ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

福島原発事故を自主調査した「FUKISHIMA PROJECT」シンポジウムを拝聴しました

2012年01月16日 | 日記
 2012年1月15日午後に、「FUKISHIMA PROJECT」国際シンポジウムが東京都新宿区にある早稲田大学の小野記念講堂で開催されました。

 東日本大震災を契機に起こった東京電力の福島第一原子力発電所の事故原因は何か、日本で原子力発電所をどう位置づけるかなどを科学的に分析し、議論するシンポジウムでした。



 二番目に講演で登壇した英国国会の科学部門教授のDavid Cope(ディビッド クープ)さんは「福島原発事故から300日という節目を迎え、日本が事故の分析調査を出すことが重要」と言います。国際的にも、日本が欧米などの海外の国々に福島原発について発言することが大事な時期と解説します。日本がどう解析し、どういう方針で今後進むのかを海外に向けて発言することが大事と伝えます。「将来、3000日目の節目でも情報を出す必要がある」と、先進国としての責務を伝えます。

 最初に登壇したのは、同志社大学教授の山口栄一さんです。この「FUKISHIMA PROJECT」の委員長です。3月12日以降の政府の発表や新聞やテレビの報道内容に何となく違和感を感じ、公表データも基に独自調査した方です。





 東京電力の公表データから、「福島原発の第一号機と第二、第三号機は津波によって交流電源が供給されい電源喪失後でも、“最後の砦”である緊急炉心冷却装置が稼働し、一定時間は原子炉は炉心溶融が起こらないように安全装置が動いていた」と分析します。

 要は「隔離時冷却系(RCIC)が稼働している間に、東京電力の経営陣が炉内に海水注入を決断すれば、第一号機と第三号機での炉心溶融による原子炉事故は起こらなかった」と説明します。当時、福島原発の現場で対応していた技術者も、一定時間内に海水注入が必要なことを知っており、経営陣に伝えていた」と推論します。

 この経緯を、当時、福島原発対応の内閣官房参与だった北陸先端科学技術大学の副学長の日比野靖さんにもインタビューし、確認したと説明します。

 要は、原子力発電所の物理限界を知らない経営陣が海水注入するかどうかを判断する権限を持っており、その判断が大幅に遅れた(遅らせた)のが原発事故の原因と分析します。

 この「FUKISHIMA PROJECT」は、寄付金を募って、単行本「FUKISHIMA レポート」という福島原発事故の本質を報告する本を出版することが目的のプロジェクトです。賛同者による寄付金で、単行本を出版するという独自のやり方をとった点が注目を集めています。政府や企業などから独立した出版のやり方です。