JDヴァンス副大統領論:
昨9日に週刊AWACS氏もこの副大統領の存在を取り上げて、言うなれば疑問を呈しておられた。本稿はヴァンス副大統領論とはしたが、現実には、閣僚に自分に対して忠誠を誓わせたトランプ政権の鉄板乃至は岩盤の統制力が、鮮やかに見えてくる様子を取り上げたいのである。
実は、先日のST教授との会談でも、ヴァンス副大統領という存在を俎上に乗せていた。即ち、常識的には首脳会談ではトップ同士が討論し話し合うものだと理解していたにも拘わらず、ヴァンス副大統領が「ゼレンスキー大統領はトランプ大統領に対する感謝の意を表明していない」と非難して割って入った為にゼレンスキー大統領が興奮してしまったので、首脳会談が成り立たない方向に進んだのだった。
教授と語り合ったことは「ヴァンス副大統領があの場で介入した背景には、立志伝中の人・JDヴァンス氏がトランプ大統領によって抜擢されたお陰で今日の地位にまで昇進できた恩義に報いるべく僭越にも割り込んで、ボスに対する揺るぎなき忠誠心を披露したのではないかと解釈できる」という点だった。
私にとって非常に(「異常に」とも言えるかもしれないが)印象的だったことは、あの100分近いトランプ大統領の施政方針演説の間に、民主党議員側は“FALSE”等々の非難のプラカードを掲げてあらぬ方角に向いていたが、共和党の議員たちはスタンデイングオベィションを繰り返して“USA”の大合唱を続けていた。
小西克哉氏は「仕事だから数えた」と断りながら「トランプ大統領の100分の演説の間に、共和党議員たちは90数回のスタンデイングオベィションをしていた。これぞトランプ大統領に対する忠誠心の現れ」と指摘していた。正しくその通りだろうと受け止めた。報じられているところでは「トランプは逆らう者は容赦しないのだそうだから、ヴァンス氏は御身大事を図ったのでは」と推察できる。
私は22年以上ものアメリカの会社勤務で経験したのだから言えることで、副社長兼事業本部長が持つ全権(その中でも特に強烈なのが人事権だが)がどれほど強力であるかは十分に認識していたし、逆らおうなどとは考えたこともなかった。この辺りの文化は我が国の会社組織とは大きく異なっているのだ。その全面的権限が合衆国大統領ともなればどれほど広範に及び絶大であるかは、想像を超えるかもしれない。
しかも、トランプ大統領の場合には、閣僚も含めて配下にある者全員に「忠誠心」を強硬に求めているのであれば、ヴァンス副大統領以下の全員が恭順の意を表するのも無理はないと思う。ここまで考えてくれば、あの時のヴァンス副大統領の振る舞いを「僭越」とか「越権行為」と評するのは適切でないのかもしれないのだ、それが「トランプ政権での文化だ」と考えれば。
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