後座の席入は銅鑼でご案内しました。
大・・・小・・大・・小・・中・中・・・大
雨が降り続いていたので、再び茶道口からの席入です。
(吾亦紅、紫と薄紫の竜胆を竹一重切に)
後座の床には「四規七則」に代わり、花(吾亦紅、紫と薄紫の竜胆)を竹一重切に生けました。
前日に採取した白の芙蓉の蕾が朝には見事に咲いていたのですが、午後になると小さくしぼんでしまい使えません。急遽持ち寄った花からご亭主が3種選び、生けました(ふぅ~ 花がいつも一番ドキドキです)。
花入は半東T氏の自作です。茨城県古河市の竹林から自ら伐り出した竹から作ったそうで、産地に因んで「古河」と名付けています。
茶道口に座り、座が静まるのを待って、亭主は茶碗を持ち出し、濃茶点前(名水点)が始まりました。
名水点では濃茶を練る前に、客から名水所望があり、先ず名水を味わいます・・・もちろん、亭主から説明し名水をお勧めしました。
名水は「日本水(やまとみず)」、埼玉県大里郡寄居町風布地内に湧出している水で、その昔、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の折、戦勝を祈願し御剣を岩壁に刺したところ、たちまち水が湧きだし、この伝説から「日本水」と呼ばれています。とても冷たく一杯しか飲めなかったとの伝説から「一杯水」とも言われています。
・・・それで、冷たい名水を各服点で味わっていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
(「日本水(やまとみず)」の湧出地)
(埼玉県大里郡寄居町風布地内にある「日本水」の水飲場)
ご亭主が先ず各服で濃茶を2碗、いつものように丁寧に練って、お正客・前田さまと次客・S氏へお出ししました。「お服加減はいかがでしょうか?」
各服点の仕方は盆を使ったりいろいろですが、暁庵の茶事では三客または四客さまからは各服で水屋で練ったものを半東がお出ししています。
濃茶は坐忘斎家元好みの「松花の昔」(丸久小山園詰)です。
(主茶碗の御本三島)
濃茶の5つの茶碗は、ご亭主がお客さまのお好みなどを考えながら一つ一つ・・・選んだものです。
特にお正客・前田さまが李朝好きなので李朝時代の茶碗を2つ、お詰のTIHO様の茶碗は仙台藩の御用窯だった堤焼で、先の転勤先・仙台で出合ったご亭主の思い出のある茶碗です。
主茶碗は御本三島、次いで御本雲鶴(小堀篷雪(権十郎)の歌銘「玉帚(たまははぎ)」)、呉器(山岸久祐和尚 銘「 富久音」 加藤錦雄)、出雲焼 11代長岡空権、堤焼 4代針生乾馬)でした。
茶入は古高取写で11代 高取八仙造、仕覆は花鳥紋うんげん錦です。
この度の茶事が初使いと言う侘びた風情の茶杓は、銘「閑日月(かんじつげつ)」方谷浩明師作(紫野12代管長)です。
「のどかに穏やかな一日を皆で過ごしていただければ・・・」というご亭主の願いが込められていました。(つづく)