ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

知的財産活用フォーラムでは、タニタ知的財産室長のイントロ話が面白かったです

2012年01月25日 | イノベーション
 1月23日に東京都内で開催された国際知的財産活用フォーラム2012では、パネリストして登場した、タニタ(東京都板橋区)の知的財産室長の小林由吉夫さんが語ったイントロダクション話が興味深かいものでした。

 タニタの小林さんは、午後のパネルディスカッション「国際競争力を高める知財総合戦略」のパネリストの一人として登場されました。



 そのイントロダクションでタニタの現状などをお話になりました。

 冒頭に「最近開店した、JR東京駅近くの丸の内タニタ食堂が連日、満員でご迷惑をおかけしています」と陳謝されました。今年1月11日に千代田区丸の内で開店された丸の内タニタ食堂は、人気が沸騰し、午前8時30分から配られる整理券をもらわないと、入店できない事態に陥っているからです。人気沸騰の丸の内タニタ食堂は、「日本国内では有名でも、海外では知られて無く、食堂事業は海外展開できない」と、冷静に分析しました。

 今回、知的財産活用フォーラムのパネリストに呼ばれた理由の一つは、タニタの製品の一つである、宝石や貴金属などを測る小型高性能秤(はかり)の精巧な模倣品が海外市場で出回っているからです。中国製と推定される模倣品は、製品を入れるパッケージ(外箱)を一見しただけでは本物と見分けができないほどのものだそうです。

 宝石が産出されるインドやスリランカ、金鉱があるミャンマーなどの新興国市場に輸出している小型高性能秤の模造品(コピー製品)も、一見しただけでは本物と見間違えるそうです。このため、模倣品対策で悩んでいるそうです。海外市場では低価格が求められるために、中国国内で秤を生産し、輸出をしているそうです。

 イントロダクションの話で興味深かったのは、タニタは消去法によって秤事業が主力事業になったという同社の歴史でした。1923年(大正12年)にシガレットケースなどの加工を手がける事業で創業し、1944年には軍用の通信機器を、戦後の1953年には家電製品のトースターをOEM(相手先ブランドによる生産)で製造した経緯があるそうです。オーブントースターを日本で初めて製品化したそうです。

 1953年からヘルスメーターという秤事業を始めたそうです。タニタが成長し始めたのは、デジタル式ヘルスメーターを開発し、体内脂肪計などの体組成計tぴう製品分野に進出してから成長を始めたそうです。デジタル化は海外展開をしやすくしたそうです。ただし、デジタル化は模倣品対策が必要になった原因でもあるのです。



 グローバル市場化を精力的に進める日本企業にとって、意匠権や商標権などの知的財産をどう駆使して海外事業を展開するかという知的財産戦略が重要になっています。その一端を知ることができたパネルディスカッションでした。