少し軽い話題を:
カルロス・ゴーン氏の違法出国だの嘘ばかりのレバノンでの記者会見だの、アメリカ対イランの対立だのと固くて難しい話題が続いたので、どうも気分が重苦しくなったようだ。
そこで、昨11日に新装なった、もしかすると壮大な経費の無駄遣いになってしまうかも知れないと批判されている国立競技場で開催された早稲田大学対明治大学の大学ラグビーの決勝戦を語ってみよう。実は、早稲田という大学の運動部の特徴を長い間見聞きしてきた冷静な評論家であり、「閃き」で勝敗を予測する者としては、この組み合わせと知った途端に早稲田の勝ちを予測していた。関東の対抗戦であれほど綺麗に明治に負けた以上、早稲田独得の魂が目覚めて二度と明治に勝たせまいとするのは、私の目には鮮やかに見えていた。故にテレビ観戦も後半になってからにした。
そこには「閃き」にも予想に違わぬ早稲田が31対0で断然リードしているという状態が出てきたのだった。この魂と意地と根性(本来は悪い意味の言葉だが)の発揮はあの大学ならではのことだ。それは、近年では早稲田大学ビッグベアーズというフットボール部は日本大学フェニックスのライスボウル三連覇の圧倒的強さを誇っていた時期でも、必ずフェニックスを窮地に追い込む善戦健闘をして見せて「あわや」と思わせていた。最近2年間はビッグベアーズは関東を2連覇し、連続して優勢と予想された関西学院大学ファイターズを甲子園ボウルで苦しめて見せていた。
ずっと昔の1940年代末期のサッカーの関東大学リーグ戦を振り返ってみれば、早稲田大学は何度も何度も絶対優勢を予想されていた慶応大学を優勝決定戦で倒して見せたのだった。その中の一例では、前夜に選手たち全員が集まって「お互いに慶応の選手たちよりも下手だと解っている。だが、下手だからと言って簡単に負ける訳に行くか。全員が下手は下手なりにここ一番の意地を見せてやろうじゃないか」と誓い合ったそうだ。そして慶応のエースだったその当時で言う「左のウイング」の名手を完全に封じ込んで見事優勝してしまったのだった。
我々も当時は「あれが早稲田だ」と驚き、且つ心からその精神力とそこから発する意地の強さ(即ち、言葉と表現を変えれば「如何にして実力を発揮して予想された強者を押さえ込むか」)に敬意を表したのだった。昨日のラグビーの試合で早稲田の選手たちがどのようにして奮起したのか知る由もないが、明治大学の選手たちは今更ながら「早稲田とは」と痛感させられたことだろうと思う。もしかすると、明治にはほんの少しでも油断があったのかも知れない。そこを早稲田に衝かれてトライ数にすれば1本差での敗北になったような気もする。
前田正晶
カルロス・ゴーン氏の違法出国だの嘘ばかりのレバノンでの記者会見だの、アメリカ対イランの対立だのと固くて難しい話題が続いたので、どうも気分が重苦しくなったようだ。
そこで、昨11日に新装なった、もしかすると壮大な経費の無駄遣いになってしまうかも知れないと批判されている国立競技場で開催された早稲田大学対明治大学の大学ラグビーの決勝戦を語ってみよう。実は、早稲田という大学の運動部の特徴を長い間見聞きしてきた冷静な評論家であり、「閃き」で勝敗を予測する者としては、この組み合わせと知った途端に早稲田の勝ちを予測していた。関東の対抗戦であれほど綺麗に明治に負けた以上、早稲田独得の魂が目覚めて二度と明治に勝たせまいとするのは、私の目には鮮やかに見えていた。故にテレビ観戦も後半になってからにした。
そこには「閃き」にも予想に違わぬ早稲田が31対0で断然リードしているという状態が出てきたのだった。この魂と意地と根性(本来は悪い意味の言葉だが)の発揮はあの大学ならではのことだ。それは、近年では早稲田大学ビッグベアーズというフットボール部は日本大学フェニックスのライスボウル三連覇の圧倒的強さを誇っていた時期でも、必ずフェニックスを窮地に追い込む善戦健闘をして見せて「あわや」と思わせていた。最近2年間はビッグベアーズは関東を2連覇し、連続して優勢と予想された関西学院大学ファイターズを甲子園ボウルで苦しめて見せていた。
ずっと昔の1940年代末期のサッカーの関東大学リーグ戦を振り返ってみれば、早稲田大学は何度も何度も絶対優勢を予想されていた慶応大学を優勝決定戦で倒して見せたのだった。その中の一例では、前夜に選手たち全員が集まって「お互いに慶応の選手たちよりも下手だと解っている。だが、下手だからと言って簡単に負ける訳に行くか。全員が下手は下手なりにここ一番の意地を見せてやろうじゃないか」と誓い合ったそうだ。そして慶応のエースだったその当時で言う「左のウイング」の名手を完全に封じ込んで見事優勝してしまったのだった。
我々も当時は「あれが早稲田だ」と驚き、且つ心からその精神力とそこから発する意地の強さ(即ち、言葉と表現を変えれば「如何にして実力を発揮して予想された強者を押さえ込むか」)に敬意を表したのだった。昨日のラグビーの試合で早稲田の選手たちがどのようにして奮起したのか知る由もないが、明治大学の選手たちは今更ながら「早稲田とは」と痛感させられたことだろうと思う。もしかすると、明治にはほんの少しでも油断があったのかも知れない。そこを早稲田に衝かれてトライ数にすれば1本差での敗北になったような気もする。
前田正晶
大学選手権決勝、明治は見事に早稲田の罠にハマってしまいましたね。小生早稲田のラグビーを見始めて50年になりますが、この試合の前半こそが早稲田の強さ、かつて大西鐡之祐先生が監督をされていた頃のいわゆる大西魔術の正体です。
これは一種の集団催眠に近いようなもので、早稲田が弱者のときに起こります。こういうときに早稲田は基本に立ち返り、前に出るディフェンスと基本のタックルを徹底的に励行しいつもと違うと言う気分を相手にもたせます。そしてハメ手に近い形でトライを取り相手を動揺させます。このハメ手は大掛かりなものではなくさり気なく、しかし手数をかけず迅速にやります。こういうハメ手を2,3用意しスコアの上で圧倒的な差をつけます。こうして相手をパニックに陥れるのです。
今回は早稲田もそれなり以上に実力があるので4T4G1PG差まで付きましたが、3T3G1PGくらいまで離せれば上出来と思ってたはずです。これがもっと弱者の状態になると。こちら側もスコアしますが相手方もなんか変だなと思いつつ、対等なスコアになります。そして、試合後半に至るまで一種の催眠状態が解けず実力が出ないままになり、最後の最後に決定的な得点を取り勝つという筋書きです。
これは結構起きる現象で今年の高校ラグビー決勝、桐蔭対御所戦でも起こりました。桐蔭が御所の基本に徹底した守備に手を焼きもたつく間に御所が2T2Gをあげてしまいました。この後桐蔭はHTに目を覚まし実力を出し切り逆転しましたが、よく立ち直ったものです。
明治は今年の大学選手権でも弱者である関西学院に大苦戦します。スコアでこそ勝ってますが、この催眠状態というかパニック状態が最後まで尾を引いていたはずです。スコアで勝っていたり差が小さいとこの状態に気が付かぬこともあるのです。関西学院の実力不足で半分も実力が出ていない明治から決定的な得点を奪えずに負けましたが番狂わせの寸前でした。
今回の試合は前半で差が付きすぎましたのでかえって目を覚ますのが早くなります。後半は遮二無二攻撃に出てスコアを重ねることになります。おそらく前半取った分くらいは取られるという計算はあったでしょうが、そういう攻撃に出るとどうしても守備面がゆるくなります。明治の半分くらいは得点できるという計算があったはずです。
早稲田の得点の多くはセットプレーからの少ないフェイズで一気に陥れるものです。相手に倍取らせても時間的に半分は取れるという計算はあったはずで、後は前半の貯金で勝つということになります。正直嫌らしい勝ち方ですが合理的でありやや弱者という場合には決定的に近い方法とも思います。
ラグビーで番狂わせが起こるのはこの2つの場合だけという気がします。2015年RWC日本対南ア戦は決定的弱者日本が相手にリードされても執拗なPGとハメ手のようなトライでスコアの上で追いかけ相手を疑心暗鬼に追い込み最後の最後で逆転します。
強烈な守備とハメ手のような攻撃、強者である相手を疑心暗鬼に追い込みパニック状態にし実力を出させないこと、これが番狂わせの実態です。長く見ていてこれが大西魔術の正体だとわかりました。こんな単純なこと何で皆理解できないのかと思いますがこれがおそらくは真相でしょう。
ちなみに相良監督は早大学院での大西先生の最後の弟子の一人です。DNAは生きていたのでしょう。
おそらくサッカーなどの場合はもっと厳しいのでしょうね。パニック状態に陥ってはシュートが入らなくなるのでしょう。U23の諸君の敗戦も斯様なものだったのだと思います。
斯様な状態に陥ったらとにかく目を覚ますしかありません。そして戦略も何もない。遮二無二攻撃して実力差を見せつけることしかありません。強者が負けるときというのはおそらくはこういう精神状態だと思います。