杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

静岡市内の地産地消ツアー

2010-05-01 19:26:38 | 農業

 GWに突入しました。今年はお出かけの予定がまったくなくて、家に閉じこもって連休明け締切の3本の原稿と格闘中です。午前中に近所のファーマーズマーケットに買い出しに行ったら、いつもお世話になっているNPO法人活き生きネットワークのmomoちゃんとバッタリ会って、社員証を首から下げていたので「仕事中?」と聞いたら「そーなんですぅ」と残念顔。・・・連休中でもちゃんと働いている人がいるんだとわかって、なんとなくホッとしました(苦笑)。

 

 

 4月29日(木・祝)、上川陽子さんの後援会事務所のお誘いで、静岡市藁科地区の地場産品生産現場ツアーに参加しました。市街地から車で30分ほどの中山Imgp2287間地。地元のことは大概知ってるつもりでいましたが、初めて訪ねる場所ばかりで大いに勉強になりました。

   

 

 最初に訪ねたのは水見色地区16人の農家のお母さんたちが作った地場産品直売所『水見色きらく市』。茶畑に囲まれた清流沿Imgp2275いの真新しいログハウスで、お天気が良ければ最高の気分!新鮮野菜のほか、手作りこんにゃく、コロッケ、フライ、おでん、漬物などお総菜類が充実してました。

  ツアーの女性軍が買い物に夢中になる中、私はおでん鍋にいち早くかじりついて、キツネ色に煮込まれた美味しそうな大根&きらく市名物のこんにゃくをゲットしました。こんにゃくは田舎風というよりも、プリプリしてとっても上品な味でした。名物といえば米粉パンで作った『いのししバーガー』を売り出していきたいそうです。この日は残念ながら買いそびれてしまいましたが・・・。

 

 

 

 次いで訪ねたのは、銘柄牛『するが牛』を飼育する勝山農場です。

 するが牛とは、乳牛のホルスタイン種と肉牛用の和牛を掛け合わせた交雑種で、JA静岡市管内の生産者が結成した『するが牛肥育研究会』で、飼料を吟味し、独Imgp2293 自の肥育管理マニュアルを作って育てた銘柄牛です。名前だけは知っていましたが、水見色の茶畑に囲まれたこんな自然豊かな場所に農場があるとは、ビックリ。昔は茶畑用の有機肥料を作るためにどの家でも牛を飼っていたそうで、勝山家では17年ほど前から本格的に肉牛の飼育を始めました。もともと動物好きのご主人は次第に肉牛生産にのめりこみ、奥さんは「自分の子どもより手間や愛情をかけて育ててました」と笑います。

 

 Imgp2302 現在は200頭のするが牛を、生後2カ月から22ヶ月後、体重800キログラムになるまで育てる勝山夫妻。昨年末には平成21年度の静岡県畜産共進会交雑種の部で見事、最優秀賞を受賞しました。

 するが牛は年間に出荷できるのは勝山さんのところで約100頭、他の生産者で約50頭と規模が小さく、販路も限定されているため、また交雑種より純粋黒毛和牛のほうがブランド力があるせいか、知名度はまだこれから、といったところ。でも品質にはちゃんとお墨付きが与えられたのですから、まずは静岡市民がちゃんと理解して、買い支えしていかねば!と思います。

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 午後は新間にある茶農家が結成した農業生産法人ネクトを訪ね、製茶工場見学とお茶摘み体験。ネクトさんは茶葉の生産から製造まで農家の有志が協力し合い、平成21年度日本農業大賞を受賞しました。以前からネクトの農家の方とはちょくちょくお会いする機会があり、今回初めて内部をじっくり見させてもらいましImgp2315 茶工場は民間施設とは思えない規模で、茶摘みが本格的に始まればさぞ壮観でしょう!先週訪ねた藤枝市の人と農・自然をつなぐ会(無農薬茶の会)もそうでしたが、お茶という地域資源は、その気になって真剣に生かそうと思ったら、これからまだまだ、伸び幅の広い産業なんだと思えてきます。

 

 

 つややかな新芽が芽吹くお茶畑は、何度眺めても本当に美しい。静岡を離れて暮らした時は、身近にお茶畑がないのに違和感を覚えたものでした。そImgp2331 れほど静岡の人間にとって茶畑は原始的な風景なんですね。美しい茶畑は、自然景観ではないけれど、人と自然が共生するお手本のような、静岡自慢の景観です。

 

 こういう景観を支える農家のみなさんの生活や生き甲斐を守っていくのは、まず地元市民の消費活動だろうと実感します。

 

 

 今日(1日)の午前中、買い出しに行ったファーマーズマーケットでは、偶然にも『するが牛』の特売をやっていて、「値引きするよ」の一声で買ってしまいました。巣籠りGWは、ネクトで買った初摘み新茶とするが牛で、ささやかな贅沢気分を味わおうと思います。