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ベランダ茶席・・・香合の拝見中かしら?
(つづき)
前述したように昼食はいまいちでしたが、お客さま同士なごやかにお話も食も進んだようで何よりです。
食後に再び待合へ戻って頂き、そちらで主菓子を差し上げました。
「どうぞお菓子をお召し上がりください。
お菓子をお召し上がりになりましたら、しばしこちらでご休息ください。
銅鑼にてベランダ席へご案内させて頂きます」
主菓子は「青梅」(石井菓子舗製・旭区都岡)、梅の酸味が程よく最近のお気に入りです。
銅鑼を5つ打ち、それを合図に蹲踞をつかい、ベランダ茶席へ席入りして頂きました。
(反省・・・蹲踞柄杓を出し忘れ、茶会後にやっと気が付いた次第です。
それでもお客さまは何一つおっしゃらず、流石・・・でございました。深謝です
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ベランダ席は三畳半の広さで、隅に金魚が棲む睡蓮鉢があります。
ベンチ2つに4名様の円座、陽射しが強いので緋傘とパラソルを広げ、日陰を作りました。
物置に簾を掛けると涼しげな壁のようになりました。
その壁床に「雪月花」の短冊、臨済正宗・山本玄峰師の御筆で、この短冊を掛けるといつも山本玄峰師の数奇な運命と四国遍路のことを思い出します。
その日は、ご縁のあったお客さまと「雪月花」を愛でるベランダ茶会ができたら、どんなにか愉しいことでしょう・・・と思いながら。
点前座はリサイクルショップで購入した桐の衣装引出を2個重ね、敷板に織部紅鉢を置きました。
釜は京都で大活躍してくれた責紐釜、久しぶりの登場です。
その昔、元は水屋箪笥として使われていたという旅箪笥(利休好み)、動線の都合で点前座の右側に置き、洞庫兼小卓として使いました。
予め、水指、茶碗、棗、柄杓、蓋置などを入れて置き、大変重宝しました。
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初炭から始まりました。
「お炭を置かせて頂きます」
紅鉢は夏の茶箱の稽古で使用していますが、電熱使用だったので、今回初めて灰形を作り、炭を使いました。
火床が狭く浅いので小さな炭を選んだのですが、後炭のような初炭になり、今後の課題となりました。
「珍しい火箸ですが・・・」
京都の天神さんで購入した、岡山城大手門の古釘の火箸がお目に留まって嬉しいです。
「お香合は・・・」
昨年6月に南仏のエクス・アン・プロバンスで出会った独楽香合、お客さまはブログの読者さんなのでひとしきり、いろいろな旅のお話が楽しく飛び交いました。
干菓子(「雪りんご」松屋と「こはく」豆政)をお出しし、薄茶点前になりました。
点前座に座り、旅箪笥から備前の水指を取り出し、風炉の横へ置きます。
旅箪笥から仕組んだ茶碗と棗を取り出し水指前に置き合せ、あとはいつものお点前の手順です。
それでも茶杓と茶筅が数回風に飛ばされるというハプニングが・・・。
旅箪笥が小テーブルになり、そちらへ点てた薄茶をお出ししました。
茶碗はいろいろ・・・お一人ずつ旅箪笥から茶碗を出すたびに、歓声が上がったような・・・
「今度はどんな茶碗が出てくるのかしら?」
思い出のある茶碗ばかりなので暁庵も嬉しくお話しさせていただきました。
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見詰めるOさま、Hさま、Sさまの優しいまなざしの中、Kさまが薄茶を・・・
薄茶が一巡し、員茶のように2服目をお客さまに点てて頂き、順服していただきました。
裏千家流だけでなく表千家流と表千家不白流のお点前を拝見でき、薄茶を頂き、貴重なお話もうかがえて、とてもとても楽しいひと時になりました。
はつ夏のベランダ茶会・・・(3)へつづく (1)へ戻る 募集記事へ