で、雪棚が割れたり、雪庇が落ちたりしている。これで雪崩が起きたらひとたまりもないだろう。今のところ、白毛門方面の視界はガスで100mもない。先が見えず、淡々と歩き続ける。ところどころで地面が出ている。そこから花も出ていたが、木から聞いた花の名前はすぐに忘れた。
(やがて、雪庇まじりの荒れた尾根に変貌する)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/ce/d7284b2d59b547f907f76960d36223f6.jpg)
(根開き)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/54/bda61e4b6f5e3f86dcca32f1e46d02eb.jpg)
急登の荒れた雪面と地面の繰り返しがずっと続く。やがて地面も隠れた。アイゼンを付け、ピッケルを出す。ワカンも持参してはいたが、これは、万一、笠ヶ岳に行くかもしれないことを前提に用意したもので、この分では、無用の長物になりそうだ。結果的にもそうなったが。木の周囲を覗くと、ところによっては深さ1.5mから2m近い穴が開いている。積雪量もさることながら、この穴もおもしろいもので、何で、こんな穴が木の根元に開くのやら、木の解説によると、これは「根開き」という現象で、直射日光で木が暖まるとともに、その隙間に入る日光が反射によって、周囲の雪が融け出すからだそうだ。真偽の程は分からない。木も生き物だし、理屈としては合っているかも。そこで疑問だ。登山口にあった標識の下は何で地面が出てたんだ?上から、2人組が降りてきた。一人は半袖姿。随分早いと思ったが、松ノ木沢ノ頭まで行って戻って来たそうだ。写真撮りに来たような気配があるが、このガスでは白毛門も見えないだろう。その松ノ木沢ノ頭もまだ遠い。木歩きに付き合っているのは誠に楽だが、時間がかかってしょうがない。休憩も多いし、タバコの量も増える。赤城に行った時には、タバコをやめたと言っていたが、もう過去の話になっている。
(後続の2人連れに抜かれる。そろそろ松ノ木沢ノ頭)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/6f/33078d588cf0c2ed6f122218805b2cf8.jpg)
(松ノ木沢ノ頭に到着。右手にかすかに白毛門)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/2c/40147d4e76ea57303c8cf8a860c257c4.jpg)
(そして、白毛門が顔を出した)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/d7/9241061ef4987b0d7762e695c9e05075.jpg)
(左を見ると、あれは武能岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/b6/5fd88b7575c26aad6e95b1e959fbb937.jpg)
(やがて、白毛門の全容)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/86/124f2d2aa12e8f7db7248ae55b221b28.jpg)
尾根も広くなってきた。実際は、雪庇が張り出しているだけのことだが、幾分歩きやすいのは確か。ただ、傾斜は増した。右手先に、何となく、ジジ岩とババ岩が見えてきた。2人連れに抜かれる。隣の千葉県ナンバーの方々だ。先にピークらしいのが見えてくる。空と雪の色はいっしょだが、濃淡で識別はできる。それだけガスがかかっていた。ピークに出る。先にもさらにピークがある。いずれかが松ノ木沢ノ頭なのだろうが、木の言うには、岩場のピークだとのこと。だとすればこの先だろう。2人連れは手前ピークで休んでいる。先のピークに向かう。突然、ガスはそのままながら、先の上空が青く開いた。そして、白毛門がいきなり顔を出した。まぁ何とも、神々しい白い姿。後ろの2人連れも歓声を上げている。しばらく様子を見た。やがて、左手にはガスの中から武能岳のシルエット。もう時間の問題だろう。せっかくここまで来て、暗中模索のような追悼山行をしていたら、中嶋も浮かばれまい。まずは良かった。テンションもハイになった。こうでなきゃ。それにしても、さっきの帰った2人、何とも惜しいことをしたものだ。
(下って白毛門への登りに取り付く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/e0/38babe8238a1635b96f2ccf56e9a5d91.jpg)
(今度は谷川岳が顔を出してくれた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/b9/de1f0204f320fd4c8b0d1b5a7131243c.jpg)
(武尊山)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/7e/375da2d1374aa9fa7cd351c24b59d19c.jpg)
(松ノ木沢ノ頭を振り返る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/b3/7afd7f90b4445c10c4d8e6e2527241d5.jpg)
(先行者がポツンと見えた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/dc/5d2469cf25e70c36f355fff2708ba41d.jpg)
(この傾斜はつらい)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/de/9d9533367eb4ca6cf71e2a5e2068596a.jpg)
(左に赤城の黒檜、右かすかに地蔵岳の頭)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/f1/412a654e292c7e998792a826803c4cf6.jpg)
はるか上を、先行のオッサンが歩いているのが見える。さっきから木が先行氏のトレースを踏んでいると、歩幅が広くて、きついと言っていた。目を凝らすと、確かに、オッサンの歩きは大股歩きになっている。ここからは、ほぼ45度の傾斜。大股歩きはつらい。後で気付いたことだが、まだ下りのトレースが残っていて、下りはつい大股になるものだ。それを登り時に選んで歩くと、ついそうならざるをえないかも。幾分、雪は締まってきた。ピッケルも効く。今のところ気温は5℃。今のうちに急がないと。しかし、ここからがしんどいね。一旦下って登る。また急斜面。雪庇もはみ出しまくり。谷川岳、茂倉岳、一ノ倉岳も顔を出した。眺めながらゆっくり登る。晴れてくると、なぜか雪崩の音があちこちから聞こえる。谷川岳の山肌の雪崩はさすがに豪快だ。まともに崩れ落ちる様が見える。今日は10回くらいこの音を聞くことになる。
(山頂はもう間近)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/7a/470c02dced3b4de044ff4f0be6b862d5.jpg)
(芸術的な雪庇)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/f5/ea67a9ac5e10fd8ed3d2ed4bef7bedb4.jpg)
(しつこく、雪庇と谷川岳。左手の先には松ノ木沢ノ頭)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/f3/533164450f619fe6b254aa99d486e514.jpg)
(そして山頂。バックは笠ヶ岳と大烏帽子)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/a9/9ed115c50dc0a67e40c23bdcc9370618.jpg)
岩場を左に巻く。ジジ岩、ババ岩に並ぶ。手前がジジ岩か。振り返ると、8人ほど、松ノ木沢ノ頭からこちらに向かってくる。見上げると、オッサンがまもなく山頂に到着しそうだ。また岩場。右へのトレースもあったが、右は雪庇になっている。左のヤブを迂回。鎖場になっていて、アイゼンの爪がひっかかる。このまま東側にこけたら、雪庇ごと雪崩か。笠ヶ岳が見えた。そして、ようやく、山頂に到達した。オッサンが休んでいた。何とも素晴らしい景観が広がっていた。360度のパノラマ。赤城は雲海の上に黒檜が見え、地蔵の頭が見える。武尊もさることながら、日光白根、燧、至仏、平ヶ岳、巻機。武能と茂倉の間には苗場山……。木が一つ一つ解説してくれる。笠ヶ岳の右手に見えるのは大烏帽子で、朝日岳はここからは見えないとのこと。笠ヶ岳を歩いている人の姿が見えた。
(奥に苗場山)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/ea/679b241618f2874341c0b014fafb6770.jpg)
(そしてかなたに日光白根)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/2c/05de0a9146f2210070f9304366dccaab.jpg)
(さらに左には平ヶ岳に続く山並み)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/62/7c0b46debd398d8b2b7de6b93feb3ae1.jpg)
(山頂の賑わい)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/a7/8cfabe3c96841938b4cb3c15dc14ec93.jpg)
笠ヶ岳まで行くか?と木に誘い水をかけられた。やめておこう。もう11時だ。30分早かったら考えなくもない。景色を堪能していると、ぞろぞろと上がってきた。山頂にはもう10人。そのうちの6人は、どうもグループらしい。皆さん、雪庇で広くなったところを歩いている。話を聞いていると、この時期に白毛門まで来ているわりには、山の名前をあまり知らない感じ。ちょっと意外。木が冗談を交えながら、皆さんにガイドをやりはじめた。こういうのは好きな男だ。女性が一人、空身で笠ヶ岳の方に向かった。すごいなと思ったが、そうではなかった。詳細は記さない。
(下る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/9a/0a4ef2da5091bec820c4d39bad75113e.jpg)
(ジジ岩とババ岩)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/ce/d931ab7178b07ed406c99f466c57421f.jpg)
名残惜しい気分だが下るか。晴れた影響で、雪がどんどん緩くなっていく。松ノ木沢ノ頭を見下ろすと、あんなところを下るのかと、何とも恐怖の思いだ。左側は雪庇が続いている。岩場を慎重に下る。山ガールが上がって来た。その後もどんどん上がって来る。本日のお見かけはざっと20人以上。いつからこんなに人気の残雪歩きの山になったのか。木の話では、何かの雑誌に載ったということだが。松ノ木沢ノ頭にも2人連れが休んでいた。登りの際に、見えないままに通過した景色が新鮮に感じる。こんなところ歩いたっけ?といった感じが続く。
(腐りかけた雪)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/0d/4ce9c582759d25c9154a8662645c6fe8.jpg)
(ロープウェイ乗り場を見下ろす)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b4/a729b669d549ea76090cd926a06664cd.jpg)
(この辺の通過は、正直のところ恐かった)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/66/97e4b6fdc703727589ddddeaab286c77.jpg)
やがて、地面が出てきた。ここからが長く感じる。張り出した木の根や残雪に足をとられたりと歩きづらい個所が続く。アイゼンをスパッツに引っかけて転倒もした。もうこうなったら、アイゼンも外す。少し休む。先のオッサンが下って行った。木の下りは快調だ。つい離されてしまう。カーブのところで、最後の白毛門を撮る。また霞みつつある。グッドタイミングで登って下ったということか。休んでいるオッサンを抜く。「1000m」の標識が置かれていた。これは距離だろうか標高だろうか。ロープウェイ乗り場がようやく見えてきた。その上の天神尾根はガスで見えない。今日の天神尾根経由は残念だろう。
(橋が見えてきた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/46/ecb6899af1bb088fcc0be43001e72e2c.jpg)
(雪を削る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/a5/cc0bad0504f5e02073074bfaa0619fa4.jpg)
(駐車地に)
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疎林を下って橋に到着。最後の難関の橋だ。木がうまく雪をピッケルで払ってくれたので、幾分は越しやすくなったが、それでも腹這いで乗り越えた。また、視界が悪くなり、風も出てきた。駐車地に到着。ほっとした。中嶋の追悼山行も無事に済ませられて良かった。まっ、気持ちの問題だから、花も線香も持っては行かなかったが、これで済みとしよう。中嶋が生きていたとしても、かつて仕事で派遣されていた尾瀬には行っても、白毛門には同行することもなかったろうな。
湯テルメは空いていた。ゆっくりと浸かる。谷川温泉の湯はクセがなくて好みだ。休憩室は暖房が効きすぎくらいで暑かった。ビールでも飲みたいところだが、我慢、我慢。ここで飲んだら、4~5時間は寝てしまいそうだ。木家に寄り、冷えたノンアルコールビールを飲み、キャベツをいただいて帰った。しかし、今日は、途中からでも晴れてくれて良かったよ。その分、雲海に浮かぶ谷川岳を見られたことだし。
<土合橋(7:05)……松ノ木沢ノ頭(9:42)……白毛門(10:49~11:15)……松ノ木沢ノ頭(11:47)……土合橋(13:12)>
暮れに亡くなった中嶋の追悼山行が半端なままになっている。追悼といっても、たいした深い意義付けをした山歩きでもないのだが、これを出さないと木の重い腰も上がらない。しかし、八ヶ岳、日光、谷川と、いくつか残雪期歩きの候補を出したものの、さっさと決めてくれないので、木が好きな白毛門なら文句も言わないだろうと、ゴリ押しして連れ出した。白毛門は5年前の2月に一人で歩いている。2月としては雪が少なかった。そのせいか、4時間半であっさりと往復した。今季は雪が多かったようだがもう4月も後半の時期。あの時と同じ程度の積雪量だろうか。ただ、雪質の悪化が不安なところだ。
(登山口の標識)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/9f/b4f95936d772800912e102be1862e936.jpg)
木家に5時に着く。カミさんも起きていて、また、あさましくも朝食をゴチになる形になってしまった。タクアン、納豆、味噌汁の質素な食事を楽しみにしていたが、昨夜の残りのカレーライスをいただく。ビーフカレーだった。おいしかった。タクアンは寒の時期限定版だそうで、残念ながら今回はなし。さて、5時45分に木家を出て、土合駅に向かう。途中、オレ都合で赤城SAに立ち寄り、わなわなダッシュをしたりする。予定では、6時半に歩き出すつもりでいたのに、何やかやと手続きの時間がかかり過ぎて遅くなっている。土合橋の駐車場は雪でまだ入れないことは知っている。念のためにと土合駅を素通りして行ってみた。橋の手前脇にスペースがあった。2台は置けそうだ。ここに駐める。さて、準備をして、早速、出発といきたかったが、今度は木が突然、掛け出して消えた。用足しに行ったようだ。トイレは閉鎖なのにどこに済ませに行ったのやら。一人タバコを吸いながら、スタンバイのポーズに入ってしまった。その間、土合駅の方から来たオッサンが白毛門に向かい、隣にも千葉県ナンバーの車が入った。男女の2人組が出て来た。彼らも白毛門らしい。そして、また土合駅の方から2人連れ。こっちは、土合橋でうろうろしている。すっきり顔で戻った木をせかせ、予定よりも30分遅れで出発。雪の駐車場を渡り、川を渡る。かかっている鉄の橋の上部には残雪がせり出し、えらく降りづらい。雪で滑ったら川に落ちてしまう。いきなり慎重になってしまった。下の雪は随分と消えているが、すぐに雪になった。トレースはしっかりある。新しいのは数人といった感じ。雪は薄汚れ、やはり大分ゆるい。天気はどんより。この状態がずっと続いたらたまったものではないな。
(後続の集団)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/01/ee5b39a61cfad7d5c3506accc29165a1.jpg)
(最初はおとなしい尾根の雰囲気)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/41/3691fde6b525c173ef4e224338151505.jpg)
疎林の中を登る。尾根に取り付くまでに、2人ともにかなりの大汗をかいた。上1枚を脱ぐ。下を見ると、6人歩いて来る。右手の沢を挟んだ尾根は赤沢山から続く尾根だろうか、上はガスで見えないが、山肌はところどころ雪崩を起こしている。この、白毛門への尾根もまたやせ尾根で、雪棚が割れたり、雪庇が落ちたりしている。これで雪崩が起きたらひとたまりもないだろう。今のところ、白毛門方面の視界はガスで100mもない。先が見えず、淡々と歩き続ける。ところどころで地面が出ている。そこから花も出ていたが、木から聞いた花の名前はすぐに忘れた。
(やがて、雪庇まじりの荒れた尾根に変貌する)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/ce/d7284b2d59b547f907f76960d36223f6.jpg)
(根開き)
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急登の荒れた雪面と地面の繰り返しがずっと続く。やがて地面も隠れた。アイゼンを付け、ピッケルを出す。ワカンも持参してはいたが、これは、万一、笠ヶ岳に行くかもしれないことを前提に用意したもので、この分では、無用の長物になりそうだ。結果的にもそうなったが。木の周囲を覗くと、ところによっては深さ1.5mから2m近い穴が開いている。積雪量もさることながら、この穴もおもしろいもので、何で、こんな穴が木の根元に開くのやら、木の解説によると、これは「根開き」という現象で、直射日光で木が暖まるとともに、その隙間に入る日光が反射によって、周囲の雪が融け出すからだそうだ。真偽の程は分からない。木も生き物だし、理屈としては合っているかも。そこで疑問だ。登山口にあった標識の下は何で地面が出てたんだ?上から、2人組が降りてきた。一人は半袖姿。随分早いと思ったが、松ノ木沢ノ頭まで行って戻って来たそうだ。写真撮りに来たような気配があるが、このガスでは白毛門も見えないだろう。その松ノ木沢ノ頭もまだ遠い。木歩きに付き合っているのは誠に楽だが、時間がかかってしょうがない。休憩も多いし、タバコの量も増える。赤城に行った時には、タバコをやめたと言っていたが、もう過去の話になっている。
(後続の2人連れに抜かれる。そろそろ松ノ木沢ノ頭)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/6f/33078d588cf0c2ed6f122218805b2cf8.jpg)
(松ノ木沢ノ頭に到着。右手にかすかに白毛門)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/2c/40147d4e76ea57303c8cf8a860c257c4.jpg)
(そして、白毛門が顔を出した)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/d7/9241061ef4987b0d7762e695c9e05075.jpg)
(左を見ると、あれは武能岳)
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(やがて、白毛門の全容)
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尾根も広くなってきた。実際は、雪庇が張り出しているだけのことだが、幾分歩きやすいのは確か。ただ、傾斜は増した。右手先に、何となく、ジジ岩とババ岩が見えてきた。2人連れに抜かれる。隣の千葉県ナンバーの方々だ。先にピークらしいのが見えてくる。空と雪の色はいっしょだが、濃淡で識別はできる。それだけガスがかかっていた。ピークに出る。先にもさらにピークがある。いずれかが松ノ木沢ノ頭なのだろうが、木の言うには、岩場のピークだとのこと。だとすればこの先だろう。2人連れは手前ピークで休んでいる。先のピークに向かう。突然、ガスはそのままながら、先の上空が青く開いた。そして、白毛門がいきなり顔を出した。まぁ何とも、神々しい白い姿。後ろの2人連れも歓声を上げている。しばらく様子を見た。やがて、左手にはガスの中から武能岳のシルエット。もう時間の問題だろう。せっかくここまで来て、暗中模索のような追悼山行をしていたら、中嶋も浮かばれまい。まずは良かった。テンションもハイになった。こうでなきゃ。それにしても、さっきの帰った2人、何とも惜しいことをしたものだ。
(下って白毛門への登りに取り付く)
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(今度は谷川岳が顔を出してくれた)
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(武尊山)
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(松ノ木沢ノ頭を振り返る)
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(先行者がポツンと見えた)
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(この傾斜はつらい)
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(左に赤城の黒檜、右かすかに地蔵岳の頭)
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はるか上を、先行のオッサンが歩いているのが見える。さっきから木が先行氏のトレースを踏んでいると、歩幅が広くて、きついと言っていた。目を凝らすと、確かに、オッサンの歩きは大股歩きになっている。ここからは、ほぼ45度の傾斜。大股歩きはつらい。後で気付いたことだが、まだ下りのトレースが残っていて、下りはつい大股になるものだ。それを登り時に選んで歩くと、ついそうならざるをえないかも。幾分、雪は締まってきた。ピッケルも効く。今のところ気温は5℃。今のうちに急がないと。しかし、ここからがしんどいね。一旦下って登る。また急斜面。雪庇もはみ出しまくり。谷川岳、茂倉岳、一ノ倉岳も顔を出した。眺めながらゆっくり登る。晴れてくると、なぜか雪崩の音があちこちから聞こえる。谷川岳の山肌の雪崩はさすがに豪快だ。まともに崩れ落ちる様が見える。今日は10回くらいこの音を聞くことになる。
(山頂はもう間近)
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(芸術的な雪庇)
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(しつこく、雪庇と谷川岳。左手の先には松ノ木沢ノ頭)
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(そして山頂。バックは笠ヶ岳と大烏帽子)
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岩場を左に巻く。ジジ岩、ババ岩に並ぶ。手前がジジ岩か。振り返ると、8人ほど、松ノ木沢ノ頭からこちらに向かってくる。見上げると、オッサンがまもなく山頂に到着しそうだ。また岩場。右へのトレースもあったが、右は雪庇になっている。左のヤブを迂回。鎖場になっていて、アイゼンの爪がひっかかる。このまま東側にこけたら、雪庇ごと雪崩か。笠ヶ岳が見えた。そして、ようやく、山頂に到達した。オッサンが休んでいた。何とも素晴らしい景観が広がっていた。360度のパノラマ。赤城は雲海の上に黒檜が見え、地蔵の頭が見える。武尊もさることながら、日光白根、燧、至仏、平ヶ岳、巻機。武能と茂倉の間には苗場山……。木が一つ一つ解説してくれる。笠ヶ岳の右手に見えるのは大烏帽子で、朝日岳はここからは見えないとのこと。笠ヶ岳を歩いている人の姿が見えた。
(奥に苗場山)
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(そしてかなたに日光白根)
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(さらに左には平ヶ岳に続く山並み)
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(山頂の賑わい)
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笠ヶ岳まで行くか?と木に誘い水をかけられた。やめておこう。もう11時だ。30分早かったら考えなくもない。景色を堪能していると、ぞろぞろと上がってきた。山頂にはもう10人。そのうちの6人は、どうもグループらしい。皆さん、雪庇で広くなったところを歩いている。話を聞いていると、この時期に白毛門まで来ているわりには、山の名前をあまり知らない感じ。ちょっと意外。木が冗談を交えながら、皆さんにガイドをやりはじめた。こういうのは好きな男だ。女性が一人、空身で笠ヶ岳の方に向かった。すごいなと思ったが、そうではなかった。詳細は記さない。
(下る)
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(ジジ岩とババ岩)
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名残惜しい気分だが下るか。晴れた影響で、雪がどんどん緩くなっていく。松ノ木沢ノ頭を見下ろすと、あんなところを下るのかと、何とも恐怖の思いだ。左側は雪庇が続いている。岩場を慎重に下る。山ガールが上がって来た。その後もどんどん上がって来る。本日のお見かけはざっと20人以上。いつからこんなに人気の残雪歩きの山になったのか。木の話では、何かの雑誌に載ったということだが。松ノ木沢ノ頭にも2人連れが休んでいた。登りの際に、見えないままに通過した景色が新鮮に感じる。こんなところ歩いたっけ?といった感じが続く。
(腐りかけた雪)
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(ロープウェイ乗り場を見下ろす)
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(この辺の通過は、正直のところ恐かった)
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やがて、地面が出てきた。ここからが長く感じる。張り出した木の根や残雪に足をとられたりと歩きづらい個所が続く。アイゼンをスパッツに引っかけて転倒もした。もうこうなったら、アイゼンも外す。少し休む。先のオッサンが下って行った。木の下りは快調だ。つい離されてしまう。カーブのところで、最後の白毛門を撮る。また霞みつつある。グッドタイミングで登って下ったということか。休んでいるオッサンを抜く。「1000m」の標識が置かれていた。これは距離だろうか標高だろうか。ロープウェイ乗り場がようやく見えてきた。その上の天神尾根はガスで見えない。今日の天神尾根経由は残念だろう。
(橋が見えてきた)
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(雪を削る)
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(駐車地に)
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疎林を下って橋に到着。最後の難関の橋だ。木がうまく雪をピッケルで払ってくれたので、幾分は越しやすくなったが、それでも腹這いで乗り越えた。また、視界が悪くなり、風も出てきた。駐車地に到着。ほっとした。中嶋の追悼山行も無事に済ませられて良かった。まっ、気持ちの問題だから、花も線香も持っては行かなかったが、これで済みとしよう。中嶋が生きていたとしても、かつて仕事で派遣されていた尾瀬には行っても、白毛門には同行することもなかったろうな。
湯テルメは空いていた。ゆっくりと浸かる。谷川温泉の湯はクセがなくて好みだ。休憩室は暖房が効きすぎくらいで暑かった。ビールでも飲みたいところだが、我慢、我慢。ここで飲んだら、4~5時間は寝てしまいそうだ。木家に寄り、冷えたノンアルコールビールを飲み、キャベツをいただいて帰った。しかし、今日は、途中からでも晴れてくれて良かったよ。その分、雲海に浮かぶ谷川岳を見られたことだし。
でも、山頂からの雪山は綺麗ですね、見とれてしまうのが分かる。
谷川岳のイメージがあるから、時々、聞こえる雪崩の音は恐いですね。自然の力には逆らえないからね。
久しぶりの高木さんとの山行も、何事もなく、よかったです。
ブログのアップには写真選びで手間取ってしまいました。250枚くらい撮っていましたからね。掲載写真も、結局、間に合わせで選んだようなものです。
今、雪崩は旬の季節ですよ。あれは、春の足音と解せば、風味豊かな味わいもあるというものです。
木との山行、確かに何事もなく済んで良かったと思ってはいますよ。ずっと以前から、同行すると、吹雪やら雨にあたる確率がグンと高くなっていましたから。
今回もかと、半ばあきらめもしていましたよ。
中嶋には悪い気もしますが、追悼山行だのと銘打っていなければ、どうなっていたのやら。
W=0.1t、大丈夫かな。
筋肉痛?オレなんか、痛みも痒くもないね。今日は、いつものように、掃除、洗濯、犬散歩、家具修理で追われていたよ。そういえば、俺だは地区の清掃とかだとか言っていたな。ご苦労さん。筋肉痛ではきつかったろう。
ところで、そのY沢君だけど、体重が100kgもあんの?手こずりそうだな。予定どおりに、雨乞山で10kg落として、さらに赤倉山で10kgの追い打ちといったハードなスケジュールを考えておいてよ。傍観者として同行するから。
何事もなくもないことは、K女さんからのメールの問い合わせがあったから、事細かに知らせてやったから安心していいよ。
いや~、凄い景観ですね!
ガスが切れ景色が広がった時など、実に美しいですね。まして、雪山ですもの!こんな場面に遭遇したら、山はやめられなくなっちゃいますよ。
自分らは安蘇の里山でしたが、一日中霧の中にいるような状態でした。
登るにつれて周囲のガスが切れたときはやはりうれしいでしょうね。
ご褒美があって何よりです。
最後の雪山も充実していてうらやましいです。
今回記事を読んでいて何度も笑ってしまいました。
ところで今回の画像で雪庇は怖そうです。
踏み跡がないときのルート取りは慎重にならざるを得ないでしょうね。
玄人好みの山からの眺めもいいですが、谷川岳直近のポピュラーな山からの展望もまた素晴らしいと、再認識した次第ですよ。
雪があるうちは楽しみたいとは思うのですが、雪質もどんどん悪くなる一方ですから、技術的に追いかけできないのが残念です。
今季の雪山歩きの終わりとするには最高でした。
急速な雪解けの真っ只中を登られたのですね。かなり前の雪深の12月に先行トレースに助けられ登ったことがあるのですが、それよりもずっとシビアで緊張感ありありです。写真を見るだけで、ビシビシと伝わってくるような感じがしましたヨ。翌日の家事からはお疲れ様でしたとは、いうまでもなさそうです。(笑)
確かに急速な雪解けですよね。あれが1か月経ったら、もうまだらになるのでしょうね。
白毛門も、本当に人気の山になってしまいました。体力的にはシビアでも、どんどん登って来る人達を見ていると、緊張感も薄れてしまいましたよ。