世界の街角

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シリーズ⑨:サンカローク陶器博物館:その4

2016-11-02 08:30:46 | 博物館・タイ
<続き>

●モン陶

バン・コーノイの北端の発掘調査の際、その最下層から出土した陶磁を、モン陶と呼んでいる。今回は、展示されていたモン陶を紹介する。
ここで、お詫びと云うか、訂正しておきたいことが2件ある。1件目は、過去バン・コーノイから出土するモン陶と同時に、そこをモン窯と当該ブログに記してきたが、正しくは陶磁のみ出土し、窯址は発見されていないようである(その後の発掘調査結果が気になるが・・・)。
2件目は、バン・コーノイの呼称である。バン・コーノイと記している書籍の初出は、何か詳細を知らないが、小学館発刊の「世界陶磁全集巻16・南海」のPage197に記載されており、これがバン・コーノイと呼ぶのに一役かっていると思われる。このコーノイの呼称に、多少疑問があったので調べてみた。タイ文字でบัานเกาะน้อยと記す。これをカタカナ表記すると、バン・コノーイとなる。関千里氏はその著作「東南アジアの古美術」で、バン・コノーイと表記されており、卓見である。従って今後、バン・コーノイ改めバン・コノーイと表記する。
横道に反れてしまった。当該陶器博物館で展示されていた、モン陶を以下紹介する。
クメール陶を思わせるような黒褐釉の陶磁も存在している。これをどのように診ればよいのであろうか?
この青磁鉢も先の黒褐釉壺同様に、釉薬の表面が油で弾いたような斑文を見せる。モン陶の特徴の一つである。

モン陶には写真のような刻花文も存在し、かつ口縁が輪花のように刻まれている盤も多々存在する。

モン陶に黒褐釉の肖形物も存在するが、ガルーダであろうか、その塼(タイル)も存在するようで初見である。
左隅の3点の壺や瓶を見ていると、素人にはクメール陶との見分けがつかない。次回から本場であるシーサッチャナーライ陶磁を紹介する。



                                  <続く>