9月8日(木)は上川陽子さんの後援会企業部会が主宰するAPCセミナー『米国ハーバード大学~世界の視点で日本を見直す』が県もくせい会館で開かれました。陽子さんが80年代に日本人女性として初めてハーバード大学政治経済学大学院に留学されたときの経験をもとに、今の政治家や企業家に求められるものをケーススタディをまじえて語りました。
政治も経済も、テレビやネットのニュース報道で伝えられるレベルのことしか理解できない私には、途中で頭がこんがらがってきましたが、たまに小難しいことを考えるというのも、老化防止にはいいかもしれません(苦笑)。
陽子さんが紹介してくれた、米国シンクタンク・ユーラシアグループが2010年に発表した『世界の10大リスク』。ネットで調べてみたら、①米中関係、②イラン情勢、③欧州財政危機、④アメリカの金融規制、⑤日本の政治、⑥世界の気候変動、⑦ブラジルの経済、⑧インド・パキスタン情勢、⑨東欧諸国の政権不安、⑩トルコ情勢という順位でした。
ちなみに同グループを率いるイアン・ブレマー氏(41)は、12年前にたった一人で起業し、100人近い専門家に世界の隅々の地政学的リスクをリサーチさせる気鋭のコンサルタントだそうです。
・・・にしても、国際的にみて、日本の政治が地球規模の気候変動よりもリスクが高いなんて、さすがにまずいんじゃないでしょうか。ブレマー氏によると「日本は政権が変わり、一党支配から無党状況になり、日本病(=問題の先送り、将来を見据えた政治判断が出来ない)に陥った」とのこと。これに震災と原発事故が加わって、今年2011年にはどんなランキングになるのか戦々恐々とさせられます。
参加者が後援会の企業部会ということもあり、陽子さんのお話は経済が中心でした。「想像以上に日本企業の海外シフトが進んでいる」とのことで、
●自動車産業は過去30年で生産量のほぼ半分を輸出。
●造船プラントは韓国に大負け状態。
●建設業界は国内市場がピーク時84兆円から半減。
●海外シフトは想像以上に進んでいる。某大手化学メーカーは7年も前倒しで海外シフト50%目標を達成した。門外不出とされた重要素材の量産施設も中国へ移した。
●紙パルプ産業も大手O社が中国での生産規模を10%から20%へ。
●東京都水道局が水インフラのアジア10カ国への輸出に乗り出した。
等などのデータを紹介し「内需の外需化」が必要だと説きます。詳しい意味はよくわからないのですが、“内需”という枠をアジア圏に広げ、日本のモノもアジアのモノも、積極的に売り買いして消費を回していくということでしょうか。確かに人口減少&高齢化の日本の中だけで“内需・内需”と唱えても先が見えていますよね。
第2部のケーススタディでは、変化の兆しを見逃さず、生産マネジメントの国際基準ISO27001やCMMを導入し、いち早いリスク対応を果たしたシステムソフィアの事例を紹介してもらいました。お話の内容は難解でしたが、リーダーの分析力や判断能力の重要性はしかと認識できました。
ある専門家によると、「リーマンショック後の世界経済の変化というのは、山の色が緑から紅葉に変わった程度ではなく、山がいきなり海になってしまったというくらいの激変」だとか。これに、日本には東日本大震災と原発事故が重なり、多くの価値観の転換を迎えています。それは、政治や経済のマクロ的な動きのみならず、自分たちの身の回りの小さな意識の変化からも、その兆候がうかがえるのだと思います。
変化に気が付くか、気が付いても見過ごすか、気付いた時点で即応するか、周囲の動きを探ってから動くか・・・経済は難しいけど、人間の行動心理の根本は案外単純なものかもしれません。